ぎょっ



<オープニング>


●池釣りで「ぎょっ」
「この季節、池の表面に張った氷に穴を空けて、そこから魚釣りを楽しむ人たちがいらっしゃるそうです」
 真実求む霊査士・ゼロ(a90250)の言葉に、それは風情があって楽しそうだと冒険者たちも頷く。
「しかしその釣り人たちの話によりますと……何とも巨大な魚が現れ、身の危険を感じた釣り人たちは慌ててその場を去ったのだと言います」
 それはさぞ驚いただろうと言う冒険者たちに、ゼロは霊査による情報を伝えてゆく。
「池の広さは半径30mを超えるもので、表面の氷はそこそこ厚く張っている様子です。ですから多少なら割れて落ちることも無いでしょう。但しところどころ釣り人があけた穴があったり、問題の巨大魚が襲い掛かってくると流石に割れてしまうでしょうから注意してください」
 凍った池に落ちると大変ですからとゼロは言う。
「巨大魚は全長3mほどの魚で、池の氷の上に立つと襲い掛かってくるそうです。その勢いは表面の氷を破るほどですので、回避しないと池に落とされてしまうでしょうから注意してください」
 それではお気をつけてとゼロは言って、冒険者たちを送り出すのだった。

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参加者
赤黒眼の狂戦士・マサト(a28804)
ど根性商人・メイリィ(a35437)
四季・カーサ(a36741)
白鳳の拳・ラッツ(a39308)
流浪の日和見風見鶏・デラガ(a39324)
一生紫を愛す司書・コハク(a39685)
白色武人・イヅル(a42347)
紋章術使い・ダグラス(a43699)


<リプレイ>

●氷上の戦い
「さ〜て、今回は氷上での依頼だからな」
 赤黒眼の狂戦士・マサト(a28804)を始めとする冒険者たちは問題の池に到着してその様子を窺っていた。目の前に広がるのは氷が張った状態の大きな池。
「凍った池での釣りか……一回やってみたかったんだよねー。っとその前に巨大魚退治か」
 氷上の所々に見られる釣りの為に空けられた穴を見ながら呟く白鳳の拳・ラッツ(a39308)。釣りの名所であるこの池に、巨大な魚が現れて釣り人を襲うのだという、冒険者たちはその退治を依頼されてこの池へと訪れたのだ。
「釣り人の邪魔をするたぁ、いい度胸だ」
 魚は魚らしく釣られとけと言う四季・カーサ(a36741)だが、それを聞いた流浪の日和見風見鶏・デラガ(a39324)は少しだけ浮かない顔をしていた。
「巨大魚か……人が勝手に釣りをするんで怒っている池の主なのかもしれねぇな」
 少々複雑な心境のデラガだったが、それでも依頼された以上は役目を果たすと意気込んでいる。
「釣り人も巨大魚が自分の下に居たんじゃ、不安で釣りもできんじゃろう」
「池に安全を取り戻すために頑張りましょう!」
 そんなデラガの心情を察したか、猫を愛でる司書・コハク(a39685)や白の少年・イヅル(a42347)がこれも人の役に立つ仕事だと言って頑張ろうと呼びかける。それに応えるように心配無用だと頷くデラガ。
「がんばっちゃうんだっ! おー! おーっ!」
 不安を吹き飛ばすど根性商人・メイリィ(a35437)の掛け声にそれではと言って、紋章術使い・ダグラス(a43699)は巨大魚の餌……もとい囮とするべく土塊の下僕の召喚に取り掛かり始めた。

