散り菊の随に


<オープニング>


 購買へふらりと寄った君は、一人の青年とぶつかりかける。その拍子に青年の腕からすり抜けてしまったのであろう。お中元でも贈るのかと思わしき黒い箱が、バサバサと落ちた。
 箱を拾いながら、青年は君を見上げ思わずといった様子で「あ」と声を発する。
「ちょうどよかった〜。ねーねー、山奥へ涼みに行こうよ。コレ持ってさ」
 唐突過ぎる誘いに君が驚いていると、彼は幾つか箱のふたを開けて見せてきた。
 線香花火だ。しかも、持ち手が紙だけの物と、藁で出来た物の二種類。
 よく見かける色と形の花火から、少々首を傾ぐような色形まである。こよりが一般的な花火より繊細に見え、箱ごとに花火の色も異なり、謙虚に横たわって花咲かす時を舞っている。
 青年いわく、玉も大きくて落ちにくい上、火を点すと強く眩く煌き、やがて眠るように命を終える。どれも縒り手による手作りの国産線香花火らしい。火を点すと取り寄せて貰ったんだ〜、と嬉々として話す。
「でさ、せっかくの夏休みで夜更かしできるし、いい機会かなー、と」
 人の入らぬ山の奥地で、静かに線香花火を垂らして夜を過ごそう。
 彼は満面の笑みを浮かべ、そう告げた。

「仲間内で集まって、小さな花火だけを手に一緒にいるってのも、いいもんだよ〜」
 普段は話せぬことも、日頃は見せられぬ顔も、夏の夜と花火の灯りは応援してくれる。
 川に近い場所まで皆で登り、到着後は各々の自由時間だ。
 ただ、上流の川は非常に冷たく、岩も転がっている細い川のため、泳ぐのには向かない。足を浸かるか、ちょっとしたものを浮かべ或いは沈めるぐらいしかできないだろう。
 川の周りは木々で埋め尽くされている。遠くまで行かなければ、森と川、何処で過ごしても構わない。
 下に人がいなければ、木の上で楽しむのもありだ。川辺の岩に腰掛けるも良し、皆から少しばかり距離を置き、一人物思いに耽るのも良い。使役ゴーストと二人きりで過ごすひとときも良い想い出となるだろう。
 そう、今回は使役ゴーストも一緒に連れていけるのだ――目の前の青年からの希望もあって。
「ケルベロスもつい先日入ったし、俺、使役さん大好きだから見たいしさー」
 へらへらと緩い笑顔で、彼は言った。
 ふと疑問に思い、君が他に誰を誘ったのか尋ねれば、青年は目を瞬かせて。
「あ、えーと。高城は草野球がどーとかで来ないって言ってたし……あと神谷が来るって」
 その二人以外からは、まだ返事を貰っていないようだ。

「あ。お友達も連れてくるなら、ちょっと気をつけて欲しいことがあるんだ〜」
 青年は突然真顔になり、危険な行為は絶対駄目だと釘を刺す。使役ゴーストと本業能力ならば問題無いが、アビリティや武具、戦闘行為は控えてほしい。
 今回は『騒ぎながら花火をする』のではなく、『線香花火を手に、まったりする』ことが目的だ。
 線香花火以外の花火は持ち込み禁止。飲み食いも花火中は避けてもらいたいのだと、彼は話す。
「星を見るとか、寝転がって花火や自然の音に耳を傾けるとかなら、構わないと思うよ」
 とにかく、騒がず、賑やかにではなくしんみりと夏の夜を過ごそう。
 そう、彼は微笑んだ。
「道具や花火はジャーン。俺が用意しとくから、手ぶらでもいいよ〜」
 告げながら彼は再び箱を見せびらかす。余程楽しみなのか、今にも鼻歌が聞こえそうで。
「……だから、能力者としての戦いとか、勉強とかは、その日はおいとこう」
 けれどどうしてもそのことで考えたいのなら、とことん考えれば良い。悩んでいるなら誰かに相談してみるのも良いだろうし、何も考えず花火にだけ集中するのも、その人なりの過ごし方だ。
 青年は自分の連絡先だけ君へ伝えると、よかったら来てね、と手を振り君の前から立ち去った。

 宵闇に咲く小さく、そして儚い花の命を、君は見届けに行くのだろうか?

