≪密林の楽園Gパンポルナ≫はとを狩れ!



<オープニング>


 ジリジリと照りつける太陽に手をかざす。
「暑い……」
 もう冬だって言うのに、何で此処はこんなにも暑いのか……アムネリアは一つ息を吐く。
 文句を言ってもしょうが無い、此処はワイルドファイアなのだ。
 常夏で巨大生物が闊歩し、ケーキにノソリンの手足が生えていたり、ケーキがなぁ〜ん? と鳴いたり、ツブラな瞳で見つめてきたり、あまつさえ走って逃げたりする……。
「まさか斯様な生物が居ようとは……常識では測り切れない……か」
 出発する際、珍しく真面目な顔をした熊殺しで有名な霊査士が言っていた言葉を思い出し、アムネリアは頷く。
「……油断できないな」
 そう、此処はワイルドファイア……自分の常識など通じないのだ。

「長老様が鳥肉をくれたなぁ〜ん」
 そんなアムネリアを見つけたペルシャナが声を掛ける。
 鳥肉……と言ってペルシャナが見せたのは、ノソリン1頭にも匹敵する大きさの肉塊だ。
「……鳥肉か? そう言えば、前も焼き芋の時に焼いていたな」
 先日行われていた焼き芋をアムネリア思い出す。
「そうだったっけなぁ〜ん? 何でも村の近くで鳩が大量発生しちゃったから、それを狩ってるらしいなぁ〜ん」
「ほう? その大きさの鳩が大量に狩れるなら食料に困らないで良いな」
「そうでも無いのなぁ〜ん。鳩が果物を食べ荒らしちゃうなぁ〜ん、果物が採れなくて困ってる見たいなぁ〜ん」
 ああ、とアムネリアは納得した。
 甘い物を食べられないと悲しいのは良く解るのである。
「ふむ……困っているのなら手を貸さないとな」
 アムネリアは一考すると、護衛士達の元へと歩き出した。

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参加者
エルフの紋章術士・イルミナ(a00649)
紅い魔女・ババロア(a09938)
そよ風が草原をなでるように・カヅチ(a10536)
天武の申し子・シュラ(a13883)
炎に輝く優しき野性・リュリュ(a13969)
夢見るノソリン紋章術士・ルルノー(a14011)
番紅花の葬送姫・ファムト(a16709)
黒衣の天使・ナナ(a19038)
NPC:赤い実の・ペルシャナ(a90148)



<リプレイ>

●今日も晴れ
 朝焼けに染まる空は晴れ渡り、ワイルドファイアは今日も良い天気だ。
 嗚呼、良い天気になりそうだな……と空を見上げた、千羽八振・カヅチ(a10536)は地平に視線を落とし……、
「何? このハーレム依頼」
 自分を除いた全員が女性というこの状況に首を傾げた。
「罠? ギャルレンジャー? プリンセスナイン?」
 ハーレム状態に動揺したのか、よく解らない夢想に走るカヅチ。
「ナインだとカヅチちゃんもプリンセスになっちゃうなぁ〜ん」
 赤い実の・ペルシャナ(a90148)の突っ込みはもっともだ。それともプリンセスになりたいなぁ〜ん? と思ったペルシャナだったが、それは口にしないで置いた……だって、
「たまにはかっこよく決めることをサブテーマにしましょうか」
 とかニヒルにポーズを決めてカヅチが言っていたから。折角のテーマを行き成り頓挫させるのも悪いと思ったのだ、きっと。
「はうわ!? なぁ〜ん!?」
 カヅチに気を取られていたペルシャナが何かに躓いた。
「はふ……もう朝ですかなぁ〜ん?」
 ペルシャナを躓かせた物……つまり前日から鳩が現れる場所に泊まっていたらしい、お散歩ノソリン紋章術士・ルルノー(a14011)がゴソゴソと起き出す。
「る、ルルノーちゃん泊り込みかなぁ〜ん?」
「朝起きれなくて遅刻しちゃいけないですしなぁ〜ん」
 少し吃驚した様子で尋ねるペルシャナに、口を大きく開けて一つ伸びをし、長い袖で眠そうな目を擦りながらルルノーは答える。実はもっと早くに一度起きたのだが、誰もいなくて寂しかったので今まで二度寝していたのだ。
「鳩って美味しいって聞きましたなぁ〜ん」
 そして軽く服に付いた埃を払うと、元気いっぱいの笑顔で狩りの準備を始めた。
「さて、犬達とアムネリア団長の餌を確保するため行きましょうか」
 ルルノーを回収し、エルフの紋章術士・イルミナ(a00649)は歩き出す。イルミナが前日のうちに地形などしっかりと確認しているので迷いが無い。
「美味しいのね……団長の食が細そうだから、いっぱいお肉をもって帰ってあげたいわね……」
 前日は夜更かししなかったせいか目覚めがバッチリな、紅い魔女・ババロア(a09938)が呟く……新しく飼い始めた大きな犬の食料も確保せねばならないし軽くお母さんになった気分なのかもしれない。

