†The first kiss that I give yoU†

● †初めての愛する気持ち†

 今日は特別な日。
 エイジは思い切って、トキを誘った。
 だが、不安がある。
 こうして、二人で星屑の丘にたどり着いても、なおも不安でいっぱいだ。
 なぜなら……

「あの……トキさん……。トキさんって……人の多いところ苦手……ですよね?」
 おずおずとエイジが尋ねる。
「そう、本当はお祭り事……苦手なんだけどね……」
 そう告げるトキの言葉に、エイジはしょんぼり俯きそうになる。が。
「でも、今回はエイジくんのお誘いだから特別に……ね?」
「え? ほ、ホント?」
 エイジはその優しいトキの言葉に、思わず自分の尻尾を振って喜ぶ。
「あ、ほら見て! エイジくん。星空が綺麗だよ」
「うわぁ〜本当に綺麗です……」
 微笑みながら、二人は空を見上げる。
 空は闇。
 その闇に浮かぶのは、数え切れないほどの美しい星々。
「あー……。本当に綺麗、だねぇ……♪ 星空眺めるなんて……いつ以来だろう……」
 そうトキが物思いにふけているとき。
「トキさん……あの……今回はプレゼントは、ですね……」
 頬を染めながら、エイジは必死に告げる。
「き……きき……キス……にしようかなって……思って………」
 エイジの恥ずかしさと緊張が頂点にまで達しようとしていた。
「ありがと……。エイジくん……♪」
 そう言って、ゆっくりとエイジに口付けをするトキ。

(「君と生きて一緒にいられる幸せ……。今、僕は感じているよ。初めての他と言う大切な者だから……、どうすれば良いかとか悩むけれど……幸せだよ……。ねぇ、わかってる……? エイジくん……。君が僕を生かしてるって事を……」)
 トキの心の中で囁かれる愛の告白。エイジにはまだ、伝えられないけれど、いつかは……。
「トキさんはどこかに行ってしまいそうな……そんな感じがします……」
 トキのキスが終わって、エイジが言葉を紡ぎ始める。
「だから、シッカリ服を掴んで、ココにいてくれるように僕の精一杯でついて行きます! だから、一緒に生きてください♪」
 しっかりとトキの服を掴んで、そう告げるエイジに、トキは苦笑する。
 そして、トキはエイジの耳元で囁いた。
 あのとき、心に想っていた事を伝える為に……。

 星は変わらず瞬いている。
 幸せな恋人達を祝福するかのように。
 キラキラと、キラキラと輝きながら……。


イラスト: 秋月えいる