ソフトじゃないよ、ハードだよ


<オープニング>


「なんでこんなことになってんだよ……」
「やめろ、考えたら負けだ」
 暑い夏の日、されど練習は続く。
 選手たちは懸命にボールを追いかけ、汗を流す。そんな彼らの目的はただひとつ。
「女にモテてぇ……」
「違うだろ、それもあるけど、まずは地区予選突破だろ」
 大学のソフトボール部。しかし、今グラウンドで土まみれになっているのは男子学生だけだった。
 ソフトボールといえば、女性がやるイメージも強いが、彼らの所属する部活の女子部員はゼロ。当初こそ、マネージャーや女子選手もいたが、それにつられて入部した現2年生たちがチームの中心になるころには卒業やら就職活動で女っ気はなくなっていた。
「負けねぇぞ、ぜってい勝ってやる」
「そんでかわいいマネージャーや部員をゲットだな」
 口ではそう言いながら、彼らの表情は真剣そのものだった。
 最初は軽い気持ちで入部したものも多かったが、一年たつころには男子学生たちはソフトボールにのめり込んでいた。
 野球とは違う、大きなボールに、短いベース間隔。彼らにとってはそれこそが愛すべき魅力だった。
 だが、しかし……
「しっかし、なかなか慣れないな。でかいボールって」
「っていうか俺らほとんど初心者だっただろ。今時の若者はおやじとキャッチボールやってなかったりするんだよ」
 彼らは全員未経験者。一年での上達は、それなりというか、素人が下手な選手になっただけ。
「ちょっと、君投げてみて」
「へ?」
 そんな彼らの練習風景に突然乱入してきた若い女性は持ち前の竹刀を置き、部員の一人からバットを奪うと、バッターサークルで構えた。
 投球練習中だったピッチャーは呆けた声をあげながら、フォームの流れるままにボールを放す。こんな時にかぎって良い感じに力の抜けた彼の玉は滅多に見れないほどのスピードを記録していたが、それがキャッチャーミットに収まることはなかった。
「これが、ホントの、ソフトボールよ!!」
 独特のダイナミックなフォームから振るわれたバットで、文字通り遥か彼方まで飛ばされていくボール。
「うをぉおおおおおおおおおおお!! すげぇ、あんなホームラン初めてみた」
「なに、プロ? プロなの……お願いします。ちょっとだけでもいいんで俺らにソフトボールを教えてください」
 歓声をあげる男子学生たちの様子にニヤリと笑みを浮かべたスタイルの良い女性は、大きな声で放った。
「強くなりたいなら、勝ちたいんなら、私の特訓についてこい!」


「ナイトメア王ジャック・マキシマムの配下のナイトメアビースト達が動き出したようです」
 山本・真緒(中学生運命予報士・bn0244)は教室に集まった能力者に向かいそうきりだした。
 ナイトメアビーストの一人、『優勝請負人』颯爽・菱子は、弱小スポーツ選手にナイトメアビーストの力を付与して必殺技を習得させる能力を持っている。
 必殺技は、炎のシュートや衝撃波パンチなどで、アビリティ攻撃に匹敵する能力がある。その力を試合で使えば対戦相手は間違いなく死亡してしまうだろう。そんな悲劇は、絶対に防がなければならないのだ。
「菱子と戦うには、練習を行っている場所にいけば良いのですが、厄介なことに、必殺技を得た選手達が援護ゴーストとして戦いに加わってしまいます」
 ナイトメアゴースト化している選手達は、戦闘不能となると同時に死亡してしまう為、普通に戦えば必ず死亡してしまう。
 それを防ぐためには、必殺技を持つ選手達と試合をして勝利をする必要がある。
 練習試合の間は、菱子が攻撃してくることは無いので、必ず勝利して、選手達を救いたいところだ。
「試合に勝利できたら、菱子は敗北した選手達を従えて、能力者達に襲いかかってきます。菱子の武器は木刀で、普通のナイトメアビーストくらいの戦闘力です。戦闘中は、選手達に指示を出して強制的に戦闘をさせる事ができます」
 戦闘に勝利すると、選手たちは意識を失い倒れるので軽く手当てをしてあげるのがよいだろう。
「では、向こうのチームのスターティングメンバーです。控えはいないですが、練習試合なので、途中交代や守備位置の交代などは自由に行っていいみたいです。指名打者制なので、ピッチャーの代わりに打撃専門の選手も必要ですね。ルールは一般的なソフトボールのルールで七回までの試合です。また、同点の場合は勝者が決まるまで延長です」
 真緒が相手選手のオーダーを黒板へと貼り付ける。

