Trick Star of the Snow



<オープニング>


●雪像の祭り
 雪像。
 それは、冬の間だけ楽しめる芸術。
 一面の白銀を掬い上げ、固め、彫る。
 雪と氷の作り出す幻想的な佇まいは、毎年訪れる人間の目を、心を楽しませる事が出来るモノ。
 それが、美しさの中に、時限式の危うさ――残す事の出来ない芸術性を孕んでいると思えば、それも又ひとしおであろうか。
「……ああ、一体どうすれば!」
 年が明けて暫く、この時期の雪祭りは村にとって欠かす事の出来ない一大行事だった。
 楽しみにやってくる観光客も少なくない。
「どうすれば――」
「――弱った……」
 村人達は、並んで眉を顰めていた。
 彼等の視線の先には、居並ぶ雪像がある。
 何れも、恒例だけあって見事な出来栄えだが……
「どうすれば良いのか……」
 ……例年に比べ、数が足りない。
「は!」
「……いいアイデアでも?」
「いや、私の知り合いに、『こういう事態に嬉々として出陣してくれそうな方』が、居るんですが――」
「おお! その方は、雪像が作れるのか?」
「……」
「……………」
 嫌な沈黙が降りる。
「……その方は、何が出来るんだね?」
「騒ぐ……とか?」
 もっと嫌な沈黙が、一面の雪景色を支配した。

●アタシってば、ちょーげいじゅつかなのですよー?
「つー訳で、祭りっすよー!」
 ヒトの霊査士・フィオナ(a90255)の言葉は、何時にもまして謎めいていた。
 彼女の「つー訳で」には、前文が無い。
 ある日、ある時、ある瞬間――唐突に繰り出される「つー訳で」は、一切の説明を超越して冒険者の認識に突き刺さらんとするのであった。
 おお、無駄に文学的。
「今度は、ナンだ?」
 フィオナの大声は、カウンターの冒険者だけでなく、酒場に居る冒険者達へと向いていた。
「ええ。それがっすねー。今回、お話を持ってきやがったのは、以前アタシがお仕事を世話した事もある方なんですけど。
 その方の村では、毎年この時期に――村人が毎年作る雪像の展示をメインにした、雪のお祭りをぶっかましやがってるンですが」
「ほうほう」
「今年は、年末から正月にかけて流行した風邪の影響で、作品が出揃っていないらしく。
 このままでは、村伝統の祭りが失敗してしまう、と村人さん達は困っているみたいなんですねー」
 フィオナは、やれやれと肩を竦めるポーズを取る。
「ん、で?」
「困った村人さん達、ほうぼう手を尽くしたようなんですが、上手い手がそうそうあるもんじゃなく。
 途方に暮れた所で、ですねー……」
 フィオナは、猫のような表情で言う。
「アタシの事を思い出したらしくー!
『こうなっては、もうお美しい霊査士のフィオナたんに頼る他はありません。何でもいいから何とかして下さい』だ、そーで!
 テメーら、ここはテストに出るですよー! 主に美しいとか!」
「……ふーん」
 恐らく、彼女のテンションから考えるに、要請は珍しく原文ママだったのだろうが。
 そこはかとないナゲヤリ感を感じさせるその言葉は、村人の微妙な心情を良く表していると言えるだろう。
(「苦労が多いヒトなんだろうな。気の毒に……」)
 フィオナの操縦法を知る辺りは、中々クレバーなヤツと言えるかも知れないが。
「つー訳で、ですね。
 このフィオナたん、腐っても超絶美少女です。
 頼まれたら、放っておく訳にゃーいかんです」
「薄々、話は分かってきたんだが……」
「なら話は早いっす。
 御褒美に、当日ですね。夜店の呑み放題に、食い放題、遊び放題も約束させましたしっ! アタシらが、祭りの華になるですよ。
 ドカンと凄い雪像を作って――主役の村人共を食い尽くすですよ!」
 フィオナはぐっと拳を握る。
「村人共って、オメー……」
 控え目という言葉を知らない子であった。

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参加者
NPC:ピーカン霊査士・フィオナ(a90255)



