≪ボランティア同好会-お助けし隊-≫はじめてのごぉすとたいじ


<オープニング>


●ボランティア同好会 部室にて
「のぞみー」
「はいー?」
「あのなー」
「はい」
「わしも……わしもな?」
「ん?」

「わしもごぉすとたいじにいきたいのじゃあぁぁ――っ!!」

 希望はがんがらがっしゃんとパイプ椅子をひっくり返した。
「おわあびっくりしたっ!? な、なんですか団長いきなり」
「ナイスリアクションじゃ希望。いやな? わし、まだゴーストと闘ったことがないじゃろ?」
「はあ」
 狐歌はふるふると握りこぶしを震わせて力説する。
「みんなばっかり楽しげにバトルしおってずるいのじゃ。許せん……!」
「許せませんか。そう言われても……あ、お茶飲みます?」
「飲むのじゃー」
「はいどうぞ。……ん? 何ですかこのファイル……あ、写真が挟んでありますね」
「てんけぇぇーーーーいっ! なのじゃ!」
 希望はあやうく麦茶を狐歌にぶちまけそうになったが「ふんぬっ」と腕に力を入れ懸命にこらえた。
「わわわ、なんですか今度は!?」
「天啓じゃ! みよ希望、この写真、心霊写真じゃ!
「なんですって!」
「このファイルは……ふむふむ、成程。この持ち主は前団長のレイ――」
「ストップ! ストップです団長!」
「ん? なんじゃ」
「ふふん、能力者の先輩としてアドバイスです。――シナリオに参加してない人の名前は、出してはいけないんですよ?」
「おおっ! さすがは先輩じゃな希望! ではレイ――うおっほん! あやつの事は、なんと呼べばいいのかの?」
「そうですね、『はわわと鳴く元団長』あたりでしょうか」
「なるほど、あい分かった。――このファイルは、はわわと鳴く元団長のものじゃな。これも何かの縁、このゴーストはわしがぱーふぇくとに退治してやるのじゃ! 決めた!」
「ええっ!? そんな、危険ですよ!」
「ふ、ならば希望も一緒に来るのじゃ」
「え?」
「依頼経験のある先輩の希望がいれば、百人力じゃからな!」
「えー、そ、そうかなー?」
「そうじゃともそうじゃとも。よっ、にっぽんいちぃ〜じゃっ♪」
 狐歌のみえすいたおべんちゃらに希望はうへへと締りのない笑みを浮かべた。
「えへへそっかそっかぁ。えへへへへ。――よし! 団長、私いきます。がんばっちゃうぞー! 心霊写真だろうが抗体ゴーストだろうが、ぜーんぶ私に任せなさーいっ!!」
「かっこいいのじゃー♪」

●数分後
「ういーっす」
 ボランティア同好会の部室に、遅れてクラスターたちがやってきた。
「悪ぃ悪ぃ、ちっとプールへ『的』に会いに行ってたら遅くなっちまった」
「あら? 御剣さんたち、まだ来ていないようですね」
「珍しいっすね」
 ゆかりと千尋が顔を見合わせる。ふと、成美はテーブルの上に置かれた麦茶のコップに気がついた。
「麦茶が飲みかけです。もう来てるみたいですよ」
「でも、現に誰もいないっすよ?」
「おい、見てくれみんな、これ!」
 魎夜が発見したのは、さきほど狐歌たちが見ていた心霊写真である。彼らはすぐにピンときた。狐歌たちは、この心霊写真のゴーストを退治しに行ったのだ!
「心霊写真か……」
 遥日は写真をじっくりと検分する。
「結構はっきり映ってるね。武者かな?」
「ああ。兜をつけていて――」
「日本刀を振りまわしてますね――」
「鎧を着込んでるぜ――」
「そして下半身はふんどし一丁で――」
「ゴーストっすね――」
「おいちょっと待て。いま誰か何か言わなかったか?」
「は?」
「特におかしいところはなかったと思うよ」
「いや聞き間違いじゃない。もう一度繰り返してみよう。はいワンツー?」
「兜をつけて」「日本刀で」「鎧で」「下半身フンドシ」
「「それだぁぁーーー変態だぁああーーーーーっ!?」」
「な、なんてことでしょう。このゴースト変態です……!」
「そ、そう言われてみれば、えもいわれぬ迫力が……」
「ああ。まるでスネに浮いた汗の一滴一滴が写真から浮き出てきそうな迫力だ……」
「いやな迫力だな!?」
「ま、待って下さい! 団長たち『コレ』を退治しに行ったんですよね!?」
「! 危険だ!」
「ふ、二人には荷が重すぎるっす……!」
「変態ですものね……」
「急いで援護に行こう! 場所は――」
 遥日はぺらリと写真をめくった。何か文字が書かれている。
『はわわっ! この写真の場所は××っていう有名なハイキングコースで、とってものどかな場所なんですよ。麓には美味しい茶屋もありますし、いつか皆と一緒にハイキングにいきたいなあ』
「…………」
「さすが『はわわと鳴く元団長』」
「書き文字ではわわ……!」
「と、とにかく場所はわかりました! 皆さん、後を追いますよ!」
「おお!」

