闇の市場 〜ランジャン大会、再び〜



<オープニング>


●ランジャン再び
 東方蒼竜・ルイ(a07927)は、今夜もまた、闇の市場の中にある、とある賭博場にいた。
「あ〜っ、また負けた〜!!」
 昨年の同時期以来、ちょくちょく顔を出すようになった彼。この店ではすっかり常連となっており、色んな意味での友人知人も出来ていたが……相も変わらず博打の腕だけは、あまり上達していなかった。
 それでもなお、しょっちゅう顔を出しているのは、勿論ただの博打好きだから…なのは言うまでもないが、やはり闇の市場ならではのネタが転がっている事も少なくないからである。
 実は、彼のこなした冒険のソースは、ここで得たものだったりする事も少なくないのだから。

 そんなある日のことである……。
「ルイ、実はな…またランジャン大会を開催しようと考えてるんだが、今回はいつもよりも贅沢な大会にしようと思ってな。お前さんを見込んで頼みたい…一緒にスポンサーをやってはくれまいか?」
 賭博場を兼ねた酒場の親父が、ルイに向かって唐突に、こんな話を持ちかけてきた。
「やっぱり、こういう事は常連から信用のある者がやらんとな…」
 と、最もな理由付き。決して、負けてばっかりなのに通いつめてるルイを、どこぞのボンボンだと思っている…なんて事は、口が裂けても言わないだろうが…。

「まぁ、そんな訳だからさ…良かったら、皆も参加して楽しんでいってよ!」
 と、ルイが声を掛けたのは、前回とは異なる冒険者の面々。そして…、
「ん…何か、楽しそうな相談をしてるのね!? 良かったら、私も混ぜてくれない?」
 と、どこから嗅ぎ付けてきたのか、レア物ハンター・ユイノ(a90198)までもが勝手に同行を決めていた。
「もちろん構わないけど…。ユイノ、ランジャンのルール…知ってる?」
「ランジャン……? 何それ??? 知らないけど、きっと何とかなるわよ! 私の天運の相を見せてあげるわ」
 何だか妙な自信を覗かせるユイノ。まぁ、彼女の事はさておくとして…今大会の豪華賞品は、類稀な情報や品物…あるいはルイを好きなように弄れる権利。どれでも好きなものを選んでくれて構わない。冒険者の諸君、皆の腕前のほど…たっぷり披露して欲しい。

●ランジャン 〜ルール説明〜
 基本的にはアレに準拠。アリアリで割れ目はナシです。その他は以下の通り。
(1)東風戦。親が勝っても流局しても連荘なし。
(2)上位2名が次へ進む形式。準決勝からのスタートなので、あと2回戦を実施。
(3)イカサマは賭博の趣味を持っている人のみ可。それ以外は失敗なので即、失格♪
(4)コンビ打ち不可。全員がライバルです。
(5)話術が巧みな場合、他者の動揺を誘える等の効果あり(その場合プレイングに、らしい台詞がある事が必須です)。
(6)この他、調子の良し悪しや勝敗の結果に応じたパターンで台詞があると、なお良いでしょう。
(7)更に、今回はユイノに1局だけ代打ちをさせる事が可能。稀にとてつもない力を発揮することがあります。

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参加者
斬鬼・ルシール(a00044)
六風の・ソルトムーン(a00180)
青空に浮かぶ龍・ルイ(a07927)
鳳凰の焔剣・オウキ(a08306)
夜風に舞う絢白の星・オパール(a13455)
聖地の碧風・ワンダ(a17641)
失われた夢の欠片・ヘルディスター(a19968)
棘石竜子・ガラッド(a21891)
NPC:レア物ハンター・ユイノ(a90198)



<リプレイ>

●ランジャン大会、再び
 賭博が、まるで合法であるかのように扱われるその街で……今、再びランジャンの幕が切って落とされる。東方蒼竜・ルイ(a07927)のリベンジかとも思われたそれは、残念ながらそうではない…。何故ならば、彼は特に腕を上げた訳ではないし(経験だけは人一倍積んだようだが…)、何より…皆に楽しんで欲しいという純粋さこそが彼の心を占めていたから。
 しかし、それでもこの街のルールに例外はない。楽しんだところで敗者に栄光はなく、得るものも無い。ただ1人…勝った者だけが望むものを手に出来るのだ!

