メイズの誕生日 お祝いと、お見送り?



<オープニング>


「お祝いの準備をするのだ〜♪」
 前向き笑顔な食ハンター・ウールナ(a90149)が元気よく言う。なにかと尋ねれば、伽羅の霊査士・メイズ(a90074)の誕生日が近いからだと答えが返ってきた。誕生日だけならお祝いの準備などウールナはと言い出したりはしなさそうなものだが、どうしたものかと首を傾げれば、1年ぶりにきっとおうちに帰ると思うのだと元気よく返事をするウールナ。そんなわけで、お祝いの準備をするのだとウールナは再びきっぱりそう言った。

「う〜ん……」
 ヴアサーリの執務室と言える小屋で、メイズはやっぱり考えていた。去年、里帰りをして1年。今年も帰ってこられるのかと、そう言う手紙をメイズの両親や娘から受け取っていたからだ。たまに休暇を取るのも悪くはないのだろうが、なかなか休暇を取りにくいのが現状だ。
「どうしたもんかな」
 いすに腰掛け、メイズは考える。メイズがいなければいないで、恐らくなんとかなるのはわかっているのだが。
「なんとかなりそうだったら、任せて帰るかね」
 護衛士団は去年に比べて人数も増え、以前より落ち付きがないようにも、感じるのだ。祭りまで1月切っているだろう時期に、1週間程度とは言え、留守を任せて大丈夫なのか。ま、見回ってくるかとメイズは小屋から外へ出た。

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参加者
NPC:伽羅の霊査士・メイズ(a90074)



<リプレイ>

●お祝い準備!
「う〜ん……お菓子作りより難しそうなぁん。メイズ様、食べてくれるかなぁん?」
 メルフィは不安そうに言いながら、ウールナに手伝いを頼み、釣ってではなく獲って来た魚を調理する。慣れない作業におっかなびっくりな様子だが、手早くしないと味が落ちるのだとウールナに注意され、かなり一生懸命作っていた。
 調理場になった場所へノリスや他の冒険者たちを案内した後、カムロは料理を運ぶ手伝いや、飾り付けの手伝いを行う。
 カムロの案内でウールナが料理を準備する会場へと移動したノリスは、持参したシークヮーサーや特製・山羊のチーズ、非常食用マーマレードジャムやクラッカーを広げる。そうして、シークヮーサーを使ったレモネードのような飲み物や、チーズやジャムを使ったカナッペを作り始めた。
 甘さを控え、チーズの味がしっかりとしたベイクドチーズケーキを用意するニューラ。マジパンでペンギンの細工も作り、ケーキの傍に用意する。
「……」
 日頃の感謝を込めて作りましょう。そう記した紙を手に、プラムは様々なフルーツを使ったケーキを作り始める。プラムはウールナも誘い、ケーキ作りに精を出した様子。
 ペンギン型のメロンパンと、シュークリームをたくさん用意するフィーは、ウールナにも声をかけて手伝ってもらったりしている。
 今はしっかりしたところを見せなくちゃと、メイロゥは考えながらも料理をを始めた。大皿料理やフルーツをペンギンの形にした、フルーツポンチをメイロゥは作っていく。ウールナに料理を任せると、出て来るまでに料理が半分になるんじゃないかとメイロゥは疑っていたようだが、さすがにそれはなさそうだ。
「今日はサプライズはなし。……なし……なし……うぅ……やりたい……」
 ここしばらくあまり護衛士団に顔を出せていないリンディは、ウールナに見つからないようにこそこそしつつ、料理の手伝いをして回る。ぶつぶつと小声で呟いているのはウールナを驚かせたいと言う習慣がついているからであろう。
 ルイは後でテーブルに出せるように、飲み物の準備をしたり、出来上がった料理をテーブルへ運ぶ。
 ティキは会場を飾るべく、草花を集めてくる。メイズの故郷に多く咲く花を飾って、望郷の念を呼び起こすのもいいと考えたようだが、植物を特定するのは難しそうだ。ヒナタも会場の飾り付けや、料理運びを手伝った。

●メイズを探せ!
 メイズを探すアロイはどこを探すかと少々迷う。ふと思いついたのは海岸線だったが、思いついた方向性がかなり間違っている。
「ちょっと待て、それは俺の単なる欲望だ」
 2人で歩けたらとかそんな事を思ったアロイは、思わず自らに突っ込みを入れた様子。チャーヌとヴアサーリとどちらに行くか迷った挙句、アロイはヴアサーリを回り、どうやらなんとか最初にメイズを見つけられた様子。
「メイズさん、大事な身なんですから、なるたけお声をかけてください。すぐ護衛に参りますから」
 アロイはメイズにそう言ったが、まぁ遠くに出る時は頼むなと、苦笑交じりに返された。