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参加者
NPC:井伏・恭賀(運命予報士・bn0110)




<リプレイ>

●夜のはじまり
 蒸し暑く息が詰まるほどの昼間を、藍の空が彼方へと押しやった。
 山へ集った若者達は日常を歩き、運命予報士が用意した国産線香花火を手に、四方八方へ散っていく。
 線香花火の最適な持ち方を力説するのは、龍麻だ。一緒にいた人からすぼてと長手の違いを尋ねられ、くるりと恭賀を振り返る。
「井伏、任せた!」
「ちょ、押し付けー!?」
 逃げた龍麻を追おうとした恭賀へ、引きとめの声をかけたのは瑞鳳だ。お勧めの花火を恭賀に聞いてみるものの、すぐに考えるのがまどろっこしくなったのか、瑞鳳は片っ端から線香花火を手に取る。その様子に、煌がすぐ後ろで笑いを零して。
「あまりがめつく取ってもうたら、恭賀も困るからほどほどにしときぃよ?」
「だってドレも気になるじゃねーか!」
「それもそうやね。俺も全部貰うとこかな」
 結局全種類を手に歩き出した二人を、恭賀も微笑ましそうに手を振り見送った。
 やや賑やかな彼らの近く。
 冷たい川へ突撃したかと思えば、自由奔放に駆け回り、陸へ上がった瞬間には水気を払うように身体を震わせる。そんなケルベロスベビーのオルタに翻弄されながらも、誠と諷は夏の夜へ想い出を綴っていた。
「ちびっ子フリーダムだなー、全く」
 溢れる笑い声を手で微かにおさえ、諷は思い出したように誠へ向き直る。
「先輩、今日は、一緒に来てくれて、有難う」
 惜しみない感謝の返事は、同じ意味を含む言葉だった。

 ジングルは、轟に天体写真を手渡し、これが彼の誕生星だと嬉々として話した。
「この星が再び巡り来るその時も、そうかキミが笑顔でいられるように、と」
 篭めた祈りを照れ臭そうに口にする。そんなジングルへ、轟は「有り難い限りだ」と短く答えた。
 交流の時間へ身を置く者が佇む一方で、文字通り、静寂の夜を過ごす若者も少なく買い。
 撫でてと甘えを含みケーシィが短く鳴く。猫と化したそんな主へと、ウィアドが静かに寄り添った。
「神谷って、蛇の丸焼きでも大丈夫そうだな」
 暈人の示した真っ直ぐな印象に、轟が口の端を僅かに上げる。そして、他になければ蛇も食べるだろうな、と冗談を含む調子で言葉を返す。
 木の葉が肌を擽る。アイリは座る枝を僅かに揺すり、線香花火の魅力に心を奪われていた。ふと、轟の姿を見つけ挨拶にでもと立ち上がれば、さわさわと木の葉たちが歌いだす。

 ケルベロスとスカルロードが顔合わせを済ませるとほぼ同時、主であるティアリスと弥琴が辞儀を交わしていた。スカルロードにまだ名が無いのだと弥琴が頬を掻くと、ティアリスは空に因んだ名はどうかと手を叩いて。
「柳先輩、火をどうぞ」
 宙を描いた片手から、彼女が柳へ火種を移す。受け取った想いに柳は思わず、長持ちして下さい、と祈りを捧げた。見よう見まねで弥琴も自分の花火へ、祈りを這わせる。
「……お祈りも結構効くみたいね」
 爆ぜる火花の勢いが増したように思えて、美琴がくすくすと笑った。
 一方その頃。
 二匹のケルベロスオメガを前にして、恭賀は瞳をキラッキラに輝かせていた。肝心の獅子王丸とれおんも大人しく、けれど酷似した姿ゆえか互いへの興味を示す様子に、彩華とれいあは小さく笑う。
「さ、触ってもいい〜?」
「気をつけて下さいませね」
「触る場所気をつけて」
 少女二人から飛んだ忠告に、恐る恐る恭賀は獅子王丸とれおんへ手を伸ばした。
 もう少し人気のない上流へ行こうと、言い出したのはカイルだった。エルは大きく頷くと、カイルの手へ自分の指を迷わず絡め、歩き出す。繊細な灯火も、片手に。

