ミッドナーの家事大作戦



<オープニング>


「ねえねえ、ミッドナーってランララの時は何してたの?」
「……え?」
 突然のトレジャーハンター・アルカナ(a90042)の問いに、夜闇の霊査士・ミッドナー(a90283)は珍しく表情を変えた。
「……そういうアルカナさんは何をされてたんですか?」
「ボク? いつも通りなんだよ」
 つまり、何処かでワイワイやっていたわけだ。
「そういえば、ハデスさんは何処か遠くに自分探しに行ったとか言ってましたね」
「自分探しってキャラじゃないんだよ」
「全くですね」
 酷い言われようである。この場にゴールディ・ハデス(a90268)が居たら、いじけていたかもしれない。
「で、ミッドナーは何をしてたの?」
 軽く舌打ちをする。誤魔化せなかったらしい。
「……私もいつも通りですよ」
 本当は、部屋で寝ていた。
 気が付いたらランララが終わっていたなんて、死んでも言えない。
 普段から色々やって疲れているのはあるし、言えばアルカナは素直に納得してくれるだろう。
 でも。
「……」
 じっとアルカナを見つめる。
「ん、なーに?」
 アルカナは、素直で裏表が無い。でも、その分口は軽い。羽よりも軽い。
 他人にはクールな所だけ見せていたいミッドナーとしては、アルカナにそれを話すのは躊躇われた。
「……ええ、いつも通りですよ」
「ふーん」
 どうやら、納得してくれたようだ。
「じゃあ、ミッドナーもお菓子作らなかったんだね」
「お菓子……ですか」
 確かに、ランララにはお菓子を作って渡したりする風習があると聞いたことがある。
「……お菓子……」
 考え込む。
 もし、起きていたとして。
 果たして自分はお菓子を作っていただろうか?
 自分には合っていないような気がする。
「そういえばハデスって、意外と料理上手なんだよね。居たら色々お菓子作って貰いたかったなあ」
 ちなみに、ランララはそういうイベントではない。
 アルカナはランララをお菓子祭りか何かと勘違いしている。
 だが、今気にするべきはそこではない。
「アルカナさん……今、なんと?」
「うん、お菓子作って貰いたかったなあって」
「その前です」
 冷や汗がつたうのが分かる。
「ハデスは料理上手だなあって」
 ちなみにミッドナーは、料理が苦手である。
「良く自分で作ってるみたいだよ」
 ちなみにミッドナーの食事は、ほぼ全てを酒場でとっている。
「……ありえません」
 真っ青な顔でよろめく。
 何ということだろう。
 普通、逆ではなかろうか。
 あの細かい事を気にしない派手男が、なんで料理なんか得意なんだろう。
 高笑いしながら砂糖の分量とかを細かく量っているのだろうか?
 それに引き換え、自分はどうだろう。
 いつも酒場で、お酒を樽で飲んでいるだけだ。
 自炊など、記憶にすら無い。
「……なんて、ことでしょう」
 負けている。
 よりにもよって、ハデスに。
「だ、大丈夫なのミッドナー? なんだか顔色が変なんだよ」
 心配して駆け寄ってくるアルカナに支えられて立ち上がる。
「……ふ」
「ふ?」
「……ふっふっふ……」
 不気味な笑いを漏らすミッドナー。
「……私だって、やれば出来るんです。見てなさいハデスさん。私を馬鹿にしたこと、後悔させてあげます!」
 ハデスは何もしてない。
「アルカナさん! やりますよ!」
 ギッと睨むミッドナーに、アルカナがビクッとする。
「な、何を?」
「家事修行です。冒険者の心得合宿とかそーゆー名目で皆さんを集めて、家事の奥義を習得するんです!」
 普段からは想像も出来ないミッドナーの姿に、思わず脅えつつも。
「わ、分かったんだよ」
 とりあえず、その場から逃げ出すアルカナ。
 後日、アルカナが皆に伝えたのはこのような内容であった。
「あのね、ミッドナーが花嫁修業するんだって」
 色々間違っている上に直球である。
 しかも飛躍しすぎている。
 かくして家事修行用に借り切った酒樽亭をも巻き込んで、事態は無駄に大きくなるのであった。