「安心して休暇を取ってもらいたいしな」
 そう言いつつ、セイガはチャーヌにメイズがいないか見に行く。身体を動かすのが好きなメイズの事だから、村人に混じって何かしているかもしれないと考えたのだ。セイガと同じく、クラウディアもやはり、チャーヌを尋ねていた。こちらはフェーティの打ち合わせをしている可能性を考えての行動だ。だが、残念ながら今日はメイズを見ていないと、村人から答えを受け、2人はヴアサーリへ戻る。そうして、メイズを見つけたアロイと合流した。
「家族に元気な顔だけでも、見せてあげて欲しいかなって。1年に1度だけでも会えなきゃ、こう……。寂しいと思うんだ」
 やらなきゃいけない事を手伝ったり、去年と同じような準備をする事なら、出来るからとクラウディアはメイズに言う。
「久々に来てみたけれど、みんな元気そうね〜☆ ととっメイズを迎えに行かなきゃ」
 以前、ヴアサーリの護衛士として所属していた事があるアリスはそう言いながら、周囲を見回す。そうして、以前の記憶を頼りにメイズがいそうな場所に向かい、合流した。
「メイズ……もう言われたかも知れないけどさ。里帰り……ちゃんとして来た方がいいぜ。メイズの大切なもんは、護衛士団や霊査士の仕事だけじゃないだろ?」
 リュウヒメはメイズを見つけるなり、そう言う。
「後は俺たち護衛士に任せとけって。あ、そうそう……コレ、娘にお土産な♪」
 そう言いながら、リュウヒメは瓶詰めになったイチゴのジャムをメイズへ手渡す。
「里帰りくらいしてもいいんじゃねぇ? もし仮にメイズ不在時に問題があれば、問題起こした奴の薬にはなるだろうよ。甘やかすだけじゃ、人は成長しねぇって事だ」
 その辺は子供のいるメイズの方が分かってるかもしれねぇがと、苦笑しながらザインは言う。護衛士団も家族みたいなもんだとは思うんだがと、ザインは言葉を続ける。
「帰郷して来い。元気で戻ってきてくれや」
 護衛士団も頼るだけ、頼られるだけじゃないだろう? とザインはメイズに言った。

「ウールナさんが探してたですよ」
 メイズを探して回ったエリスは、見つけたメイズにそう声をかける。その後で、メイズに口を挟ませないよう、言葉を続けた。
「ところで、今年も里帰りするんですよね。フェーティの準備は去年と同じようにやっとくですよ。それから、新しい護衛士さんに、ウレタン舟の訓練をしてもらおうと思ってるです」
 留守中の護衛士業務を、エリスは立て続けに話す。なんとなくエリスの意図を読んだメイズは苦笑しつつも、それじゃ頼んどくかねと頷く。
「さ、行こうぜ。ウールナのヤツ腹ぺこで倒れちまわないうちにさ♪」
 メイズに笑顔を向け、セイガは言った。

●おめでとうと、いってらっしゃい?
「人生ってなにが起こるか予測がつかなくて、すぐそばにいて、明日会う予定だった人に会えなくなってしまう事もある。だったら」
 不謹慎な言い方ですけどと、前置きをしてニューラはメイズに告げる。せっかくのチャンスを使わないのはもったいないですと、ニューラは鷹の羽を刺した麦藁帽子をプレゼントですとメイズへ渡しながら言う。気遣い、ありがとさんだねと、メイズはニューラに礼を告げた。
「特別な日くらいは、家族水入らずで過ごさないと〜。ことわざで言う『親孝行したい時に親はなし』なのですよ〜」
 フィーは最近のお気に入り、ことわざ辞典からの言葉を引用し、メイズに話しかける。引用することわざ辞典の内容に、誤記が多いのは多分お約束なのだろう。
 メイズと他の冒険者たちの様子を眺め、メイズが迷っているらしいと見て、難儀なものだとティキは苦笑した。
「誕生日おめでとさん。組織なんてもんは、時々まとめ役がいなくなった方が引き締まるもんだろうさ」
 ティキはそう言いながらメイズに話しかける。逢うべきもんとは逢える時に逢っておくもんらしいぞと、ティキは言葉を続けた。
 デューンは本人的正装を見につけ、ホーリーライトを灯す。そうして、持参したビストロオードブル詰め合わせパーティBOXを広げ、メイズへ取り分ける。更に、用意して来たグレートヴィンテージの赤ワインを開け、サーヴした。
「帰れる時に、帰っておいた方がいいですよ?」
 『心配の種』自身が言うセリフで無いのは、重々承知していますが……。そう前置きをしてデューンはメイズに言う。メイズはなにやら、護衛士団の皆には心配を掛けまくったようだなと言い、苦笑しつつもそうさせてもらうよと頷く。
「メイズ殿、誕生日おめでとう! ……と言う歳でもないかな? お互いに」
 ディスティンはそう言って少々苦笑する。誕生日まで生きて来られた事を、祝う日だと思えばいいのさと、メイズはディスティンへ返す。
「振舞う前に出かけて行ってしまったのが心残りでな! 一年近く経ってしまったが、お蔭でよい味になってきたと思う。……味見してはくれまいか?」
 ディスティンはそう言いながら、オレンジの蜂蜜で作った蜂蜜酒をメイズへ差し出す。
「ありがたくいただくよ」
 メイズはにっと笑って、そう答えた。ヴアサーリを離れてはいるが、留守は我輩も預かろうとディスティンは言い、メイズは頼むなと頷いた。