 1番 ライト 鈴木
 ●人間の限界を越えてとっても早いです。反面、守備時は自分の守備範囲までしか動きません。バントが成功すれば、だいたいセーフになります。
  
 2番 セカンド 前田
 ●とっても前進守備してきます。それでも捕球できるほどの超反応。軽く守備時は分身してます。

 3番 ファースト 渡辺
 ●左利き、左打ちで、なんでも左に飛ばします。どんなボールを打とうとも、不思議能力で左方向へと流れていきます。

 4番 DH 佐藤
 ●当たればホームランという超筋力。でも足は遅いです。彼の打ったボールは文字通り燃える豪速球になるのでキャッチングはしない方が良いでしょう。

 5番 サード 加藤
 ●右利き、右打ちでなんでも右に飛ばします。どんなボールを打とうとも、不思議能力で右方向へと流れていきます。

 6番 レフト 田中
 ●非常に強肩です。文字通り彼の投げる玉はレーザービームとなるので、走塁時は注意が必要です。

 7番 センター 高橋
 ●玉を引き寄せます。打撃時、守備時は、自分はあまり動かず、玉を不思議能力で引き寄せます。範囲は一般的なセンターの守備範囲ほど、吸引力はあくまで『それなり』です。

 8番 キャッチャー 木村
 ●ささやきが得意です。不思議な力で相手の心が読めるらしく、精神攻撃を行ってくるかもしれません。

 9番 ショート 石川
 ●空間を短縮するワープができます。なのでファインプレーは得意ですが反面なんでもないボールでもワープしようとするのでミスも多いです。

 投手 中島
 ●ライズボールが大好きすぎて、自分の身長ほども曲がるようになりました。ドロップという緩やかに下へ落ちるボールも持っています。変化球はすべて変化が強すぎてほぼボールになりますが球速は遅いです。彼の嫌いな速球の方は速すぎるので、素人が打つのは困難かもしれません。

「今回の試合には、絶対に負けるわけにはいきません。負ければ、選手達の命がないですから……。なので、菱子の所に行く前に、一通りの特訓はしていったほうが良いでしょう。試合でも戦いでも、必ず勝利を掴んでくださいね!」
 真緒はぐっと右手を振り上げ能力者たちを励ましながら、彼らを送り出すのだった。
 

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参加者
時雨・遼(血蛇の鐐・b03318)
境・鷹男(高校生真魔剣士・b06261)
比留間・兵庫(大学生ファイアフォックス・b14785)
カトリーヌ・カール(ラコルネルージュ・b30797)
暗都・魎夜(熱き血の覚醒・b42300)
旋風寺・舞佳(勇者特攻トライガインエックス・b51714)
橘・柊(橘本家のゆる当主・b71143)
ラナ・ララサバル(猫の女王候補・b72122)
異邦刃・トキハ(過去を求める血を吸う鬼・b72503)
ネイト・スタンッア(銀鎖の継承者・b77107)



