● 夫婦二人とまだ見ぬ新たな家族

 星屑の丘にファルとフェリシスは来ていた。
「フェリシス、大丈夫か?」
 待望の我が子と、身重なフェリシスを気遣うのはファル。
「大丈夫だよ。それに今、凄く幸せだから……けどね…………」
 少し苦笑しながら、フェリシスは言の葉を紡いでいった。
「子供が生まれたら、しばらくはファルとの二人の時間も、お預けになるかもしれないって思うと、何だか残念で……」
「確かに、二人というのは正しくないな」
 ファルはフェリシスの顔を見て、そして、膨らんでいるお腹を見た。
 そう、今は正確に言うと二人ではない。ファルとフェリシス、そしてフェリシスのお腹にいる子供がいるのだ。
 そんなフェリシスの言葉に、二人ではないことを再確認したファルは、そっと、そのお腹に手を当てた。
「フェリシスは、名前とかもう考えたのか?」
「ううん……まだだけど……ファルは?」
「いや、オレもまだだ」
 思わず二人は笑みを零す。
 そう、生まれてくるまで、まだまだ時間はある。
 それまでに決めれば良いのだ。
「そうそう、お腹空いたでしょ? お菓子食べる?」
「もちろん」
 フェリシスの持ってきたお菓子で、二人はしばしの休憩を入れるのであった。

 休憩もそこそこに、二人の時間は過ぎていく。
「子どもには悪いと思うが今だけは目をつぶっていて貰おう」
「うん、少し悪いけど、この子達にはしばらく目隠ししてもらうね……」
 そういって、自分のお腹を隠すようにコートをかけるフェリシス。
「達?」
「うん、そんな気がするの」
 思わず聞き返したファルに、フェリシスは頬を染めながらも、そう答える。
「……ファル」
「……フェリシス」
 二人は口付けを交わし、そっと抱きしめる。フェリシスのお腹を気遣うように優しく、優しく……。
「ファル……大好き……これからもいっぱい愛して……ね」
「ああ」
 しばらく、夜空を楽しんだ後、二人はゆっくりと丘を降りていくのであった。

イラスト:船崎由徒