 しばしテクテクと氷の上を歩く土塊の下僕の様子を見守る一同。氷上には釣り人の穴も幾つか穿たれているものの、60cmほどの体長を持つ土塊の下僕の重さではびくともしない様子だ。
「あれは……!」
 声を上げるカーサ。見れば土塊の下僕の下にユラユラと黒い影が近づいてきていた。それを確認して身構える冒険者たち。
 どばしゃーん
 池の氷を突き破って巨大魚が飛び出してくる!
「あちしはちゃんとがんばれるよっ!」
 その瞬間を待ち構えていたメイリィが緑の突風を放つ! 土塊の下僕は巨大魚に一撃されて砕け散っていたが、木の葉吹き散らす突風に煽られてざぁっと氷上に投げ出される巨大魚、ビチビチと暴れて表面の氷がギシギシと音を立てていた。
「動きを封じにかかろう」
 スーパースポットライトの眩い光を放つデラガに、僅かタイミングをずらして影縫いの矢を放つカーサ。びくっと身を震わせるように止まった巨大魚に、他の冒険者たちも攻撃を仕掛けようと氷上に出た。
 ぎし……びき……
「この寒さですもんね、池に落ちないように頑張ります」
 足元に注意しながら武具の魂を発動させるイヅルに、マサト、ラッツも氷上を進む――が、
「気をつけるんじゃ!」
 コハクの声が響く。ほとんど同時にばきっと激しい音を立てて氷が砕け散り、水中に落ちる……巨大魚。コハクが放ったソニックウェーブは、惜しくも巨大魚が落ちてすぐにそこを通過した。
「ちっ、氷が割れたか」
 悔しそうに呟くマサト、たまたま釣り人の穴が幾つかある所に巨大魚が落ちたのか、それとも巨大魚が氷上に投げ出されて激しく暴れたせいか……巨大魚の下の氷が破れ、再び池の中へと沈んでいってしまったのだ。
「失敗してもメゲないんだ、成功するまでがんばるよっ!」
 メイリィの言葉に一同は頷き、氷上の者は再び岸へと戻る。そして再度土塊の下僕を囮にするようにダグラスが命じて氷の上を歩かせ始めた。

 ………

「出て……きませんね」
「麻痺したままなのかなー」
 イヅルの言葉にけらけら笑いながら答えるカーサ。スーパースポットライト、影縫いの矢の麻痺がまだ効いているなら、水中で動けずにいるのかもしれないと言って。
「一回釣られて、警戒しているのかもしれないね」
 氷の下に注意しながら言うラッツ。しかしダグラスの用意していた土塊の下僕も4回のみ、始めに一体が倒されてから続いて一体ずつ、効果時間が切れるまで再度召喚していたが、今のが最後だとダグラスは仲間たちに告げていた。
「効果があがらないなら、俺が行こう」
 囮役を買って出るデラガ。イリュージョンステップの巧みな足捌きで軽やかに氷上へと踏み出した。そんなデラガの背を見送りながら、イヅルも武具の魂を掛け直す。
(「さて、どこから来るか……」)
 臆病者の勘も利用して危険を察知するつもりだったデラガだが、それは自分に危険が迫ると何となく嫌な予感がするチキンレッグの特殊能力。この『氷の下に巨大魚が潜み、氷には幾つも穴が穿たれている』というどう考えても危険な状況では、言うまでも無く常に嫌な予感がビンビンしているのだった。

 どばしゃーん!
「甘いっ!」
 それでも接近してきた影を見逃さず、飛び出してきた巨大魚をひらりと回避するデラガ。
「吹き飛ばしちゃうんだっ♪」
 作戦通りに緑の突風で氷の上へと吹き飛ばすメイリィ。できれば地上へと吹き飛ばしたい所なのだが、こちらが池の岸に居るので、後方に吹き飛ばす緑の突風では陸に揚げさせるのは位置的に厳しい。
「今度こそ逃さぬよ」
 両手のサーベルを振り抜いてコハクの放つ衝撃波が巨大魚を貫く。ソニックウェーブに続いてラックも飛び出した!
「あとはみんなで協力して倒すべし、だね」
 連続で蹴りを叩き込み、反対側からはイヅルがモーニングスターに稲妻の闘気を込めて巨大魚に攻撃を仕掛けていた。
 巨大魚と二人の足元で、戦闘の衝撃と重さにギシギシと氷が音を上げていた。
「急がねぇとな……刺され!」
 滑るように釣り人の穴を避けつつ、チェインシュートで黒い剣を射出するマサト。先ほど逃がした経験を忘れずに、氷が割れる前に急いで駆けつけようというのだ。
 生み出されたアビリティの鎖に繋がって、巨大魚の身に突き刺さる黒い剣。技属性のアビリティなのでダメージは大きく無いが、目的はダメージよりも巻き上げる反動を利用し、氷上を滑るマサキ自身の接近スピードアップだ。
 じゃらららっ!
 特に強く固定されている訳では無いので、巻き上げられるアビリティの鎖に黒い剣は巨大魚の身から抜けてマサキの手に戻る。しかしお互いに引っ張られて巨大魚とマサキは氷上を滑ってグングン近づいてゆく! マサキはぱしっとキャッチした剣を構え……。