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参加者
NPC:夜闇の霊査士・ミッドナー(a90283)



<リプレイ>

●酒樽亭・朝の始まり
 その日の酒樽亭1階。
 ミッドナーは、怖いくらいにいつも通りだった。
「……それじゃ皆さん。今日は頑張りましょう」
 いつも通りの態度。目にもやる気は感じられない。
「あわわ……すっごく怒ってるんだよ」
 トレジャーハンター・アルカナ(a90042)の言葉を聞いて紅蓮昂翼天使の翼・シオン(a37824)がもう1度ミッドナーを見る。
「……何か?」
「いや、別に」
 そうですか、と言ってミッドナーは厨房へと消えていく。
 やはり、いつも通りに見える。
「よう! ミッドナーが花嫁修業なんて……嫁の貰い手でも出来たのか?」
「わわわ! それは誤解だったんだよ!」
 遅れて来た赤雷・ハロルド(a12289)の言葉に、慌ててアルカナが弁解する。
「で、アルカナも付き合って花嫁修業なんだ。お城に将来住む予定なら、いい心がけかもな」
「ボクはお姫様になるから、お掃除なんかしなくていいんだよ」
 えっへん、と胸を張るアルカナ。彼女の未来想像図は明るいようだ。
「相手は誰だぎゃ!? まさかハデ……」
「あ、ちょっと試食お願いできます? タマネギのタマネギ和えですけど」
 厨房から轟く、赤い風・セナ(a07132)の悲鳴。
「ああ、ちょっと目を離してるうちに被害者が出ちゃったんだよ……」
「アルカナが花嫁修業なんて言うからだろ?」
 そう言うハロルドを、アルカナがキッと睨む。
「なんだよ、ハロルドはボクが悪いっていうの!?」
 失礼しちゃうな、とか言って厨房へスタスタ歩いていく。
「問題ない……」
「問題あるのっ!」
 ぎゅー、という音が出そうな程に漢・アナボリック(a00210)のほっぺたを引っ張る。
 とんだとばっちりであった。

「ま、とりあえず料理と言うのは味付けの基本5種類の五味、調理法の基本5種類の五法を組み合わせる事でかなりのバリエーションを網羅する事が出来る」
 月吼・ディーン(a03486)の解説を、風を司りし竜の娘・レイム(a25946)が一生懸命聞いている。
 その側では子狐とハムスターが、やはり説明を一生懸命聞くかのように鎮座している。
 で、肝心のミッドナーが何をしているかというと。
「じゃあ、このエプロンを……」
「それでは、こちらの……」
 関北高校新聞部・セリア(a16819)と灯火を掲げる天使・トリシア(a20250)が、ほぼ同時にエプロンを取り出す。
「……」
 それを興味無さそうに見つめるミッドナー。
 とりあえず、セリアのエプロンを着ける。
「あ……かわいい……」
 そんな感想をセリアが漏らす。
 ミッドナーのいつものスーツ姿にエプロンは、どうにも違和感がある。
「やはり基本は目玉焼きかな?」
「包丁の使い方から教えたほうがいいんじゃないのかな?」
「ええ、その後料理にしましょう」
 そんな事をいうセリアに、狂葬の顎・ユーディス(a43754)が同意する。
「じゃあ、まずはキャベツの千切りを……」
 そこまで言って、包丁を構えた翠風奏者・ベリル(a25650)の動きがピタリと止まる。
「駄目だ! 幾ら野菜とは言え、植物を傷付ける訳にはいかない。コレドリアッドのオキテ」
 そんなベリルの近くでは、レイムが包丁を正眼に構えていたりする。
「……前途は多難ですね」
 ミッドナーは、そう言いながらキャベツを切り始めるのだった。

