初日の出にお祈りを♪



<オープニング>


●初日の出にお祈りを♪
「これはこっちと……ふう、フォーナ感謝祭も終わったしもう一年も終わりだね」
 部屋の片付けをしながら、今年一年を振り返るのはおひさま笑顔な翔剣士・レナ。
「ボクも17歳になったんだから、来年こそは……」
 今までの冒険の記憶や、ザウス大祭やフォーナ感謝祭……誕生日会も開いたし、列強種族リザードマンとの戦争だってあった。
 ……他にもいろいろな事を思い出しながら、彼女はある決意をする。
「来年もいい年になるように、一番最初のおひさまにお祈りに行こう!」

 思い立ったが吉日と、さっそく部屋の片付けや掃除もそこそこに準備を始めるレナ。
 街から少し離れた所にある高い山の山頂まで登り、初日の出に今年一年のお祈りをする為だ。
 一応冬の山なのだから、それなりの準備は必要だろう……荷物を引っ掻き回してる彼女はある事を思い付いた。
「……ボク1人で行くよりも、みんなで行った方が楽しいよね?」
 数時間後、冒険者の酒場に『ボクと一緒に初日の出を見に行こうよ!』と書かれた張紙を貼るレナの姿があったのだった。

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参加者
NPC:おひさま笑顔な翔剣士・レナ(a90027)



<リプレイ>

●初日の出を見に行こう!
 大晦日の深夜……おひさま笑顔な翔剣士・レナの「初日の出を見に行こう!」と言う誘いに集まった冒険者達が山の麓に集まっていた。
 それぞれに暖かい格好をし……忘れた人には剣をデザインした旅団のロゴ入り半纏を配ったりする者が……出発の時間を楽しみに待っている。
「レナさんとご一緒するのは初めてですね♪ どうです、このコート似合いますか?」
 白いファー付きコート姿でくるっと一回りしたのは泪月の紋章・ミア。
 ふわふわのファーが可愛く、彼女の可愛さを引き立てている。
「ミアさん、すっごく可愛いです! 何処のお店で買ったの?」
「えっとですね……」
 彼女達がある意味有益な情報を交換しているのと同じ頃、別な場所では……
「うむ、重い物を持っての登山は修行になるからな……って何だこれは!?」
 皆の荷物を持つぞと言った神音騎士・サファイの前に積み重なっていく山……その中には達磨や招き猫、門松と言った何に使うのか解らない物まであった。
「……リスのぬいぐるみなんて誰が」
 さすがにちょっとグチをこぼしながら荷物を持とうとするサファイであったが……さすがにこの量はちょっとキビしい。
「サフィア様、大変そうですね……わたくしめがお手伝いしますよ」
 さすがに見兼ねたのか、苦笑しつつ戦闘執事・リースが荷物を半分持つ……それでも大変物凄い特訓になった事は言うまでも無かった。

●初日の出を探して♪
「こ、コラ! えっち、変態、降ろせバカ〜!!」
 ニュー・ダグラスに背負われたエルフの医術士・ミリアムは、彼の背中をぽかぽか叩きながら恥ずかしそうに叫ぶ。
「暴れるな、危ないだろうが」
 そんな彼女に苦笑しつつ、前に回した荷物の中からマントを取り出すと彼女にかける……やがて一通り暴れて満足したのか、彼に表情を見られない様に顔を背中に押し付けるミリアム。
「……さ、寒いからだからね、ホントは怒ってるんだからね」
「ンっ? 何か言ったか?」
「……な、なんでもないの!!」
 顔を真っ赤に染めた彼女は、でもちょっと嬉しそうであった。

「おらおら〜マテ〜♪」
「だ、ダメですよ! 待って下さい!!」
 そんな彼等の横を駆け抜ける2人と一匹の兎……そるれおんの着ぐるみ姿の喰い盛りの牙狩人・ジャムと黄昏の導師・セイン、そしてセインのペットである兎のフォーラだ。
「ほらほら、捕まえて兎鍋にしちゃうぞ〜♪」
「や、やめて下さい! フォーラは食べ物ではありません!!」
 止めようと追い掛けるセインだったが元気な子供の無限の体力には適わない……それでも必死に追い掛けて、気が付くと彼等は山頂に一番乗りしたのであった。