<リプレイ>

●秘密? 特訓!
「うーん、ま、格好良く大活躍するためには、やっぱ下準備が大事ってね。今日ばっかりは、真面目にやらしてもらいます♪」
 ピッチャーを任された時雨・遼(血蛇の鐐・b03318)は淡々とフォームを確認しながら、投げ込みを行っていた。
「うおぉぉぉぉぉ!」
 汗を流し、特訓に勤しみながら境・鷹男(高校生真魔剣士・b06261)が叫ぶ。学園恒例のソフトボール大会に出場したものも多く、仲間たちのモチベーションは高い。さらに、試合の勝敗に人の命がかかっているとあっては、練習にも熱が入るというものだ。
 鷹男は叫び声と共にやたらめったら自分を追い込みながら、フィジカルの強化と素振りを勢い良くこなしていく。
「次いくぞ次ぃ!!」
 比留間・兵庫(大学生ファイアフォックス・b14785)のフレイムキャノンによって打ち出されたソフトボールは文字通り火の玉となって、能力者に襲いかかる。
「できましたわ! ……なんとも非現実的な感じですが」
 その火の玉ボールをネイト・スタンッア(銀鎖の継承者・b77107)がフロストファングを用いてキャッチする。能力者特有の力を使った見事な捕球だった。
「……ふん!」
 こちらではカトリーヌ・カール(ラコルネルージュ・b30797)がライズボールの対策を行っていた。バットを握り締め狙う目標は真下から打ち上げられるロケット花火。
 それを等速でジャンプしながら打ち崩そうというのだから、めちゃくちゃだ。もっとも能力者たる彼らにとってはそれぐらいの超理論も可能となってしまう。
 こうなってしまっては現代の科学的な練習が有用なのか、昔のスポコン漫画の危険極まりない練習の方が効率が良いのかわからなくなる。
「琴乃の笑顔を目指して!」
 休憩をしているのか、ソフトボール場が設置されている河川敷の川沿いでは暗都・魎夜(熱き血の覚醒・b42300)が釣りをしていた。しかし、その表情は真剣そのもの、それもそのはず、これも特訓の一貫であった。いわく、「ホームランボールを恋人に届ける」イメージトレーニングらしい。
「受けろ、必殺44ソニックマグナム返し!」
 なんて叫び声をあげるのは旋風寺・舞佳(勇者特攻トライガインエックス・b51714)。けれどもやっているのはソフトボール、もっとも叫んだ内容に負けず劣らずのとんでもな練習風景……なのは仲間の一部だけ。
 彼女は至って普通に、ひたすらショートまん前を狙いつつバッティングを練習していた。通常強打者がおさまる4番としての出場が予定される彼女なのだが、曰くブラフというものらしかった。
「特訓して上達して…大型扇風機の汚名返上だ!」
 ひたすら素振りを行う、橘・柊(橘本家のゆる当主・b71143)。
「はい、はい、はい、はいはいはいはい!」
 隣では梔・槐(硝煙の巫女・b71190)が目を光らせ、柊をシゴキ続けている。彼女が声をかけるたびに、柊が一振り、それも息継ぎもしんどそうなほどのスピードなのだから、彼が反射的にバットを振れる日も近いだろう。
「ソフトボールなのにゃー♪ にゃふふ♪ 小学生だと思って、ラナを甘く見てはいけないのにゃ! おにーちゃんたち、やっつけてあげるのにゃー!」
 地道に、三遊間への流し打ちとセーフティーバンドの特訓を行っているのはラナ・ララサバル(猫の女王候補・b72122)だ。足の速さを活かしてなんとか出塁しようというの試みだった。
「紅連撃打法! ……といったところか」
 紅蓮撃のパワーをいかしたフルスイングを練習中なのは、異邦刃・トキハ(過去を求める血を吸う鬼・b72503)。ジャストミートした練習用のボールは魔炎をまとって遥か遠くへと消えていく。
 ……なんとも、現実的な練習と、非現実的な練習の入り混ざった不可思議な光景。
 敵に挑むまでの数日間彼らの秘密? 特訓は続いていく。

●道場破りのごとく
 大学のグラウンドで練習中の部活風景(もっともその光景はカオス極まりない)に、突如現れる乱入者。
 そして道場破りのごとく突然申し込まれる練習試合。これではどちらが悪役かわからない展開に、しかし颯爽・菱子はひるみもせず、二つ返事で受け手たった。
「いいでしょう、受けてたつわ!」
 もちろん彼女の後ろに並ぶ部員たちも不敵な笑みを浮かべている。
 学園の大会とは違い、今回はなんでもありのノールール。イグニッションカードを携えた能力者たちの姿はまるで今から戦闘へ赴くかのようである。
「なんとも自信満々な表情ですわね。よろしいですわ。銀誓学園ソフトボール部の実力、見せて差し上げましょう」
 ソフトボール経験者のカトリーヌは、『優勝請負人』颯爽・菱子に負けず劣らずの不敵な笑みを浮かべ、スターティングメンバー表を交換するのだった。

 1番/ショート・ネイト 2番/セカンド・ラナ 3番/サード・異邦刃 4番/ファースト・旋風寺 5番/センター・暗都 6番/レフト・橘 7番/ライト・境 8番/キャッチャー・カトリーヌ 9番/DH 比留間 ピッチャー・時雨

 1番/ライト・鈴木 2番/セカンド・前田 3番/ファースト・渡辺 4番/DH・佐藤 5番/サード・加藤 6番/レフト・田中 7番/センター・高橋 8番/キャッチャー・木村 9番/ショート・石川 ピッチャー・中島

