Schokolade Fest



<オープニング>


「ランララと言えばチョコレート……という認識が大きいのかしら」
「?」
 暁の凛花・アシュレイ(a90251)の呟きに霊査士の少女は首を傾げた。
「喫茶店でチョコレートフェアをやることになったのよ。
 チョコレートを作ったお菓子を何種類も作って売るんだけど、手伝ってくれないかって言われてて。でも私はお菓子作りは苦手だし」
 正直お菓子作りの腕は今ひとつ……というより寧ろ壊滅的である。
 悔しいので口には出さないが。
「商売敵が嫌がらせを仕掛けてくるという噂も聞いたらしいのだけど、冒険者が手伝いに来てるとなればそれだけで抑止力になるだろうからって。
 職人はチョコレート菓子なら色々作れるから作りたいものがあれば作らせてもらえるし、お土産に持って帰る事も出来るそうよ。レシピや、自分が作ったもの以外にお店で売りに出したものでも構わないらしいわ」
「成る程……それでしたら、私も手伝った方が良いのでしょうか」
 首を傾げて、問う暁紅の霊査士・ティーリア(a90267)にアシュレイは目を輝かせた。
「是非。実は作って欲しいものがあるのよ」
 そういう理由かい、とティーリアは心中軽く突っ込みを入れた。

マスター:弥威空 紹介ページ
こんにちは、弥威空です。
行動は「客として行く」か「手伝う」かのどちらかを選んで下さい。
また「手伝う」人が少な過ぎれば失敗になる可能性もあります。

アイテムを御希望の方はプレイング内に
「分類(レシピorお菓子)」「名称(全角35文字以内)」「内容(全角40文字以内)」、
若しくは職人の作ったチョコレートのケーキ、クッキー、トリュフの内の一つを選び明記して下さい。職人の作った物もお菓子かレシピどちらかお選び下さい。
お一人様一点のみ、全てレベル1でアイテム発行させて頂きます。
何れかが欠けていた場合は発行致しかねますし、無理な設定は修正が入ります。

アシュレイ:基本的に店の方に居ますが、お誘いがあれば裏の方にも行きます。
ティーリア:裏でお手伝いしています。店の方には行きません。

それでは宜しくお願いします。

参加者
NPC:暁の凛花・アシュレイ(a90251)



<リプレイ>

 店の周囲で怪しげな人が居なかったか聞き回っていたストラタムは、居るには居たが冒険者達が手伝いに訪れていることを聞き姿を消したと聞いて肩を撫で下ろした。
 冒険者達の来訪は予想以上に牽制になったらしい。

 店にも其れをつくる厨房にもチョコレートの甘い香りが広がっていた。用意されたチョコレートがミルクチョコレート、ビター、ブラック、ホワイト……と様々に大量に積まれている。
 ファオが作るのはビターをメインに、そしてブラックチョコを隅に少し添えた生チョコレートだ。甘い物が苦手だったり甘さ控えめな物が好きな人に喜んでもらえるように、と丁寧に切り込みを入れる。削ったシナモンを微かに降り掛けて完成だ。
 ファオの手際の良さに職人が感嘆の声を上げる。
(「みんなでおいしいのを喜ぶ日なのに、意地悪はだめなぁ〜ん」)
 重たい材料を運んだり、細かな掃除をこなしたりとしていたナーテュの心配は杞憂に済んだようだ。
 ミルテフィーナは売れ筋をチェックしつつ足りない品の追加をしていた。
「あ、これは作ったこと無いですー」
 経験豊富でも、例外に当てはまる未経験のチョコレート菓子の作り方も教わっていた。
 今後の勉強の為にもと、アンジェリカもコツやポイントなどのメモを取りつつ和気藹々と作業を進めていた。甘い香りと可愛いお菓子に囲まれて幸せな一日になりそうな予感がする。
 テンは冷や汗を浮かべていた。
 手元には型抜きした動物の形のチョコクッキーがある――形は微妙に崩れているが。
「……俺は……食べたいんだっ……なぁ〜ん」
 むっとした表情で小さく呟く。
 その横で懸命にフォンダンショコラに取り掛かっていたリーチェはクスリと笑みを洩らした。手は順調に作業しているというのに視線はテンの方へと行ってしまう。
「……っ!」
「……!」
 互いにばっちりと目が合ってしまい、テンは真っ赤になって俯き、リーチェは照れ隠しに微笑むのだった。
 自前のメイド服に身を包んだユリーシャは食器を洗いつつ、何かコツがあるのだろうかとお菓子の作り方をじっと眺めていた。
 持参したギャルソンエプロンを身に付け、ヴィオラは気が付くだけ手伝いをしていた。恋人も一緒であれば客として訪れていたのかもしれないが……今日の手伝いが終わったら恋人に会いに行きたいなぁ……と想いを巡らす。
 チョコレート好きな自分にとってはランララは嬉しい季節である。尤も妻以外に貰える相手はいないが、と苦笑を浮かべつつガルスタも仕事を探しては端から順にこなしていた。お菓子作りももう手馴れたものである。
 人口密度など気にするなと言われ、厨房でノヴァーリスはフォンダンショコラを作っていた。香り付けにはオレンジピールを垂らす。
 普段作らないようなものを作ることが出来るのも今回の醍醐味であった。
 簡単なことなら出来るだろうから、と卵をかき混ぜていたリラと翔剣士のマーガレットは話に花を咲かせていた。作り方などはこの間教えてもらったのだと説明し、何かを思い出し、リラは頬を赤く染める。
「リラ、思い出し笑いしてないで、焦げちゃうよ」
「お、思い出し、笑いじゃ……」
 マーガレットの指摘に、リラは焼いていたケーキを慌てて取り出す。
 ラブラブなんだからー、と笑うマーガレットも一から十まで教えてもらいつつカップケーキを作っていた。
 持参した月の型でクッキーの生地をくり抜いていくのはルゥルだ。料理は非常に苦手だが、大好きな兄の為でもあるしクッキーならば包丁も使わないので大丈夫だろう。
 同様に料理が出来ないというアシュレイに親近感を覚えつつ、作業する手元には三日月から満月まで移り変わる月が並べられていく。