 祝いの歌をうたいましょうと、珍しく口を開くプラム。歌うのならば伴奏をと、ニューラが白烏琴を手にした。
「誕生日おめでとうー♪」
 クラウディアは笑顔で祝いの言葉を告げる。
「メイズ団長、お誕生日おめでとうございます!」
 そう言いながら、よかったらと続け、カムロはメイズへ小さな包みに包まれた水晶を手渡す。メイズは受け取り、ありがとさんと礼を告げる。そんなメイズを見つつ、カムロは照れたように頬を小さくかいた。
 お祝いはペンギンの服装じゃないといけないのかなと考えたノリスは鎧聖降臨を使い、浜茄子の甲冑をペンギンの着ぐるみへと変化させる。そうして、メイズへペンギンが描かれた装飾用の銅製盾を贈った。受け取ったメイズは、ペンギンの格好である必要は全くないと苦笑する。最も、その後で気遣いもありがとさんだねと礼も伝えたようだ。
「メイズさん、お誕生日おめでとうございます! この料理とってもおいしいですよ。お一ついかがですか?」
 そう言いながら、ルイはメルフィががんばって作っていた魚料理をメイズへ差し出す。メイズはありがとさんと言いながら、取り皿に乗せられた魚料理を受け取った。
 あまり食べては他の人に食べ物が回らないのではと、遠慮をしつつ、カムロは料理を口に運んでいる様子。
「少し早いですけど、お誕生日おめでとうです〜♪」
 エリスはそう、祝いの言葉を告げる。
「くぁ〜〜♪ メイズ団長、た〜ん生日お〜めでと〜〜♪♪」
 ヒナタはそう言い、ジャグリング用に用意して来た小型の椰子の実を投げ始める。2つからスタートさせ、ウールナの手を借りて1つずつ椰子の実を増やして行き、最終的には5つの椰子の実を使う。とは言え、最後の1つが追加されて割りとすぐ、1つを受け止め損ねてしまった様子。
「くぁ〜無念……次、団長が戻〜ってくる時には、もっと練習してか〜ん璧なジャグリングを見〜せます!」
 椰子の実を手に、ヒナタは元気よく、そう宣言した。

 里帰りに同行させていただけませんかと、アロイは尋ねる。
「それじゃ、ドラゴンズゲートの行き帰りは頼むよ」
 メイズはそう言って、いつもの笑顔を見せた。
「そうそう、メイズ、送り迎えはまかせとけよな。俺がついてるぜ」
 そう言うセイガに、メイズは笑いつつ、よろしく頼むなと答える。
「メイズさんオメデト〜☆ 今年ももちろん帰るのよね? 道中のエスコートは任せて!」
 アリスはきっぱりとメイズに言う。メイズはやはり笑いつつも、世話になるな、ありがとさんと礼を告げた。
 1年ぶりに里帰りをするかしないかと悩んでいたメイズの姿を見て、もう少し帰郷出来る頻度を上げられないものかしらと、リンディは考えていた様子。
「せっかくの機会ですから、会えるうちに……会いに行っていらしてなぁん♪」
 戦いも多くある日々。会える時に会わなければ、二度と会えなくなるかもしれないからと言う気持ちもあり、メルフィは言う。
「ま、わかってはいるんだがね」
 メイズはそう言って苦笑した。本当はワイルドファイアに移動すると決めた時、滅多にどころか二度と帰れないものと思っても、いたのだ。だが、実際にはこうして去年も今年もどうやら帰れそうなのである。それだけでも、本当は充分過ぎる贈り物だと、メイズは思っていた。
「皆でちゃんと留守番していますから、ゆっくりして来てくださいね」
 お気をつけてと、メイズへ声をかけるルイ。
「メイズさんのお留守は皆で守ります! 安心して里帰りしてください!」
 プレゼントに用意した、ペンギンのぬいぐるみを渡し、メイロゥも言う。
「こうやって見送ると、必ず無事に再会できる素敵おまじないなのですよ〜♪」
 そう言いながら、フィー(a05298)は笑顔で赤いスカーフを振る。
 逢える機会があって、逢う為に協力をしてくれる人がいて。それは多分、とても贅沢な事で。
「ありがとさん。それじゃ、ちょいと行って来るよ」
 たくさんの意味を込め、礼を告げる。メイズはその後で、集まった冒険者たちに向けて、にっと笑った。


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