<リプレイ>
●元気を出して 「ご依頼……引き受けたです……」 依頼の話を霊査士から聞いたちっちゃな重騎士・パン(a00909)は口を開くとそう言った。そして、霊査士へと微笑む。 「元気出すのです……僕たちは……負けないのです……! 安心して……帰りを待っていて欲しいのです……」
●魔の巣食う森 (「これ以上の被害拡大と村への影響が及ばぬよう、何としてでも赤のブヨブヨちゃんを退治しなければ、ですわね!」) 心の中で意気込んで、艶風に舞う煌紫の華・アコ(a14384)は動物の死骸がないかを探す。 (「弱きものの剣として失敗するわけにはいかないから」) 仲間達が動物や死骸を探す中、獅天咆哮・プルー(a19651)は辺りに気を配り、自分達以外の物音がしないか注意していた。もちろん、頭上に枝葉を伸ばす木々にも気をつける。 「これは……大して新しくなさそうだよね」 干からび掛けた動物の死骸を見つけた強き絆を求めし炎氷の狩人・アイリ(a31666)は「残念……」とため息をつきながら呟く。 片手には、いつ敵が現れてもいいように、弓を握っていた。 時折全員の姿を確認しながら、動物の死骸を探すのは白鴉・シルヴァ(a13552)だ。特に、誰かの背後に敵が迫ってないか、警戒しながら探していた。 「♪リスさん、リスさん。襲われた動物を知らない?」 「ちぃ?」 歌いながら鈴の音を友に舞唄う栗鼠・ハナメ(a25460)は小枝に座る2匹のリスへと訊ねた。顔を見合わせたリスは、森を少し奥へ入ったところに動物が倒れていたと教えてくれる。 「♪ありがとう」 ハナメが礼を言うとリスたちは去っていく。 「奥か。気をつけて進もう」 説明を受けた戦慄の翼・ハクホウ(a23008)は、森の奥を見て呟く。 「……探すのは一苦労ですね」 苦笑を漏らしながらも奥へと踏み出す暗黒呪殺魔術師・シュトロハイム(a41059)。歩きながらでも上下左右を警戒することは忘れない。 「ここ……何かがはいずったような感じではないでしょうか?」 奥へ進むと、真新しい死骸があった。その周りを見ていたヒトの武道家・セツハ(a37324)が、不自然な跡を見つける。 「何か……、聞こえます」 不意打ちを喰らわないよう注意していた陽光に輝く魔弾の射手・ソフィア(a40878)が、跡や死骸を見ている仲間達に告げる。 ……、ズルッ、ズルッ。 そんな音がしたと同時に、森の奥から真っ赤な触手のようなものが伸びてきた。
●たゆたうモノ 「きゃっ!」 伸びてきた触手は、ソフィアの腕を絡め取ると、一気に傍まで近づいてくる。 「失礼しますわよっ!」 ソフィアの腕を取ったままのモンスターの一部をアコが強靭な蹴りで外そうと試みる。 光の弧を描いて、繰り出された一撃は絡みついた部分に当たり、モンスターはソフィアの腕から離れた。 「術士と同じ……という訳には行かないが……これでっ」 プルーは手にした杖に新たな外装を取り付け、その杖の威力を引き上げる。 戦闘体勢が整っていないことを確認したアイリは、弓に矢を番え、放つ。矢はアイリが纏った魔氷と魔炎を兼ね備えて飛んで行き、モンスターに命中すると、氷と炎で包み込む。 傷を負ったものが居ないと確認したミラ(a19499)はセツハの拘束服へ強大な力を注ぎ込んだ。形状が変わり、鎧の強度も増す。 赤く透き通った、炎の矢を作り出し、ハクホウはそれを放つ。モンスターの傍に着弾したその矢は爆発し、ダメージを与えた。 シルヴァは巨大剣を構えると、その剣を上から下へ振り下ろした。ダメージを与えると共に、彼の纏う魔炎と魔氷が、モンスターを包む。 「動物さんたちの敵……必ず討つです……!」 パンはそう言って、地を踏みしめた。 「木が邪魔、だな」 セツハは呟くと、乱立している木の一つをまっすぐ殴った。力の込められた拳で殴られた木は、他の木の葉と擦れる音を立て、地へと倒れる。 「ここは貴方のいて良い場所ではない、排除させて頂く」 モンスターと十分な間を取って、シュトロハイムは黒い炎を作り出した。その炎は悪魔のような形をしていて、七色に光りながらモンスターへと向かっていく。 (「あなたの命を奪う権利は……、誰にもありませんが……ごめんなさい……。あなたが生きていた事……忘れませんよ」) 心の中で呟き、ソフィアは先端に炎のついた矢を放った。着弾した矢は、モンスターを巻き込んで爆発を起こす。けれど、彼女の思いからか、大した傷を与えることが出来なかった。 炎と氷を振り払い、モンスターは身体の一部を固くし針のように尖らせると、近接してきていたアコに向かって突き出した。 「っ!」 盾で受け止めるも、その端、ギリギリで止めた針は、ずれてアコの腕へと突き刺さる。 「これ以上の動物の犠牲は許しませんわっ!」 バランスを崩しながら裂帛の気合と共にアコは叫ぶ。