「みなさん……とても賑やかで……お元気ですね……」
 対照的に最後尾はのんびり登る人達が……その中に朱に触れし茨の導士・アキレギアが居た。
「そうだね、でもおひさまは逃げないからボク達はのんびりと行こうよ」
「そうですね……あ、お誕生日会……楽しかったです……」
 にっこりと笑うレナに彼女の頬が染まったのは寒さの為であろうか?
「レナ姉ちゃ〜ん」
 そんな彼女達にもこもこ雪だるま……では無く、真っ白なふかふか毛皮をまとった暁の疾風・フウガが駆け寄り、レナに抱き着く。
「また一緒に山登りですね♪」
 楽しそうに話すフウガも混ざり、仲良く手を繋いで山道を行く3人。
「こう寒いとあったかい温泉に入りたいね〜」
 繋いだ手の暖かさとは対照的にチリチリと頬を刺すヒヤリとした冬の山の空気に思わずレナが呟く。
「みんなで温泉……いいですね……」
 そんな彼女の言葉に思わずうっとりとするアキレギア、冷えた体を暖かい湯が芯から暖め、湯煙の向こうにはほのかにピンクに染まった……
「お風呂……ですか」
 こちらはチラッとレナを見ると顔を真っ赤にするフウガ、誕生日会で粉まみれになった彼を洗うのに一緒にお風呂に入った事を思い出したのだ。
「どうしたの、2人とも顔が真っ赤だよ?」
 小首を傾げ覗き込んで来た彼女の顔に、思わず笑って誤魔化すアキレギアとフウガであった。

●初日の出が昇るまで……
「朝日を見ながらの……暖かい物は……幸せです……」
 焚火の番をしていた刻冥の聖者・イゥロスが甘酒の試飲をしながら呟く。
 山頂の一画に陣取った彼等は、テントを張り、かまくらを作り、そして焚火を起こし暖かい物を準備していた。
「こちらももうすぐ出来るんだよ」
 スープとリゾットを作る欲望の使徒・シヴァがそう言うと、美味しそうな匂いと暖かな煙りに集まった冒険者達から歓声があがり、そして襲撃と略奪が……死線を乗り越えた彼等の間に友情が産まれたとか。

「……ほれ、お茶じゃ」
 かまくらを作り終わったリースに入れたての熱いお茶を差し出す氷雪の淑女・シュエ。
「わたくしめにですか? ありがとうございます……折角ですのでかまくらの中で戴きましょうか?」
「うむ、そうするとするかの」
 かまくらの中は大変暖かく熱いお茶と共に冷えた体を暖める……ゆっくりとした時間が流れ、そこだけまるで別世界の様だ。
「今年もよろしくなのじゃ、お互いに良い年になると良いのぉ……」
「そうですね……来年もこうして一緒に年を越しましょう」
「そうじゃな、お互い体だけは大切にせんとのぉ……」
 初日の出が昇るまで2人はのんびりとした時間に身を委ねる……これから始まるであろう戦争の前の、最後かも知れないゆっくりとした時間を……

