【月夜見奇譚】地下に棲むモノ



<オープニング>


●継がれる遺志
 晴れ渡る空。凛とした空気がアヤノの身を引き締める。
 彼女は独り、兄の墓前で手を合わせていた。
 そしてふと、胸にあるお守り袋に触れる。
 兄は『自由に生きろ』と言った。
 だから、彼女は……。
「兄さん。私、冒険者になります……」
 そう告げて、瞑っていた目を開く。
 ――何となく、墓標の周りの空気が優しくなった気がした。

●地下に棲むモノ
「あのね〜。みんなにお願いがあるんだよ〜」
 冒険者の酒場。アヤノを伴ってやって来たミュリンは明るくと笑いながら言った。
「今度は何だ?」
 冒険者達がそう訊ねると、アヤノがミュリンに困ったよう笑みを向けて続ける。
「いや、家にな……。巨大なネズミが出るんだ」
 先日、『雲龍の剣』を取り戻し、亡き兄の遺志を知ったアヤノは、冒険者になることを望んだ。
 その為に色々と準備することも多く、最近は家を空けがちだったのだが。
 そのせいか地下室に数匹、大きなネズミが棲みついてしまったらしい。
「私は1人で退治すると言ったんだが……」
「ダメだよ、アヤノちゃん! 危ないんだから!」
 これ以上友人達に迷惑をかけたくないのか、気が進まないといった風情のアヤノに、ミュリンがぷんぷんしながら言い含める。
「アヤノちゃん、まだ冒険者の卵だし〜。だから……」
「ネズミ退治を代わりにやってくれ、と。そういうことだな?」
 冒険者達の言葉に、ミュリンが元気良く頷く。
「……すまない。あのままで家を空ける訳にもいかないんでな」
「何も遠慮することはない。そのくらいお安い御用だ」
 申し訳なさそうに頭を下げるアヤノに冒険者達が声をかける。
 アヤノが顔を赤らめて礼を述べると、ミュリンがつつつ……と冒険者に歩み寄り、アヤノに聞こえないようなひそひそ声で彼ら話しかけた。
「あの……ついでにね、アヤノちゃんに冒険者の先輩としてのお手本を見せてあげてくれないかな」
 ミュリンもまた、友人が兄の死から立ち直り、前に進もうとしているのを喜びつつ、心配で仕方がないのだろう。
 それは、冒険者達も同じ気持ちだった。
「……分かった。俺達が分かることなら、何でも教えよう」
 そう請け負った冒険者達に、ミュリンは嬉しそうに顔を綻ばせる。
 巨大ネズミの相手なら、確かに冒険者の卵のお手本には丁度いいかもしれない……。
「……何だ? どうかしたのか?」
 赤面から立ち直ったアヤノが、冒険者達とミュリンのやりとりを見つめている。
「いや、何でもない。よし。じゃあ行こうか、アヤノ。……ただし、お前は見てるだけだからな」
 冒険者達は、自分達が冒険者になった当時のことを思い出しながら、アヤノに注意を促す。
 アヤノはその言葉にちょっとむくれながらも頷くのだった。

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参加者
紫色のお気楽狐・ラヴィス(a00063)
月夜に永遠誓いし剣士・カズハ(a00073)
水鏡の不香花・ヴェノム(a00411)
喰い盛りの牙狩人・ジャム(a00470)
舞月の戦華・アリア(a00742)
自然と昼寝愛好家・ファンバス(a01913)
暁月の豹牙・ナイジェル(a02553)
星影・ルシエラ(a03407)