●予選〜準々決勝
 例によって『偶然にも』勝利した冒険者たち。運も腕も…いずれの良し悪しもあれど、この街では勝った者だけが正義。
 こうして……ついに準決勝のテーブルに、面子が出揃ったのだった。

●ランジャン準決勝1卓
 〜ルシール、ソルトムーン、オウキ、ヘルディスター〜

「……闇市場に来るのも、久しぶりだな」
 感慨深げにこの街のゲートをくぐった、鳳凰の焔剣・オウキ(a08306)。
(「それにしても、冒険者なのに良くやるよ。バレたらやばいだろうに……」)
 苦笑して見せるも、内心では一応、発案者のルイを気遣っていた。
 そんな彼女と対戦するのは、六風の・ソルトムーン(a00180)、星風の四葉・ヘルディスター(a19968)、そして前回に続く出場となる悪を断つ竜巻・ルシール(a00044)という面々。
「すごいようっ! 何だか良く分からないけどすごいー。でも…ちょっと怖いかな……」
 ひとしきり感激したかと思いきや、少しだけ本音が漏れるヘルディスター。どうやらほかの3人とは違い、少々ランジャンのルールに疎いらしく、
「僕、やったこと、ないの♪ 運任せなトコはユイノちゃんといっしょー♪」
 というお気楽振りだった。

 そんなカンジで始まった1局目。
「先を占う1局目はユイノに代打ちを頼むとするかな。…ユイノ、リラックスして気軽に打ってくれな」
 と、オウキが笑顔で代打ちを宣言。ユイノの頭を撫でながら、まずは高見の見物と言ったところ。
「まっかせて〜♪」
 そんな軽いノリで卓についたユイノだが、これが凄い。ほぼ索子で占められ、明らかに狙えと言わんばかり。対するソルトムーンとヘルディスターの配牌はバラバラの最悪! そしてルシールは悪くない形だったが、それでもユイノの怪しげな運に敵わず、いきなりの満貫。
(「ふん。これも悪くない…どんなに気を配ったところで牌は偏りを示すもの。意図して偏りを作ろうとする者がいたら、場は無意識の内に極端な対子場となる……」)
 ルシールは背筋に走るザワつきを抑えながら、そんな想いを巡らせていた。
 そして続く2局目。
「明日は晴れるかなぁ」
 などというソルトムーンの無意味な台詞に、オウキ、ヘルディスターがイカサマを警戒し、動揺。しかし当の本人の手は相変わらずのゴミっぷり。その隙にツモに恵まれたルシールがダマで張っていた為に無警戒なまま振り込んでしまったのだった。
「今日はどうもツキがない。ユイノ…流れを変えてもらおうか」
 ここまで精彩を欠くソルトムーンが3局目に代打ちを立てる。しかし、いきなりオウキがテンパイでダブル立直…代打ちと言えども降りざるを得ず、
「よく分かんないけど、兎に角早くあがればいいん…だよね?」
 などとお気楽に打っていたヘルディスターに、またまた振り込んでしまう。
「……えっ、俺の勝ち? わぁい!!」
 無邪気に喜ぶ所がまた一同の怒りを誘うのであった。
 そして迎えたオーラス。
 ここでルシールの仕込みが少し効いてきたのか、場は次第に対子場の様相を見せる。
「むむっ…今は流れが来ていない…ここは鳴くべきか…」
 と、それを上手く利用したソルトムーンが、三暗刻&対々和&小三元のコンボでヘルディスターを直撃。それまでトップのオウキを抜き去り逆転で幕を閉じたのだった。

