にゃんこ神社の豆まき!



<オープニング>


 【にゃんこ神社】

 それは、猫をモチーフにした可愛らしい三毛猫模様の建物らしい。
 ある意味テーマパークのようなものと思ってもらえればいいのだろうか。
 猫のマークの可愛らしい鳥居の下を抜けると、広がるまっすぐな石畳。
 敷地の色々な場所には猫達がのんびりとくつろいでいる。
 そのまままっすぐに進むと、神社の社があり、猫耳・猫尻尾の巫女さん達が迎えてくれる。
 そこでご神体の招き猫様にお祈りすると、お願い事が成就するという。

「そこで、にゃんこ豆まき大会があるそうですの〜」
 酒場に息をきらせて駆け込んできたプラムは、瞳をきらきらさせてカウンターでホットミルクを舐めていたチェリーに話しかけた。
「わ……例の胡散臭い神社だね!」
「胡散臭くないですの。とってもとっても可愛いんですよ」
「……そうかなぁ」
 にゃんこ豆まきとは、にゃんこ神社の境内から、にゃんこ豆というのを猫巫女様達が撒き、それをお客さん達がキャッチするというイベントらしい。
 なんでも豆の数は自分の年齢の数くらいゲットしたほうが縁起がよいらしく、とても気合の入った客達が集まってくるそうだ。
「ビラには、猫巫女様募集、猫神主様募集、猫職員募集、それからお客さんも募集ってありますの」
「……ベタだ……」
「そんなこと言っちゃ駄目ですの。プラム頑張りますのですよー(ぐっ)」
 そういって、前回せしめてきたという猫巫女服をチェリーに見せて、プラムはにっこり微笑んだのだった。

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参加者
NPC:花嫁にゃんこ修行中・プラム(a90023)



<リプレイ>

●豆まき大会準備中
 まだ静かな朝の境内。小鳥達のちゅんちゅんという鳴き声だけが響いている。
「……早かったみたいですね」
 一番乗りを果たしたエリスは境内の前に立つと、手を鳴らして、お参りをする。
「えーと、招き猫様。家内安全、商売繁盛、夫婦円満……あ、間違えたです、無病息災!」
 背を丸め願いを込めるその背中。そこに視線を感じて振り返るエリス。
「?」
「なぁ〜ん」
 猫神様の左斜め前。何やらプチおごそかな境内が作られ、御神体ぽく装飾された黒いノソリン・ナナが空を気持ちよさそうに見上げていた。その背中に、その足元には気持ちよさそうに子猫がくつろいでいる。
 ご丁寧に【1日ノソ神様】と看板がついているあれはもしかしたら便乗商法というのではあるまいか。しかし、気づかないのかエリスのあとに来た参拝客達が畏まりながらお賽銭を投げている。

 その同じ時刻。社の奥深く。
 お客さんはまだ集まらねど、沢山の猫巫女達が準備に余念がない。
「うにゃぁぁぁぁこれが猫神社なのにゃね〜〜〜!! 可愛いのにゃ〜〜!!」
 ひときわ大きな声で叫んで、瞳をわくわくさせているのは猫巫女イオン嬢。さすがは猫にゃん、衣装もばっちり似合っている。
 境内だけではなく、神社の内装まで至るところに猫のマークが盛り込まれている可愛い神社の風景にすっかり虜になっていた。
「……うう、やっぱりちょっと大きいかも……」
 だぶだぶの巫女服を引きずるのはセイルフィン。小柄な身長に育ちすぎたバストが収まる服がなかなか見つからず困っているよう。
「……こちらに……他のサイズも……用意しましたです」
 倉庫から服を運んできてルフィリアが声をかける。セイルフィルが礼を告げた時、社の奥から猫耳つき烏帽子を被った猫神主、アリュナスとタケルが現れて告げた。
「そろそろお客様も集まってきています。用意を始めましょう」
「「「「はーい!」」」」
 返事の声は一斉に元気で。
 猫巫女達は楽しそうに舞台へと進んでいくのだった。

