【ていすてぃんぐあどべんちゃぁ】チョコっとらぶをお届けします♪



<オープニング>


 世の中には数え切れない程沢山の美味珍味が存在する。
 これはその美味珍味を追い求めることを生涯を賭けた究極の使命とする者達が紡ぐ物語の一編である。

「レ〜クスちゃぁ〜ん♪♪♪♪」
「!?!?」
 いつものように騒がしい冒険者の酒場。
 いつも元気なルラルが、さらに元気よく銀髪の青年にタックルをかました。
「えへへへへ、つかまえたよ〜?」
 それは嬉しそうにルラルが振り向いた先に青年が二人。
「かたじけない、マドモアゼル・ルラル! いやいや今回は逃げられるわけにはいきませんのでな……!」
「レクス殿……逃げたりしなければこのように捕獲もされずにすむであろうに……」
 いや、そもそも逃げるも何も自分は酒場に入ってきただけなんだが、とルラルにがっちり捕獲されたまま逆境ナイト・レキサナート(a90113)は目で抗議した。
「えへへ、ブライルさんとキルフェさんがね、是非レクスちゃんにお願いって依頼を……」
「断る」
 即答0.5秒。
「何、冒険者ともあろう者が旧知の仲である者の依頼を頭ごなしに断るというのか!? 我が村の面々全ての願いを無碍に踏みにじるというのかね。お前はそんな奴だったのか……うう、私は悲しいぞレクス!」
「レクスちゃん、まだお話も聞いてないのにひどーい☆」
 ……大げさに悲しみを表現するブライル、頬を膨らますルラルに加え、話ぐらい聞いてやれば?等々、酒場の各所から声が上がるに至ってレクスは大きく溜息をついた。
「……用件を簡潔に言え」
「あのね、もうすぐランララのお祭なんだよ〜☆」
 勢い込んで語ろうとしたブライルを、ルラルが無邪気に遮る。
「そ、そうなのである! そしてランララといえば手作り菓子。手作り菓子といえばチョコレート! というわけで」 
 どこの世界の製菓会社の回し者だお前はといいたくなるような台詞を吐きつつ、キルフェがフォローを入れるようにそれに続いた。
「チョコレート……古くは神々の食べ物といわれ、今は飲んでも良し食べても良し、栄養も高く身体にもいいまさに無敵の菓子! その黒く輝く艶やかな形は心を籠めるに相応しく……ランララに捧げるのにも申し分ない!」
 自らをかき抱くように陶酔しつつブライルは華麗にターンを決め、冒険者達に振り向く。
「申し遅れましたな、改めまして。お久し振りの方はお久し振り。ブライル・サハリンと申します。これは一族の者で菓子職人のキルフェ。初めての方は以後お見知りおきを」 
 そろそろ疲れてきたルラルに代わってレクスの服を掴んで捕獲しつつ、ブライル青年は大げさな動作で優雅(?)に一礼して見せた。
「私共の村が食べ物を如何に美味しく食べるかと言う崇高な命題に挑んでいると言うことは、皆さんすでにご存じかと思われますが……」
 そう言って冒険者達を見渡すブライル。
 あーそーだねと頷く者有り、そうなのかという顔をする者有り……彼らの反応は様々である。
「そして、今回の御題がこのチョコレート。これを如何に素材本来の味を損なわず且つ引き立て昇華することができるか、ということなんです」
 今回はどうやら、ランララにちなんでチョコレートをどのような食べ方をすれば美味しいかを研究しているようであった。
「チョコレートは実に多彩なレシピが存在しておりましてな。菓子としてだけでも相当な量があるのですよ。たとえばレクス、お前ならチョコレートと聞いて何を思い出す?」
「……。……板チョコ?」
 話を振られ、眉根を寄せて考え込んだレクスは首をひねりながらぼそりとつぶやいた。
 しかしもうちょっと何か色気のあるものは出てこないものか27歳。
「ふむ、それも実にシンプルで興味深い題材だ。このように、具材であったり菓子であったり、様々な楽しみ方を御教授いただきたく、お知恵をお借りしたいのですよ!」
 その間にもブライルは身振り手振りでチョコレートの素晴らしさを語る事を忘れない。
「題材のチョコレートはもちろん最高級のものを御用意しております。具材もありとあらゆる場所から最高の美味を集め、聖餐にて皆様と共に味わいたいと考えております! もちろん、お気に召したモノはお持ち帰りいただき、ランララにて愛する方と味わわれるのもまた一興かと。どうですかな?」
 ちなみに『聖餐』(断じて凄惨ではない)とは、斬新なモノからオーソドックスなモノまで数々の一押しを持ち寄って行われる究極の美味を皆で体験する会、というものであり、ブライルの村全体を上げたかなり大きなお祭(でも年に結構な数をやっている)だ。
「皆様もレクスと共に今年最初の『聖餐』に是非ご参加下さいませ!」
 華麗にターンを決め、深々と一礼するブライルに冒険者達は各々の心境により複雑な顔をしつつ、その依頼を承諾したのであった。