●ランジャン準決勝2卓
 〜ルイ、オパール、ワンダ、ガラッド〜

 ―――続く第2戦。こちらはなかなか異色な面子を迎えていた。
「折角やるからには勝たないとね♪」
 と、黒のドレスを纏って気合も十分な新婚さん、夜風に舞う絢白の星・オパール(a13455)。今宵、夜風の加護は彼女を包んでくれるのだろうか?
 対するは幸運アイテムどっさりな上、『猫でも打てるランジャン』というガイド片手に卓についた黒服修行サボり気味・ガラッド(a21891)。そして主催者でもある永遠の初心者ルイに、さらにもう1人、ある意味で尤もギャンブラーと呼ぶに相応しい、聖地の碧風・ワンダ(a17641)という面々であった。
 そんな面子で始まった第1局。
「ん〜、これどうなってんだ?」
 と、開始直後から懸命に牌をあっちこっちへと動かし手を確かめるガラッド。どうやら意外に良い手らしい。そして同じように運に恵まれたルイは、よし、イケる! と言った表情がもろ分かり。そんな2人とは対照的なのがオパール。残念ながら配牌には恵まれなかったものの、その後のツモが入る、入る。わずか6巡目で立直に至る。
 が、喜んだのも束の間、その直後にはワンダが追っかけ立直。
「よし、この勝負もらったぜ!」
 続いて、オパールが指輪に祈りながらツモ切りした牌が、無情にも一発当たり。
(「確か……賭け事好きって言ってたけど、まさか、イカサマとか…じゃない、よね?」)
 なんて事が頭を過ぎるフリコミであった。
 そして2局目。
「え〜っ、1局だけ〜!?」
 とグズりながらもユイノに代打ちを任せるルイ。そのついでに、
「店内では素人の方でも楽しく遊んでいただけるよう、イカサマ防止対策として、プロジャン士が見張っていますから…」
 と、さりげなくワンダに釘。そんな彼の手牌はなんと……ラッキーなイーシャンテン。対面のワンダも実は同様であったが、
「んー、ちょっと待ってくれな」
 等とガイドブックをめくるガラッドのペースにいらつき、調子を狂わせる。
 その結果、代打ちユイノがあっさりと安めのツモ上がりを拾ったのだった。
 そして後半戦、3局目。
「ココからが勝負なんだからね!」
 気合を入れ直すオパール。しかし、それとは裏腹に手牌はう〜ん…な状態。
 が、幸いというかワンダ以外は同様に最悪の立ち上がり。
 そのまま順調にワンダが逃げ切るかと思いきや、ここが勝負の妙味。ツモに恵まれたオパールと、相変わらずなガラッドの追い上げに遭い、テンパった所で流れが変わり、今度はオパールが追っかけ立直。
「ホントは降りるトコだけど…なんだか負ける気がしないのよね」
 という珍しく強気なオパールに、
「むぅ……んじゃ、コレにしとくわ」
 途中で難しくなって来た手に困惑したガラッドの捨て牌が見事ドンピシャ!
「ん? これマズかったのか?」
 と訳の分かっていない彼から、立直&役牌のみではあったが無情な勝利をもぎ取り、
「夜風の加護は伊達じゃあないってね♪」
 chu…と指輪にkissを捧げるオパールだった。
 そんな訳で波乱の2戦目もオーラス。
 手の空いていたユイノを哀しそうに見上げて代打ちをせがむルイに絆されたか…(いや、楽しくなってきただけっぽいが…)、
、「んじゃ、おまけだからね♪」
 と、特例の再代打ちを承諾。
 再び運に恵まれ、基本形のメンタンピンで勝ち逃げ。
 結局、最初のフリコミが仇になったオパールが、ワンダに僅差で敗れ、ルイとワンダが決勝に駒を進めることとなった。
「あーやっぱり強いねぇ…悔しいけど、仕方ないか」
 と、オパールは決まり悪い様子ながらも、さっぱりした笑みで席を立ったのだった。

●ランジャン決勝
 〜オウキ、ソルトムーン、ルイ、ワンダ〜

 こうして、それぞれの戦いを勝ち抜いた、熟練のギャンブラー(?)4名が出揃った。
「飲みながら打つのはOKだったかな?」
 ランジャンよりも寧ろ酒の方が自信があるらしく、オウキが尋ねた。
 もちろん、闇の市場の賭博に、禁酒などという上品なルールはない。
「はい、お待たせ♪」
 と、自らも決勝に出るくせに、何故かルイが運んでいたり…。
「ところで、始まる前に言っておくが、先ヅモはマナー違反だと思わないか?」
 と、ワンダが牽制。その実…イカサマを企んでいるのは彼だけだったが……。
 そして、
「もう遊べないの?」
 と、うるしょげ…なヘルディスターには、ソルトムーンが我の後ろに…と告げ、喜んで引っ付くことにしていた。