 裏口を見張りつつ、材料の準備や簡単な仕込みを手伝っていたロッカは店が落ち着いたら職人の手解きを受けながらお菓子作りをしようと思っていたのだが、店の方は盛況らしくなかなか落ち着く気配が無い。
 職人の言葉に甘えさせてもらい作り始めたのはバウムクーヘンだった。それをチョコレートでコーティングする。
(「アシュレイさんの作って欲しいものって何かしら……?」)
 誰の為なのだろうかと、首を傾げつつロッカは仕上げに粉砂糖を降り掛けた。
「ランララですし……これはもう覚悟決めて頑張るしかないです!」
 ぐぐっとフィーは拳を握る。
 教えてくれるのはプロなのだ。料理が苦手とかいうレベルの話ではない自分でもきっと何とかなる。
 砂糖と塩を間違えるという致命的なミスは無事に職人の手によって防ぐことが出来、多少焼き過ぎたきらいもあるが、なかなかの仕上がりだ。
(美味しい物が出来ると祈ってて良かった……!)
 作り方を曖昧に反芻しながらショートケーキを目の前に少女は瞳を輝かせていた。
 下拵えをしていたカラは職人に「手はいっぱいあるんだから、あんたも好きな物を作りなさい」と声をかけられた。
「少しだけ、お言葉に甘えて……」
 遠慮がちに、カラは材料を広げる。作るのはケーキ。大きなものではなく、小さなもので良いのだ。
 甘さは控えめ、持ち帰る分にはラッピングをと菖蒲の造花が置かれていた。
 ケーキを作っていたメイロゥは小さく呻く。
 渡す勇気は無くてもチョコを用意するのが乙女心であり、どうせランララ聖花祭に参加できない片思いの身でも、気持ちだけは……! と思うのだが。
「ハート型にする勇気が無いなんてどれだけヘタレなの……」
 がくりと項垂れ、飾り付け用のチョコレートを取り出したメイロゥはティーリアに手伝いを求める。
「ええと、それでしたら……こう、此処と此処にこれを並べて……」
「……成る程……」
 割りにシンプルながらも可愛らしいケーキが完成したようである。
 カップルを少し羨ましいと思いながらリリーナはティーリアに挨拶を述べた後、黙々とお菓子作りの作業を進めていた。その合間に友人にあげる為の包みをラッピングする。
 甘さ控えめのチョコレートケーキを作り終えたイヴは皆に配り味見をしてもらっていた。手元に残した分は想い人の為に、と綺麗にラッピングする。
 お菓子作りは密かに興味があったと小さく拳を握るアルネイア。
 冒険者になるまであまりこのようなことはやったことはなかったのだが、やってみるとなかなかに楽しいもので、思わず歌を口ずさんでいた。
 手馴れては居らずとも、それなりに丁寧に、学ぶ気持ちで作ったお菓子は綺麗に仕上がっていた。
 雑用の合間にチョコレートを作ったリーンは、綺麗に包みながら困惑した表情を浮かべていた。
(「渡せるか、わかんない、けど……。渡したら、受け取ってくれちゃう優しい人だけど……優しい人だから、私が縛り付けちゃうの、可哀想だから……」)
 様々なチョコレート菓子の入った包みをそっとリーンは抱き締めた。