<リプレイ>

●乱立の序曲
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ――」
 雪原に、リザードマンの少年チアキ、そのシルエットが佇んでいた。
「――騒ぎのある所にわしあり! 呼ばれなくても只今推参! 御大よ、わしに力をー!!! 」
 時刻は、午前十時。
 薄曇りながらも、昨夜の雪は降り止んで、天候は小康状態を保っていた。
「雪ですー。見るの初めてです……って、強烈に寒い!?」
 白い息を吐いたスティアライトは、震えている。
 成る程、見渡せる目の前一面は白い銀世界だった。
 例年、雪が深く積もる場所柄に加えて、今年は冷え込みが厳しい日が多い。
 これも、天の配剤か。たっぷりと積もった真新しい雪は、白いキャンパスを思わせ、集まった冒険者達の気持ちを駆り立てていた。
「村民が後悔しないといいんだが……ま、俺は雪祭りを素直に楽しむか」
 シエンと、
「初めてだから楽しみだよ〜」
 少し遅れた新年挨拶をフィオナにしながらリュウ、
「祭りとはめでたいでござるな。良き哉、良き哉」
 しみじみと頷く、ルシール。
 三人の作ろうとしている雪像は、まずは可愛くルラルとブックなハビたんである。
 或る意味、この時点でこの先の方向性が決まっていたと言えなくは無いのだが……
「雪……森にいた頃も、良く降ってたな」
 アストが、しみじみと呟く。

 ――ドカンと凄い雪像を作って――主役の村人共を食い尽くすですよ!

 お騒がせ霊査士の号令に集いし冒険者の数は、実に五十を数えていた。
 ヘンな所で親分肌だからなのか、はたまた見物していると飽きないからなのか。人望なんだか、魅力何だか、強制力だか何だかよく分からないモノを、相変わらずいい加減に発揮したフィオナは、先の新年会に続き振袖を着込んで……
「うら! テメー様方、良く聞けですよ!
 アタシが、ランドアース雪祭り成功委員会委員長フィオナ・アルパレストであるの事ですよ!
 サボったら泣かすですよ! 雪に沈めるですよ! 分かったらクチで能書き垂れる前に雪を積みやがれなのですよ!」
 ……良く分からない肩書きと、些か不穏当な言葉を叫んでいた。
「俺、雪だるましか作った事無いんだよなぁ……」
 今回の冒険者達の最大の目標は、足りない雪像を皆で作って村の雪祭りを成功させる事である。少し不安そうに頬を掻いたアストの肩を、
「ま、何とかなるだろ。被写体は面白いヤツだしな」
 騒ぐフィオナに小さく苦笑いしたカノンが叩く。
「そうだ、暇ならお前もマブをモデルにした雪像を作る気はないか?」
「別に構いませんよ」
 カノンの言葉に、声をかけられ振り向いたベージュが言う。
「マブじゃありませんけどね」
 絶対零度、かちこちん。
「きっと大丈夫だよ」
 フィンフもまたにこーっと笑って、
「華やかで綺麗な雪像になるのは間違いないし。頑張って作ろっか!」
 ぐっと拳を握る。
「にょ。フィンフ様も頑張って作りやがれですよ!」
 目が合ったフィオナに、手を振った彼は開いた両手に白い息を吐く。
「ふ。円卓が怖くて雪像は作れませんよ」
 一方で、不敵に笑むのはグレイだった。
 彼は、軽く屈み、質のしっかりとした雪を手に取って。
「鎖姫に、獅子殺し……何とするモノですか」
 ちゃり
「……!?」
 雉も鳴かずば射られまいに。
 鍛え上げたジュツ=カタでも何でも対処不能なモンは不能である。
 さて置き。
「よぉーし、景気良くブッ立てるとするかのぉ!」
「魔除けとかになりそーだしな」
 ルナが、フールがスコップを手に気合を入れる。
「……人除けにもなりそーだけど、それは気にしねぇ方向で」
 追加された一言こそ、彼女等の作ろうとするモチーフの性質を良く表していたのだが……
 祭りにヒト避けとはこれ如何に。
「パンポルナで見慣れてる顔だから、造形については問題無し。
 どんなアングルからでもいけるしな! ご要望とあらばほっかむり付き、うさみみ付き、何でも来いで……あ、子供がヒく? んじゃオマケで肩にブックハビタントを乗せて愛らしさをプラスとかどうだろう?」
 これ、スィーニー(良心)よ。君まで、壊れているんじゃない。
「さーて、立派なものを作りますよーーー!」
 やり取りを見ていたランベルトが気勢を上げ――
『おー!』
 周囲の冒険者達は、誰からとも無く拳を突き上げた。
 以上、曇天の午前十時――霊査士乱立の序曲である。
「予言しよう。
 汚れの無い雪化粧に染まった村は、今宵……心が汚れまくった者達の餌食になると」
「ショウ様、無理に格好いい事言ってンじゃねーですよ!」
 ぼす
「へぶ――」