 そんな訳で始まった第1局。
 絶好の配牌に恵まれたのはソルトムーン。さっそくイーシャンテンからのスタートである。
 対してオウキはバラバラ。ルイも悪くはないが、さして良い手が狙えそうな風ではない。
(「くっくっく……」) 
 その反面、内心で不敵な笑みを湛えるワンダ。今こそ、これまでの布石を活かすとき…とばかりに積み込み、既に手牌で暗刻となっているのは、ドラになる筈の牌。人一倍警戒していた筈のルイも、今は自らの手作りに一生懸命で、誰も彼のサマに気付くものは居なかったようだった。
 こうして、ほぼ一騎打ちの様相を呈した緒戦だったが、決着は以外にもあっけなかった。
 何故ならば、前からのルシールの布石が活き、対子場となった所へ、自らのカンも含め鳴きまくったワンダが、カンドラまで乗せての大勝利となったのだ。
 そして続く第2局…、再び好手に恵まれたソルトムーンが、八種九牌で欲の出たルイを押さえ、勝ち逃げ。ただし早上がり重視のノミ手の為、安かったのだが…。
 更に勝負は続いて第3局。
「これは…!」
 ちょっと驚いた風のルイ。あまりにも基本というべき美しい形だったからだが、その露骨な様子に他の3人は警戒。
 染め系に思えたソルトムーンは3巡目のツモで早々にツキがない事を悟り、逆にオウキとワンダは最初から刻子が2つ出来ていた為に少々欲をかいた。
 結果…、ルイが4巡目に立直。そこから一転して降りたワンダだったが、手が手だけに回し打つ事が出来ず無念のフリコミとなってしまったのだった。
「ちっ…少し痛いが、ま、想定内か…!?」
(「俺は今日…、ここでオウキを超えてみせる!」)
 悔しげに捨てゼリフを吐くワンダを他所に、かつてのオウキの言葉を思い出しながら改めて勝負を強く意識するルイ。その『かつての言葉』とは……、
(「追いつくつもりじゃダメだよ、追い越すつもりじゃないと……」)
 というものであった。
 そして…ついに迎えたオーラス。泣いても笑ってもこれが最後である。ちなみに点数は、TOPがワンダ、続いてルイ、ソルトムーンと続き、今だ上がりのないオウキが断トツのビリである。
「まさか…酒のせいじゃないよね?」
「冗談はほどほどに…な」
 と、不振のオウキを奮わせるかのような台詞を吐いたルイに、少しだけ目がマジになるオウキ。わずかな酒如きで我を見失うほど落ちぶれちゃいない…と言ったところか。
 そんな訳で始まった最後の勝負……2着のルイは染め系の手。しかしTOPとの点差を考えると、ホンイツでは弱すぎる。
(「この上を狙わないと…」)
 同様にソルトムーンは対子がいくつもあるのだが、このままでは埒が明かない。
(「ふむ。ここは1つ…狙ってみるか……」)
 そしてオウキ……先と同様、刻子が2つあり他もまぁまぁ…。
(「これならイケるかも知れんな…」)
 と、逆転のチャンスに望みを賭けて、大きな勝負に打って出ることを決めた。
 そんな彼らに対し、TOPのワンダは比較的余裕の表情。
(「この分なら逃げ切れそうだな…」)
 と企む彼の手は比較的オーソドックスなピンフ系。最後を盛り上げるには役不足だが、勝負を考えれば最適の手。
 1巡、2巡……皆、それぞれに無駄ヅモなく手が進む。
     ・
     ・
     ・
 無言のまま牌を叩きつける音と、微かに誰かの舌打ちが響く。
 勝負の成り行きを見つめる、ルシール、ヘルディスター、オパール、ガラッドの表情にもひと筋の緊張が走る。
 そして6巡目。
「立直!」
 鋭い声がソルトムーンから飛んだ。自信に満ちたその表情は、ワンダを直撃せずともTOPに出られるだけの手ということか…。
(「くっ…しかし、ここで降りるわけには……」)
 ワンダが微かに唇を噛み、ツモ切り。
「………」
 ホッ…。
 としたのも束の間、続くオウキの手番のこと。
「ツモ! 悪いが、俺の勝ちだ!!」
 堂々と宣言した彼女の手は、シャボ待ちの四暗刻。ツモ上がりでないと役満にならなかった為にルイの捨て牌をスルーしての執念のツモだった。

●優勝の行方……
「悪いな…皆」
 艶っぽく、それでいて爽快な笑顔を見せるオウキ。これには負けた面子も已む無しといった表情。
「まだ……届かなかったか」
 1人、無念そうな表情のルイだったが、その肩にポンと手を掛けたオウキが、
「さて…それじゃ、皆で1つ飲み直そうか。勿論…奢りだ」
「「やったぁ〜!!」」
 幾人かから歓声があがり…そんな彼らを引き連れるように、冒険者たちは一夜の夢を楽しみながら闇の市場を後にしたのだった。
 今宵、自らの望む品を手にしたオウキは、甘い勝利の美酒に久しぶりに酔える事だろう……。

【終わり】


マスター:斉藤七海 紹介ページ
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参加者:8人
作成日:2006/01/08
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