【ランドアース迷宮案内】雪のフォーナ感謝祭〜絆の迷宮〜



<オープニング>


 冬が訪れればフォーナ感謝祭も近い。恋人達の為の舞踏会『フォーナ舞踏会』が有名だが、絆を慈しむ祭りは各地の村や街によって、その土地柄特有の色がある。
 リィリという小さな村では、カップルが1組ずつ、裏山の祠に寄り添う夫婦人形を納めるのが慣わし。
「絆の山、と呼ばれているそうです。祠には、女神フォーナが祀られているそうですよ」
 放浪する地図士・ネイネージュ(a90191)は、リィリ村へ至る地図をテーブルに広げた。
「草木がまばらに生える岩山でしてね。頂の祠まで、細道が続いているのですが……祭りの時は、往路では使いません」
 頂へ至る道は2つ。1つは細道、もう1つは山裾の洞穴から文字通り『山の中』を登ってゆく。
「鍾乳洞なんだそうです。中は幾つか分岐があって、でも入り口と出口は1つしかありませんから……前を歩き続ける限り、どの道を選んでも何れは祠に辿り着けます」
 行き止まりも無いなんて不思議ですよね、とネイネージュは何処か楽しそうに微笑んだ。
 鍾乳洞の道を通って祠に至り、夫婦人形を納め、帰りは細道を下る。日が暮れてから始まるので、カップルの道行の導はそれぞれが持つ小さなランプの灯のみ。
「フォーナ・ランプ……フォーナの導き、と呼ばれています。祭りの大切な小道具ですから、毎年ランプの意匠に凝る方も多いそうですね」
 そればかりが理由でもなかろうが、リィリ村のランプ工芸はこの地域でも名高いそうだ。
「それで、今回の依頼は?」
「その鍾乳洞の入り口を、通せんぼしている……猫がいるんですよね。すごく大きな」
 ヒトの霊査士・リゼル(a90007)は、少し困ったように笑みを浮かべた。
「入り口の辺りは日当たりが良くて、気に入ってしまったようです。丸くなってぐぅぐぅ寝ています」
 別段、鍾乳洞に入れない以外に被害は無いのだが、フォーナ祭が近付くこの季節には一大事。村人達が力ずくで退かそうにも大き過ぎるし、何より怒らせれば大変だ。
 それで、冒険者の出番という訳だ。
「巨大猫さんの性格自体は大人しくて、獣達の歌も通じるようですね。起こして説得さえすれば、穏便に解決出来ると思います」
「祭りが出来るようになったら、私達も参加して良いそうですよ」
 にこにこと穏やかに頷くネイネージュ。
「カップルでの入山が原則ですので、1人では入れないのが残念ですけれど……自然の作った迷宮、私も見てみたいですねぇ」
 ランプの灯に照らされた鍾乳洞は美しいだろうし、下山の折の星空もまた格別だろう。冬の寒さに寄り添い、語らいながら2人の絆を確認する――フォーナの一夜の素敵な過ごし方かもしれない。

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参加者
語る者・タケマル(a00447)
朱陰の皓月・カガリ(a01401)
藍鉄の静謐・アレキス(a02702)
天藍の風・アモウ(a08601)
深緑の森の守り手・イツキ(a10040)
微笑う重騎士・イツェル(a15770)
深淵の微睡・リュフィリクト(a17971)
天藍の翼・サナ(a25832)
士魂・トワ(a33691)
蒼の音楽・セイ(a35891)
NPC:放浪する地図士・ネイネージュ(a90191)