マスター:神條玲 紹介ページ
どうもこんにちわ、神條 玲でございます。
今回のランラライベントは趣向を変えまして、皆でチョコレートを色々加工したりして美味しいもものを味わおうイベントにして見ました。
今回のお題はズバリ、「チョコレートをどうやって食べるか!?」でございます。
お好きな物をご持参の上ブライル曰く「崇高な命題」に一緒に取り組んでやって下さい。
お勧めのチョコレートレシピを持ち寄りいただけると幸いです。
真面目に作るも良し、ネタに走るも良し。
このシリーズのお約束として、自分の作ったモノは責任持って食べていただきますが。

なお、今回はランララの御菓子作りイベントも兼ねてますので、チョコレートが題材であれば原則なんでもかまいません。
イベントシナリオですので多少(かなり?)ぶっちぎれたプレイングでも大歓迎ですので皆様ふるってご参加下さい。
レクスもいます。皆様、よろしくしてやって下さいませ。

なお、ネタをふると神條が喜んですごい勢いでネタまみれにされます。お気をつけください。
試食はお約束で神條食べますが、あんまりにも食料じゃないものについては勘弁していただく方向で。愚ルメは当人以外にはなるべく勧めないように(笑)お相手に贈りたいというのならその旨明記して置いてくだされば助かりますが(何

ランラライベントですので、指定のチョコレートをアイテム発行することも可能です。名前や設定をお送りください(詳しいモノは名前設定共に40文字まで、漠然とした指定でもOKです)指定がない場合は神條が例によって試食した中からお勧めのものをチョイスしてアイテム作成し、一つお送りいたしますね。(ネタにして欲しい場合はその旨お書き添えください<笑)
ちなみに、能力値は2,1,4で固定です。記念ですから。

余りにも参加者が多くなった場合(ないと思いますけど)は、色々行動が割愛されることがありますがアイテムは全員にお送りいたしますのでご安心くださいませ。

では、御菓子作りが楽しく成功することを祈って。

参加者
NPC:銀雷閃光の蒼き守護者・レキサナート(a90113)



