≪†・・・箱庭天使・・・†≫最高級のツナを求める者たち


<オープニング>


 最高級のル……ツナを求めて。
 とあるマグロ祭りに結社仲間とやって来た、シル・バーレイン(小学生のお使い・b10536)は。
 何気に誰かさんをガン見しながらも、極上のマグロが冷凍されているというある貸し冷凍室の中へと足を運んだ。

 ……のだが。

 冷凍室へと入った面々の目に飛び込んできたのは、確かに立派な巨大マグロ。
 しかしそれは、ただの普通の大きなマグロではなかったのである。
「えっ? マグロを持った……ゴースト!?」
 羽角・ひなた(陽光の調べ・b17388)はその存在を確認し、声を上げた。
 ――そう、彼女たちの前に現れたのは。
 手にはカチンコチンに凍った巨大マグロ、足にはジャラリと鳴る怨念の鎖。
 漁師の格好をした、地縛霊であったのだ。
「……ん、マグロで釘が打てそうね」
 レイナ・ライデリング(夜明けを告げる鳥・b17410)はそう言いながらも、少しずつ自分達の方へと近づいてくる敵を見据える。どうみても殺気漲るその様子は、友好的なものではない。
 何故このような状況になったのだろうか。その詳しい理由は分からないが。
 アリス・ティア(気付いたら好きになっていた・b21157)はふと貸し冷凍室のドアに記されているナンバリングに気がついて。遠慮気味に、口を開いた。
「あ、あのう……目的の貸し冷凍室、隣だったみたいです」
 間違えて、目的の隣の冷凍室に入ってしまったようである。
 しかし、引き返そうにも地縛霊の特殊空間内に取り込まれてしまったのか、引き返せない。
「どうやら、ただでは帰してもらえないようですね」
 素早く状況を察し起動した武田・雪姫(雪を纏いし優しき銀狼・b15905)は西洋刀を構え、敵を迎え撃つべく位置を取る。
 だが、次の瞬間――地縛霊の凍えるような息が、全員の身体を包んだ。
「ちょっとっ、何か寒いんだけど!?」
 ポルテ・トルテ(エンドオブティアリングナイト・b37411)はその寒さに思わずそう叫んでしまう。
 冷凍室内のすべてを凍らせるような強烈な寒さ。この状況では、豆腐でも釘が打てそうである。
 いつの間にかマグロを手にした漁師地縛霊を援護するかのように、仲介業者っぽい格好のリビングデッド3体までも姿を現している。
 とはいえ、全員が能力者。思いがけない状況に驚きはしたものの、怯む様子は全くない。  
 タービア・アキトパーリ(高校生ヤドリギ使い・b58568)はスッとおもむろに一枚のタロットカードを引き、紫の瞳を細めてから。そのカード――『悪魔』の逆位置のカードをしまい、敵へと向き直った。
 この世への未練という束縛から、ゴーストたちを解放するために。
 シルは一瞬ちらりと、姫咲・ルナ(ピンクの月夜は仔猫の想い出・b07611)を見て。
「最高級のル……ツナのために、がんばるの」
 普段とあまり変わらない表情ではあるが、その心の中に満ちるやる気を何気に口にする。
「……この寒気は地縛霊の攻撃のせいなの。うん、きっとそうなのね」
 ルナは自分に言い聞かせるようにそう呟きながらも。
 いろいろな意味で感じる悪寒に負けじと、表情を引き締めた。

 徐々に体温を奪われる過酷な状況の、極寒の貸し冷凍室の中で。
 最高級のル……ツナを求める者たちの戦いが、今、始まる。

マスター:志稲愛海 紹介ページ
リクエストありがとうございます。
志稲愛海です、よろしくお願いいたします。
この度受理するにあたって、流れ等を変更させていただいております。
 
今回は、貸し冷凍室に蔓延るゴーストたちの退治です。全員が魔氷のバッドステータスをすでに受けている状態からのスタートとなっています。

そして、敵の攻撃等の詳細です。

●漁師の地縛霊1体
・巨大な冷凍マグロでの殴打(近接単体、通常攻撃)
・冷凍大型魚を飛ばす(20m単体)
・無数の冷凍雑魚を投げる(近接範囲攻撃)

●仲介業者のリビングデッド3体
・強い力での殴打や体当たり(近接単体)