<リプレイ>

 柔らかな日差しを浴びて、茶トラの毛並みが微風に揺れる。寝こけるその面は至福そのもの。
「巨大猫……かわいい……」
 長閑な光景に、ポソリと呟く静逸なる匠・アレキス(a02702)。
「でっかいにゃんこ……」
 同じくうっとりの朱陰の皓月・カガリ(a01401)だが、ハッと我に返る。
「……あ、依頼は頑張るんよ。皆が通れるようにせんとね」
 丸まった茶トラ猫の巨躯は、洞窟の入り口を見事に塞いでいる。
「起こすのは可哀想だけど、祭りの為だ。移動して貰おう」
「猫も寒いんだろうなあ。猫を含めて、皆が楽しい気分で過ごせると良いよな」
 天藍の風・アモウ(a08601)と蒼の音楽・セイ(a35891)も頷いて……色んな意味で気合が入る面々に、放浪する地図士・ネイネージュ(a90191)はクスリと笑み零れる。
 来るフォーナ感謝祭の為にも、兎に角猫に起きて貰わなければ、話が始まらない。
「猫ったらしになりたいなぁ……はいっ、カツオブシ♪」
 魚片手に語る者・タケマル(a00447)が猫の咽喉を優しく撫でると、閉じていた瞳がうっすらと。
「♪ わりぃな、起こしちまって♪」
『♪ ふわぁぁ……何の用にゃぁ?♪』
 セイの獣達の歌に、大欠伸した猫は冒険者達を睨め付けた。少し機嫌が悪そうで、すかさずタケマルが魚を差し出す。
「♪ ああ、実はな……♪」
 魚を一口で平らげた猫が怒り出さなかったので、早速説得開始。
 鍾乳洞を巡るリィリ村のフォーナ感謝祭の事。その祭りで、今猫が入り口を塞いでいる洞窟を使う事――順を追って、セイが説明していく。
「♪ ……んで、お前さんに退いて欲しいんだ。代わりの場所は用意してあるから♪」
『♪ ここ、あったかくて、お気に入りなんだけどにゃぁ♪』
「♪ 移動先も寝心地いいですよ〜。もっと美味しい物がありますし〜♪」
 セイに続いて、タケマルも肉を置いてもう一押し。暫く肉を齧っていた猫だったが。
『♪ 祭りはうるさいにゃ?♪』
「♪ あ、ああ……♪」
『♪ うるさいと眠れなくて困るにゃぁ。そこが静かなら、移っても良いにゃ♪』
 どうやら本当に眠り猫だったようである。

「あ、イツキさんが戻ってきた♪」
「上手く行きそうだな。祭りの前に、いざこざがなくて良かった」
 大きく手を振る深淵の微睡・リュフィリクト(a17971)。川魚の燻製を運んでいた士魂・トワ(a33691)も安堵する。
 道案内の深緑の森の守り手・イツキ(a10040)の後を、大きな茶トラ猫がポテポテついて来る。アモウと天空の青・サナ(a25832)、アレキスがその両側から話し掛けているようだ。
「♪ 名前、あるなら……聞きたい。もし無いなら『ヒナタ』は……どう?♪」
 猫は何も答えなかったが、尻尾をピンと立てたので否ではないらしい。
 リュフィリクト達が見付けた場所は、リィリ村からも絆の山からも少し離れた森の中。少し開けたその場所は日当たりもよく、大岩に寄れば木枯らしも凌げるだろう。
『♪ 悪くないにゃぁ♪』
 猫は満足そうに大きく伸びをする。岩陰に山と詰まれた食糧にも嬉しそうだ。
「♪ お願いを聞いてくれたお礼に、一席設けました♪」
 そうして、微笑う重騎士・イツェル(a15770)の発案で日が傾くまでピクニック。先頃怪我を負った者も何人かいたが、幸い食べ物に夢中になった猫は血の臭いも余り気にしなかったようだ。
(「単なる昼寝好きなだけなら良いですが……熊の冬眠と同じ理由なら、これからが可哀相です」)
「♪ 僕の所に来ませんか? 食事にもお昼寝にも不自由はさせませんよ♪」
 和やかな雰囲気に乗じて勧誘するイツェルだが、猫はキッパリ頭を振った。
『♪ ここが気に入ったにゃぁ。ヒナタの新しい縄張りにするにゃ♪』
 独立独歩の猫は、そう簡単に靡かない。冒険者とて人間だ。人には人の、獣には獣の営みがあり、境界もある。
「♪ お願い聞いてくれてありがとさんな。ホンマに、折角気持ちよく寝とったとこ、ごめんな?♪」
 鮭の冷燻をお礼代わりに、そっとカガリが抱き付くとふかふかお日様の匂い。
 最後に次々と抱き付かれて目を細めた巨大猫は、ふわぁぁっと大欠伸。冒険者達が去るのも待たず、丸くなってイビキをかき始めた。

