● 天空に輝く星の下での一幕

 女神の木の下で待ち合わせしていたシャルナ。
「少し……遅くなっちゃったかな……」
 約束していた時間よりも少し遅れてしまったようだ。きょろきょろと辺りを見渡す。
「こんばんは。シャルナ」
 突然、後ろから抱きしめられた。ブルックリンだ。
 シャルナと待ち合わせしていた相手である。
「も、もう……驚かさないでください」
 シャルナの心臓がどきどきしている。
 鼓動がいつもより、早く感じる。
「ごめん、そこまで驚かせるつもりはなかったんだけど」
 二人は手を繋ぎ、星屑の丘へと向かう。
 既に日は落ち、丘からは綺麗な街の明かりが見えた。
「綺麗……ですね……」
「ああ」
 二人は丘に座って、その景色をずっと眺めていた。
 そして、上を見上げる。
 空には満天の星が輝いていた。
 ブルックリンはそっと、後ろからシャルナを抱きしめる。暖かい温もり、包み込むように抱きしめられて、シャルナは幸せそうに瞳を閉じた。

 しばらくした後。
 思い出したかのようにシャルナは口を開いた。
「少し遅くなりましたが……貴方に受け取ってほしいものがあるんです……」
 シャルナが取り出したもの。それは、ハート型の包みに入ったチョコレートであった。
「ありがとう、シャルナ。シャルナにも受け取ってほしいものがあるんだが……良いかな?」
 シャルナのプレゼントを受け取り、ブルックリンは小さな箱を取り出した。
「これは……?」
 見上げるシャルナに、ブルックリンは少し恥ずかしそうな表情を浮かべて。
「その……なんだ……。少し気が早いかもしれないが……貴女さえ良ければ……」
 箱の中に入っていたもの。
 それは綺麗な婚約指輪であった。
 ブルックリンはその指輪を手に取り、シャルナの左手の薬指にはめてあげる。
「俺と……婚約してくれないか……?」
 その申し出にシャルナは、瞳を潤ませ嬉しそうに頷いた。
「はい……喜んで……」
「ありがとう……シャルナ……」
 ブルックリンは嬉しそうに微笑むと、シャルナを抱きしめ、淡いキスを交わしたのであった。

 静かな丘。
 シャルナとブルックリンは空を見上げていた。
「これからも……ずっと……あなたと一緒に……ね?」
 綺麗な星々はまるで、二人を祝福しているかのように、瞬いているようであった。

イラスト:秋月えいる