「いらっしゃいませなのだよー♪」
 イオは作るのは苦手だからと、接客に励んでいた。普段、紅茶喫茶を手伝っていることもあり客への対応は手馴れたものだ。義兄にあげる予定のクッキーの作り方は後で教わろうと思う。
 お菓子と紅茶には、幸せの魔法が掛かっているとかどっかでそう聞いた気がするので、食べた人が幸せの魔法に掛かるといいな、とイオは微笑んで再び来店客に声をかけた。
 饅頭や羊羹なら得意なのだがケーキはあまり作ったことが無いからと、接客をしていたシェアラザルスは、周囲を窺うように見回した後来店した少女にチョコレートケーキをそっと差し出す。
「……はい、可愛いからサービス。美味しくいただいてな!」
 当然後でバレて怒られることになるのだが、それはまた別の話である。
「あまり悩むより、ぱっと見て気になるのを買うのも一つの方法だと思うの」
 狂戦士のマーガレットは店に訪れた客達と、品を選ぶのを手伝っていた。零れる笑みは訪れた者達の心をも和ませる。後でチョコクッキーの作り方を教わろうと思っていることも微笑みの原因でもあったかもしれない。

 イーシアとミルフェは共にチョコレート菓子を食べに訪れていた。イーシアはミルフェの髪飾りが気になっていることに気付き、外して手渡す。
 ミルフェの髪飾りを手に取りじぃと見つめた後、徐にイーシアは手元のココアへと入れようと……
「ちょ、イーシアさんっ、それマシュマロじゃないですよぅ〜!」
「わわ、わっ、ごめんだよー。つい……」
 慌ててミルフェは手を出し、髪飾りが真っ黒になるのを何とか阻止する。
 マシュマロココア好きのイーシアは照れながら謝った。
 自分が作るとしょっぱい物が出来そうだと手伝いを遠慮したアネモネは、店で味見をしていた。
(「……これで奴も少しは喜んでくれると良いのだが」)
 どれにしたものかと首を捻る。
「食べてるのはティーリアさん作? 美味しそうだね〜。何ていうの?」
「別にあの子が作った物ではないけれど。只のチョコレートケーキよ」
 そんな和やかな会話をしつつもリュウが漆黒の剣を携えて来店したとき、やはり一時店はざわついたのだが今はそれも収まっている。
「うまー♪ めっちゃんまいッ! でも食べすぎると太ってまう……どないしたらええねんッ!」
 レンヤは至福の時を感じながらせっせと食べ物を口に運んでいた。皿に載せられた様々なチョコレート菓子があっという間に彼女の口へと消えていく。
(「似合わないって言われそうだけど……甘い物好きだし」)
 今日は素直にチョコレートを堪能すると決めたリーアは、ふと師の言葉を思い出し首を傾げた。
(「師匠が菓子作ってたり給仕してたりする姿が想像できないわ……」)
 失礼だとは承知の上、ぼんやりとそう考える。
「みんなおいしそうだよ〜。迷うよー」
 レティは散々悩んで選んだチョコレートケーキとエクレアを頬張りながら、極上の幸せを感じているような笑みを浮かべる。
 ティーリアは何を作っているんだろうなどとアシュレイと話しつつ、店の混み具合に感心していた。

「どうぞ。食べてばかりでは、喉が渇くかと思ってな。さて、口に合えば良いが……」
  日が暮れ始め客も疎らになった頃、そう言ってローがアシュレイに差し出したのはトレイに載せられた湯気の立つホットココアだった。
 一口飲んで一言。
「……私好みの甘さだわ、有難う」
 挑戦的に笑むのはアシュレイ故にだろう。
 こうしてそれぞれの想いをチョコレートに込めながら、チョコレートフェアは大成功を収め幕を閉じたのだった。


マスター:弥威空 紹介ページ
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作成日:2006/02/13
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