●雪像・バーストタイム
「私は、今ここに誓おう――」
 白銀の世界に、厳然と青年の声が響く。
「――この祭りに、粉骨砕身、全身全霊の力を込める事を!」
 一同の作業は、既に始まっていた。
 最初こそ、皆戸惑いを見せていたものの……
「うら、そこ! 曲線があめーですよ!」
 自称・雪祭り促進委員会名誉顧問(←変わった)フィオナの、監督能力にも拠ってか(?)作業は順調過ぎる程に順調な進捗状況を見せていた。
(「ここが、勝負――!」)
 青年――意気込んだクロスの手には「超絶! 美少女霊査士フィオナたん完全攻略マニュアル2006」。
「フィオナ! より素晴らしい像を造るため、モデルになってくれ!
 祭りの目玉となるべきものだ、出きる限りのことをしたいのだ!」
 ずぎゃぎゃん
「土台はしっかりと作らないとな……と、そうだ。フィオナ、その格好じゃ寒いだろう」
「にょおおお、トクン……なのですよー! 超やるのですよー!」
 クロスのアイテム選択の、テンユウの優しさの勝利であった。
「ふ、ふふ……我は、我の才能が怖い……」
 集めた雪をぺたぺたと固め、人の造形を形作りながらジークフリートはうっとりと呟く。
「我の像を前にすれば、自称美少女霊○査士の像など相手になるまい!」
 ○多いよ。
「へぶ!」
 あ、振袖女に雪玉当てられた。
 朝の冷え込みは、少しずつ緩んできていた。加えて、重労働である雪像作りは、作業に取り組む冒険者達の身体を、次第に内側から暖め始めていた。
「うむ、中々ダイナミックな感じだな」
 フォークスの製作するSD調のヒト型雪像は二つ。
 それは――彼の妻と、
「にょおおおおお!」
 騒ぐアレであった。
「ふぅん。フィオナさんと一緒ってのは微妙だけど、可愛く作るのよ?」
 偶にやって来た妻・セレアが弱い旦那に念を押す。彼は、
「あ、ああ――勿論だ」
 ……内心を飲み込んでそう言うが。
「ふう、完成が楽しみですわね。タイトルは『怪獣大決戦』だそうですが」
 表面の造形をしながら、額の汗を軽く拭ったクラウディアがトドメをさした。
「はぶ!」
 雪塗れ。
 未だ、細部を作られてはいないものの……
 おぼろげに姿を現し始めた霊査士像の周囲に、ノヴァーリスの作った小さなブックハビタント像が踊る。
 一方で、
「……ホントなら今頃ルシアとデートだったのに……デートデートデー……」
 恨めしそうに呟きながら雪像の表面を叩くのは、ラーシュだった。
「でっかいマグロの雪像を造って、マグロ信者を増やすぞー!」
「寒いわ。……と言う訳でラーシュ! 私の三倍と言わず三十倍は働きなさい!」
 容赦なく底抜けに気合の入ったレスタァの声が、親分シキの声が飛ぶ。
「とほほ……」
「ラーシュ、元気が無いのさー!」
 タンツェンは、やはり無駄に張り切って言うが……

 ――自分は、何故、今マグロを作ってる?