地縛霊・リビングデッドすべての敵のすべての攻撃には、魔氷のバッドステータスが伴います。
そして冷凍室内は冷凍された魚が散らばっているので、足元にもお気をつけください。

最高級のル……ツナのために。
皆様のプレイング、お待ちしております。

参加者
姫咲・ルナ(ピンクの月夜は仔猫の想い出・b07611)
シル・バーレイン(小学生のお使い・b10536)
武田・雪姫(雪を纏いし優しき銀狼・b15905)
羽角・ひなた(陽光の調べ・b17388)
レイナ・ライデリング(夜明けを告げる鳥・b17410)
アリス・ティア(気付いたら好きになっていた・b21157)
ポルテ・トルテ(エンドオブティアリングナイト・b37411)
タービア・アキトパーリ(高校生ヤドリギ使い・b58568)



<リプレイ>

●極寒の箱庭
 敵は、斬馬刀のような冷凍巨大マグロを操る漁師地縛霊と、仲介業者のリビングデッド3体。
 そして何より、すべてのものを凍らせるような寒さである。
 突然振りかかってきた災難(?)にドギマギしながらも、アリス・ティア(気付いたら好きになっていた・b21157)は仲間と素早く作戦会議をし、陣形を成して。ゴーストに遭遇したのが一般人でなく自分達能力者でよかった、と改めて思う。
 それからちらりと姫咲・ルナ(ピンクの月夜は仔猫の想い出・b07611)を見て。
「ここは最高級のル……ツナの為にもがんばるよ!」
 寒さに負けず気合を入れ、三又の念動剣から光り輝く先制のエネルギーの槍を放ち、仲介業者のリビングデッドを狙い撃つ。
「能力者って、つくづく因果だと思うことがあります」
 魚を求めてやってきたはずが、この状況だ。
 だが、武田・雪姫(雪を纏いし優しき銀狼・b15905)もアリスと同じく、見つけたのが自分達でよかったと。敵を見据え、魔狼を成すオーラを身に纏った。
 目的及び最優先事項は、地縛霊の撃破と。
「はやく、片付けて目的のル……ツナを手に入れなくちゃ」
 美味しい食材の確保である。
「さて……身体を温めるついでに暴れましょうか」
 少しずつ体力が削られる寒さの中、レイナ・ライデリング(夜明けを告げる鳥・b17410)は長剣・鎮魂剣エクスアウラを構えて。足元に注意しながら、アリスが撃った同じ仲介業者を黒影剣奥義で斬りつけた。
「さっきから呼ばれてる気が? 今日は空耳が多いのね……」
 ルナはふと首を傾げながらも、さーむいー! のは苦手なのね、と呟いて。
 前へと出ると、こっちに来ちゃメ! と、接近してきた仲介業者リビングデッドを箒でバシバシと叩く。
「ううう……カチン、コチン。魚さん全部こっち見てるみたい……ちょっと怖いかも」
 まさに死んだ魚の目をした冷凍マグロや床に散らばった雑魚。寒さによって奪われる体力、そして何だか魚やゴーストとは別の視線も感じ、ルナは思わずぶるっと身震いをする。
 そんなルナを、誰よりもガン見しつつ。シル・バーレイン(小学生のお使い・b10536)は彼女に黒燐奏甲を施す。
「最高級のツ……ルナのために頑張るの」
 それからシルは改めて冷凍庫のナンバーを確認したが。どうやらやはり、1と7を見間違えたらしい。1と7は間違いやすくて困るの、と呟きはしたが。シルも、間違ったおかげで犠牲が減ったことを幸いに思う。
「ええい、こんなところでじっとしてられるかー!!」
 ポルテ・トルテ(エンドオブティアリングナイト・b37411)は魔狼のオーラを纏い、冷凍マグロを持った漁師地縛霊へと突撃する。そして、来るんじゃなかった、と心の中で叫んでいた。
 いや、ゴーストとかはまぁいい。それに、最高級の○ナを食べたいというのもある。
 だが兎にも角にも……寒い。寒すぎるのだ。
 それなのに何故かポルテは。
「つーかなんで僕はルナちんの和服を着てるんだ。丈短いよ寒いよ!」
 こんな時に限って、ルナの可愛らしい桜色の和服を身に着けていたのである。勿論短い丈から出ている足は、生足だ。そんな寒さにじっとしていられず、敵へと向かったポルテだが。
「うおやべぇ、間違って強い奴につっこんじゃった!!」
 突っ込む敵を、間違えたようだ。
(「この程度の敵、箱庭天使の皆なら簡単に蹴散らすだろうけど……私が今回ここに来たのは理由がある」)
 タービア・アキトパーリ(高校生ヤドリギ使い・b58568)はスッと1枚のカードを取り出して。そのカード「恋人」を地面へと叩きつけると、自らと羽角・ひなた(陽光の調べ・b17388)の神秘の力を増幅させる。
 ひなたはその加護を受けて。徐々に仲間の体力を奪う魔氷を解き放つべく、赦しの舞を舞った。
「みんな、しっかり!」
 清らかな祈りの込められた舞が、皆の氷の呪縛を解除することに成功する。
 だが、やはりここは冷凍庫。寒いことには変わりはない。
(「あー寒っ……こんなとこにもゴーストって出るんだね」)
 ひなたは改めて敵を見据えながらも、気合を入れた。
「とにかく目指すは最高級のル……ツナ!」
 ル○じゃないです、食すのは、多分ツナなのです。

