≪密林の楽園Gパンポルナ≫あるヒトノソリンの主張



<オープニング>


 日差しを遮るものは無く、ワイルドファイアは今日も暑い。
 そんな午後の日差しが一番強くなる時間、木陰で一休みしている2人の女の子が居た。

「最近の流行は語尾になぁ〜んをつけない事なんだぜ……!」
 なぁ〜ん、と付けてしまいそうになるのをぐっと堪え、黒いノソリン耳の女の子が言う。
「カナンちゃんそれ本当なぁ〜ん?」
 ピンク耳の女の子が人差し指を加えて首を傾げると、
「ほ、本当なぁ〜ん! 冒険者のお兄ちゃん達がダゼ! って言ってたなぁ……んだぜ!」
 冒険者様が使ってたんだから! と黒耳の女の子ことカナンちゃんは主張する。
「言ってただけなら流行ってるとは言わないんじゃないかなぁ〜ん?」
「五月蝿いなぁ〜ん! 良いからリルアちゃんもダゼって言うなぁ〜ん!」
 なおも口答えするピンク耳の女の子ことリルアちゃんに切れたカナンちゃんが、実力行使に出た。
「はぅ……なぁ、なぁふん……カナンちゃん、今なぁ〜んって言ってたなぁ〜ん」
 ノソリン耳をムニムニムニムニとムニムニするカナンちゃんに、リルアちゃんは上目遣いに抗議する。
「なぁん!? そ、そんな事無いんダゼ。ちゃんとダゼって言ってるんダゼ……なぁ……ん!」
 結局自分自身で言えてなく、ムキャー! と自爆するカナンちゃんを見て、
(「そのうち飽きるから我慢なぁ〜ん」)
 と思うリルアちゃんだった。

「だったんだけどな、意外と飽きないらしいんだ」
 やれやれと言った様子でアムネリアが首を振った。
「ふに? それでも放って置けばそのうち飽きるんじゃ無いかなぁ〜ん?」
 赤い実の・ペルシャナ(a90148)がもっともな事を言う。
「まぁ、そうなんだが……カナンは行動的らしくてな、集落の子供全員の語尾をダゼ! に変えろと迫り、反抗する者の耳をムニムニするらしいんだ。しょっちゅう耳をムニムニされるのも嫌だろう? だから子供達は仕方なくカナンの言う事に従っているらしいのだが……」
 ペルシャナは自分の耳をムニムニしてみて、確かにしょっちゅうやられるのは一寸嫌かなぁ〜んと頷く。
「自然と出てしまうのが『なぁ〜ん』だ。我慢するのは良くないし、語尾を気にしながら日常生活をおくるのは結構無理があるんだ」
「我慢するのは良くないんだぜ……な、なぁ〜ん」
 確かに、結構厳しいかも知れないなぁ〜んとペルシャナは同意した。
「うに……具体的にはどうするのなぁ〜ん?」
「そうだな、マンモーでも一緒に狩ながら、語尾を気にしていたら狩りに集中出来ないと言う事を教えてやれば良いと思うぞ」
 ついでに美味しいご飯を待っているからな? と猫尻尾をユラユラと揺らすアムネリアに見送られて、ペルシャナは一緒に行ってくれそうな人を探し始めた。

マスターからのコメントを見る

参加者
悪代官・スケベエ(a04439)
衝撃の緑鱗・ズク(a07531)
迷子の守護者・フィール(a09183)
紅い魔女・ババロア(a09938)
そよ風が草原をなでるように・カヅチ(a10536)
炎に輝く優しき野性・リュリュ(a13969)
黒衣の天使・ナナ(a19038)

NPC:赤い実の・ペルシャナ(a90148)



<リプレイ>

●まずはやる
 空が青い。
 ワイルドファイアの青空は兎に角青い、青ったら青い。

「狩りが終ればマンモーのステーキだわ、楽しみなのよ」
 クスッ☆ と鼻も恥らう乙女も真っ青な笑顔で女言葉練習中の、悪代官・スケベエ(a04439)が言う。
「スケベエ、恥ずかしいから近付かないでくれ」
 衝撃の緑鱗・ズク(a07531)が本気で嫌そうにスケベエから距離を取る。
「あら? ズクったら照れちゃって♪」
 だが、スケベエはズクの態度などお構いなしに、いやーんもー☆ と左手の甲を右の頬に当てて右手でオデコをツンと突付く……乙女チックポーズである。
 突かれたズクはアベシ! と逝きそうくらいの勢いで固まって……むしろ口から何か煙のような物が出ている気がしたけれど。