 コイントスの結果、銀誓学園チームは後攻となった。軽いボール回しと投球練習が終わり、早速試合が開始される。
「何に対してでも、負けたくねーんだよな〜v」
 立ち上がりは上々、淡々と繰り返し練習した成果を出すように遼はボールを投げ続ける。安定したフォームから放たれるボールはコントロール、スピード共にそれなりに安定している。
「両生類の脳みそをかき集めた価値もないこの低脳」「セイウチの肛門に頭を突っ込み、死んでくださいませ」「パパとママの愛情が足りなかったのですか、あなた?」
 カトリーヌの毒舌もピッチャーを支えていた。……やはり所詮は人間、しかも女の子にこんなことを言われては精神は多少なりとも揺れてしまう。
 しかし、さすがは本職のソフトボール部、初回、甘い玉を見逃さずに、ツーアウトで3番の渡辺がヒットを放った。やたらめったら左に曲がる彼の打球、それ用のシフトをしいてはいたが、初見で予想以上に曲がったために対処しきれなかったのだ。
「本気を出す時が来たようだな」
「俺もこれ、毎日つけてて慣れちまって外すの忘れてたぜ」
 魎夜と鷹男がそれぞれリストバントを外し放りなげる。地面に着地したそれは鈍い音をあげ、土煙をあげた。お約束という感じで、味方も敵も一様に驚いた表情をうかべる。
 敵チームにとって初めてのヒット、しかし今後は守備範囲を増したセンターとライトがそれを防いてぐれることだろう。実際敬遠した4番の後続をきっちりと押さえ、銀誓館学園チームは初回をきっちりと終えたのだった。

 試合は進み、5回裏、得点は3−1、銀誓館学園チームが負けていた。
 選手たちは健闘していたが、やはり相手チームも手強く、不可思議な能力を見せる相手への対応が遅れていたのだ。しかし、そろそろ目も慣れ、それぞれの選手の特徴もしっかりと味わい、学習できたこの回、銀誓館学園の反撃が始まる。
(「…此処でいい場面を作って弄られ脱却ですわね!」)
 1番、ネイトの気合の入ったヒットに始まり、
「にゃはは♪ ラナに勝とうなんて100年早いのにゃ♪」
「ファインプレーでホームランは逃したが……、出塁はできたのじゃ」
 ラナとトキハも続き、ついに満塁。
「強打者のようにみせかけて堅実なバッティング。はっはっは!」
 ピンチだからこそ、テンションをあげ、かるやかな動きで文字通りの分身で守備範囲を異常に広げたショートの隙間を、舞佳の打球が抜けていく。
「もう少しで……逆転だ!」
 ベンチに座る槐の応援にも熱がこもる。
「特訓の成果ってところだな、死球でも槐が介抱してくれるし」
 さらに柊も続きこの回4得点。なんとか逆転し、回を終えることができた。

「魔球っていうのは、夢……だよな」
 遼に変わり全7回の残り1回のマウンドを任された兵庫が、文字通りの火の玉ボールを投げる。フレイムキャノンを応用して投げられるそれは豪速球なうえに、魔炎をまとって威圧感十分。
 後攻である銀誓館学園チームはこの回を無失点で押さえれば勝利が確定する。
 敵チームの面々は、自分たちが放つそういった不思議ボールは見慣れていても、実際に相手に投げられるとそうすぐには対応できないのか、空振りが目立っていた。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
 なんとかフルスイングでパワー勝負をしかけた4番佐藤の当たりそこねながら、とんでもない打球もなんとか仲間たちは能力を駆使し、キャッチしてみせる。そして、後続をきっちりと押さえついに銀誓館学園チームが勝利をおさめたのだった。