●悪の仲介業者をやっつけろ!
 ゴーストも、能力者に負けじと各々動きを見せ始める。
 漁師地縛霊は、カチンコチンに凍った巨大マグロを大きく振り翳して。突っ込んできたポルテをボコボコと殴りはじめた。
「あ、ちょ、痛いって! 冷凍は凶器だって、っていうか冷てぇ!」
 さらに、癒されたばかりの魔氷のおまけ付きだ。
「……さ、さささ、ささ、さむ、さむい……」
 受けたダメージよりも寒さの方が、彼女にとっては厄介のようである。
 ポルテがそんな風に地縛霊を引きつけているうちに。残り全員で、仲介業者のリビングデッドを迎え撃つ。
 リビングデッドたちの力強い殴打にも負けず、攻撃を返す彼女たち。
「こいつを先に叩きます、続いてください!」
「了解……!」
 雪姫の指示に頷き、敵の照準を定めるレイナ。
「うん。わかったよ! 仲介さんから倒すんだね」
 アリスも雪姫の指したリビングデッド目掛け、再び光の槍を撃ち出した。
 それに続き、雪姫も念を込めた長剣・白雪狼による強烈な突きを、敵の身へと突き立てる。その威力の大きさに、思わず奇声を上げる仲介業者リビングデッド。
「とりあえず……沈んでおきなさいっ」
 さらに放たれたレイナの黒影の斬撃が、猛攻を浴びるリビングデッドに大きなダメージを追加し、フラつかせた。
 そして、ルナの燃え盛る炎の魔弾が容赦なく敵の身を焦がして。
 まずは1体、敵を仕留めたのだった。
 シルは臨機応変に動き、地縛霊を牽制をするポルテを中心に黒燐奏甲で支援に回る。
「超必殺! マグロ瞬断5枚おろしー!!」
 ポルテは寒さにもめげず、目にも止まらぬ一撃を地縛霊へと放った。
 瞬断されたのはマグロではなく、漁師の方であったが。生じた無数の傷に呻いた地縛霊は思わず数歩下がる。
 そして、残り2体の仲介業者リビングデッドは。攻撃を受けながらも、ゆっくりと確実に能力者の方へ前進してきた。
 だがそれを狙っていたタービアは、すかさず「審判」のカードを掲げて。
「ようこそ……跪いて絶望しな!」
 具現化した魔法の茨で、リビングデッド1体の身体の自由を奪ったのである。
 ひなたはリビングデッドと地縛霊の殴打により再び仲間を蝕む魔氷を取り除くべく、赦しの舞を発動させる。
「これで大丈夫だよっ!」
 そして、冷凍マグロを再び振り上げてきた地縛霊と、動きを封じられなかったリビングデッドの攻撃を。ポルテとレイナは、それぞれ回避することに成功した。
 現在の戦況は、能力者側が圧倒的に押している。
 だが気を抜かず、1体ずつ集中攻撃をしていく能力者たち。
「雪女の私には寒さなんて効かないんだから!」
 威勢良くそう言い放つと同時にアリスは光の槍奥義を撃ち、雪姫がポルテの負担を軽減するために地縛霊に牽制のクロストリガーを放った。
 レイナは動きの封じられていない敵を先にと黒影剣奥義を叩き込む。
「アリスちゃんスゴイ、やっぱり寒さに強いのね! こんな寒いの、早く終わらせるのね」
 ルナは漁師の様子も見つつ、リビングデッドに炎の魔弾を見舞う。
 アリスはそんなルナに微笑んだが。
 実は雪女は、彼女のバイトジョブである。本当言えば正直すごく寒いのであるが、精一杯威勢を張っているのであった。
 シルは自らに黒燐奏甲を施し、回復量を増やすべく抜かりなく自己強化をはかる。
 ポルテも寒さに震えながらも和服の丈の短さの動きやすさを生かし、素早く瞬断撃を地縛霊へと放った。
 そしてタービアが、ダメージによろけるリビングデッドへとすかさず駆け寄って。
「これは私の個人的な都合なんだけど聞いてくれる?」
 だがその言葉とは裏腹に、答えなど聞かず。クロスボウの開いた竜の口に、タロット「死神」を差し込んで。
「閻魔様とやらに言っといて。大地で眠れる竜と蛇が中途半端に逝けなくなってる奴らが煩いから、これから怯えて地獄に来る奴らが凄い勢いで増えるかもって!!」
 そう言うなり、神秘的な一撃をその顔面にモロに叩きつけたのだった。
 そして断末魔を上げるリビングデッドを後目に。
「蜘蛛さま蜘蛛さま、ポルテちゃんのもとにお出でください……」
 地縛霊から受けたポルテのダメージを、ひなたが癒したのだった。
 何かに似ている気もしないでもないが……きっと気のせいであろう。
 仲介業者リビングデッドも、残り1体。
 しかも動きが封じられているため、手練れ揃いの能力者たちの敵ではなく。容赦なく狙い撃たれ、呆気なく地に崩れたのだった。
 これであとは、漁師地縛霊を撃破するのみである。