「あ」
 ずばしゃーん、と盛大な水音を立てて池の中へと落ちてしまっていた。それは最初に巨大魚が土塊の下僕を襲いざまに突き破ってきた大きな穴だ。チェインシュートの反動を利用して滑っていたマサトはその穴を避けきれずに冷たい水の中へと投げ出され、少し遅れて引っ張られていた巨大魚も落ちてくる。
(「来る!?」)
 まさに水を得た魚の如く素早い動きで向かってくる巨大魚の牙を剣で受け止めるマサト。冷たい水で体は上手く動かないが――。
(「はぁぁっ!」)
 黒い剣に渾身の闘気を込め、その顎にデストロイブレードを叩き込む! 一撃を受ける巨大魚から血が流れ出すが、剣が外れたことでマサキの腕にがぶりと噛み付いてくる。
 どぼん
 そこにもう一つの影が水中へと身を躍らせていた。掌を突き出すような体勢のそれは、ラッツ!
(「はっ!」)
 叩き込まれる破鎧掌の『気』が爆発し、巨大魚を水中深くへと押し飛ばす。そしてラッツはもう片方の手に持ったロープをマサトへと指差して二人で掴まった。
「手伝ってくれー」
 氷上でロープを引っ張るはカーサ。そのロープを岸の岩へと括り付けていたダグラスも戻って来て引っ張り、何とか二人を水中から引きずり出す。
「一発くれてやった、もう少しだな」
 水を払いながら言うマサト。水の中では全力は出せなかったが、それでも手応えは確かだったらしい。噛まれた腕の傷はダグラスが癒しの水滴で回復させている。
「最後の詰めだな……くるぞっ!」
 危険を察知したデラガが叫び、素早く一歩跳び退る。巨大魚はその身から血を流しながらではあるが、氷を突き破って再び飛び上がっていた。
「倒すまで何度でもがんばるよっ!」
 杖から巻き起こるメイリィの突風が、三度その身を氷の上へと躍らせる。吹き飛ばしで軌道が変わらないように、メイリィの左右に立つコハクとカーサがそれぞれ攻撃を放つ。
 一つは武器を振り抜いて放たれた音速の衝撃波、ソニックウェーブ。
 一つは気を練って作られた幾つもの刃、飛燕連撃。二条のアビリティは真っ直ぐに巨大魚に向かい、その身を穿つ。
「ミスは許されませんからね」
 叩き付けるようなイヅルの電刃衝に麻痺したか、びくんと身を震わせて動きを止める巨大魚。そこにラッツとマサト、水に落ちた二人がその恨みを晴らさんと、水を滴らせながらも駆けつけた!
「お返しだよ!」「うおぉぉっ!」
 連続で蹴りが叩き込まれる中、振り上げた巨大剣が闘気を帯びて振り下ろされる! デストロイブレードの一撃に、魚の瞼の無い目が白目をむいた。

 びし、びし、びし……
「ま、まさか……」
 呟いた言葉は誰のものか、もしくは皆が思った言葉か……激しい戦闘に、池の氷には幾筋もの亀裂が走り始めていた。
「うわわわわっ!!」
 ぼちゃ、ぼちゃーん!
 一瞬の後に氷が割れまくり、冒険者たちは冷たい水に晒されるのだった。

「魚は……沈んじまったみてぇだな」
 ぶるっと身を震わせて水を払い、呟くマサト。それを聞いたメイリィも残念そうに頷く。
「食べられるなら食べてあげようと思っていたのに……」
 しかし池に沈めば他の魚の餌になるだろう。そうなればその命も無駄にはならないと、メイリィは池の前で手を合わせていた。
「もう落ちたけど……やっぱオチはつけないとねー♪」
 コハクの背を狙って突き飛ばそうとするラッツだが、それをコハクはひらりとかわす。
「甘い、そんな考えなどお見通しじゃ!」
 言って逆に足を引っ掛け、ラッツが転ぶように池に倒れこむ。
「ぬぉ!? でもタダでは落ちないっ!?」「ちょ、待てーぃ!」
 どばしゃーん
 体勢を崩しながらもラッツはコハクの手を掴んで、二人は一緒に池へと落ちていたという。再び上がった二人のストライダーの狐尻尾には魚が食いついていたとかいなかったとか。
「早く乾かさないと、風邪を引きますよ」
 イヅルとダグラスはそんな様子を見つつ、焚き火を焚いて皆の濡れた体を温めて乾かすように勧めていた。デラガもずぶ濡れになった羽毛を乾かしていた。
「ちと、氷は割れちまったが……これで池の平和は守られたな」
 一服しながら言うカーサに、少々震えつつではあるが冒険者たちは頷くのだった。


マスター:零風堂 紹介ページ
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作成日:2006/02/21
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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