≪アルカナ魔法騎士団≫風雲どろり城



<オープニング>


「皆、集まるのじゃー!」
 アルカナの・ラピス(a00025)の声が響き渡ったのは、ランララ当日の日であった。
 何だか昨日の夜辺りに徹夜で書き上げたっぽい伝説の書曰く。
「裏山にある遺跡の中にあるアイテムを手に入れると、ランララで幸せになれるそうじゃ♪」
 ずずいっ、と「伝説の書」を突き出すラピス。
 非常にあやしい事この上ない。
 不審に思った団員達は顔を見合わせて、1人足りない事に気が付いた。
 こういう事に人一倍興味を示すトレジャーハンター・アルカナ(a90042)が居ない。
「アルカナちゃんは……えーと……先に向かったのじゃ♪」
 あやしい。
 とってもあやしいけれども。
 ひょっとしたら、ということもあるかもしれない。
 そうやって自分を納得させたアルカナ魔法騎士団の面々は、裏山へと向かうのだった。

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参加者
アルカナの・ラピス(a00025)
聖水の湖女中・シャワー(a01071)
愛想義心の朱蓮・ナリュキ(a02194)
百合の舞刃・クーヤ(a09971)
伽藍の亡霊・ナナギ(a12381)
疾風の語り部・スウル(a18669)
キッカのためなら死ねる・マイン(a20600)
流れゆく風の如き・ミネルヴァ(a29527)
自由の翼・ヨウ(a30238)
嵐を呼ぶ魔砲少女・ルリィ(a33615)
白銀の竜騎兵・シエラ(a39018)
衝撃の弾幕少女・ユーロ(a39593)
欠陥製品・フラル(a41274)

NPC:トレジャーハンター・アルカナ(a90042)



<リプレイ>

●風雲どろり城・前日
 何故か、空は暗く。雷鳴が轟いている。
「ふーうんーどろりー城ー」
「完成なんだよ♪」
「じゃのう」
 3つの影が、ぱちんっと手を叩き合う。
 一体何者なのか。
「汝ら脱げにゃー」
「わー! また暴走してるんだよ!」
「ここの所、徹夜が続いてたからのう」
 ガラガラ、ドシャーン。
 再び雷鳴が轟き、稲妻の光が3人の姿を明るく浮かび上がらせる。
 アルカナの・ラピス(a00025)、トレジャーハンター・アルカナ(a90042)、愛想義心の朱蓮・ナリュキ(a02194)。
 今回の事件の張本人3人組であった。

●風雲どろり城・当日
「着いたのじゃー!」
 ラピスが嬉しそうな声をあげる。
「じゃあ、まずは腹ごしらえするにょ」
 そう言うと、嵐を呼ぶ魔砲少女・ルリィ(a33615)がお弁当を広げ始める。
「おやつは、バケツプリンでいいかしら」
 衝撃の弾幕少女・ユーロ(a39593)が、言いながら複数のバケツプリンを取り出す。
 甘いものは別腹とは言うが。彼女の場合、3個くらい別腹があるのかもしれない。
「んーむ、美味なのじゃよ〜コクが違うのぅ」
 早々に食べ始めているナリュキ。
 そんな3人をよそに、他のメンバーは遺跡の入り口を調べ始める。
「甘い匂いがします……」
 聖水の湖女中・シャワー(a01071)が、そんな事を言い出した。
「どれどれ……」
 伽藍の亡霊・ナナギ(a12381)が中を覗くと。
「む?」
 ラピスが、どろり濃厚ピーチミルクを飲んでいたりする。
「お主ら、どうしたのじゃ?」
「いや……」
 顔を引っ込める。
「……考えすぎでしたね」
「かもな」
 頷きあう2人。しかし、2人は知らない。
 ラピスが、すっごくニヤリとしたことに。
「それじゃ行くかのう。ニハハハハハハハハ!」
「よし、そうするのじゃ!」
 笑い合うと、ラピスとナリュキは遺跡の中へと消えていく。
「あ、ちょっとちょっと……」
 純情可憐狂想曲・マイン(a20600)が追いかけて中に入ると、すでに2人の姿は無い。
「居ませんね……」
 希望を拓く騎士・シエラ(a39018)が慎重に遺跡の中を見回す。
 何はともあれ。進むしかなさそうな事は事実であった。
「まあとにかく、あのラピスが見つけてきた場所だからな、何があっても油断しないように行こう」
 自由の翼・ヨウ(a30238)は、言いながらナナギの後ろにつく。
 何となく安全だろうという判断からだ。
「アルカナさんが居ないのは、遺跡の本当の秘密とか知ってしまって、ラピスさんに拉致され……」
 百合の舞刃・クーヤ(a09971)が、何事か妄想してジュルリと唾の音を立てる。
「……助けなければ!」
 そんな事は一切ないのだが。
 クーヤはやる気満々であった。
「俺もアルカナちゃんを探します。ああ、探すとも。かわいい子は探し出してまふまふするのが道義というものだ」
 そんな事を言い出した緑風の紋章術士・ミネルヴァ(a29527)が、クーヤと火花を散らす。
 この辺り、すでに目的が違ってきていた。