●冷凍焼きマグロ!?
「ポルテさんをいじめるなぁ!」
 特にいじめられているわけではないが、何となくそう叫んでポルテの加勢へ向かうアリス。それに続き、ルナも地縛霊を倒すべく前へ位置取ろうとしたが。
「ポルちゃん今行く……キャー!?」
 バラバラと冷凍雑魚の弾丸を勢いよく飛ばす、漁師地縛霊。
 その攻撃力も脅威ではあるが。何気にバラ撒かれ散らばった無数の魚の目が、やはりコワイ。
 アリスも後方から、眩い光を放つ魔法の槍で応戦する。
 雪姫は冷凍雑魚を踏まないように足元に十分注意しながらも敵の死角を取れるよう動き、再びライカンスロープを使用した。
「食べ物をそんなに乱雑に扱うのは感心しないわね……」
 冷凍雑魚のバラ撒き攻撃を警戒していたレイナは、距離を取った位置からのダークハンド奥義で地縛霊の身を引き裂く。大きな衝撃と同時にその身を侵す毒に、地縛霊は微かに呻いた。
「いったーい! レディにはもうちょっと優しくないと。食べ物を投げるなんて、悪い子!」
 冷凍雑魚の攻撃をくらいながらも、ルナも炎の魔弾で地縛霊を焼き尽くした。そして炎に包まれる敵の手に握られた巨大冷凍マグロを見て。
「炎の魔弾で焼きマグロ! なんて」
 でも黒こげになっちゃうかな? と呟きながら、香ばしい匂いがしないかと思ったが。むしろ燃えているのはマグロではなく、魔炎に包まれた焼き漁師である。
 だが、漁師がバッドステータスを受けているのと同じく。先程攻撃を受けた能力者も魔氷を再びもらっている。じわじわと消耗していく体力は、戦闘時間が長くなるにつれて厄介だ。
 シルは先程雑魚の攻撃を受けたルナ目掛けてハートのヤドリギを描き、体力を回復させた。ルナと自分に加護のあるそのハートも、何だか普段より熱がこもっている気がするような、しないような。
 ポルテは仲間が駆けつけたことを確認し、無理せず下がってライカンスロープで回復をはかる。
 タービアは龍と蛇の体を模した弓を構え、神秘的な射撃で地縛霊を撃った。
 ひなたは仲間の魔氷を取り除くことに専念し、足場が悪いとは思えぬほど華麗に舞を舞った。
 そして、漁師地縛霊は。今度は巨大冷凍マグロを、ひょいっと肩へと担ぐ。
「タービアさんあぶない! 間に合って!」
 アリスは地縛霊の動きを見て、タービアに声を掛けてかばおうとしたが。
 それより早く、そいやーっと気合を入れ、地縛霊は冷凍巨大マグロを後方へと投げつけたのである。
「!」
 タービアはアリスの警告の声とその運動能力を駆使し、迫るマグロを避けようと動いたが。すべての威力をかわすことはできなかった。だが受けるダメージを軽減し、雑魚の散らばる滑る環境を利用して、タロットを隠すように伏せて止まることができたのであった。
 さすが屈強な漁師の地縛霊。体力が高くなかなか倒れず、何度も雑魚や巨大マグロを飛ばし続けたが。
 圧倒的に数においても能力においても有利な能力者の前に、次第にダメージの蓄積が目に見えはじめる。
 そして、遂に。
「私は此処ですよ、どこを見ていますか!」
 死角より雪姫から放たれた退魔呪言突き奥義がモロに地縛霊の身を捉えると。漁師はその衝撃に堪らず轟音のような悲鳴を上げて。
 ドサリと魚まみれの床に倒れた後、ふっと消滅したのだった。

