● forever with you

 きらきら、きらきら。
 ここまで手を繋いで歩いてきたアイギールとセラは、太陽の光を受け止めて、きらきらと輝くさえずりの泉を眺めていた。
「とても綺麗だな」
「ええ」
 2人はそう頷き合うと、泉のほとりに腰を下ろす。
 今日は、ランララ聖花祭。
 ひだまりの下でセラが取り出したのは、この日の為にと用意したお菓子だった。
 包み紙を開けば、その中には花をかたどったチョコレートが姿を見せる。
「お菓子は沢山ありますから、お好きなだけどうぞ」
「ああ、ありがとう。いだだくな」
 微笑みかけるセラに頷いて、指先を伸ばしかけたアイギールだが、その手をそっとセラが遮った。
「……?」
 その行動に、怪訝に首を傾げるアイギール。
 問いかけるような彼女の瞳を受け、セラは口を開いた。胸の鼓動が、どんどん速くなっていくのを感じながら……。
「――あの、ご迷惑でなければ、わたくしが食べさせて差し上げたいのですけど」
 頬を赤く染めて見上げるセラに、そういう事かと呟いたアイギールは、優しげな瞳で頷き返した。
「では……はい、どうぞ」
 セラは包みの中から、チョコレートを1つ取り出す。
 かすかな緊張と、それから、早鐘を打つように高鳴る鼓動。さっきと同じように……いや、それ以上に顔が熱くなるのを自分でも感じながら、セラはアイギールの口元に、チョコレートを差し出した。
「……やはり、少々恥ずかしいな」
 ぱくりとチョコレートを食べて、そう苦笑するアイギール。自分が今した仕草を思い返すと、もうとにかく恥ずかしくて、自分の顔が赤くなっていくのがわかる。
 2人は赤くなったまま見つめ合うと……やがて、どちらからともなく、くすくすと笑い出して。
「もう1つ、いかがです?」
「いただこう」
 2人はお菓子を囲みながら、鳥達がさえずる泉を眺めて、ゆったりと流れていく時間を過ごす。

 甘くて。ちょっとくすぐったくて……でも、とても幸せな時間。
 アイギールも、セラも、口には出さなかったけれど、互いにそれを感じながら、2人だけの満ち足りた時間を楽しむのだった。

イラスト:縞海すずめ