「ボクが近所のお姉さんに聞いた話では、料理は「ちょっと下手だけど、あなたのために頑張って作ったの」感がある方が、ハートを直撃するらしいのだなぁ〜ん」
「そですか」
 不屈の守護者・テフテフ(a28538)の言葉に、ミッドナーがそんな素っ気無い言葉を返す。
 やはり、この手の話題はミッドナーには合わないのだろう。
 そんな事を周りの者が考えた時、ミッドナーの動かしていた包丁の音が止まる。
「……私にはよく分かりませんけれど。誰かを想う人の心が料理によって伝わるというなら……」
 包丁を置く音がして、ミッドナーが振り返る。
 いつもと変わらない表情で。しかし、その声に少しだけ優しい響きを持たせながら。
「料理とは、素晴らしいものですね」
「そう、か?」
 ミッドナーのフォローをしていた守護闘神・カイト(a34175)が、思わず聞き返す。
 それ程、ミッドナーらしからぬ台詞であった。
「ええ。想いを伝えていく事の手段の1つが料理であるなら……私は一冒険者として、少々努力を怠っていたようです」
 そう言って、再び包丁を動かし始める。
 想いを伝える、ということ。
 単に戦う事だけが力なら、最強の生物はモンスターだ。
 それだけが力ではないから、モンスターは最強足り得ない。
 想いを伝え合うから、強大なモンスターにも打ち勝てる。
 その想いを伝える手段の1つが、料理。きっとそう言いたかったのだろう。
「……ふむ」
 黒豹・サキト(a38399)がポン、とミッドナーの頭に手を載せる。
 本来、そこまで気負うようなものでもないのだが。
 生真面目なミッドナーに、そこまで期待するのは難しいに違いなかった。
「……想定内だ」
 少し……いや、かなり焦げた料理を口に含んで渋い顔をしながら、アナボリックが呟く。
「ま、最初は誰だって失敗するもんだってばよ。これから精進すりゃあ良いって」
 そう言いながら撫で撫でするコータローの手を払うと、ミッドナーは呟いた。
「……おかしいですね。想いは伝わったはずなんですが」
 やっぱり、味も大切である。

●酒樽亭・朝の終わり
「ノーノーノー! 駄目駄目だぎゃ! 料理作る時の姿勢が悪いんだぎゃ! 卵をかき混ぜる時は…こうっ!」
 カッと効果音が出そうな程に、セナが勢い良くポーズを取る。
 体を極限にまで捻った、人体の稼動範囲ギリギリのポーズである。
「じゃあ、次はキノコのかさの部分にですね……」
「ふむふむ」
 一瞥もせずに黒百合纏いし琥珀の料理人・ゼソラ(a27083)の方を向くミッドナー。
「無視ぎゃ!?」
 同時にゴキッと破滅の音を立てるセナの腰。
「カケルさんも。余所見してると失敗しますよ」
 チラチラとセナを見ていた白黒少女・カケル(a15946)に言うミッドナー。
 時空の錠前・ニイナ(a16149)のマッサージを受けながら、呻くセナ。
「世の中そう言う事もある」
 普通はない。たぶん。
「こう……ですの……?」
 夜奏愛霞・リシェ(a30374)が、心配そうな顔で鍋に食材を入れていく。
「うわあ、リシェちゃん凄いのですっ」
 そんな様子を白き翼の探求者・ユノ(a35089)が見て驚く。
 慣れない煮物のせいかリシェの手つきもたどたどしいが。それでもユノには素晴らしい腕前に見えた。
「そうそう、あとは煮込めば闇鍋の完成でござるよ」
 そう言って笑う風の向くまま気の向くままに・ファンレイ(a38279)。
 教えて貰う相手が、破滅的に間違っていた。

「む、早速試食するかのぅ」
 天地を裂く黒炎の重戦車・ナムール(a40973)がそう言って、出来てきた料理に手を伸ばす。
「少し味が薄いかのぅ」
 素直で、しかし嫌味は感じさせない批評をする。
「んー、そうかな」
 其は月に詠われし幻・シャオリィ(a39596)は一口食べて、また違う批評をする。
「調味料を少し変えてみたほうがいいんじゃないッスかね? これはちょっと……」
 自滅剣光・グレン(a38961)の批評は、他の者とは違って辛口である。
 あまりいい評価を得られずに思案するミッドナーの肩を、彩雲追月・ユーセシル(a38825)が笑顔でポン、と叩く。
「家事なんて出来なくても生きていけるよ」
「冒険者の心得が食事を調達する事ならば、セイレーンの心得は食事をありつかせてもらう事だと故郷では習ったな」
 ユーセシルに続けて、そんな事を言い出す探索士・エルヴィン(a36202)。
 色んな意味でダメダメである。
「そろそろ昼か。俺はもう腹一杯だが……出来たの運ぶか?」
 散らかった厨房を掃除していた征炎壁鋼・アガート(a01736)が言うと、適度にお腹の空いた面々は大賛成したのだった。