<リプレイ>

●君の為に
「アヤノは水臭いな……。ネズミ退治くらいで遠慮しなくても良いのに……」
「そうだよ。困った時はいつでも言えって言っただろ?」
 苦笑交じりに言う月華の舞姫・アリア(a00742)と暁月の豹牙・ナイジェル(a02553)にアヤノは頬を赤らめる。
「それは分かってたけど……皆、忙しいだろう?」
「それが水臭いんだ。私は出来る事ならいつだって、アヤノの助けになりたいと思うよ」
 そう言うアリアに、静流の剣士・カズハ(a00073)も黙って頷く。
 カズハも言葉にこそ出さないが、確実にそれを実行してきた1人で。
「でも……」
「でも、じゃないです。遠慮と無理は違うですからね?」
「そうだよ? アヤノちゃんのお願いはと〜っても嬉しいんだからね?」
 まだ遠慮がちなアヤノを、『めっ』と諌める水鏡の不香花・ヴェノム(a00411)に人懐っこいにこにこ笑顔。大きな身体からは予想がつかない可愛らしさの自然と昼寝愛好家・ファンバス(a01913)。
 そして、彼女の成長を傍で静かに見守ってきた死に誘う微笑み・ラヴィス(a00063)も、それに同意するように穏やかに微笑んで……。
「皆、アヤノ姉ちゃんが心配なンだな。人に心配かけちゃダメなンだぞ?」
「……そうだな。すまない。ありがとう」
 まだ小さい喰い盛りの牙狩人・ジャム(a00470)に言われて一瞬驚いた顔をしたアヤノだが、すぐに優しく微笑んだ。
「ねえねえ、アヤノさん、剣技が得意なんでしょ?」
 それまで『いいなぁ! 熱い友情♪』等と目を輝かせていた星影・ルシエラ(a03407)が、ナイジェルの後ろからひょこっと顔を覗かせる。
 アヤノがそれに頷くと、ルシエラは大喜びで彼女の手を取った。
「わ〜っ! お揃い〜っ♪ ルシエラもねー、駆け出しなんだよっ。頑張ろうねっ」
 喜びのあまりぶんぶんと大きく手を振って、踊るような握手になっているルシエラとアヤノに、仲間達が顔を見合わせて微笑む。
「よし! じゃあ、ネズミ退治、皆でお手伝いするよ」
 ファンバスが明るくそう言い。
 冒険者達がアヤノの家に到着したのは、それから間もなくの事だった。

●まずは準備から
「お手本お手本……と。今まで一緒に進めてた感じがあるので上手く出来るですかねー?」
 呟くように言うヴェノムに、う〜ん、とカズハとアリアが腕を組んで考え込む。
「まあ、ネズミ退治をしながら、それぞれが出来る事を見せて行けば良いのでは……」
 首を傾げながら微笑むラヴィスに、ミュリンからの密命(?)に悩んでいた仲間達は頷き返す。
 そしてその言葉に、ジャムがぽん、と手を打った。
「そーいえば、アヤノ姉ちゃんのお手本になるンだったよな!」
「ジャム、何か教えてくれるのか?」
 真面目な顔のアヤノに問われ、ジャムは元気良く頷く。
「うん! んじゃねぇ、こうやって四つん這いになって座って……」
 ジャムに言われ、その通りに四つん這いになるアヤノ。ルシエラも一緒になってやっているのが何だか微笑ましい。
「で、尻尾振りながら……」
「こうか?」
 言われるがままにお尻を高く突き上げるアヤノとルシエラ。
 ジャムには実際尻尾が生えているし、お子様だから『可愛い』で済むのだが……。
 いや。ルシエラにも猫の尻尾があるにはある。
 が、妙齢の女性が猫の真似……それは最早、猫ではなく。
「…………」
 最初は微笑ましく見ていた仲間達だったが、2人の格好が俗に言う『女豹のポーズ』になってしまい、どんどん妖しくなる雰囲気に言葉数が少なくなる。
「ストップ! ダメ! これ以上はダメっ」
 そしてとうとう2人の姿に危機感を募らせたファンバスが、『お兄ちゃんガード』を発動させる。
 ファンバスに言われる前にゆっくりと顔を横に向け目線を外していたカズハが、哀れと言うか、とってもらしい。
「んー? なんでだ? 美しいものを美しく見られていいじゃないか」
「……アヤノ、ルシエラ。それは覚えなくていいからな……」
 それを純粋に芸術美として捕らえたらしいナイジェルの横で、アリアが2人に言い聞かせる。
「え? これ、冒険者の心得じゃないのか?」
「えっ? そうなの?」
「えっ! 猫の真似したいンじゃないン??」
 ボケボケな反応を返したアヤノとルシエラ、そしてジャムに、ヴェノムがあははは……と乾いた笑いを返し、そっと涙を拭うファンバスと遠い目をしているカズハを、ラヴィスが励ましていた。