<リプレイ>

 薄暗く落とされた照明。スモークでも炊かれているのかひんやりとした風が流れ。
 ひときわ高いステージになっている場所に人影が一つ。
「皆様。本日はすばらしき『聖餐』の場でお会いできたことを心から感謝いたします。ぜひこの崇高にして永遠の命題ともいえるこの問題に魂の底から共に取り組み、共に感動を分かち合おうでは有りませんか!!」
 厳かに影が宣言するとぱっとスポットライトが壇上を照らす。
「今回のお題はこの、神聖にして甘く心を溶かす菓子……『 チ ョ コ レ ー ト 』でございます!!!!!!!!」
 そこには板チョコを掲げ持ちポーズを決める、白黒茶の燕尾服に身を包んだブライルがいた。
「そして今回もまたより新しき風をということで冒険者の皆様方にもご足労願っております!」
 バッと彼らの方を示して振られた手に合わせ村人から巻き起こる歓声。
「尚、今回もアシスタントとしてマドモアゼル・アリスにお越しいただいております!」
 ブライルの後ろからにっこりとアリスが現われる。今日はいつものバニー姿だった。
「あったかぁ〜いホットミルクも準備済みですし……食べまくりましょうか!」
 セークの一言に辺りから一斉に笑いが漏れた。
「それではランララの恵みを存分に堪能する為にも、始めるといたしましょう!」
 ランララの恵みは別にチョコレートではないはずなのだがそれには誰も突っ込まず、皆は一斉に散開した。
「チョコってのはそのまま食べても美味しいけど、好物を混ぜればもっと美味しくなると思うのにゃよね!」
 イオンは何かの粉末を溶かしたチョコに混ぜ込んでいる。
「……これは? む、この香りは何か覚えが……」
「マタタビにゃよー」
 ブライルの問いに彼女はにこにこと答えた。
「何か少し辛いような……? しかし身体がぽかぽかしてきましたよッ……!?」
 彼の言葉に満面の笑みで頷くイオン。
「チョコフォンデュっていうのをやってみようと思って!」
 フィオが生クリームとチョコを溶かした鍋と、色とりどりの果物を持ってやってきた。
 ことん、とテーブルに設置すると、その周りを数人が嬉しそうに囲む。
「チーズや野菜も意外といけるかもだ。……これは……やめておくか……」
 アールグレイドは一緒に置いてあった刺身に手を伸ばしかけ、頭を振ってそれを押しとどめることに成功した。
「アツアツな2人でアツアツ☆ チョコフォンデュ、っていうのもいいものです。チョコは栄養価も高く、チョコフォンデュは甘くて美味しい以外にも色々と効能があるのですよ〜」
 アリスがにこにこ笑いながら解説を入れた。
「甘いものとさっぱりしたものってあうよね」
 そういいながら串に刺した果物にチョコを絡めつつ、フィオはうんうん、と頷いた。
「おおっ、素材の味をそのまま楽しむ! これぞ究極の贅沢ですな!」
「これ、熱いままでもいいけど冷やして固めても美味いよね?」
 フォンデュに苺を浸しつつ、パークはやってきたブライルを見上げた。
「もちろんですぞ! 熱くても冷たくても美味しい。やはり素晴らしい!」
 熱く語りながらブライルは溶けたチーズとチョコを一緒に口に放り込み、どうやら口の中を火傷したらしい。
「相変わらず凛々しい形でんすこと♪」
 久しぶりに会ったレクスにそう声をかけつつ、ミギワはブラウニーの材料と格闘していた。
「彼は激辛好きなので……甘さ控えめがいいかと……なので、ビターチョコで……」
 少々不安の残る手つきだが、キルフェの教えを請いつつ一生懸命だ。
「やっぱり、焼き菓子がいいと思いますの」
 その横で生地に入れる胡桃を刻んでいたジョゼフィーナは微笑みながらキルフェに言う。
「そうであるな。日持ちもするし、いい選択である」
 自らは一番得意なタルトを作りながらキルフェが笑い返した。
(「面倒ですわー。それにどんな味でも食べるって言うから激辛に……と思ったけど」)
「しばらく帰ってこないんだし、ねぇ」
 自分で自分に納得するように言ってキルフェにそのタルトの作り方を習いつつ、リーフィアは一生懸命材料を混ぜている。
「えへへ、美味く焼けたかなー?」
 シトラがぱたぱたとオーブンに走ってきた。
「おぉ!? これはいい具合に焼けてますな! うむ、このとろけるチョコがまた絶品ッ!」
「冷えたらチョコがカリカリになって美味しいよ!」
 いつの間にかやってきたブライルが、チョコパイを早速口に運ぶ。
(「んー。イツキさんに合う物……お饅頭とかそう言うイメージが強いから……よーし!」)
 考え込んでいたリュフィリクトは、ひらめきに機嫌よく茶巾絞りの制作を開始。
「美味しく出来ているといいのですが……」
 その向こうでイツキは焼きあがった黒豆と抹茶のガトーショコラを型から外して冷ましていた。
 用意が出来たところにリュフィが嬉しそうに何かを運んでくる。
「とりあえず、暖かいお茶でも淹れますね?」
「んふふ♪ うんうん、これお茶にも合うんだよ〜」
 急須にから湯飲みに茶を注ぎつつ二人して顔を覗きあい、くすくすと笑いあう。お互いのメニューがとても楽しみだった。
(「斬新なチョコ菓子か……凝ったモノは作れないし……よし、あれだ」)