 依頼完遂を報告して、数日後――12月24日、待ちに待った雪のフォーナ感謝祭当日。
 日が落ちる前から、リィリ村の空気は賑やかだ。やはり、今から気もそぞろのカップルが目に付く。
「えーっ、独り身は入れないんですかぁ?」
 所謂『迷宮』の類に目のないイツェルだったが……村の慣習には逆らえない。『絆の迷宮』は、来年のお楽しみ?
「……あ、ネイネさん。今度一緒にインフィニティゲートでも――」
 同じ境遇だろう藤色の髪のエンジェルに声を掛けたが、当人は困った顔で木を見上げている。釣られて樹上を見たイツェルは思わずあっと声を上げた。
「下ろしてあげたいのですが……どうも、私の翼が怖いようで」
 細い枝に爪を立て、毛を逆立て威嚇する子猫。と思う間もなく、ポキンと枝が折れ小さな体が落下する。
「うわわっ!?」
 咄嗟に受け止めたイツェルの腕の中で、毒気を抜かれたのか子猫はキョトンとしている。毛並みは茶トラで、振られてしまったあの巨大猫を思い起こさせる。
(「まあ、あそこまで大きくならないでしょうけどね」)
「……この子、僕が引き取っても良いですかね?」
 それは、フォーナからのちょっとした贈り物だったのかもしれない。

 ――今日は1年で1番夜の長い日。早々に暮れた夜道を辿る。目指す祠は、迷路を抜けた先。
「流石に寒い…ね……付合わせた…迷惑だった…かな…?」
 ランプを掲げて振り返ったアレキスは、困ったような笑みを淡く浮かべていた。『洞窟』という言葉に惹かれて依頼に参加したものの、誰も誘う宛がなかったのが正直な所で。
「迷惑やなんて。こちらこそ、うちと一緒してもろて感謝しとります」
「……ん、ホオズキ……ありがとう」
 言葉が途切れ、岩床を踏み締める足音が静寂に響く。
 ランプの灯に照らされた雪白の鍾乳石は、チラチラと瞬くよう。その自然が作り上げた意匠に見入っていたアレキスだが、やがて訥々と口を開く。
「洞窟とか……とても落ち着く……人の手で作られる芸術も、素晴らしい……けど、やっぱり……自然には敵わない」
 掲げたランプと鍾乳洞を交互に見遣り、自分に言い聞かせるように呟く。
「それでも、目指したいと思う……この高みまで。気持ちは忘れてはいけない……大切……」
 ふと眩しいものでも見るかのように、ホオズキは目を細めた。自分は楓華を渡り歩き、人を見てきた傾奇者。でも、こんな青年は初めてで。
(「不思議な御仁どすな。底が知れなくて……でも、とても純粋で」)
 一方、饒舌に照れたのか、アレキスはおもむろにコートを脱ぐ。
「女性が身体冷やす……良くない」
「お優しいどすな……」
 肩に掛けられたコートを抱き締めて、ホオズキはそっとアレキスに寄り添った。