けれど、モンスターは麻痺せず、戦場を動き回った。 「大丈夫!? 今、助けるからね!!」 声をあげ、ハナメは励ましの歌を歌う。その歌はアコの傷口を癒した。 「あまり舐めてくれるな!」 回復の手は要らないと判断したプルーは炎に包まれた木の葉を作り出すと、それをモンスターに向かわせる。 その木の葉は命中すると、再度モンスターを炎で包み込んだ。 「この矢はそう簡単に抜けないよっ!」 鋭い、逆とげの生えた矢を弓に番えながら、アイリが声を張り上げる。放ったその矢がモンスターを貫くと、傷口から血が噴き出した。大きなダメージを喰らい、モンスターは回復源を求めて、ズルズルと音を立てながら、戦場内を動き回る。 ミラは次にアコの鎧へと力を注ぎ込んだ。注ぎ込まれる力と共に、強度が増して行く。 「厄介な敵だね……。思っていた以上だよ」 呟き、ハクホウもまた、逆とげの生えた矢を放った。回復源を求めて動き回るモンスターを回復させないために、その力を封じる。 先ほど、攻撃を仕掛けてくるのに、固くなったところを見逃さず、シルヴァはそこを狙って剣を振り上げる。炎と氷を纏ったその一撃は、モンスターの身体の一部を切り離した。切り離された一部は、しばしぴくぴくと動いているもすぐに動かなくなった。 パンは、更に自身のスーツアーマーに力を注ぎ込む。形状を大きく変えたスーツアーマーは、その強度を増した。準備の整ったパンは、モンスターから皆を守るように、最前線に立つ。 木を倒し、開けた場所を作り出したセツハは、モンスターへと接近するとその身体を掴み上げた。宙へ上げられたモンスターの身体は、ドロッと地の方へ垂れる。けれど、セツハは素早くその身体を足元へと投げ落とした。微力ながらもその攻撃はモンスターへとダメージを与える。 「悪く思うなよ、こちらにも余裕はないんだ……」 シュトロハイムは再度、黒い炎を打ち出した。七色に光りながら、悪魔を模した炎はモンスターを包む。 ソフィアの放った闇色の矢がモンスターの身体を貫く。 ズルズルと、獲物を探しながら動き回るモンスター。不意に、身体の一部を固くし、針のように尖った一撃をパンへと与えてくる。 鎧の強度を引き上げた彼には、その攻撃も大したことはなく、かすり傷を与える程度だった。 ハナメがパンの傷を癒すため、身体から淡く光る波を発する。そのタイミングに合わせて、アコはモンスターへ強靭な蹴りを放った。 再び炎に包まれた木の葉を作り出したプルーは、それをモンスターへと放つ。木の葉はモンスターをつつみ、ダメージと炎を与えた。 「雷の力を秘めし矢よ! 奴を貫け!」 アイリの放った矢は、稲妻のごとく雷光を描いて飛ぶ。その矢はモンスターを貫くと大きなダメージを与えた。 ミラは更に、シルヴァの鎧へと力を注ぎ込んでいく。 その隣で、ハクホウは狙いを定めて赤く透き通った矢を放った。爆発がモンスターを包み込む。 後衛へと攻撃を仕掛けようかと、身体の一部を長く伸ばそうとするモンスターに、シルヴァは手にした剣に極限まで闘気を詰め込み、大きく振り下ろした。モンスターに触れた箇所が爆発を起こし、大ダメージを与える。 セツハは、モンスターへ蹴りを入れた。鋭く強靭な一撃はまばゆい光の弧を描いて繰り出される。 周りが攻撃をしている間に、少し観察していたパンは、握った長剣を大上段の構えに持ってくると、強力な一撃を打ち下ろした。 その一撃にモンスターは息絶え、真っ二つに一刀両断された。
●戦いの後…… 真っ二つになったモンスターの身体から、それまで吸っていた動物達の血がどろりと流れ出す。血は、じわりと少しずつ地面へと吸われていった。 「どうにか……終わったね……お疲れ様でした!」 その様子を見守って、アイリは皆に声をかけた。 (「いつまで経っても……、慣れませんね」) モンスターの最後を見取り、ソフィアは心の中で呟く。 一行は動物達に死骸の在り処を聞いて回ると、それを集め、一箇所に埋めた。 (「次は……平和な世の中に……生まれてくるのです……。それまで……安らかに……眠ってですよ……」) 動物達の墓を前にパンは瞳を閉じて祈る。 アコもその隣で祈った。 「♪危機は去ったからね……」 その様子を見に、集まってくる動物達にハナメは安全になったことを告げる。 動物達は喜んだ様子を見せた。 森の奥へと帰っていく動物達を見送って、一行はその森を後にした。
終。

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参加者:10人
作成日:2006/03/21
得票数:冒険活劇2
戦闘5
ダーク1
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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