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参加者
朝日・遥日(光の皇子・b40908)
クラスター・ホール(その漢エロを崇拝する者・b41102)
暗都・魎夜(黄昏の破壊者・b42300)
鳶沢・成美(三角定規二刀流・b49234)
山神・千尋(疾風迅雷の拳士・b62300)
東儀・ゆかり(高校生真土蜘蛛・b65590)
御剣・狐歌(小学生妖狐・b80697)
大鳥居・希望(剣道少女・b80844)



<リプレイ>


 電車とバスを乗りつぐこと数時間。
 御剣・狐歌(小学生妖狐・b80697)と大鳥居・希望(剣道少女・b80844)は、緑ゆたかな高原へと降り立っていた。
「おーっ!」
 本来ならここで数十行にもわたってこの高原の美しさを緻密にして繊細な文章で賛美するべきではあるが、ここでは二人の第一声が「すごー!」「すごいのじゃー!「すごいですね!」「うむー、すごいのう!」「すごいすごーい!」だったという事実だけを述べて代わりとさせてもらおう。
「綺麗な場所ですねー」
「うむ、写真で見るよりずっと美しい高原なのじゃ。さて、あの写真に写っていたのは……お、ここじゃここじゃ」
 狐歌は古びた石碑に近づくと、一つまみの詠唱銀をふりかけた。途端に姿を現したのは、心霊写真のゴーストである!
「ふふ、この私がぱぱっとぶっ飛ばしてあげましょう!」
「その意気じゃ! わしもがんばって……ありゃ?」
「? どうかしましたか団長」
「うむ」
 狐歌は重々しく頷き、真剣な眼差しで希望の肩に手を置いた。
「のう、希望よ。よく聞くのじゃ……」
「は、はい。なんでしょう」
「実はな、わし」
「はい」
「――攻撃アビもってくんの忘れたのじゃ」
「なんですと」
「てへぺろ☆」
「誤魔化されるかあーっ!」
「ええい張り切ってわしの肉壁になるのじゃ希望ー!」
「肉壁!? くっ、仕方ないですね……!」
 乱暴に振り返った希望は、長剣をおもいきり振りかぶった。
「覚悟しろ、この全身よろ――……い?」
 二人は見た。
 立ちあがる武者鎧。その下半身に燦然と輝きはためく、純白のフンドシを。
 ん? と首を傾げた地縛霊は腰に手をやり胸を張った。そのときふわぁぁといたずらな夏のそよかぜさんがフンドシをはためかせフローラルな香りを彼女らにお届けした。
『――見惚れているのか?』
「「へへへへ変態だあああああーーーーっ!?」」


「鎧にふんどしのみ、か――」
 戦慄にごくりと唾を飲み込むクラスター・ホール(その漢エロを崇拝する者・b41102)。
 彼らは現在、二人を追って現場に急行中である。
「こいつぁ、あの2人にはちと危険すぎる相手……漢だぜぃ」
「ああ、アレは2人っきりで相手していい変態じゃねぇ!」
「まったくっす。二人だけでへんた……ゴースト退治なんて無茶っすよ!」
 暗都・魎夜(黄昏の破壊者・b42300)と山神・千尋(疾風迅雷の拳士・b62300)のいくあとを、鳶沢・成美(三角定規二刀流・b49234)も必死に追いかける。
「どうやら2人とも、無謀と慢心の精霊に取り付かれていたようですね」
「うん、特に御剣君はゴースト退治は初めてだったはず。変なトラウマでも植え付けられたら……!」
 朝日・遥日(光の皇子・b40908)の言葉に、みんなが「くっ」と目を逸らした。容易に想像できたからである。(「よーし、今日も変態タウンに変態倒しに行ってくるのじゃ!」)
「不憫だ! 不憫過ぎる!」
「それを言うなら大鳥居さんだって初めて遭遇したゴーストが変態だし……!」
「落ちついて下さい。ともかく急いで助太刀に参りましょう。そして……皆さん、これを」
 東儀・ゆかり(高校生真土蜘蛛・b65590)はおもむろに懐から何かを取り出した。対ゴースト用の秘密兵器だろうか?
「小型の消臭スプレーです。皆さん、危なくなったらこれを使って下さい」
「フ、成程な……」
 クラスターはニヒルな笑みで消臭スプレーを受け取った。
 成美は心の中で強く願った。
「二人とも――無事でいて下さい!」