「気合入れて食料ゲットなぁ〜んよ〜♪」
 朝っぱらから元気いっぱいなのは、炎に輝く優しき野性・リュリュ(a13969)。リュリュは、朝早い狩りは結構なれているらしい。
 リュリュと同じく、獄炎の守護者・シュラ(a13883)も普段から早起きには慣れているらしく、スタスタとリュリュの横を歩く。
「これは転がしていった方が早いのかなぁ〜ん?」
 子供ほどの大きさがある豆を担いでいた、黒衣の天使・ナナ(a19038)は転がした方が早い事に、気付いたらしい。ペルシャナを手招きして呼ぶと一緒に転がし始めた。
「頑張っていくのじゃ〜」
 番紅花の姫巫女・ファムト(a16709)もまた大きな豆をコロコロと転がして運んでいる。
「鳩の群れが来るわ」
 遠眼鏡を片手にババロアが警告する。豆を転がしているのだ、無警戒な鳩なら近付いてきても可笑しくない……多分。
「じゃ、此処に誘き寄せるなぁ〜ん。豆を撒くなぁ〜ん」
 小さいと食べないかもなぁ〜ん……と言いつつリュリュは手に持てる程度の豆を撒き始める。そして仲間達を振り返ると、
「何か大きすぎるのとかはリュリュ達まで巻き込まれるから持って来ちゃ駄目、持ってきても撒いちゃ駄目なぁ〜……」
「では、行くのじゃ!」
「豆は大きいなぁ〜んから、巻き込まれないように注意なぁ〜ん!」
 リュリュの言葉が終らないうちに、ファムトとナナが巨大豆をリュリュが居る方に思いっきり転がした。

 ――バッサバッサ! くるっく〜くっく〜。
「撒いちゃっ……なぁぁぁぁぁ〜〜〜ん……」
 大海原に飲み込まれる筏の如く、豆とリュリュは鳩の群れに飲み込まれて行った。
「なんと言う事じゃ……リュリュが鳩の犠牲に……」
「リュリュさん……ナナ達は貴女の勇士を忘れないなぁ〜ん」
 ファムトとナナは目頭を抑えて敬礼し……今は亡き強敵(とも)のために涙を流したものだ……多分、死んでないけど。

●鳩を狩れ!
「何も考えずアビでひたすら打ち落とせ、以上」
 言うや否や、イルミナは漆黒の手套を掲げ、空中に描いた紋章から幾筋もの光の雨を降らせる。
 本来なら木に止まっているところを狙う予定で在ったが、丁度リュリュが良い餌になって固まっている……絶好の機会である。問答無用である。
 吃驚した鳩達は一斉に飛び立とうとするが、
「くくく、幸せそうに果物なんか貪り食っちゃって、まさしく鳩鳩しいというか、あの豆鉄砲を食らったような顔で一斉に飛び立つ様は爽快だろうなぁ、ふは、ふはははは」
 何かどす黒いオーラを発しながらカヅチが突っ込むが、今正に闇路乕徹が鳩を捕らえようという所で鳩は飛び立ってしまった。
「待って、行っちゃやですよ、がおーん」
 慌ててカヅチは裂帛の気合を入れて叫ぶ……がおーんの辺りが裂帛の気合なのである。
 結構な数の鳩が、麻痺し落ちてくる……が、当然その下にはまだカヅチと、ついでに鳩に啄ばまれていたリュリュがいる。
「いたっ、痛い」
「あ! つ! 痛!? 痛い、なぁ〜ん……」
 何故かクチバシから落下してくる鳩の群れが、尽く頭に直撃したリュリュの恨みがましい視線を受けて、
「……やっぱり罠?」
 と思わずに入られないカヅチだった。