 轟への挨拶を終えた後、玄六が右手を差し出した。
「静かにも朱紅い熱さで最期の一瞬まで輝き続ける。そう在りたいもんだな」
 自己紹介と共に想いを向ければ、差し出された手を轟が握り返す。
「あんたがどんだけ強い意志持ってたか、俺は知らねぇ」
 不意に、束ねられた線香花火を見下ろし、駿介が秘めていた胸の内を明かした。
「でもな、でっけぇもんはでっけぇ力で持つのが一番だと思うぜ」
 黙したまま耳を傾けていた轟は、話が終わったところで短く、そうだな、とだけ応じて。仲間達のやり取りを見守るように口を閉ざしたまま、椿は一人物思いにふけていた。
 ――間違っちゃ居なかったんだよな。
 仲間と全力で駆け抜けてきた遠征の記憶が蘇る。幾つもの想いや戦いが生まれる中、彪は大きな流れに浮かぶ自らの息吹きに、ただただ瞼を閉じる。
「この時を……私達は、生きているんですね」
 無数の星が、押し上げた彪の瞳に映り煌いた。

●緩やかな時間
 控えめでも、静かでもいい。ただ長く、その温もりや姿を感じ、いつしか火種が落ちるように眠りにつければと、沙夜が夜の空気へ想いを馳せる。傍にいてくれる? そんな問いかけにさえ、アガートはいつもと変わらぬ声音で。
「居るさ。何時だって何があったって、沙夜の傍に」
 睫毛を伏せた沙夜の耳に、微かに異なり聞こえた調子はきっと、彼の確かな心の現れなのだろう。それを抱き、少女は静かに微笑んだ。
 心地良さを抱くのも、与えるのも、自分がいて相手がいるからという、単純ながらも大切な理由があれば良い。
 イグニスとルシアは、正しくその理由を感じる夜の中へ、見も心も預けていた。重なった二つの手が、一本の線香花火から舞い上がる熱に煽られる。
 水の流れが人々の夜を見送り去っていく。そして森では、木々や眠る動物達が、若者達の平穏を邪魔することなく存在していた。
 男が決めた生き様を否定はしないと、紡いだのは祭波だ。
「俺等は何だかんだで、その背中を守ろうとするんだろう」
「奇遇だな。俺も同じことを考えている」
 吐息だけで模るように、轟はそう返した。彼へ視線を向けていた悠は、ここで目が合いすかさず、馴れ合う気はないぞ、とどもりながらそっぽを向く。そんな少女とは対照的に、顔を覗き込んだ雛乃は、
「ブランケット、気に入ってもらえたかしら?」
 と期待で瞳を染めて尋ねた。おかげで風邪を引かず済んだ、と返事が届けば、安堵にか彼女は胸を撫で下ろす。続けて言葉を向けたのは咲夜だ。
「火種の取り合い、やるか? 貴重なものらしいから、一本だけ」
「いいだろう」
 受けて立つと言わんばかりに、轟が口の端で笑う。
「火種取り? へぇ、そういうのもあるんだ。やるやる!」
「ひ、ヒナもー!」
 真弥と雛乃が、点けたばかりの線香花火を片手に挙手する。微笑んだまま傍観していた止水をも巻き込めば、八重の横でポメも楽しげに「きゅっ」と鳴いた。