 そんな事があったりもしたが。準備はまだまだ続く。
「アヤノ姉ちゃん。地下室の見取り図、描いて〜」
「見取り図なんてどうするんだ?」
 ジャムに請われて、アヤノは簡単な見取り図を描きながらも首を傾げる。
「……それで地下室が戦闘可能かどうか判断する。戦い難い場所であるなら、他に方法を考えなければならないからな」
「それから敵の痕跡探索、退路の選定も出来るだろ? アビリティや特技が無くても、注意は出来るし、しない場合とした場合では明らかに差が出る」
 カズハとナイジェルの言葉に、アヤノが納得したように頷く。
「そーだよ。地下へ通じる扉、壁の厚さ、家具類の有無と位置とか……事前に知っておいて損する事はないンだぜっ」
「うんうん……お勉強になるなぁ!」
 尻尾を立てて得意げなジャムの脇でルシエラがメモを取っていたりして……もう、教えに来たのか習いに来たのか分からない状況である。
 問題の地下室はアヤノの父、そして兄が作ったものを一時的に保管する場所として使っていたと言うだけあって作りもしっかりとしていて、そこそこの広さがあるようだった。
 アヤノが1人住まいをするようになり、そこが食材置き場へと変化したため、餌を求めて巨大ネズミがやって来るようになったようだ。
「ふむ……扉は1つ。中には棚が2つ、樽が2つ。他は空いていると……壁は漆喰なんだな?」
「他には何かあります?」
 確認を取るアリアとラヴィスに、アヤノは考え込む。
「後は……ジャガイモやタマネギの入った袋があるか」
「そっか。その袋の場所も書いてもらえる?」
 ファンバスに優しく微笑まれて、アヤノはこくりと頷いて袋の場所を書き足す。
「ふーん。中で仕掛けても大丈夫そうじゃん」
 それを確認して、ジャムが確認するように仲間達を振り返った。
「……大きなネズミさん……絶対倒さなきゃダメですかね?」
 顔を曇らせるヴェノム。心優しい彼女は、出来れば巨大ネズミの命を奪いたくないと考えているのだろう。
「いい子だったら連れて帰ろうと思ったんですけど……」
「それは、止めた方がいい」
 仲間達に向かってお願いする彼女に、カズハが首を振った。
 巨大にになった鼠3匹。
 その食欲を満たすには、並々ならぬものがあるだろう。
 自然の道から外れてしまった生き物は人間とは一緒に生きてはいけない。離れて暮らすか、退治するか、道は2つに1つだ。
 そして今回の場合は、移住先を支度してやる時間もない。無闇に逃がせば他で被害が出る可能性がある。
「……私も冒険者です。それしか道がないのなら……退治します」
 ヴェノムはしばらくうなだれていたが、目に確かな光を称えて決意を示す。
 それに敬意を示すように、ナイジェルがぽんぽん、と彼女の背を叩き……彼らは与えられた使命を達成すべく、歩き出した。