 冷静に考えてしまったラーシュが負けなのは、言うに及ばない。

●そして始まる雪祭り
 雪祭りの特設会場は、周辺の町村からの観光客で人混みになっていた。
 松明の明かりが、幻想的に雪像群をライトアップする。
 火の朱色に浮かぶは、筋骨隆々――一本毛。
 ……火の朱色に浮かぶは、対峙せし鎖と獅子の姫。
 ……………火の朱色に浮かぶは、対決姿勢を強める怪獣共!
「この雪像群、何となーく村が滅びそうな取り合わせに見えるぜ……」
 フールが呟く。
「は、ははははは、すまん村長!
 お詫びにどこでもフワリンで幻想的な夜のお散歩を提供とか! 十分だけど!」
 スィーニーがヤケクソになっていた村長に言う。雪像の出来自体は、何れもヘンに見事な出来ではあるのだが……救いがえらい少ないのは、どういう事か。
「ま、これはこれで……」
 ガルスタは、雪像を見上げながら、傍らのアティを軽く抱き寄せる。
「ん……貴方と一緒だから、かしら……とても、暖かく感じる、の……」
「ああ、寄り添っていれば暖かいし。そも、超絶美少女なんかよりアティの方がずっと――」
「やかましーですよー!」
 ぼふ
「へぶ」
 とにかく、祭りは始まった。
「ほらほら温かいよ〜?」
「おう、いい心がけですよ。シャテーにしてやるです」
 シェードにアルコールの無い甘酒を振舞われたフィオナが、楽しそうに言う。
「いらっしゃいませ、よろしければお一つどうぞ」
 作る料理の見た目、香りは良いが味は――なイクスが、
「おう、フィオナ! 一つ味見していかないか?」
 借りた大鍋で、沢山のお汁粉を作ったウォルルオゥンが、
「射的あるよ、射的ー」
 ねじり鉢巻にサングラス、ちっと柄の悪いショウが、
「セイレーンの味、塩ラーメン! 至高、究極とまでは言わないが結構いけるぞ」
 セイレーンにそこはかとなく黒い情熱を燃やすサキトが、
「ふふ、此方へおいでませ? 今なら特別サービス中ですわ」
 艶っぽい流し目を、幾人かにだけ限定して送るネンヤの呼び込みが、
「さぁ! いらっせ〜い! マグロあげるから、こっちへおいで〜おいで〜」
 謎のマグロ屋台を営むタンツェン以下、三名が、祭りの活気を盛り上げる。
「怪しいものは入ってないぞ? (検閲削除)の幼虫とかなんぞ今日は」
 今日は……?
 エイト、
「さっき死んだばかりの! 新鮮な鶏肉を使ったァ焼き鳥でございますよォッ!」
 ミニチュア、
「チキンレッグは使用しておりません!」
 オイ、こら待て。
 冒険者達の協力もあって例年以上の数を連ねた夜店は、何処も楽しげで――
「フィオナさん、ずっと憧れてました!
 これからもお体にお気をつけて頑張って下さい!」
「にょおお。愛いヤツですよ。アタシのオンナにしてやるですよ」
 頬を紅潮させたサクラにフィオナ――って、これ、おまへ、意味分かってねぇだろ。
「幻想的な雪像の中での一舞、さぞ気持ちが良いでしょうね」
 弓を片手に、マイトは目を細め来る時を待ち。
「アレ、取れたらフィオナさんにあげる。御褒美なのっ」
「にょおおお……!」



 ――暖かい南瓜スープ、限定五十

 南瓜型のかまくらの中、マージュとペコーの二人は、揃って南瓜スープを売っていた。
「いらっしゃいませー!」
(「こんな風に居るのも嬉しくない訳じゃないけど――」)
 微妙な仲のマージュの横顔を見つめ、ペコーは思う。
(「後で……デート――とか」)
 考えるだに、頬が熱くなる。
「後で、雪像見物をして、記念のプレゼントを探そうね。
 うーん、何がいいかな。暖かい手袋とかあるといいんだけど――」
 だから、彼女は。
「そ、そそそそそそんなの、わ、私は頼んでないぞ!?」
「えー?」
「ま、マージュ……わ、わわわ私をどんな風にみ、見て――」
 ぶんぶん、と翔剣士の剣技がかまくらの壁を掠めた。