 ちなみに、そんな面々とは少々違う目的で来ている者もいる。
「ロンリーウルフは怖いのよ? 待ってなさい。カップル共」
 ランララで幸せになんかさせない。
 そんな事を考えている幽翠・フラル(a41274)の雰囲気を感じ取ったか、疾風の語り部・スウル(a18669)が少しずつ離れていく。
 こうして、それぞれの思惑を胸に。首謀者達の狙い通りに細かく分かれちゃったりしたのだった。

●風雲どろり城・罠突破編
「赤い扉と青い扉なぁんね」
「……団長の趣味か、これは」
 2つの扉の前に立つマインとミネルヴァ。
 どうやら、突き破らないと先に進めないようだ。
 さて、どちらを選んだものか?
「せっかくだから、俺はこの赤の扉を選ぶなぁん!」
 ほとんど躊躇なしでマインが赤い扉に勢い良く突貫する。
 その先には、どろりの池。
「どわあっ、なぁ〜ん!」
 甘いもの大好きマイン。でも、さすがに足がつかないのはどうだろう。
「よし……ならこちらだな」
 ミネルヴァが、思い切り青の扉に突貫する。
 
 バリッ、ドボン。

「ば、馬鹿な……!」
 やはり、どろりの池。
 ゆったりとしたミネルヴァの服に、どろりが入り込んでくる。
 持っていたスプーンでは、処理能力がとても追いつかない。
 しかし、どうすれば正解にたどり着いたのか。
「にひ♪ どろりへの壁、成功なのじゃ♪」
 ニヤニヤする謎の桃姫。もといラピス。
 実のところ、2つの扉の間に隠し扉があったりしたのであった。
 とってもズルいと言うなかれ。心理的な盲点とか、そういう感じのアレである。

「ああ、大丈夫だ。俺は至って冷静だ。今なら優れた理性で何の躊躇いも無く身体能力を全力行使して殺すだけの化け物になれそうなほどに」
「……」
 ナナギが、ちらりとヨウの方を見やる。
 ちなみに目の前には、眼鏡をかけたエルフの忍びの少女風そっくりの人形が置いてあったりする。
 ピンポイントだ。かなりピンポイントで狙ってきている罠だ。
 罠だなんて事は分かっている。
 でも、男には。
 罠と分かっていてもやらなければならない時がある。
「あー、こうなったらやけだ! 行ってやろーじゃないか!」
 ナナギの散り様を見届けた後、ヨウは叫んで武剣を構える。
 こうなれば、力ずくでいくしかない。
 扉を思い切り開けると。
「うわ、やっぱりあったよ、これ……」
 どろりの池に浮かぶ、浮き島の数々。
 これはちょっと、武器では破壊できない。
「にしししし、竜神池なのじゃ♪」
 ラピスらしき影が浮き島の向こうにある扉の奥に消える。
 少し髪の色が違ったような……?
「……ま、やるしかないか」
 でも、いきなり1つ目でどぼん。
「な、なんだこれ? 普通のどろりじゃない!?」
 そう、実はチョコどろり。
 ランララ仕様らしいが、主成分は不明である。
 全身チョコ色になりながら、ヨウは考えた。
「そーいやアルカナ何処行ったんだ? 先に来てる筈だろ?」

「てりゃあ!」
 アルカナのエンブレムシュートが、先行してきていたルリィのクリスタルインセクトを打ち砕く。
「ふっふっふー、こんな小道具はダメなんだよ♪」
 楽しそうに言うと、スキップしながら通路を進んでいく。
 ヨウがチョコどろりにはまっている、実にそのときの出来事である。
「……クリスタルインセクトが破壊されたにょ」
「誰かにやられたにゅ」
 ルリィとユーロは、互いに顔を見合わせる。
 まだめぼしい宝も見つかっていないから、遺跡を吹っ飛ばすわけにもいかない。
 確か向こうには、扉があったはずだ。
「魔砲バスタースパークにょ!」
 ルリィのエンブレムノヴァが扉を破壊した、その時。
 扉の向こうから流れ出た大量のどろりが2人を思いっきり押し流したのであった。
「うぅ、服の中までどろりです〜」
 ルリィとユーロ共々どろりの濁流に飲み込まれたクーヤが哀れっぽく言う。
 でも、同じようにどろりまみれな2人に視線を走らせる事を忘れない。
「あらあら、みんなもどろりまみれですね〜♪」
 まさに神速。凄い速度で回り込むと、無駄にエロい動作で胸元からどろりを掬い取って舐める。
 まさに百合の花畑。
 あまりにも夢中になりすぎて、先の角に罠の発動具合を確かめに来たアルカナが居た事にも気づかなかったり。
「な、なんか凄い所に来ちゃったんだよ……逃げちゃえ」
 クーヤ、百合の花咲き乱れ中につき1回お休み。