●豆まき開始
 境内には次々と人が集まり、とてもざわめいていた。
 信心深い人に混ざって、猫神様の信者と名乗る、招き猫ガールマークのTシャツを着けた若い男性が多いのも不思議な感じだ。
「そろそろ……始まるようだに!」
「今回はかなり人数を増やしたと聞いてるだにゃ!」
「なにしろ……あのお出迎えだからにゃ……侮れぬ〜〜むきゃー!猫神社め!」
「あれには参ったにゃー」
 何を話しているかというと、彼ら見物客が猫鳥居を抜け、にゃんこ神社に足を踏み入れた時。
「ご主人様、お嬢様こちらのほうにゃん♪ 豆まきはもうすぐ始まるので、ゆっくり並んでいくにゃん♪」
 桃色の髪の可愛らしいミヤクサ猫巫女様が出迎えてくれたのである。彼らはそれを忘れられないらしい。
(「なんか……見たことのある連中だな」)
 ロイズェは少し前方で大きな声で話す若者達を軽く眺める。
 彼らは大きな紙袋をお揃いで持っている。紙袋に沢山挿してあるのは、露店で購入した猫巫女ポスターやカレンダーの類らしい。
「……神社の裏手に新しいお店ができてたっちゅ!」
「どろり濃厚が効きますぜ!」
 怪しそうな店もオープンしているらしい。
「……」
 ロイズェは軽く頭痛を覚える。隣にいたガルスタも、周りの気合に少し躊躇しているらしい。
「……なんて熱気だ」
 冒険者をすら圧倒する黒い気配がそこには溢れまくっていた。
「猫巫女カタログをげっちゅでござるーー!」
「「「なにーーーー!!」」」
「2006春モデルでござるよ!うほほ。今日の猫巫女は20人もいるそうでござる!」
「「「どこで売ってるんだ、それ!!」」」
「あの店でござるー!」
 ひときわ大きな声が立つと、ごそっとそこにいた若者達が移動を始める。
 ロイズェとガルスタの視界は急によくなった。
「もっと前に行こうか……な」
「そうだな……」
 二人はやれやれと顔を見合わせて、人波の前に出ていく。すると飼っている黒猫や白猫を抱いたアリスやナムールが並んでいるのに気がついた。
「可愛らしい神社ですね〜♪」
「そろそろ始まるようじゃぞな゛〜ん」
 お、と4人は顔を上げる。社の奥からしずしずと行列をなし歩いてくる猫巫女様。お揃いの猫耳、猫尻尾。中には違う尻尾もあるがそれもご愛嬌。
 一斉に湧き上がる会場。
 ロザリア、ショウコ、セイバ、フィアプラムの4人が最初に登場の予定だ。

「さあ、参りましょうか、ショウコさん」
「え、ええ……」
 頬に緊張を浮かべているショウコの手に、にゃんこ豆の入った枡を持たせて、ロザリアは優しく微笑む。沢山の人の期待と歓喜の待つ舞台の先端に立つのは、やはり緊張するけれど、初依頼の彼女の為にも自分がしっかりしなくては。
「頑張りましょうね〜っ♪」
 銀色の長い髪を揺らして、フィアプリムが二人を見上げて微笑みかける。
 ショウコもつられるように微笑み返し、大きく頷いた。
 やがて、アリュナスとタケルのダブル猫神主が恭しくまずは観客達に一礼をして挨拶をする。それと入れ違うように並ぶ5人。
 ゆっくり息を整え、前に歩み礼をすると、一気に歓声が広がった。
「おおおお!!」
「初々しいぞぉぉぉ!!!」
「せーのっ」
 セイバは枡の豆をつかみ、空に放る。
 可愛らしいにゃんこ豆。ばらばらに広がり、手を伸ばすお客さんの中へと舞い落ちていく。
「おおおっ!!」
 ガルスタは飛び跳ねて豆をつかむ。。
 その横で何故かロープを掴んで、飛んでくる豆を払い落としているルーニャ。
「キシシっ! 豆をしばき撒いてやるニャ」
 いや、なんかそれ違うし。でも間違いに気づくまではもう暫くかかりそうな雰囲気だ。 ひと通り豆を投げ終わると、猫巫女達は次の猫巫女達へと順番を変わる。
 次は、ウィスタリア、ルィンフィーネ、プラム、ユーロ、ルリィの5人だ。
「にゃー!フィーネちゃんの巫女さんもプラムちゃんの巫女さんも、可愛いにゃあああ♪」
「ありがとうございますの〜♪」
「ウィスちゃんも可愛いの〜」
 ウィスタリアもルィンフィーネもお揃いの猫耳、艶やかな猫巫女服を纏いとても可愛らしかった。ルリィとユーロのツインテール美人姉妹猫巫女はとても華やかだ。
 5人が舞台の前に出ると、新たな歓声がどっと沸く。
 一様に買ったばかりの猫巫女カタログ2006春を捲りまくり、名前を覚えては叫んでくれるのが少し嬉しい。
「ウィスタリアちゃーーん!こっち向いてーー!」
「ああ、ユーロ様、あなたの豆を受け取りにきたー!」
「ルリィ姉様……こっちにゃーー!」
「……すごい歓声だな」
 さっきもそうだったが、どうにも気合で負けそうだ。ロイズェはゆっくり深呼吸をすると、壇上のプラムに向けて大きな声で叫んだ。。
「プラムちゃんが一番……飛び切り可愛いぞーー!!」
「ロイズェ様……!」
 壇上で頬を染めるプラム。思わずロイズェの方向に照れ隠しにいっぱい豆を投げたりして。受け取ろうとするロイズェの前で、びしばしロープでたたき落とすルーニャがちょっと小憎らしい。
「愛、愛の匂いがするにゃ!」
「許さないにゃ!」
 客達がどっとそちらに押し寄せる。しかし機転を利かせてユーロとルリィは仲良く別な方向に弾幕のように豆を投げまくる。
「……名づけて星屑幻想にょ」
「ルリィ姉様……」
 しかし美人姉妹の攻撃にあえなく客もノックアウト。
 ウィスタリアはプラムの横から覗き込み、ロイズェに手を振ってから、よかったね、と笑いかけてくれた。プラムは笑顔で大きく頷いたのだった。