 情操教育上良く無さそうな、2人を見せまいと、紅い魔女・ババロア(a09938)がカナンの頭を両手でを自分に向ける。
 今日の彼女は、海老茶色の袴にお嬢様結びの髪形で、成人を祝う儀式なイメージらしい。
「な、なぁ〜ん! は、放すなぁ……せよ!」
 どうしても気になるのかアッチを向こうとするカナンだが、ババロアの力には敵わない。ババロアはそんなカナンをじっと観察する。
 カナンは一見可憐な乙女である、少し癖のある髪は長く青い瞳は魅惑的だ。嫌いな食べ物は青魚、ついでに虫も得意ではない。
「私ね、うんと小さい頃に女の子としての教育も受けたの。それでもうまくいかないんだから、口調を直すのは凄く大変なのよ」
 ババロアがう〜んと唸っていると、多芸な自由詩人・フィール(a09183)がカナンを覗き込みながら言う。
 フィールもワンピースに麦藁帽子と言った、夜中の海で見たら絶対誰もが逃げ出しそうな格好をしている。
「だからどうしたんだなぁ……んだぜ!」
 しかし、カナンにフィールの言葉は届かないようだ。

「やっぱり普段どおりじゃないと調子狂っちゃうなぁ〜んよね。直してあげないとなぁ〜ん」
「そうなぁ〜ん。無理するとお腹が空いちゃうなぁ〜ん」
「うんうん、カナンちゃんの更正させてあげなくちゃなぁ〜んね」
 炎に輝く優しき野性・リュリュ(a13969)、黒衣の天使・ナナ(a19038)、赤い実の・ペルシャナ(a90148)とヒトノソリン3人で真面目に話し合うが――

 あはは、うふふとお互いの息の根を止めるべく経絡を突付きあってるスケベエとズクの方を振り返って、
「先にアッチを更生した方が良いかもなぁ〜んね……」
 と本気で思わなくも無いナナ達だった。

●そして狩る
 マンモーがドスドスと駆けて行く。
 その中の1匹に的を絞って、冒険者達は行動を開始する。

「ちょっと難しいけど、ペルシャナ、頑張るんだぜ」
 ズクにポンッと肩を叩かれたペルシャナが一歩前に出て、
「止まるなぁぁ! だ、ダ……ゼ!」
 裂帛の気合と共に叫び声を上げる! 何となく気合の入らない叫びであったが効果は発動し、マンモーの動きが止まった。
「「……」」
 暫しの沈黙……あーあ、止まっちゃったよ。そんな感じである。
 そして、その間にマンモーの麻痺が解け、マンモーはドタドタと走り去って行った。
「「なぁ〜ん」を言えなくて、マンモー狩りを失敗しそうだぜ」
 走り去るマンモーからカナンに視線を移すと、ズクがこれ見よがしに主張するものの、
「今上手く行ってたなぁ……ぜ? ……なぁん」
 冷たい視線でカナンに突っ込まれるのだった。
「ウェポン・オーバーローーーード!!」
 舞大通連を空高く掲げ、新たな外装を付け加えるべく、凶兆の大鴉・カヅチ(a10536)が叫ぶ。
 叫ぶと何となくカッコイイ、それがヒーローのお約束だ!
 そして、何となく格好良くなった舞大通連に稲妻の闘気を篭め、マンモーに向かって突き立てる!
「トォゥ! デェリャァ!!」
 兎に角叫ぶ! それがカッコイイヒーローと言うものである!
「ちゅどーん!」
 爆発音は無論セルフサービス! それがヒーローだ! ォゥィエ!
(「……これぞ武人、武人カッコいい」)
 暫しの余韻……そして内心ニヤリと自分のカッコよさに酔いしれながら、あくまで紳士的に、押し付けがましくなく、それでいてカヅチさんカッコイイ! 的な黄色い声援を期待して、カヅチはカナンを振り返るが……、
「マンモーを狩るんな……ん……だ、ぜ!」
 上手く矢が番えずムキャー! となったカナンが乱れ撃つ矢の一つがサクっと脳天に突き刺さった。
「……」
 暫しの沈黙……青空には大きな鳥が飛んで行く。
 そんな鳥を眺めて良いなぁとカヅチは思う、あの鳥のように青空に羽ばたければ良いのに……ふふふ。
「か、カヅチちゃん流血ヒーローなぁ〜ん! と、とってもかっこいいなぁ〜ん!」
 頭から血を吹きながら黄昏るカヅチ……ペルシャナが必死にフォローする姿がなんだか余計に哀愁を誘うのだった。
「口調に注意してたら狩りに集中できないでしょ?」
「う〜……なぁ……だぜ……ん」
 フィールに諭されてカナンは不満そうに頬を膨らませる……膝を抱えて青空を眺めるカヅチを見て、何となく悪い事をした気もしているのだろう。
「よし、これでばっちりだ……ぜっ!?」
 お嬢様風の格好で動き難い上に口調を気にしていたせいか、ルナムーンに新たな外装を取り付けながらマンモーの横に回り込もうとしたババロアがベチッっと転び。
「ふはぁ……オホホホ! この悪代官たるあたくしの攻撃を受けてみるがいいわ! ぐヴぇしゃ!?」
 そしてオホホホホとお姉様言葉でマンモーと言葉を交わそうとしてプチッと潰されるスケベエを見て、口調による弊害を感じ取ったのか、カナンは渋面になった。