●そして実践
 地下室へと降りて行った冒険者達がまず目にしたのは、巨大ネズミに齧り取られ、ところどころ穴の開いた扉だった。
「……中に、いるみたいだね」
 カボチャのランタンを手に扉へと近付いて、耳を澄ませていたルシエラが呟く。
 おびき寄せるまでもなく、お食事中らしい。ガリガリと言う微かな音が聞こえて来る。
「……よし。じゃあ、俺とジャムがハイドインシャドウで中に入り込んで回り込む。皆はその後展開、援護を頼む」
「きっと、ネズミが入り込んだ穴がどっかにあるはずなンだ。逃げられないように、まずそこを塞ぐぜ」
 グローブの紐を締め直すナイジェルと、開いたドアの隙間から中を伺うジャムに、仲間達が頷く。
「地下室だから、一度に全員前に出ても動きが取り辛いからな。俺は後ろで向かってきたネズミの対処をする」
「俺は扉の封鎖を担当するよ」
「了解。俺が盾になるから、ラヴィスとルシエラ、攻撃を担当して貰えるか?」
 アリアとファンバスの言葉に、カズハが更に頷いて続ける。
「分かりました」
「ルシエラで大丈夫かな? でも頑張りまーす!」
 それに頷き、剣を構えるラヴィスに、元気一杯、挙手しながら答えるルシエラ。
 対照的な2人を見下ろしながら、ナイジェルは心配そうに首を傾げた。
「なるべく援護するから。無理はするなよ」
「はーいっ」
 底抜けに明るいルシエラだが……本当に大丈夫だろうか。
「万が一の時は任せて下さいね!」
 不安を覚えた仲間達を励ますように、ヴェノムが微笑んだ。
 その前に……とファンバスがアヤノに向き直り、少し照れたようにくしゃくしゃ、と頭を軽く撫でる。
「いいかい、アヤノちゃん。まず、冒険者としての第一歩を学ぶ事が先決だから、無理しちゃ駄目だよ? 俺達が『君を守ると誓う』からね」
 自分を見上げているアヤノに、守護の力が付与された事が分かり、ファンバスはほっとした表情で微笑む。
 それに、アヤノは頷いて見せ。
 それが行動開始の合図となった。
 ナイジェルとジャムが、そーっとハイドインシャドウで先行する。
 部屋の中央奥側に、ジャガイモの袋を取り囲むように巨大ネズミが3匹。
 そして一番奥の壁に、ぽっかりと大きな穴が開いているのが見える。
 ここがネズミ達の侵入経路に間違いない。
 ジャムはその穴の前に回りこみ、仲間達に『入って来い』と言う合図を送る。
 それを確認した仲間達は一気に地下室へ雪崩れ込んだ。
「ナァ〜ゴ! フゥーーッ!!」
「チューー!?」
 冒険者達の存在に気付き、そしてジャムの威嚇に驚いたネズミ達は慌てて逃げ出そうとするが、退路はナイジェルとジャム、アリアとファンバスによって塞がれている。
「……行くぞ!」
 挨拶代わりとばかりにカズハが愛刀を構え、素早く抜き打ちを決める。
 そこへ、ふっと踏み込んだラヴィスの身体が増える。
 2体は残像。分かっていても、想像を絶する光景。
「チューッ?!」
 その餌食となった巨大ネズミは、自分に何が起こったのか分かる事もなく絶命する。
 ネズミへと向けられた冴え渡る氷のような微笑み。
 ……怖い。とにかく怖い。『死に誘う微笑み』は伊達じゃないらしい。
「……どうかしました?」
 にっこり。自分に向けられたのはいつもの優しい微笑みだが……。
 改めて友人の恐ろしさを思い知ってしまったアヤノは、慌てて首を横に振った。
「ルシエラ、いっきまーす!」
 一方で。元気良く宣言したルシエラのチェインシュートだが、巨大ネズミを大きく外し、豪快に床へと突き刺さった。
 そして、床に強く固定されてしまった彼女の武器は、逆にルシエラを巨大ネズミの方へ引き寄せる。
「ああっ!? やっ?! うそーーっ」
「ルシエラ! 危ない!」
 ナイジェルが素早い動きでルシエラを抱え込み、そしてネズミを押し戻すように掌で軽く触れる。
「キィーーッ」
 同時に手に宿った気が爆発し、ネズミは後方へ吹き飛んだ。
「ナイジェルさん……ありがとう」
 じーーーん。
 先輩に助けてもらい、目に涙を浮かべて感動しているルシエラ。
「来たな……」
 そして、吹き飛ばされて足元に転がって来たネズミに、アリアが連撃蹴を叩き込み、2匹目のトドメを刺す。
 仲間が倒された事を悟った最後の1匹が、自棄を起こしてファンバスに突撃をかけた。
「くっ……」
 死に物狂いの強い力。しかし、ファンバスはそれに負ける事なくその場に踏み止まる。
「兄さん!?」
「大丈夫! アヤノ姉ちゃん! 牙狩人の動き、見せてあげるね♪」
 心配そうに叫んだアヤノに笑顔を向けたジャムが、弓を思い切り引き絞る。
 そして放った矢は、綺麗な孤を描き……仲間達を掠る事なくネズミの胴体に命中した。
 流れるような連携に、アヤノは瞬きを忘れてそれを見入る。
 これが冒険者の世界。
 自分がこれから進む道。
「カズハ兄ちゃん、あとよろしく!」
 ジャムの声に応えるようにカズハの2刀による連撃が閃く。
「ま、こんな感じ……簡単だろ?」
 指をちちちと振り、威張ってみるジャム。
 カズハが刀を鞘に戻す頃には、勝負は決していた。