 で。
「おらァァァッ!」
 希望の斜め35度切りが地縛霊をぶった押した。倒れた奴の体にガッと足をかけた傷だらけの希望はゼハーっと荒い息をつく。
 完全無欠に無傷で息一つ乱していない狐歌が、爽やかな笑顔で駆けよってきた。
「よくやった! わしの祖霊降臨のおかげじゃな!」
「ははは」
「じょ、冗談じゃよ希望。しかし、やれやれ、なのじゃ。なんとかわしらだけでもゴーストを倒せ――」
『……クククッ』
「!?」
 異様な気配に二人が飛び退ると、倒した筈の鎧武者がゆらりと立ちあがるところであった。
『どうやら、本気で相手をせねばならぬらしいな』
「な、なんじゃと!」
『見るがいい! ハァァア――ッ!』
 読者諸氏は、チューリップの開花映像をご存知だろうか? 夜、閉じた蕾のままだったチューリップは、日の光を浴びるとともにその花びらをふわりと開き、美しいその姿を白日のもとに晒すのである。このときの奴の行動もまさにそれで、眩い光が地縛霊を包み込んだかと思うと武者鎧がつぎつぎと剥がれていき鍛え抜かれた鋼の如きその肉体を我々の眼前にさらしていった訳で何が言いたいかというと脱いだアアアアアーーーッ!?
「ああ、見るがいいってそういう……」
「現実逃避してる場合じゃないのじゃ! 変態がっ、フンドシ一丁で変態が走ってくる!?」
『うおおおおおお!』
「ってぎゃぁぁぁぁああ!? やめて! 来るな! 抱きつくなぁああああ!」
『抱きつきはせん! 見せつけるだけだ……!』
「なに言ってるのコイツ!? ってちょっと団長! なに私の背に隠れてっ」
「ひぃぃぃ、きもいのじゃー! こわいのじゃぁー! 希望、はっ、早くやっつけるのじゃあ!」
「わ、分かりま――っ」
『ふんヌッ!』
「ひぃぃいぃ汗が! 汗がとんでぬるぬるで湿気でベトベトできもぢわるぃいい!? いぃぃぃやぁぁぁぁあ!! ……あ」
「……あ? あ、あのー、希望? 希望ー?」
 狐歌は希望を揺さぶった。
 希望は、優しい笑顔で狐歌に微笑みかけると、穏やかに目を閉じた。
「希望ーーっ!? 死んじゃだめなのじゃああ!? だ、誰か助けてなのじゃあああぁ――!!」


