*砂糖菓子のお姫様*〜甘いお星さまと2つの笑顔〜

● *砂糖菓子のお姫様*〜甘いお星さまと2つの笑顔〜

 気持ちのいい空。
 女神の木から漏れる柔らかい日差しが、二人を祝福するかのように照らしていく。
 ここは、女神の木の下。
 そして、今日はランララ聖花祭。
 沢山の恋人たちが集まる場所でもある。
 そこに二人はいた。

「シェル、晴れてよかったのですよぅ……」
「うん、そうだね。天気が悪かったらどうしようかと思ってたけど、心配要らなかったみたいだね、イヴ」
 イヴとシェルティ、二人揃って、ピクニックシートの上で座っていた。
 いくつものカップル達が待ち合わせをし、そして新たな場所へと移動していく。
 その様子をゆっくりと眺めながら、二人は他愛の無い話をしていた。
「あ、その……これ、シェルにプレゼントなのゅ」
 タイミングが遅れてしまった事を気にしているのか、おずおずとイヴは用意していたお菓子を差し出した。
 2色のピンクの包みに、オレンジ色のリボンをつけた、愛らしいプレゼントだ。
 そのオレンジ色のリボンを、そっと解いて、中を開いて、シェルティに見せる。
「わあ……」
 その中には、たくさんの飴やチョコレートが山のように入っていた。
「あ、ありがとう……」
 恥ずかしいのか、照れた様子でチョコレートを一つ口に入れた。
「美味しい……」
 甘いチョコレートが、シェルティの口の中に解けて広がっていく。
「えへへっv おいしいかにゃぁ? あのね……イヴの想いがい〜っぱい、つまってるのですよぅ♪」
 シェルティの様子にイヴも嬉しそうに声をあげる。
「ありがとう、イヴ」
 もう一度、礼を述べて、そっとイヴの頭を撫でてやった。
「えへへっv 何だかくすぐったいのですぅ」
 撫でられた頭に手をやりながら、イヴは嬉しそうに微笑んだ。
「いっぱいあるから、たっくさん食べて欲しいにゅv」
「う、うん」
 顔を火照らせながら、シェルティはまた一つ、お菓子を手にする。
「何だか、お菓子のお姫様みたいだね……」
「にゃ? 何か呼んだにゃ?」
「あ、うん……聞いてなかったら、それでいいよ、うん」
 照れたように先ほどの台詞が恥ずかしいものだと、気づいたかのように。
 シェルティは頬を火照らせ、頷いた。
「こういうのも良いよね」
「はいなのですぅ♪」

 木々の間から漏れる木漏れ日は、今日も優しく照らしている。
 幸せな二人を祝福するかのように……。


イラスト: こうき くう