「逃がしはしないなぁ〜んよ! 美味しい御飯になるなぁ〜ん! リュリュさん、ペルシャナちゃん、今なぁ〜ん!」
 なんだかんだで弱ったマンモーに、ナナが大きな注射器の外装を施した術手袋を構える。
「最後の仕上げなぁ〜んよ! 二人とも!」
 うん! とナナに頷いて、リュリュも大棍棒を構える。
「あわせるなぁ〜ん」
「秘儀!重ねなぁ〜んアタックなぁ〜ん!」
「これで決まりっ、なぁぁ〜んっ!」
 稲妻の闘気を纏った抜き打ちが交差し、極限まで闘気を凝縮させた一撃を放つと重い音と共にマンモーは倒れた!

「ちゅど〜ん」
「「「……」」」
 ……やる気無さそうな効果音が、そっぽを向いたままのカヅチの方から聞こえたのは気のせいに違いない。

●最後は焼く
「団長を怒らせると困るからねぇ」
 とズクがお土産分の肉を確保し、残りの肉をスケベエが厚めに切って焼いている……ジューと油が火に焦がされる音と、香ばしい匂いが辺りに充満する。

「カナンちゃん、あんまり他人が嫌がることはしちゃ駄目なぁ〜んよ。例えばこういう風に……」
 と言いながらナナはリュリュの片耳をムニムニしだす。
「そ、そんな事無いなぁ〜ん! 無理なんてしてないなぁ……はっ! んだぜ!」
 もう何やら意地になってる感じのカナンは否定するものの、手持ち無沙汰だったのかリュリュの空いてる方の耳をムニムニしだした。
「その口調疲れないかなぁ〜ん? やっぱり普段どおりの方がいいなぁ〜んよ?」
 そんなカナンを諭すように、リュリュは言う……ついでになんだか頬が赤くなっている。
 ――ムニムニムニ……
「ふぅなぁぁ…っ、か、カナンちゃんも無理しちゃ、だぁ……だめぇ……なぁ〜んん! よ……ぅ?」
 ムニムニを我慢しながら、やっぱり諭そうとするリュリュであったが、手が震え息遣いも荒い……どうやら色々限界らしい。
「黒ノソコンビネーションなぁ〜ん!」
 ――ムニムニムニムニ
 当初の目的を忘れ気味に一心不乱にリュリュの耳をムニムニするナナ。
 そしてその様子を見守っていたカヅチが、カナン達のホノボノとした様子にくすりと笑うと、
「ところで、私にも耳をムニムニさせてくれません?」
 なんて言って見たからさぁ大変だ。
「か、カヅチちゃん!? ヒトノソリンの女の子の耳をムニムニする事がどんな意味を持つのか知ってるのなぁ〜ん?」
 驚いた、本当に驚いた……信じられない、と言った様子でペルシャナがオロオロする。
「カヅチさん……そんな……酷いなぁ〜ん……」
 口元に手を当てて、ナナは悲しそうに首を横に振る。
「……なぁ……なぁふん……」
 リュリュはもう息も絶え絶えだ。
「へ、変態さんなぁ〜ん!」
 カナンからも非難轟々である。
「え!? なんで!?」
 何がなんだか解らないといった様子で驚愕の表情を見せるカヅチ。
「ふ、カヅチさんだからよ」
 そんなカヅチの肩に手を置いて、ババロアは何かを諦めたような……何かを悟ったような、そんな表情を見せたものである。

「おーい、肉が焼けたのじゃ。一仕事の後の飯は最高じゃぞー」
 カヅチを囲んで苛めた倒すヒトノソリン達に、スケベエが声をかける。何故かにゃんこのエプロンを着用しているが、気にしないで置こう。
「まったく、遊んでばかりで困ったもんだぜ」
 片手にマンモー肉をもってズクがやれやれと首を振る。
「ふぅ、運動のあとの御飯は美味しいなぁ〜んね♪」
 ナナは、スケベエからマンモー肉を受け取って一口頬張り、
「狩りたてのまんもーはやっぱり最高なぁ〜ん♪ ね?」
 ね? と、リュリュはカナンに微笑みかける。
「本当なぁ〜ん♪」
 もきゅもきゅとマンモー肉に齧りついてカナンもその笑顔に答えた。
「男の子が女の子の格好するのは流行じゃないからね、今回は特別!」
 あ、と気が付いたフィールが自分の格好に解説を入れると、そうなのなぁ〜ん? とカナンは首を傾げ……笑いながらなぁ〜ん、なぁ〜んと冒険者達と話し合うカナンの口調は、何時の間にか元に戻っていたのだった。

 ――ワイルドファイアの青い空を眺める。
「本当に、美味しいですね」
 あれ? でも、なんだかヤケにしょっぱいや……とカヅチは呟くのだった。

【おしまい】


マスター:八幡 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:7人
作成日:2006/04/13
得票数:ほのぼの9  コメディ16 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。