 いや、別に斬新である必要はないのだが。
 とりあえずリオネルは記憶にあるオレンジピールを使った菓子を製作することにしたようだ。
「ちょ、リオン! 直火はやばい!」
 たまたま通りかかった試食中のアールグレイドが血相を変えて止める。
「え? 何、お湯? ……こんな感じ?」
 他の村人達の協力もあり、どうにか湯煎に成功した彼は、実はポイズンクッキングな腕前らしい。
「ふむ、甘酸っぱいピールとチョコのほろ苦さが絶品ですな……!」
 試食に来たブライルがうっとりとした顔をしている所を見ると、今回は成功したようだ。実にめでたいことである。
「これを、丸めてっと……」
 アースはガナッシュクリームを想いをこめて搾り出した。
 やっぱり、大切な人には美味しいものを食べて欲しいので、その手つきはとても慎重だ。
「……んー……こんな感じで完成ですかねー……?」
 その側らで友人のラリィがココアパウダーやココナツパウダーをふりかけたりして、飾り付けをしている。 
「そういえば最近どうですか? 旦那様とは」
「! い、いきなり何を言い出すんですかっ」
 アースの慌て様が微笑ましく、話題を振ったラリィはくすりと笑った。
 この様子では夫婦仲はとても順調なのだろう。
「ねぇねぇ、こんなかんじでどうでしょう?」
 大事な大事な相棒をかたどった人形に話しかけつつ、ナコは上機嫌だ。
 だって、ふわふわのメレンゲとチョコの出会いは、何だか崇高な感じがするから。
「あ、レクスさん! よかったら試食してみてください!」
「ん? ……ああ、美味いな、これは」
 口でとろけるマカロンショコラに、レクスはふわりと微笑んだ。
「うむ、本当に美味い! お嬢さん大丈夫ですよ、コイツは一応舌だけは確かです、鍛え上げましたから!」
 ブライルが良くわからない太鼓判を押してくる。
「ところで、ランララのお祭り。古来よりの伝統では女性はチョコに顔型(デスマスク)を付けて男性に贈るもの。制作を推奨」
「へ? ……そ、そうなのか? というか推奨なのか……?」
 そこへやってきたアラクナはレクスにしれっとでたらめ知識を吹き込んだ。
「私はともかく、いりそうなのはアラクナだろう。ということで、どういうものなのか見せてくれないか?」
「……誤算。逃走開始」
 大真面目に興味を抱いたらしいレクスに思いっきり自分にふられ、逃亡するアラクナ。
(「創作料理は結構嫌いじゃないんだよねー」)
 混沌の中から驚くような代物ができあがったりするし、などと考えつつコクセイは頭をかいた。
「普通にいくか。……残念だけど」
 やはり今回はランララもあるので真面目に作ることにしたようだ。
 そんな彼女の作っているのはチェリーボンボン。手元から立ち上る酒の匂いに飲兵衛がわらわらと集まってきた。
 ちなみに、未成年不可。
「んー、なかなかええ出来どすな」
 マリーの手元の鍋では、緑っぽい物がぐつぐつ煮えていた。
「!?!?!?!?!?くぇrちゅいおp@」
 興味を示したブライルが、一口食べて悶絶する。ちなみに中身は青汁と生肉とチョコを煮込んだものだった。
 製作者は平気のようだが、それに近づく勇気のあるモノは今のところいない。
「わぁ!?」
 いきなりフワリンが現われ、各所から驚愕の声が上がった。
「うう、そんなひどい事は僕にはできないです……!」
 どうやら呼び出したフワリンで型を取ってチョコを作ろうとしたらしいシャルルが涙目で言う。
 それ以前にどうやって型をとる気だ、などと色々突っ込みどころ満載。
 気を取り直したらしいシャルルは、星型のチョコにドライフルーツを入れたものを制作することにしたようであった。
「やはりチョコ好きの為には作らないわけにはいかんだろう」
 別にランララという行事がなくても作るが、とり合えず今回は渡りに船だ、とアルフィレアはチョコビスキュイに三種類の味の違うソースを挟んでいく。
「ふむ、こちらは味が違うのですかな?」
「それぞれビターがオレンジソース、スイートがラズベリーソース、ミルクがコーヒーソースだ」
 珍しいものを見つけていそいそとやってきたブライルに自信たっぷりに説明する。
「おお、この味の違いが絶妙……飽きの来ない味ですな!」
 気に入ったらしく一通り試食していくブライルに、彼女は当然だ、といわんばかりの目を向けた。
「ん……と……イヴ……好き、ナ……ひと……チョコ……ァげ、た……ィ……ノ……」
 一人頷いて、イヴはお気に入りの蜂蜜いり苺のロールケーキにチョコチップが入ったものを作り、一つ一つラッピングしていく。
 ふと、目に留まったのはこちらに向かって歩いてくる銀髪紫眼の青年。その色彩は大事なあの人と一緒だった。
「……イヴ……の……チョコ……うけト……テ……くれ……ル……?」
「……ありがとう、よろこんで」
 さしだされたそれに、レクスは眼を丸くしたが、ふと微笑んで少女に手を差し出す。
 そもそも女性の頼みを断れるはずもないのだが。喜んでくれるのならなおさらだ。
「遂にこの日が、激甘党にして趣味料理のこの私の実力を見せる時がやってきたと、そういうわけだ」