「ぬけ……られない……」
 ずぶずぶと、どろりの池にはまっているスウルをシエラが引っ張り出す。
「にひひひひひひ、ジブラルタル海峡はバランス良く渡らないと抜けられないのじゃよ♪」
 ひょーい、と細い橋を渡っていく自称・謎の桃姫。
「……っていうか、ラピス団長ですよね」
「あれはきっと、謎の桃姫なんだよ」
 いつの間にか現れたアルカナが、ひょこっとシエラの横に顔を出す。
「あれ、アルカナさん。何処に居たんですか?」
「ふっふっふー、秘密なんだよ♪ それとね、さっき……」
 そこまで言ったところで、シエラの頭上にウレタン岩が落下してくる。
 スコーン、という音を立ててシエラはどろりの池に落下する。スウル諸共。
「さっき、アビスフィールドが展開されてたから危ないよって言おうと思ったんだけど……遅かったみたいだね」
「あら。そんなところで何やってるの?」
 クスクスと笑いながら出てくるフラル。
 思いっきり自分が犯人だと物語っている。
 クスクスと笑いながらスウル達を突付くフラルと、面白そうに見ているアルカナ。
 が、突然の気配を感じ取ったアルカナはその場から飛びのく。
「お宝ゲットです〜♪」
 ズゴゴゴゴ、とか音が出そうなオーラを漂わせながらクーヤが飛び掛ってくる。
 が、アルカナが避けたので何も抱きつく対象が無く。
 そのまま、どろりの池の上空へと到達する。
「ゆりー!?」
 恐るべき瞬発力が仇となったか。
 アホ毛を残して、どろりの池へと沈むクーヤ。
「助けてゆりぃ〜」
「な、何だかすっごい身の危険を感じたんだよ……逃げちゃおっと」
 哀れっぽく言うクーヤをそのままに、アルカナは橋を器用に渡っていく。
「む、アルカナか……捕まえればラピスの居場所が分かるかもしれんな」
「それじゃ、弾幕張って捕まえるにゅ」
「魔砲撃ち放題にょ」
「いや、それはマズいんじゃないか?」
「その甘えが艦を沈めるにゅ」
「艦って何だなぁ〜ん?」
 次々と現れる面々。一部はかなり物騒な事を言っている。
「うわわ、何だかマズい予感なんだよ!」
 橋を渡りきって、扉を開けようとするアルカナ。
 だが、そこで向こう側から扉が開かれる。
「うわたっ!」
 思いっきりバランスを崩して、どろりの池に落ちるアルカナ。
 それを察知したか、海を泳ぐ鮫のごとく動き出すアホ毛……じゃなくてクーヤ。
 アルカナとクーヤの追いかけっこをよそに扉の向こうから出てきた人物は、各人の想像を裏切るものだった。

●崩壊、風雲どろり城
「あら?」
 そこから出てきたのは、シャワーであった。
 何故かビショ濡れであるが、きっとこの先の罠か何かの仕業なのであろう。
 各人がそう考えながら奥の部屋に進むと、そこには想像を絶する光景があった。
 何やら壊れた桃型の何かと、そこに倒れた同じ格好をした2人……すなわち、ラピスとナリュキ。
「うにゃー、まさか人力巨大桃戦車がたった1人相手に……」
「恐ろしい相手だったのじゃ……」
 果たして何があったのか……永遠の謎であった。
「ま、ともかく。お仕置きフルコースだな」
 ナナギが進み出る。
「にひひひひひひ……そうはいかないのじゃよ」
 死んだフリポーズのまま、ラピスが何かをポチッと押す。
「ふっふっふっ……なんかもう、何が来ても驚かんぞ?」
「どうせ、どろり漬け……だしな」
 余裕の表情のヨウとスウル。
「にしししししし……崩壊ボタンなのじゃ」
 ラピスと同じく死んだフリポーズのまま、ナリュキが笑う。
 天井がバコリと割れて、流れ出してくる大量のどろり。
「どさくさだから弾幕ごっこして遊ぶにゅ!」
「受けて立つにょ!」
「そんな事より逃げるぞ!」
 思いっきり、全速力で逃げ出す面々。
 まだ追いかけっこしていたクーヤとアルカナをも巻き込んで、どろりの波が荒れ狂ったのだった。

 結局、全員どろりに巻き込まれ。
「さて、日も暮れましたし寮に帰りましょう〜」
 1人元気なクーヤが、アルカナを背負って家路につく。
 しかし、その途中で。
「ていっ、なのじゃ!」
 何者かの襲撃を受けて、背中の荷物(アルカナ)を奪われたそうである。

●終劇
 そして、何処かの崖の上。
「アトラクション潰れてアイテムも持って帰られて……妾の今月のお小遣い空っぽなのじゃ」
「ボクも今回は色々と危険だったんだよ……」
「まー、当初の予定通りロンリーな寂しさは忘れてもらったと思うのじゃよ」
 雷鳴轟く何処かの崖で。
 空っぽになったお財布を空しく振るラピスとナリュキ。
 色んな意味で疲れた顔をしたアルカナの姿があったという。
 そして……ボキボキと腕を鳴らしながら近づいてくる、どろりまみれのアルカナ魔法騎士団の面々の姿も。


マスター:じぇい 紹介ページ
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