「やっぱ暗いんだよなあ?」
 入り口から中を覗きこんだセイは、思わずブルッと身を震わせた。
 昼間の光景と打って変わり、鍾乳洞は夜闇に増して黒々と口を開く。
(「俺、暗いの苦手なんだよ……」)
 チラチラと窺いながら、傍らの青年に身を寄せる。
「じゃあ、行こうか。エスコートさせてもらうよ、お姫様」
 そんな彼女の髪を宥めるように撫でるレイズアーク。漸く鍾乳洞に足を踏み入れる。
「で、でもアレだ。こーいうのロマンチックなイベントってヤツなんだろうなあ」
 ランプの灯が2つ、頼りなく揺れる中、反響する程にセイが大声で話し出す。紛れもなく空元気だ。
「こーいうイベントに、レイと参加できて嬉しいな。やっぱ好きな奴と参加するもんだろう?」
「そうだな」
 彼が笑いをかみ殺しているのも間違いないが、セイは知らん顔。
(「多少くっつきすぎてもしゃーねーよなっ。暗いの怖いもんなっ。レイだって一応男だしなっ!」)
「ひっ!?」
 突然、首筋に水滴がポタリ。思わぬ不意打ちに硬直する彼女の肩を、レイズアークは優しく叩く。
「セイ、俺が付いてるから」
「べっつに大丈夫だって! ぜんっぜん怖く無ぇもん!」
 強がり言う割に、腕に縋る力は少々痛い程。
 そんな彼女を愛しげに見詰めて、レイズアークは庇うように抱き寄せる。
 歩みは更に遅くなってしまうけれど、身を寄せ合いゆっくり一歩ずつ前進する。
 それはきっと、人生の歩みにも似て――絆の祠は、もうすぐだった。

「足元が滑りそうだ、気を付け――」
 最後まで注意する前に。少女の体がぐらりと傾いだ。
「カムナっ!?」
 トワは咄嗟に手を伸ばし、細い身体を抱き寄せた。落としたランプの灯が、抱き合った2人の影を大きく映し出す。
「……あの」
「あ、ああ……大丈夫か?」
 身の内にすっぽり収まりそうな少女の華奢な感触に、トワの顔が熱くなる。
「今度は滑らないよう……気を付けよう」
 ランプを拾い、空いている手で彼女の手を握る。今度こそはと注意深く歩き出すと、出口はもう目と鼻の先。
「カムナ……」
 無事に夫婦人形を祠に奉納して――トワは、少女に向き直った。
「以前、勢いで言った事だが。改めて言わせて貰うな……俺は、カムナが好きだ」
「あ……」
 真摯な言葉に、洞窟の闇にも平静だったカムナの頬が朱に染まる。灰色の双眸を瞬かせ、何度か唇を湿らせて、漸く零れた言葉は、思いの外小さかった。
「その、嬉しいですし、お受けしたいですけど……」
 パッと顔を輝かせたトワを見て、慌てて言葉を繋ぐ。
「あの……私にもう少しこういう事と、トワさんに慣れる時間を戴けませんか?」
「あ、それはその……そうだな。焦っても仕方ない」
 トワの本心が望む答えではなかったけれど。確かに、その一端を掴む事は出来たから。
 照れ臭そうにゆっくり山を下りて行く2人を、祠の夫婦人形は何処か微笑ましげに見送っていた。

「急いで抜けるも勿体無いですし、ゆっくり中も楽しみましょうか」
 インフィニティゲートの探索の怪我が癒えたばかりの少年を気遣い、イツキは歩調を遅くした。その分、2人きりの時間も長くなる訳だし。
「あー、手を……暗くて足元も危ないですし。寒くありませんか?」
「うん、日が射さない場所だから仕方ないのかな? えーい! くっ付いちゃえ! ……イツキさんは温かいね♪」
 差し出された手に抱きつくリュフィリクト。忍び寄る冷気さえ、くっ付ける理由になるのが嬉しい。
「中も寒かったけど、外は外で違う寒さだねー」
 やがて辿り着いた小さな祠に、夫婦人形を納める。白い息を吐きながら、改めて向き合う。
「女神様は祝福くれるかな? くれるといいな……イツキさんは物凄く大事な人だから」
「これからも、ずっと私の傍に居てくださいね。私も、ずっとリュフィさんの傍に居ますから」
「うん、約束だよ」
 屈託ない少年の笑顔が、本当に綺麗で――考えるより先に、イツキの手が伸びる。
「!?」
 抱き寄せた拍子にランプ同士もぶつかって、小さく音を立てる。
「あ……ねぇ、気を付けよ? こんなに綺麗なランプが壊れちゃったら悲しいよ。これだって、イツキさんとの想い出に――っ!!」
 小さな灯は、時に人を大胆にさせるのかもしれない。不意打ちのキスにリュフィリクトの瞳が大きく見開かれる。
「……お嫌、でしたか?」
「え? 嫌じゃなかったけど……もぉ! ばかぁ!」
 真っ赤になった少年の照れ隠しの抗議が、冬空に響き渡った。