●最高級のル……ツナを求めて
 見事ゴーストを撃破した彼女たち。
「あぁ、寒い……寒い……僕は、寒いのは、苦手、なん……」
 あまりの寒さに冬眠をはじめるポルテ。寝たら死ぬぞー!? 
 だが、冷凍豆腐をもしゃりと食べるのだけは忘れない。
 そしてそんな夢の中へと誘われながらも、こう呟いたのだった。
「……はて、何をしていたのだっけ、僕は。というか、僕らは……」
「はい、皆お疲れ様なのね」
 ルナはもこもこのオーバーコートを着用し、持参していた温かいコーヒーとお茶を皆に振舞って。先程の魚をポイポイ投げてくる敵を思い出して、食べ物を粗末にしたらバチが当たるのね! と憤り、レイナにおなかすいたと訴えてから。
 ふと、首を傾げる。
「あれ。そもそも私達、冷凍室で何するつもりだったんだっけ?」
 はあ、とんでもない目に遭った……と。そうルナからお茶を受け取って一息付くレイナは。おなかすいたとルナの訴えに、こう答える。
「帰ったら一緒にたくさん食べましょうね……」
 最高級のル……ツナが手に入れば、きっと美味しいのが食べられるはず……と思いながら。
 そう、最高級のル……ツナ、である。
 ゴーストたちの冥福を祈ってそっと手を合わせた後、ルナのお茶を飲んでいるひなたに。
「ひなたお姉ちゃんありがとう。お姉ちゃんの舞、暖かかったよ」
 アリスは、仲間のバッドステータス回復に専念し、舞ってくれた彼女に礼を言って。
 それから、本題に入る。
「終わったね……これでやっとツナが手に入りますね」
「憂いは絶てましたし、ゆっくり選びましょう」
 雪姫もお茶を飲みながら、にっこりと微笑む。
 そして、今まで何気に聞けなかったタービアが。ついに、こう問うのだった。
「因みに突っ込む気はなかったんだけど……。ル……ツナって何?」
 全員が誰かさんに一斉に視線を向けたのは、最早言うまでもない。
 ちなみにル……ツナとは、最高級の食材のことなのだ。具体的に何かは言えないが。
 アリスは暖を取り終わった後、全員に声を掛ける。
「それじゃ隣に行きましょう」
「今度こそ今回の目的だった極上のマグロがある貸し倉庫に行くの」
 シルも並々ならぬやる気をさり気なく口にして。
「ちなみに極上のマグロって、ピンクのペルシャみたいな外見なんだよね?」
 ジーッと最上級マグロのル……いや、誰かさんをガン見しながら。
 仲間達とともに、平和の戻ったその貸し冷凍庫を後にしたのだった。

 その後、最高級の食材に出会えたか。はたまた、全員がある意味無事で帰れたか。
 それは……乙女たちの秘密、である。
 だが、このマグロ祭りが。
 彼女たちにとって楽しい思い出のひとつになったのは、言うまでもない。


マスター:志稲愛海 紹介ページ
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いまいち
参加者:8人
作成日:2009/04/25
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冒険結果:成功!
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