●酒樽亭・昼の始まり
「んじゃ、机を拭く時は外側を先に拭き内側を拭いてだな……」
 アガートが、簡単な掃除の説明を始める。
「わわわー!」
 雑巾に跨って手すりを滑り降りていた美少女剣士ブルーシャフト・デイジー(a29260)が、櫻を愛した栗鼠・ガルスタ(a32308)に衝突する。
「あー……ガルスタ、大丈夫?」
 そんなガルスタを、栗鼠を愛した櫻・アティ(a32376)が助け起こしつつデイジーにやんわりと注意する。
「だって、この方がてっとり早いじゃない。えー? ダメなのー? ケチー」
「……ま、あとは実践だな」
 アガートの説明がそこで丁度終わり、各自がそれぞれの場所に散っていく。

「そのスーツを洗うのとかは、専門職に任せたほうがいいな」
「……なるほど」
 煉獄の修羅・タダシ(a06685)の言葉に、ミッドナーは何となくやる気の無さそうな顔で返事を返す。
 いや、ミッドナーの場合、これが素だ。
 恐らく、聞いているのだろう。
 説明を続けようとした時、酒樽亭の中から様々な騒音が響いてくる。
「……中庭に来て正解だったかもしれませんね」
「そうだな。で、話の続きなんだが」
 どちらも、慣れたものであった。

「あ、ほらそこ、ちゃんと拭けてないぜ?」
 ハロルドが窓枠に指を滑らせ、埃を手にとって見せる。
「あ、ほんとなんだよ」
 振り向いたアルカナは雑巾で、埃の乗ったハロルドの手を丹念に拭く。
 ちなみに、悪気はない。
「しょうがないなー、ハロルドは。ボクはちゃんと1人で手を洗えるんだよ♪」
 ただ、単に。盛大にズレているだけである。
「これも家事……な゛ぁ〜んッ!」
 その近くでは、桃ノソリンの行かず後家・トロンボーン(a34491)が箪笥やベットを掃除の為に移動させていたりする。
 そこまでやらなくてもいいのだが。せっかくだから、ということで大掃除である。
 そうやって運ばれたベットから外したベットシーツを、蒼銀の癒手・ジョゼフィーナ(a35028)が中庭へとを運んでいく。
「雑巾が……絞れませぬ……」
「だからー、こうやって思いっきりやるのよ」
 夜蝶嬢王・ペテネーラ(a41119)が孤独を抱く月の雫・セラフィン(a40575)に雑巾の絞り方を教えている横を通り過ぎ、中庭へ。
 そうして移動してきた中庭でも、、一騒動あったりした。

「そうだよね! ミッドナーさんが結婚なんておかしいと思ったんだ〜」
 そう言って笑う笑顔の剣士・リュウ(a36407)。
 いつも通りの表情でそうですか、と返すミッドナーからは、感情は読み取れない。
「いやー、先を越されたかと吃驚したよ〜」
「そりゃ……ですけどね」
「ん?」
 大きな声で笑っていたリュウは、ふと聞き返したが「なんでもありません」の一言で打ち切られてしまった。
 そりゃ……私みたいなのを好きになる人なんて居るわけないですけどね。
 ミッドナーはそう言っていたのだが。
 聞こえた者が果たして居たかどうか。