 ――美少女エルフ的ホットドッグ屋
「はいはいー、美味しいホットドッグですよー。これ食べないとフィオナさんに勝てないですよー。食べればあんなへなっちょい霊査士なんてイチコロですよ〜」
 セレアの声が響く。
「姉さんったら……」
 セレアは、小腹が減ったのか……ちょくちょく売り物を摘んでいた。
 その数たるや、先程から増える一方である。
「エルフィ、一個ちょーだい」
「はい、これ姉さん」
 作り役担当のエルフィ(美少女エルフ的妹)は、天然にセレアに……
「ちょ、ちょっとエルフィ、やだ、何よこれっ」
「ほぇ?」
 超激辛いブツを手渡して、小首を傾げていた。



「ああ、体が温ま……!?」←確定ロール
 グレイの目の前が、歪む。
 呼吸が乱れ、意思が霞む。
(「嗚呼――これが――」)
 デュークは、
「惨劇が、村に……っ」
「親分、越えさせて頂きます!」と意気込んだリセンクは――薄れ行く意識の向こう側に、
「ニヤリ」
 邪悪に笑うフィオナを見た。
 ……いや、だから君達ホントにマゾだろう?
「僕には見える、ブックハビタント達の円舞曲が!」
 ずしゃあ!
 ……………ノヴァーリス君。それ、作ったの君だろう?
「……と、言う訳だ村長。ヤツの店には営業停止を」
「はい、今すぐに」
 シエンが、迅速なフォローをしていた。
「ぐっじょぶです、シエン殿」
 マブではないらしい人も、絶賛である。



「ああ……やはり、こんな日はゆっくり呑むのが一番だな」
 クアトロは、貰った酒を片手に雪見酒を楽しんでいた。
「おつまみ、要りますか?」
 そこへ、焼き鳥片手にベージュがやってくる。
 彼女も、喧騒が得意ではない性質だから――少し騒ぎから離れた彼に気を留めたらしい。
「お隣、いいですかが先でしたね」
「好きにすればいい」
 酒呑みは、かくして一時を楽しまん。



「美しい方、私と少しの間お付き合い願いますか?」
「にょおおおお!」
 ごす
「へぶ」
 奥方の一撃により、ムジャン退場。
「ちっ」
 ……舌を打つな、霊査士。
「〜〜っ!」
 もごもご、ごくんっ
「ぷはー♪ そーゆー訳ではごいたに続いて勝負でヤンス!」
 指差したパパラチアに、散々食べて怠惰モードに入ったフィオナは、
「えー?」
 とか、言いやがる。

 ――わぁ、フィオナさん自らご案内してくださるんですねー
   ……霊鎖士の方に気軽にお話出来るだけでも凄いのになぁ

「う、ううん……」
 知らぬは、幸せであった。
 初対面だったキースは、自らの暫く前の言葉に首を傾げる。
「ギギギ……」
 彼女は、何時かのデジャヴのようにシュウの首を極めていた。
「な、なぁ〜ん! 離れるなぁん!
 シュウさんがシャテーだなんて絶対許さないなぁ〜んっ!」
 威嚇するシホの努力も虚しく――
 ビキビキビキ……
「ぐえぇ」
 きっかけは、シュウの失言。

 ――あぁ、いつもの格好と違って振袖も似合うんじゃない?

 そして、追い打ちの贈り物。

 ――うい、お年玉と。今年もぼちぼと宜しくねー

 いたく感激した彼女は、全力で恩を仇で返している最中であった。
 当人曰く、
「愛情表現です。喜びやがれ!」
 だったが。

●ヲチ対象
 物陰より――
「こ、これがフィオナ……!」
 ――フィオナウォッチングに来たと言って憚らないエリーシャが、シュウやスィーニーとじゃれる某を見て、微妙なジェラシーすら抱きつつハンケチを噛む。
「俺は……負けないぞっ!」
 何に。や、それ以前に――こんなモンじゃないですよ? コレ。
 悲喜こもごも、笑撃と喧騒を孕んだ祭りの夜が更けていく。
 毎日では、疲れても……きっと、たまには、こんなのも悪くはあるまい。



 ――多分ナ!


マスター:YAMIDEITEI 紹介ページ
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