「そこまでだっ!」
 瞬間、地縛霊の足元に灼熱の弾丸が撃ちこまれた。
『何奴!?』
 振り返ると、そこには成美をはじめとして、おなじみのメンバーたちがいた。オラアッ! とやたらと可愛らしい声で変態に必殺のドロップキックを喰らわせた千尋が、鼻をこすってニヤリと笑う。
「御剣、大鳥居、助けにきたっすよ!!」
「お、おお! みんな来てくれたのじゃ!?」
「ご無事ですかっ?」
「希望は――」
 天使の寝顔で横たわっていた。
「遅かったか……」
「変態の毒牙に――ゴメン、はわわと鳴く義姉ちゃん……!」
「惜しい人を……」
「御剣君、大鳥居さんを連れて一度下がって! ……うわぁ、何か鎧脱いでるし……。と、とりあえず足止めを……!」
 遥日は蟲の知らせを発動した。
 脱ぎ捨てられた鎧兜浮かびあがり、その鋭利な先端がフンドシの中身をサクッ。
「刺さったあー!?」
『馬鹿め、股で挟んで止めておるわ! ぬうううッ』
 粉砕される兜の飾り。もう俺にはツッコミしきれないよと遥日が深く溜息をつく。
「まあ、実際戦国の絵図などでも、裸に胴丸一丁の方は見られますし。武者が身軽さを求めるのは、それほど変なことではないかもしれませんね」
「なるほど。そういえば、越中褌って細川忠興が考案したっていう説があるんですよね」
 知識人のゆかりと成美がインテリっぽい会話をしているが千尋は正直よー分からんかったのでぽへーっと聞き流していた。おばかなのである。
「そんなことよりそこのゴーストおおッ!」
『ぬン!?』
「太ももで兜を粉砕するとは、なかなかの筋肉! オレへの挑戦と受け取ったっす! 受けて立つっすよ……!」
 進み出る千尋の肩を、後ろから叩くものがある。クラスターである。
「ホールさん……」
「オレも乗るぜ」
「手が汗でべとついて気持ち悪いっす」
「ここまで走ってきたんだから大目に見ろよ! まぁ見てろ。ぬおおおおッ!」
 上着を脱いだクラスターは、満身の力を込めてダブルバイセップスッ!
「見せてやろう、本物の筋肉とその輝きをなぁ!」
 サンシャインドライブによって浮き上がる――汗!
 上腕二頭筋を伝う――汗!
 隆々と盛り上がる筋肉をてかてかと濡らす――汗ッ!!
 ドン引きした皆の頬を流れる――汗ええええ!
「ふ、中々やるっすねホールさん。でもオレだって負けてないっすよ……? ふんぬ!」
 うおおおとロリ声で叫びながら、千尋は渾身のアドミナブル・アンド・サイッ!
「この筋肉を見るがいいっす!」
 ドヤ顔を伝う一筋の――汗!
 脇を流れ肋骨を濡らす――汗!
 分かれた腹筋にたまる油のような――美しき、汗ッ!!
『ククク、是非もない。ならば我が極限の筋肉に恐れ戦くが良い――』
「う、うーん……」
「あ、希望さん。気がつきました?」
「あれ、ゆかりさん? どうし」
『見るがいいッ! これぞ我が上腕三頭き』「いやああああ!?」『んふアッ!?』「ぐほっ! ちょ、ちょまオレ味方オレ味方だからゴースト違ううう!?」「え、味方?」「そうそう、味方味方。オレ格好いいお兄さんのクラスターさん」
 クラスターはにっと白い歯を見せた。
 上半身裸のままであった。
「いやぁあぁあああ!?」
「しまった脱いだまごフぅッ!?」
「おー。鳩尾に入ったのじゃ!」
 ぴくぴくと悶絶するゴーストとクラスターに、ゆかりは殺虫スプレーのごときぞんざいな動作で消臭スプレーをシューッ! と撒いた。


 変態は速度を増していた。
『我が筋肉は何人にも止めることあたわずッ!』
「なんて速さっすか!?」
「ふ、ハイスピードなら」
 魎夜のバッファロー・トルネード・ミキサーが悪魔的かつ超人的な雷光を纏った。
「オレのライトニングストームで止めてやる、行くぜ! うおおおおッ!」
 魎夜の体が、宙を舞った。

 彼の友人である遥日は語る。
「ええ、本当にもう、そのときはびっくりして……もうダメかと思いましよ。暗都くんはEマヒを狙ったんでしょうけど、まさか敵のあの速さが、単なるフレーバーでデータ的な意味がなかったなんて……。ええ、俺には無事であることを、祈ることしかできなかったんです」
 緊張の時間がつづく。
 数秒後……。
 そこには、元気に走り回る魎夜の姿が!
「ははっ、いやあもう、参りましたよ! ぶっ飛ばされたあの時は、さすがの私も年貢の納め時かと思いました。だけど、死を覚悟したあの瞬間、2人の筋肉が私を救ってくれたんです――」