「天の川くらい満点の星ならきっと寂しくないね」
 零の思いがけぬ呟きに、ウィルは水面を見下ろした。命を喩えた星が映り込んだ天の鏡を、眩しそうに。そしてふと、見覚えのある葉をむしり、夜を飾る草笛の音色を響かせる。途端、零が点した線香花火が震え、その一生を懸命に生き抜いた。
 ケットシーガンナーのロイの花火が萎んでいくのに気付き、古湖が咄嗟に火種を移す。古湖のすぐ横では、人魚がスカルロードと同じような仕草で二人を眺めていた。
「ひなさまも、花火……一緒にするのは初めて、ですね」
 人魚の呼びかけを受けながらも、ひなさまは渡された花火を凝視している。古湖と人魚は、柔らかい眼差しを重ねた。また皆でやろうと、約束を繋いだ小指へ秘めて。

 弁護士を目指しているのだと、せせらぎを前に瑞明が夢を紡いでいた。
「力が無くても人を守る術を、見つけたいんだ」
 夢に向かってお互い頑張ろう。緩く口角を上げた彼へ、恭賀も笑顔で頷く。
 穏やかに夢を語らう若者と別の世界も、森に存在した。
「年齢詐称疑惑が上がってるけど、実際のところどうなんだ?」
 ずっと聞きたかったのだろう。疼く心情を曝け出した悠斗へ、轟は動揺を微塵も浮かべず、
「嘘を吐く男に見えるか?」
 と唇に笑みを刷いた。そんな悠斗の後背から、ひょっこり顔を覗かせたのは紗耶だ。クッキーを差し出す少女を見遣り、轟は快く受け取った。
 静寂は、静寂の味方をする。
 ケットシーのおにくとも並び、雅流と天輝はそれぞれ種類の異なる線香花火を垂らしていた。浴衣姿で堪能する華の彩りは、正しく夏の夜にある光景だ。円を作り互いに寄せ合う話は、思い出に満ち溢れた世界だろうか。

●まどろみの時間
 水辺への恐怖に青ざめた顔も、間近で捉えた鉄の眼差しに、一瞬で赤みを帯びる。輪音はそのままくいくいと腕を引き、おねだりを囁く。
「……この間のおまじない」
 理由作りも弁解も必要ない。鉄が身を預けた彼女の顎へ手を添えれば、星空の下、二つの影は音もなく重なった。
 恒例ゆえにか膨らむ期待も楽しみも全て音にし、静馬が勝負を言い渡す。どちらの花火が長く続くか。そんな静かなる競争に集中する彼の横顔を見つめ、灯はそっと身体を傾けた。すると、二人同時に火花が落ち消えて、思わず顔を見合わせ笑う。
 溢れる笑い声はあちこちから注がれ、またそれと異なる喜びも夜空へ昇っていた。
 暗がりに淡緑の色を点すブレスレットは、衝平の心でもあるのだろうか。
「石弓さんに付ければ、いいの?」
「いや、俺につけるんじゃなくて……手、出して」
 首を傾いだレティシエルの手首へ添え、もう一つ、おもちゃのブレスレットを、ゆらゆらと落ち着きのなかったしろけだまの頭へ乗せる。素敵、とレティシエルが零した歓喜の音だけで、衝平も嬉しそうに表情を緩ませた。