●賑やか屋台
「なぁ〜ん」
 小銭が飛ぶとノソ神様は幸せそう。
 なんだかよくわからないが、ありがたそうなので拝んでおこう。そんな雰囲気で手を合わせる参拝客。猫神社の真・神主さんが先ほど覗きに来てちょっと怖かったが、彼はフムフムと顎を撫でただけで去っていった。
 彼が去った後で、ノソ神様はそっと、神社の前に何かを置いた。
【1日限定!ノソ神様絵馬あります!】
 これもまた飛ぶように売れた。……どうにもノソ神様は商売繁盛のご利益がありそうだ。
 神社の裏手では、実に怪しげなしょっぷがあった。
「にゃんごるもあ〜♪」
 ラピス嬢の萌え系喫茶では、そんな挨拶でお客人を迎えてくれる。豆まきが始まったので少しお店は暇になったがさっきまでは大変だった。
「ごめんくださいです」
 エリスがそっと顔を出す。その隣には猫職員のヨナタンもいた。飼い猫4匹を連れて、境内の警備や掃除を担当していた。
「いらっしゃいにゃー。まだ境内は賑わってるんじゃろ」
「ええ、大変な騒ぎです。でもお豆はゲットしました」
 微笑むエリス。ヨナタンは休憩交代の時間だったらしい。
 仲良しの二人はラピスの茶店で短い逢瀬を楽しんだ。でも……恋人がゲットした豆の数だけは聞いちゃいけない……ヨナタンは心密かに思うのだった。
 本日の一番人気の【かたろぐしょっぷ】。否。神社直営のお守り・絵馬・にゃんこ豆・御神籤などを売るショップのはずだけれど、真神主が最後に置いた2006春カタログがやたらとよく売れた。
「まだ在庫は残っておるじゃろうか?」
 猫はっぴを纏うコハクが早口で叫ぶ。
「……神社の中にもう少しあったはずよ!」
 お守りを売りながら答えるストラタム。こちらも席をはずす余裕はない。
「じゃあ私、取ってきますわね!」
 リリーナが言って、走り出す。彼女の担当、にゃんこ豆はまだ境内で撒いてる最中なので少しは余裕があったからだ。招き猫ポーズでにゃん♪とポーズをとっているペットのヒマワリにちょっと待っててね、と笑って、リリーナは荷物を取りに急ぐのだった。

●再び豆まき
 さて次の猫巫女様は、イオン、リリカ、フィオリナ、レラ、エルメス。
「あ、リリカさん、お豆食べちゃ駄目にゃっ」
「うーまーいーなー。ねー、にゃんこ豆ってぴー○○○だよねー?」
「企業秘密にゃ♪」
 イオンはリリカに人差し指を口に運んで、「しーっ」と言った。
「ほらほら、もうばら撒き大会……じゃなかった豆まきの番が来たわよ」
 猫巫女衣装も素敵に着こなし、フィオリナが紫の髪を翻す。
「おー。がんばるどー」
「……カタログ、私も載ってるのでしょうか」
 巫女の列の最後尾にエルメスは続き、首を傾げる。実はエルメス男性なのだ。整った顔立ち、髪は長くて三つ編み、リボンつきだけど。間違った職員もけして悪気があったわけではないはずだ。
「きっと大丈夫ですよ」
 にっこり。
 緊張していると思ったのか前を行くレラが、優しい笑顔を向けてくれた。
「そ……そうですね」
 大丈夫は大丈夫でちょっと心配。そんな複雑な心境を抱え舞台に立つエルメスに、境内の客達から「エルメス様ーーー!!」と歓声が上がった。
「…………」
「さー、豆を投げるぞー!」
 リリカが大きな身振りで豆をゆっくり投げ放つ。
 イオンもそーれ♪と投げる。個性的な面々が勢ぞろいなことに、お客様も大喜びだ。口々にこっちを向いて!こっちに投げてと要求の声があがる。
 そんな声に、フィオリナ嬢は我慢ならないように舞台の柵に足を乗せ、一層豪快に豆を撒いたのだった。
「ほら、行くわよ!! にゃんこは内〜!! 鬼は外〜!!!」