「さて、はじめるなぁ〜ん!」
 ナナは眼前にGlucksBringer―幸運―をかざし、目を瞑る……と、ナナを中心に、ぼんやりと地面が光だした。
「撃って撃って撃ちまくるのですなぁ〜ん」
 構えたむつかしいほんの上に紋章を描く。そこから溢れた光が雨となり、飛び立ったばかりの鳩の群れを貫いていく。
 撃ち落した鳩が自分に落ちてきたらどうしよう? と考えていたルルノーだったが、大丈夫なようだ……ルルノーはほっと胸を撫で下ろし、
「あ」
 ルナムーンから矢を放った姿勢のまま自分を見つめるババロアに気付いた。
 自分をというよりは少し上……ルルノーはババロアの視線を追って。
「なぁ〜ん!?」
 ワタワタと両手を上下に動かして逃れようとするも虚しく、グシャ! と落ちてきた鳩に潰された。

「お前達に全部食べられてなくなるのは困っちゃうなぁ〜んし……この世は弱肉強食なのなぁ〜ん」
 やっとの思いで、鳩の群れから抜け出したリュリュ。
 だが、その前には目を瞑り、静かに紅蓮の大剣 『飛炎』を構えるシュラの姿が。
 あ、やばいなぁ〜ん。と嫌な物を感じたリュリュは逃げ出そうとするのを待っていたかのようにシュラは目を見開く。
「はぁ!」
 限界まで闘気を込めた赤い刀身を振るって周囲に竜巻を起こす!
 渾身の一撃は辺りにいた鳩を全て巻き込み――

 辺り一面に真っ白な羽が舞う。
 鳩からもがれ、巻き上げられたその羽は冒険者達を包み込み、幻想的とも言える真っ白な空間を作り上げた。
「……あ、綺麗……」
 イルミナが思わず呟き。
 舞い散る羽に手を伸ばした時……。

 ――ボト、グチャ、ビチャビチャ
 ……何か赤黒い物が落ちてきた。
「ひぃ、鳩として生きるな」
 丁度手に落ちてきた鳩首を放り出し、カヅチは格好よく、華麗に、煌びやかに逃げ出した!
「ふむ、やりすぎかのぅ?」
 破魔扇『翡翠』を振り、美しく魅惑的な、七色に輝く聖女を作りシュラの硬直を溶きながらファムトはぼやいたのだった。

●かいしゅう
「さて……回収しないとね」
 舞い散る羽が収まるのを待って……思った以上惨状にうんざりしながらイルミナは仲間達に声をかける。
「ひ、酷い目にあったなぁ〜ん……」
 鳩の下から、ゴソゴソとルルノーが這い出してくる。
「わー、たくさん狩れてますなぁ〜ん。パーティーですなぁ〜ん♪」
 そして赤黒い物が点在するジェノサイドな状況に臆する事無く、バンザイ。色々な感情より食欲が勝ったのだ多分。
「パーティね……鳩料理って結局焼くか燻製にするかそんなもの?」
 イルミナは鳩料理って何があったかしら? と首を傾げる。
「ナムナム……今晩の晩御飯はチキンカツとかグリル焼きとかがいいなぁ〜んね……ナムナム……」
「焼き鳥、ハトカツ、スープ……色々美味い料理が有るらしいので、試すのがよかろ」
 多少は今胃に入れてしまった方が運び易いかしらと、ナナとファムトが料理方法を考える。

「持ち運びやすい大きさに捌いておきますか?」
 シュラが提案する……が、既に結構細かくなっているのでそれは不要である。
「炎であぶって毛を燃やせば小さくなるかしら?」
 腕を組み、ババロアが思考を巡らせる。
 木に吊るして血抜きしたり、穴を掘って埋めて置こうか等、色々考えていると。
「手伝ってくれるそうなぁ〜んよ」
 ペルシャナが、近隣の村から村人を呼んで来たのだった。

 鳩が居なくなり、辺りは静寂を取り戻した。
 肉は持てる分だけは護衛士が回収し、あとは今晩は鳩づくしなぁ〜ん。と言いながら村人が回収していった。

「甘いものはやっぱり一つの生活の潤いなぁ〜んよね〜♪」
 森の入り口の方になっていた実を一つ手に取り、リュリュは笑う。
「骨が刺さって早々に死亡なんて笑えないですよ、うわははははは」
 鳩の肋骨が、脳天に刺さった状態のカヅチもまた、笑うしかなかった。


【おしまい】


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作成日:2006/01/15
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