「レナ、甘酒飲むよな?」
 朽澄楔・ティキが湯気を立てる甘酒をレナに差し出そうとすると、その手をガッっと掴むのは銀閃の・ウルフェナイトだ。
 手に零れた熱い甘酒に飛び上がるティキ……そんな彼に冷たく言い切るウルフ。
「……新年から酔わせたいのか?」
 酔ったレナの変身ぶりを嫌と言う程体験している彼……ブランデー入りチョコレートで酔うぐらいだ、きっと甘酒でも酔うだろう。
「大丈夫ですよ、ちゃんとアルコールは飛ばした特別製です……新年そうそうお星様にはされたくないですからね」
 ティキとウルフ、睨合う2人になんとかフォーラを護りきったセインが苦笑しつつそう話し掛ける。
「……本当だな?」
 ウルフの問いかけに首を縦に振るセイン……改めてティキの手から甘酒を受け取ったレナは恐る恐る口を付けた。
「……これ、甘くて美味しくてあったまるねっ♪」
 心配そうに見守る3人に満面の笑みを返すレナ……新年そうそう幸せな気持ちになる3人であった。
「では、大人はコレであったまりましょうか?」
 レナが幸せそうに甘酒を飲むのを見ていた彼等に、ウィスキーのビンとグラスを掲げた星辰の爪牙・アンリが話し掛ける。
「やっぱり寒い時はこれに限りますね」
 子供は甘酒、大人はお酒、楽しく暖まる彼等の元に両手一杯のやきいもを抱えて駆け寄って来る少女が……天真爛漫な人形遣い・シャラだ。
「レナのお姉ちゃん達! 一緒にやきいも食べよっ♪」
 熱々のやきいもを配ったシャラは、さっそく半分に割って食べはじめる。
「ホクホクハフハフで美味しいねっ☆」
 みんなと一緒に幸せそうにやきいもを食べる彼女……そしてやきいもを食べ終わった丁度その頃、東の空が明るくなり始める……もうすぐ今年最初の日が昇るのだ。
「やっほ〜〜〜っ! 新年おめでとうございますなの〜〜〜〜〜!!」
 思わず昇る太陽に叫ぶシャラであった。

●初日の出にお願いを……
 シャラの叫びから始まった初日の出……お祈りする人叫ぶ人と様々だ。
「普通の女の子になりたいでござるっ!」
 周りに装飾の付いた矢や招き猫を置き、山頂で遊ぶ冒険者達や夜明けの風景をキャンパスに描いていた紫尾の発破娘・スイシャが叫ぶ……どうやら彼女にもいろいろとあるらしい。
「よし、俺だって負けないにゅ! 今年こそ『ぴゅりん』を絶対見つけるにゅっ!! あ、あと…13歳未満禁止って言われた『れんあい』もっ!!」
 続いて雄叫びを上げたのはジャム……彼の切実な願いに思わず顔を綻ばす大人達……彼はなんで? って顔をするのだが、笑うだけで結局誰も教えてくれなかった。

「きゅっ? 初日の出昇ったの!?」
 叫び声の連続に、荷物の中に埋もれて転寝をしていたリスのぬいぐるみ……ではなく、リスの着ぐるみ姿の紅鎖に抗う碧き風・イサヤがもぞもぞと起きだした。
「うわっ、ぬ、ぬいぐるみが動いた……」
 あっけに取られる人達を気にせず、さっそくお願い事するイサヤ……
「(故郷のお姉ちゃんが少しでも楽しく過ごせるように……僕の分も……)」
 そんな真剣にお願いをしている彼だったが、突然首根っこを掴み上げられる。
「やけに重いと思ったんだが……そう言う事か」
 後ろを見るとそこには荷物を運んでいたサファイ……そう、イサヤは彼が運んでいた荷物の中に居たのだ。
「あ、あははは……」
 もう笑うしかないイサヤであった。

「レナ姉ちゃんは何をお祈りしたのですか?」
「あ、私も気になります。何をお願いされたのですか?」
 お願い事を終えたみんながレナの周りに集まり話し掛ける。
「ボクはね、みんなといつまでも一緒に笑顔でいられますようにってお願いしたんだ」
 今年も新たな出逢いや別れが、嬉しい事悲しい事、沢山あるのだろう……だからこそ一緒に笑顔でいたい、そう言うレナの後ろから近付いた無垢なる銀穢す紫藍の十字架・アコナイトは巨大なセーターで彼女を捕食した。
「レナちゃーん……ぼふっと♪ ついでにみんなもぼふぼふっ♪」
 ……レナだけではなく、周りにいた人達も巻き込みたちまちきゃーと言う悲鳴が上がる。
「うふふふっ……お願い事は自分で叶えなきゃねっ♪」
 セーターの中で華奢な体に抱き着きながら、嬉しそうにそっと呟くアコナイトであった。

「……今年一年、みんながあんな楽しく笑顔で笑えると良いですね」
 旅団半纏を着て、愛する人の旅の無事を祈った蒼の閃剣・シュウだったが……楽しそうなその光景を見てもう一つお願い事を追加したのだった。


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