●冒険者への道
「アヤノさん、これが癒しの水滴ですよ〜」
 仕事の後、ネズミの突撃を受けたファンバスの手当てをしながら、ヴェノムは自分の役割を見せていた。
「これが『力』か……なくてはならないものだな」
「そうですね。でも、力も大切だとは思いますけど、力に頼りすぎちゃダメだと思うんです」
 純粋に『未知の力』へ興味を示すアヤノに、そっと諭すように言うヴェノム。
「ああ。力より大事なものがあると思うんだ」
 サンドウィッチを薦めながら言うアリアに、手当てをしてくれたヴェノムに礼を言いながら振り返るファンバスも頷く。
「これから、アヤノちゃんは色々な人達と出会って、沢山の冒険に出ると思う。その時に生まれた絆を大切に、ね」
「ええ。それが分かっていれば、大丈夫ですよ」
「……肝に銘じておくよ」
 念を押すようなファンバスとラヴィス。その重みのある言葉を、アヤノは真剣な表情で受け止めた。
「アヤノ。良かったら、一緒に来ないか?」
 そして、突然のカズハの提案。アヤノは目を見開いて横にいた彼を見上げる。
 カズハに真っ直ぐ見据えられ、返答に窮したアヤノは目を反らす。
「お前と離れたくない、一緒にいたいと思うのは、俺の我が儘だがな……」
 自分の欲求を、カズハは言葉で飾るでもなく素直に口にする。
 それがアヤノを困らせる事になるかもしれない。
 それでも、そう望むのを止める事は出来ないから。
「アヤノが嫌なら仕方がないが……」
「えっと、あの……どんな所なの? ……その、考えておくから」
 女性として扱われる事に慣れていないのか、アヤノが真っ赤になりながらしどろもどろで答える。
 その反応にまた愛しさを覚えつつ、カズハは旅団の仲間達や家族の事を話して聞かせ、アヤノも失ったものを、取り戻すかのようにその話に一生懸命耳を傾ける。
 アヤノが失ったものはあまりにも大きいけれど、それを取り戻す手助けになれば良いと、その場に居る誰もが思う。
「アヤノ姉ちゃん、頑張れよ」
「ルシエラも頑張るからっ。頑張ろうね!」
 にぱっと笑うジャムとルシエラに、アヤノはそっと頷いて。
「アヤノは連れていくよ。でも、必ず無事に帰宅させるから……」
 彼女の家に向かって、ナイジェルが呟く。
 誰も居ないのは分かっている。でも、家はきっとアヤノを待っている。そんな場所だと思うから。
「じゃあ、行こうか。アヤノ」
 そして、アリアから差し出された手。
 その手に自分の手を重ねて、アヤノは真っ直ぐに歩き出した。


マスター:猫又ものと 紹介ページ
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作成日:2004/02/03
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