「筋肉キャッチ!」
「うわあヌルヌルするっ!?」
「それ敵の汗っすよ。オレらのじゃないっす」
「よし、足止めはオレに任せろ――ジェットウインドおおっと手が滑ってゆかりのスカートにいやあ参った参った!」
 つかつかと歩み寄ってきたゆかりが無言で消臭スプレーをクラスターの顔面に噴射した。痛いクラスター。悲鳴を上げるクラスター。ごろんごろんと悶絶するクラスター。(彼は特別な訓練を受けたプロです! 良い子は絶対にまねしないでね!)
「ガッデム! しかも奥義でもスカート捲れねえぇ……!」
「クラスターさん、見苦しいのでのたうち回らないで下さい。そろそろシメですよ」
「オレに対しても容赦ねぇ……」
「喰らえッ!!」
 気合をいれた千尋の掌底、白虎絶命拳が変態の腹筋に『ぬちゃああ』と炸裂する。
「うえぇぇ擬音おかしいっす気持ち悪いっす……!」
「ええい忌々しい汗ですね! 汗は勘弁してくださいっ。汗はっ!」
 言いながら消臭スプレーを噴きかけつつ紅蓮撃を下腹部にズドン! するゆかり。すかさず成美は三角定規二刀流で、敵のHPを追いつめる。
「2人とも、今だよ!」
「うむ、幻楼火ー!」
 狐歌の炎に、変態のフンドシに亀裂が入った。あと一息だ!
「今じゃ、希望ー!!」
「うおーーッ!!」
 裂帛の気迫をこめて剣を振りかぶった希望は、やや考えてから、へっぴり腰でダークハンドを発動させた。地縛霊を倒した。
『馬鹿なァァァッ!?』
「やった、やったのじゃ! 初めてのゴーストを退治したのじゃー!」
「よしっ。試練、乗り越えました……!」
「いいんですかそれで」
 ツッコミも耳に入らず、やり遂げた顔で爽やかに汗をぬぐう二人であった。


「ふー、みんな助かったのじゃ。それにしてもよくここがわか」
「正座」
「え、あ、あの」
「正座」
「……はい」
 バン、と2人の背中をにやついたクラスターが叩く。しっかりな、と。
「ま、ゆかりさんのお説教タイム(ぽろりもあるよ!?)にあとは任せるか」
「首でもぽろりしますかホールさん?」
「はは……さて、二人とも。何で皆に相談しないでここに来たのかな……?」
 しゅんと正座する狐歌と希望を、苦笑した、けれども真剣な顔の面々が囲む。ゴースト退治の先輩として、大事なことを教えるのである。厳しい眼差しのゆかりと遥日が、ずいと二人を覗きこむ。
「周りに心配を掛けるものではありません」
「はい……」
「少人数では行動しない」
「はい…」
「一歩間違ったら取り返しつかない事に――」
「はい……」
 狐歌などは怯えてしまい、ガタガタ震えて涙目である。千尋はちょっと可哀想かなあと思いもするが、
「まぁ、でも先走ったのはいけないと思うっすね。しょうがないっす」
「ええ。せめて、一言相談して欲しかったですね」
「相談……」
「はい。だって、何だか信用されてないみたいじゃないですか……なんてね」
 成美の苦笑に、2人はしゅんとうなだれた。
 魎夜もいう。
「いいか? 軽はずみな行動ってな、年単位で記憶に残るもんなんだぜ。具体的に言うと、3年くらいは平気で――」
「ああ、暗都くんのあの女装のこと?」
「言うなよ!? と、ともかく。よくよく考えて行動するんだ……!」
「はい、今度から変態には十分に気をつけます……」
「……いや、全宇宙のゴーストの名誉のために言っておくと、アレはトップランカーの変態だからな?」
「ふふ。じゃあ今度やったら、二人に変なあだ名を付けちゃいますよ? ……オードリーさんとか」
「そんな芸人みたいな名前はいやです!」
「あら、そうですか?」
 ぐぅ〜〜、と狐歌のお腹が鳴る。
「お腹すいたのじゃ……」
「ん……それじゃ、お説教はこの位にしておいて、おやつを食べに行こうか」
「行くのじゃー!」


 はわわと鳴く元団長お勧めの茶屋で、甘いお菓子に舌鼓。
「お団子とお茶、美味しいね♪」
「ああ、団子はうめぇし、給仕さんかわいいし」
「あっ、そのお団子オレのっすよ!」
「あ、ごめんごめん。じゃあこっちのを一つあげるね」
「? 鳶沢さん、何をされてらっしゃるんですか?」
「ああ、お土産です」
「お土産?」
「ええ。絵にして、『はわわと鳴く元団長』達に見せてあげようかと――」
「二人とも、今後、何かあったら呼んでくれよ。いつだってどこにだって手伝いに行くぜ」
「先輩風か?」
「うっせ!」
 夏のそよ風が、ふわりと優しい香りを運ぶ。
 緑色の海原と、蒼穹の空の対比は、彼らの心を大いに和ませてくれた。
「にしても、この景色は」
「ええ、本当に――」
「すごいですね」「すごいのじゃ」「やっぱりすごい景色ー……」「すげぇな」「すごいっすねー」「ああ、スゲェいい景色だ」「うん、すごいすごい」「すごくきれいですね」
 彼らは顔を見合わせて、ぷっ、と一斉に噴き出した。


マスター:リヒト 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2011/08/02
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重傷者:なし
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