 手編みのセーターに袖を通した。
「サイズもぴったりみたいで良かったです。思った通り、その色がとてもよく似合っています」
「ありがとうな、サナ……お陰で、心も身体も温かいよ」
 幸せそうに笑って、アモウは抱き締めたサナの手をぎゅっと握る。
 ランプの灯りを頼りに暗闇の道を歩く。天球儀を模ったランプが、まるで小さな星空みたいで。
「……何だか、初めてのデートを思い出しますね」
「そうだな」
 あの時も2人で手を繋いで夜道を歩き、一緒に満天の星空を眺めた。夏の終わり、明けてゆく空に誓い合った。
 ずっと共にいる事――今も変わらずサナがアモウの傍にいて、アモウもサナの傍にいる。とても幸せな事だと思う。
「覚えていますか? 私達、言葉を交わすようになったのは、星凛祭が終わった後で……もしも、次の恋人達のお祭りの時にもアモウさんの気持ちが変わらなかったら、私を誘って下さいって」
「勿論。だから、今俺達はここにいるんだろう?」
「あの時は、フォーナ感謝祭って随分先の事だと思っていたのに……その話をしたのが、つい昨日の事みたいです」
 思い返せば、一緒に歩んできた道はそのまま誓いの証。この幸せがいつまでも続く事を、心から願わずにいられない。
「夫婦人形、か。何だか、良いよな……」
 祠に人形を納めた手で、気持ちのままに抱き寄せて。優しく微笑んで、愛しそうに彼女の頬に触れる。
 はにかんだ笑みを浮かべて、アモウを見上げたサナもそっと目を閉じる。
 今度は冬の空の下、2つの影が重なる――優しい口付けに、出会えた感謝と愛の誓いを込めて……。

 ランプは右手、人形は左手。でも、そうすると手が繋げない。
(「あー……寂しいのは祠まで我慢やろか」)
 シュンとするカガリを見て取って、タケマルは左手の人形を慣れた手つきで風呂敷に包む。
「背負えばじょぶじょぶです♪」
 そうして手を繋ぎ、歩き出す。その前に、彼女の肩にストールを掛ける気遣いも忘れない。
 2つの暖かな灯に導かれ、2人はのんびり前に進む。
「分かれ道があっても行き止まりは無くて、皆が祠に行き着く道のりって不思議やね。選ぶ道とか先とか違ってもどこかでまた道が重なるように……て事なんやろか」
 考え考えの呟きに、タケマルはそうですねぇと相槌を打つ。
「行き止まりが無い迷宮というのは人生にも似てるカモですね。1人だと少し寂しく感じますが、2人一緒なら丁度良い♪」
 長いようで短い道のり。やがて出口に行き着けば、山頂はもうすぐ。祠の向こうに冬の星空が冴え冴えと。
(「濡れた鍾乳洞の光の照り返しも綺麗やったけど、澄み切った冬の星明りも綺麗やなぁ」)
 人形を納めて山を下りる。村を目前にして、タケマルはふと立ち止まる。
「……あ、カガリさん」
「どないした――」
 そっと撫でた指を辿るように、頬に落ちたキスは青天の霹靂。
「……へ?」
 キョトンとしたカガリをポムポムと撫でて、タケマルは飄々と手を繋ぎ直して歩き出す。
(「な、何が起こったん〜!?」)
 見上げた背中は何も語ってくれないけれど。混乱の一方でぼんやりと思う。
(「綺麗な物、素敵な物、これからも一緒に見に行ければ嬉しいなぁ」)
 それが、今の彼女の精一杯だった。

 フォーナの夜、リィリ村のカップルは必ず1つの思いに辿り着く。
 笑顔も涙も驚きも、全てひっくるめて。これからもあの人と同じ道を一緒に往ければ、それが幸せ――今通ってきた、絆の迷宮のように。


マスター:柊透胡 紹介ページ
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作成日:2005/12/25
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