● 親子のてふまん〜甘酸っぱい苺の味〜

 てふまんとは、旅団『蝶舞々』にて販売中の、蝶々形の焼印が押されている甘い饅頭の事である。

「キラーっ!」
 カエサルは朝露の花園で、キラと待ち合わせをしていた。
 その声にキラはにこっと微笑んで。
「お待ちしていたのですー」
 手を振って応えた。

 二人は花園の芝生に座って、持ってきたてふまんを取り出す。
「はい。これはキラの分」
「ありがとうです」
 カエサルからてふまんを渡され、嬉しそうに受け取るキラ。
 さっそく、てふまんをかぷっと一口。
「ん……?」
 キラは思わず首を傾げる。
 美味しい、とても美味しい。だが、いつもと味が違うような……?
 通常のてふまんの中身は、一般的なこしあん。
 今、口の中に広がるてふまんのあんは、いつもと違う甘酸っぱさを感じる。
 そこでキラは、はっと気づいた。
「苺なのです!」

 いつもランララ聖花祭の時期にあわせて、てふまんの新作を作るカエサル。
 今年は苺が大好きなキラの為に、今年はあんに苺を混ぜてみたのだ。

「有難うです、おかーさんっ」
 思わぬところでの、素敵なサプライズ。
 キラは嬉しくて嬉しくてたまらない。
 とびきりの笑顔をカエサルに送ると、残りのてふまんを口に頬張った。
「どういたしまして」
 カエサルも見守るように微笑んで続けた。
「俺、最初はお前とこういう関係になるなんて、思わなかったんだぜ」
「それは私もなのですよっ」
 ただ会って、挨拶を交わすだけの関係だった二人。
 けれど今は違う。
 本当の親子のように、接している。
 それが、嬉しくて嬉しくてたまらない。
 そうでなくては、このサプライズもなかっただろうし、そもそも苺あんのてふまんも生まれなかっただろう。
 だから今日は。
「おかーさん、もう一つもらっていいですか?」
「おう! 一つといわず、たくさん食べてけ。てふまんはいっぱいあるんだからな」
 二人で一緒に、甘くて幸せいっぱいな、てふまんを頬張ろう。

イラスト:かいらぎ