「ふう、洗濯も意外と体力をつかうものじゃのう」
 そう言いながら月日震裂黄金の双刃・プラチナ(a41265)が通り過ぎていく。
「まあまあ、これも花嫁修業だと考えれば楽しいもんだよ」
 悲緑の輝石・ミドリ(a41645)は、楽しそうに洗濯をしている。
 ちなみに、ミドリは男である。最も、花嫁修業を男がしてはいけないという決まりはないし、実際に家事は上手い。
「ほら、これを上手く洗うポイントはね……」
 鍛冶屋の重騎士・ノリス(a42975)の持ち込んだ洗濯物をノリス自身に洗わせていたミッドナーに、洗濯のコツを教え始める。
 そうして干された洗濯物達が、翻る。
 皆の努力の成果が、そこには確かにあったのである。

●酒樽亭・夜
「んー、大分上達しましたよね♪」
 夕食を口にしたトリシアが、そう言った。
「食後には、オラの作ったデザートも楽しんで貰いたいなぁ〜ん」
 ギターを弾きながら、夢を紡ぐ吟遊詩人・ドン(a34663)が歌い始める。
 今日の日課もほぼ終わり、ほっとしたひと時。
 各自がどれだけ上達したかは分からないが、頑張った分の成果はあったろう。
「お疲れ様、はい、命の水よ♪」
 ミッドナーの横にやってきたぺネテーラがワインを渡す。
 ドンのギターの音色が響く中、各自はそれぞれの食事を楽しんだのであった。

「あとは回数を重ねていけば上達するよ。花嫁修業がんばれっ♪」
「……違うと言ってるじゃないですか」
 夜、各自の部屋……ではなく、数人で1つの部屋であるが。
 そのうちの1つの部屋でミッドナーはネクタイを解きながら、セリアの問いに疲れたように答えた。
「別に家事の出来云々を気にしなくてもいいんじゃないかなぁん?」
 突然、トロンボーンがそんな事を口にする。
「それに、困ると思うんだったら家事の得意な人と結婚すればいいなぁん! ほら。ハデスさんとか! なぁん」
 上着をかけたミッドナーは、恐ろしいものを見るような目でトロンボーンを見た。
「……とんでもない事を言いますね。冗談じゃないです」
 照れでも何でもなく。心の底からの言葉であった。
「眠れない」
 突如、そう言って司書・ルノア(a42211)が席を立った。
 そのまま部屋を出て行くルノアを、ミッドナーは静かに見つめていた。

「……うわっ、お酒くさいんだよ!」
 アルカナが扉を開けると、物凄いお酒の匂いが漂ってくる。
「なんだ、アルカナか。お前はダメだぞ」
 そう言うタダシの息は、すでに酒臭い。
 近くにいるアガートやアナボリックも、相当酒臭いのだろう。
「問題ない……」
「問題あるんだよっ!」
 近くにあったビンをアルカナが投げると、スコーンという良い音がアナボリックの頭から響く。
「うう……この世の果てに来ちゃったんだよ」
「んで、どうした?」
 タダシの声に、やっとアルカナは本来の目的を思い出す。
「あ、うん。ハロルドは? 闇ノケットしようと思ってたんだけど」
「ああ……未成年だからな。追い出した」
 酷い話もあったものである。
「で、闇ノケットって何だ?」
「うん、ウレタンのボールを投げて4発当たったらピッチャーの勝ちで。4発当たる前にピッチャーをウレタンのバットで殴れたらバッターの勝ちなんだよ」
「そいつはいいな。よし、俺達も普通のバットとボールでやるか!」
「あ……うん。頑張ってなんだよ」
 ゾロゾロと出て行くチーム・酔っ払いを見送ると、アルカナは次の部屋へと向かっていった。

「……信用するに値しない存在がいる場で眠るなど、正気の沙汰ではないわ。寝ている相手を殺す事など、赤子の手を捻る様なものだ」
「そうですか」
 そう言ってミッドナーは、ルノアの隣に腰を下ろす。
「でも、私は霊査士ですから。戦う力はありませんし、何より。他人を信用するのが仕事です」
「……」
 黙って詩集を読むルノア。
 ふと隣を見ると、もうミッドナーは寝息を立てている。
 溜息をつき。そのまま、夜明けを待った。

 翌朝、ボコボコになって倒れていたチーム・酔っ払いを回収して。
 騒がしかったミッドナーの家事修行は、最後まで慌しく幕を下ろしたのだった。


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