「……レラ?」
 人の多さと、珍妙な個性の客の多さにうんざりして後方に下がりかけていたガイは、居並ぶ元気な巫女達の合間で周りの人に気を使いながら、一生懸命豆を撒いているレラの姿に気がついた。
 彼女の姿に近づこうと人波を進む。
 すると。
「あいた!!いたたたた!」
 悲鳴をあげる男性の横を通りがかった。みるとナムールである。
「ほーら!ちゃんと受け取りなさい〜!」
「団長殿〜! も、もうちょっと優しく……!な゛〜ん」
 フィオリナに催促したら、貰えたのは嬉しいけれどちょっとその愛は痛かった。
 ガイが思わず見上げる壇上。舞台の上に立つレラもガイを見下ろし、小さく手を振っていた。そして少しだけ豆を彼に向けて投げてくれる。
 受け取り見つめあう二人。周りの殺気立つコアなファンの眼差しにはまだ気づかない。
 さて最後の猫巫女の組である。
 トリシア、ルフィリア、ニコレット、キララ、シーマリネイアの5人は、タケルとアリュナスから最後の豆を受け取った。
「どうか頑張ってくださいね」
「よろしくお願いします」
「「「はい!」」」
 頷く5人。最後だということはお客達も分かっている。熱気はさらに高まっていた。
 まずは先頭バッターはトリシアである。
「にゃ〜ん♪ネコさんですよ〜♪」
 エンジェル+ネコ耳+ネコ尻尾。なかなか凶悪な組み合わせの彼女が可愛らしく挨拶をすると、会場の熱気は本日最高の盛り上がりを見せた。
「それでは行きますよ〜♪えーいっ☆」
 普段より声のトーンがきゃぴきゃぴしたものにあがる。一気に信者が増える瞬間。
「「「「うおおお!!トリシア、トリシア、トリシア様ばんざーーーーい!!」」」」
「みんなありがとーー!!☆」
(「……すごい」)
 さすがにルフィリアにはそこまでできない。ただおとなしく豆を撒いている。
 しかし二回目というのもある。ルフィリア狙いの客人の眼差しがその全身には前回以上に突き刺さるのだった。
「……あうう」
「なんだか楽しいね。……今年もみんなが楽しい1年でありますように〜」
 笑顔で豆を投げるニコレット。
「あ、あの……ランドアースでは……いつもこんな」
 猫巫女服だけでも恥ずかしかったのに。激しく動揺して真っ赤に頬を染めつつ、シーマリネィアは隣に立つキララを肘でつっつく。
「……ここだけとは思うが……」
 キララも内心弱っていたが、しかし、胸を張って答えた。
「案ずるな。豆を撒けばいいだけの話だ」
「……そう、ですね」
 頷くシーマリネィア。
 二人の名前を呼ぶ知らない人達の熱狂的な声。ちょっと緊張するけれど、二人は笑顔で一生懸命豆を撒いたのだった。

●豆まきも終わって。
「じゅうよん……じゅうご……じゅうろく! よかった」
 ほっと胸を撫で下ろし笑顔になるアリス。ゲットしたお豆はぴったり彼女の年の数。
 他の仲間達も殆ど数は足りたようだ。ただし、足りなかったがガイはあまり気にしていない様子で、ルーニャは漸く気づいて途中から拾い始めたが、足りない足りないともらしている。
「足りないお豆はー、こっちではんばいしてるよー」
 響いているのはリリカの声か。確かすごい高値で売ってるらしいと評判だ。
「縁結びのお豆、ありましたよね」
 アリスが尋ねると、豆を食べながらガルスタが頷いた。そちらに駆けていくアリス。
 楽しい楽しい豆まき大会はそして幕を下ろした。

 帰り道もまた皆それぞれに楽しみ、猫巫女服をそのまま着て帰った猫巫女様もいたとかなんとか。熱狂的なファンに隠し撮りされた人もいたとかいないとか。(撮りって何だ)
 皆様に福が訪れることを神様と一緒にお祈りしながら。
 にゃんこ神社の豆まき大会はそうして終わりを迎えたのだった☆


マスター:鈴隼人 紹介ページ
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作成日:2006/02/14
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