 そっと団扇を差し出したまま黙り込んでしまった奈落に、轟も言葉を紡がぬまま団扇を受け取る。
「……綺麗じゃのう」
 漸く絞り出せたのか、微かな奈落の呟きを聞き、相手も多くは語らず「ああ」と口角を上げ短く唸るだけで。
 機会があれば、強敵を肩を並べて倒してみたい。挨拶に訪れたアルトの願いを受け、俺も同じことを願ってる、と轟は銀誓館の学生へ寄せる信頼を模った。
 花火から気を逸らす者もいれば、集中する者もいた。
 熱いから触るなよ、と青藍が釘を刺したにも関わらず、煌く光と花弁へ吸い寄せられるように、流火は何度も触ろうと試みる。その度に青藍が制止していたが、刹那、ぽとりと僅かな音を散らして火種が流火の手から転げ落ちてしまった。
 そのとき。
「大丈夫だ、お前はまだいける!」
「落ちるな〜、落ちるな〜っ」
 カズマと小夏が線香花火へ篭める念ゆえか、二人が寄りそう枝がわさわさと揺れる。木の上から注ぐ灯火と二人の声援は、暫く止むこともなく。
 散りゆく火花を見つめる乙姫の傍ら、克乙は、箱から取り出したばかりの花火を手にした轟と言葉を交わす。
「俺達は散っていった想いを繋ぐ為、ここにいる……そう思います」
 何気ない彼の呟きに、轟は手にした花火を見下ろすだけだった。
 指先に垂らした火花を、その命を見守るように瞳を眇め、轟の傍へ寄った久遠がぽつりと想いを零す。
「実に艶やかで儚きものよぅ」
 同じ頃、川辺でも疎らに光が彷徨っていた。志摩が線香花火で水面を照らし出すその近く、立ち尽くしたままの悠樹と、石に腰掛けたホーリィがいる。
 水面を彩る光の数々を前に、悠樹は恭賀へ礼を述べていた。
「明日から、またがんばれそうな気がする」
 素直な反応を見せる悠樹に、恭賀は「俺もだよー」と緩く笑って。
 そして、力強く、長く灯る花火を手にしたぐーちゃんが、身を揺らしゆらゆら落ち着きない様子に、ホーリィが小さく笑う。
「井伏さんは線香花火のどんな所が好き?」
 少女の問いに、恭賀は華の名残を瞬きもせず見守り、瞳を眇めた。
「一生懸命に咲くところだねー」

●末永く、一瞬に
 二人が咲かせた華は、同時に地上へと舞い降りる。競争は引き分けで終わり、思わず見合わせた顔に哲人も緑青・椿も笑むばかりだ。やがてふと、哲人は椿へ指先を伸ばし、優しい存在を愛でるように撫で始める。散らない花もあるのだと、互いの心は色褪せることを忘れた世界で、想い出に色付く。
 一方、知人との再会に喜びを刷いた久恒と進護は、森の奥、轟の許へ訪れていた。学びたいことがあると告げると、轟は頷きだけで続きを待つ。
「その、どうスか? 銀誓館に移って」
 曖昧さを帯びた質問に、轟は逡巡した後「転校生気分はまだ抜けないな」と肩を竦めて。
「焦って変わる必要は無い。……時間は、あるからな」
 そうとだけ告げると、轟は踵を返した。

 もの悲しさに瞼を伏せ、クリーヴが興味の炎を瞳に移した。昔は線香花火ってそこまで好きじゃなかった、と話す菜々美が微笑む傍ら、コレットが消え入った火を惜しむように息を吐く。
 人の命はこんなにも儚くない。蒼は切なく沈んだ火花を目で追い、そう呟いた。蒼へ同意するようにか、頷いた誓護も新たな一本へ灯りを、その命を点す。
「この優しい輝きを、僕たちは覚えていてあげられる」
 眩い光が失せようとも、生きた証は消えない。そう告げた誓護の顔を一瞥し、翠月は人によって受け止め方もいろいろなのだと感心する。
「綺麗だねって楽しんで貰える方が、嬉しいんじゃないのかなー」
 小さく肩を竦め、アルト・サクラバが空を仰いだ。
「消えることを悲しまれるよりは……なんて」
 気恥ずかしさに染まったアルトの頬を、紛らすように幾つもの色が重なっていく。

 散り菊が、若き者達へ命を教えた。散り菊が、その命に眠るたくましさを教えた。
 否、戦いと隣り合わせの青春を生きる彼らからしてみれば、もう知っていたことなのかもしれないが。
 最後の線香花火が、精一杯生きた証を落としていく。
 彼らの夜は、もうすぐ終わりを告げようとしていた。


マスター:鏑木凛 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:73人
作成日:2009/08/23
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
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