●乱闘開始
「負けてしまったか。けれど、こちらではどう?」
 先程までベンチでじっと選手を指揮し続けていた菱子の雰囲気が変わる。彼女と共に、勝負に負けうなだれていた選手たちが再び立ち上がり、目をぎらつかせながら能力者を睨みつけた。
「やれやれ。スポーツは礼に始まって礼に終るということを知らんのかのぉ」
 ノーブルブラッドで戦闘準備を整えつつ、トキハが呟いた。
「さぁ、ここからは乱闘の時間だぜ?」
 勢い良く、菱子へ突撃する魎夜。しかし、それを阻むように部員たちがバットを振るい立ちはだかる。
「霧で試合一時中断…とはいかんか?」
「おにーちゃんたち、ダンス上手なのにゃ。明日からダンス部にすればいいのにゃ♪」
 柊の魔蝕の霧、ラナのダンシングワールドが部員たちの行動を妨害する。
「当たると、死球より痛いかも♪」
 さらに、爆水掌を駆使して遼が部員たちを無力化していく。
「こういう叫びも効きましょう」
 カトリーヌの地獄の叫びが響き渡り、部員たちが数名倒れこむ。きっと彼らの脳裏には試合中にささやかれた彼女の毒舌がよぎったことだろう。
「ふん、なにも指揮するだけが能じゃないのよ!」
 ソフトボール部員たちの戦力が無力化されていくなか、菱子自身も木刀を手に打って出る。
「なんだか、特訓して体も鍛えてあるから、いつも以上に軽快な動きができるぜ」
 黒影剣で斬ってかかりながら、鷹男が呟く。
「一般人を超人に仕立て上げるか。昔、子供たちの『指導』に失敗でもしたのか?」
 さらに菱子に語りかけながら 兵庫が接近し攻撃を叩き込む。驚異的な、ある意味ではた迷惑な能力をもつ菱子は、しかし戦闘能力はそれほどでもなかったのか、能力者たちの攻勢が強まっていく。
「あの、おっぱい……いや菱子を倒せば! やったねパパ! 明日はホームランだ!」
 舞佳のバレットインフェルノが菱子を中心に放たれる。
「もう少しだ!」
 その後ろでは、赦しの舞で槐が仲間たちを鼓舞する。
「選手達の努力を利用するだなんて許せませんわね? コピーだろうと手加減いたしませんわ!」
 そして、ネイト・スタンッア(銀鎖の継承者・b77107)の放ったフロストファングが菱子をを襲い、倒れこんだ彼女は部員たちを残し姿を掻き消していったのだった。

●ひと仕事終えて
「イタイの飛んでけにゃ〜♪」
 戦いも終わり、倒れこんだ部員たちの介抱をするラナ。
「あ〜。不覚にも良い汗かいちゃってv これも青春の思い出〜?」
 ソフトボール一試合を終えた後に、連続して戦闘までこなした疲れによる汗をぬぐいながら、遼が爽やかな笑みを浮かべる。
「面倒事は嫌いだが…やはりソフトボールはなかなか面白いなあ。今から来年が楽しみになってきたぞ」
 柊もやはり、充実感を噛み締めながら表情を緩める。あれだけの特訓が下地にあるのだから、勝利の余韻も格別なのだろう。
「菱子サン、決勝、もとい本物のあんたと戦える日を楽しみにしているぜ!」
 魎夜は今は消えた菱子の姿を思い返しながら、グラウンドを見つめていた。
「何でもそうじゃがスポーツは地味〜な努力をどれだけしてきたかで決まる。必殺技なんぞより基本的な練習を日々重ねることじゃな 」
 こちらでは、意識を回復し始めた部員たちに向かい、トキハを始め能力者たちの語りやらアドバイスが始まっていた。
「燃焼し切ったな。満足。スポーツマン=もてるなんて公式は無い。大事なのは心だ」
 倒れたソフトボール部員を介抱し終えると、去り際に鷹男が呟く。意識もおぼろげな部員たちの耳にとどいたかはともかく、鷹男は満足そうに笑みを浮かべる。
「いい、夕日ですね」
 さらにカトリーヌの言葉を聞き、なんとか正気を取り戻しつつある部員たちの表情がなぜか強張る。一方カトリーヌはしれっとした表情で一仕事終えた後の清々しさで夕日に魅入っていた。
「強くなりたいなら、勝ちたいんなら、自分たちでがんばれ!」
 舞佳は元気のよい満面の笑顔で部員たちを励まし背を向ける。
「ふぅ、邪魔したな」
 カッコよく後ろ姿を見せつけながら兵庫が呟く。その言葉がきっかけになったのか能力者たちはぞろぞろとグラウンドを去っていく。
「あの……なんといいますか、お邪魔しました」
 去りゆく銀誓館学園チームの最後尾、ネイトは部員たちにペコリと頭を下げ、とてとて走っていく。
 とにもかくにも、嵐のような事件に巻き込まれた一番の被害者である、ソフトボール部員たちは記憶も朧気ながら理由もわからずになんとなく胸をなでおろすのだった。


マスター:坂本こうき 紹介ページ
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参加者:10人
作成日:2010/08/11
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