 アールは包丁でガッツンガッツンとチョコを豪快に砕きつつ、ふふふふ、などと怪しい笑みを浮かべている。
 傍らに用意された材料にどう見ても大量の砂糖があるのは、やはり激甘チョコが出来たりするのだろうか。
「これと、これと、混ぜて……あれ?何か上手くまとまらないよ?」
 ジーナスがしょんぼりした声を上げた。
 最も、クッキー生地にトウガラシやタバスコなどをたっぷり混ぜればそれは失敗するだろう。
「ジーナスさま……とり合えずこちらの生地で普通に作られてはどうかしら……」
 フェアが多めに作ったノーマル生地で、今度はまともなものを作り直すことにする。
 クッキーが焼けるのを待つ間、フェアはホワイトチョコとスイートチョコを使い、翼の形を抜き固めていた。
「愛しのあの人の為に私はチョコレートを作る〜、ランララランララ♪」
 歌いながら何故かマグロのすり身を作っているエスティア。それを原材料にして出来たドーナツを、チョコにつけてコーティングする。
「……あ、油っこい……というか、こう、不協和音がッ……」
 珍しさに興味を引かれたキルフェが、一口食べて撃沈した。
「はい、ハートチョコケーキの出来上がりですよ」
 リュエルがにっこりと差し出したのはチョコとホイップ、シロップ、スポンジのバランスが中々絶妙なハート型のケーキ。
「これはハート型にスポンジを切るのか……?」
「今回は焼く時にハート型にしてます」
 感心したらしいレクスの問いに、リュエルは笑った。
「よし。綺麗に膨らんだ!」
 カナメはオーブンから、色とりどりのフォンダンショコラを取り出す。
「はい、ハルヒさん、暖かいうちに食べてね?」
「うん、じゃぁカナメさん、僕のと交換ね♪」
 ハルヒは笑ってそれを受け取り、にこにこと手にした熱々のクレープシュゼットをカナメに手渡した。
 やっぱり、好きな人が美味しいって食べてくれるのが一番嬉しい。お互いにそう思って、ふと顔を見合わせるとなんだか笑いがこみ上げた。
(「実は私、料理というものをした事がありませんの……でも、失敗だけは許されません!」)
 幼馴染の娘であるアディドラの、小さな夢をかなえてやりたくてティーナはぐっと気合を入れる。
「美味しくなぁ〜れ……美味しくなぁ〜れ……」
「だ、大丈夫ですの?」
 小さな少女の危なっかしい手つきにはらはらしながらティーナ自身も一生懸命だ。
 どうにか生地が出来上がり、オーブンの中でいい具合に焼かれていくそれを、アディドラはじーっと見つめている。
「喜んでもらえると良いですわね♪」
 上手く焼けそうな気配に、ティーナの声も弾んだ。
「……普通に食べちゃいかんのかね、やっぱり? ……ほれ」
「……かまわんと思うがな? ……何だ、私に?」
「当たり前だ、お前以外の誰に渡すんだ? ……つーことで中身は普通の生チョコだ」
 エイシスに大真面目な顔で言われ、そういうものか?等と首をかしげつつ、レクスは差し出された金の包みを受け取る。
(「うふふ、すごい姿ねぇ」)
 期待したほどではないが、めったに見せない真剣な顔の彼をみて、トモコは物陰でくすくすと笑った。
「と、トモコ。お前にもこれやるよ、日ごろ世話になってッからな」
「え?」
 そんな彼女を発見したエイシスが、すたすたと歩いてきて銀の包みを渡してくる。
「二股は……どうかと……」
 誰かの呟いた言葉に、そんなんじゃねぇよと笑うエイシス。……本当か?
試食して回って満足したらしいセークは、ミルクチョコを作っているようである。
「ココアスコーンだ。……まぁ、自分用だけどね」
 ノヴァーリスは焼きたてのスコーンを頬張り、幸せそうな顔になった。
「む? これは、ひょっとしてローストカカオ豆? 実にいいアクセントですな!」
 さすがブライル。隠し味に気がついたようだ。
「甘いものが苦手な方はこちらなどいかがでしょう?」
 ストラタムは、生チョコのブラックを冷やしたものと、ソリッドチョコを皆に配っている。甘党の者も口直しとして、それは大活躍だった。
「そういえば、レクスさんて、ランララの時あげる方? 貰う方?」
「「「!」」」
 誰もが心の隅で疑問に思っていただろう事を、スパッとシトラが聞いた。
「え? ええと、今までは、結構もらったような気もするが」
 予想通りといえば予想通りの答えだが、何か間違っているぞ、と全員が思う。
 だが、まぁそんなものだ世の中。
 そんな気分になりつつ、チョコの宴は賑やかにくれていくのであった。


マスター:神條玲 紹介ページ
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冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
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参加者:35人
作成日:2006/02/14
得票数:ほのぼの23  コメディ1 
冒険結果:成功!
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