暗き迷宮に、巣くいしもの


<オープニング>


「ようこそ、欧州へ」
 能力者達を出迎えたランドルフは相好を崩した。
「……もっとも観光というわけに行かないのは許して欲しい」
 次いで、すまなさそうに頭を下げる。
 そう、能力者達は遊びに来たわけではない。巡礼士達からの依頼を果たしにきたのだ。
「もう『聖杯』のことは聞き及んでいると思う」
 近年の巡礼士の調査によって、メガリス『聖杯』が実は二つあるということが分かった。
 世界結界創造の儀式には、二つの『聖杯』が使用されたのだろう。
「頼みたいのは失われたもうひとつの『聖杯』のことだ……」
 粉々に砕け、そのカケラは『世界結界創造の妨げになる強大な地縛霊』を封じる『聖杯結界』に姿を変えている。
 故にこの地縛霊を倒すことでしか、カケラを手に入れることはできない。
「しかし、聖杯結界内部の地縛霊を我々は倒すことができなかった……」
 二度挑み、二度とも、勝利することができなかった。
「心苦しいことだが、君達に頼るほか術がない」
 聖杯結界の内部には八人しか同時に入る事ができない。
 実力のある者でなければ攻略は不可能。
「というわけだ。どうか、この聖杯結界の地縛霊のを倒して欲しい」
 全てのカケラを手に入れれば、失われた『聖杯』を再び手に入れる事ができる。
 二つの『聖杯』が揃えば、世界結界の修復をより進めることができるだろう。
「それでは本題に入るが、これは敗北した巡礼士からの情報であるため、一部不完全なところがあるかもしれない。その点はご容赦願いたい」
 能力者達の注意がすっと集まる。
 いよいよ本題だ。
「まず、厄介なのは聖杯結界の特殊な環境だ」
 聖杯結界の内部は直径1mぐらいの柱が碁盤の目のように整然と並んでいる。柱と柱の間は1mぐらいだ。
 柱はギリシャ神殿のようなイメージで、火のついたたいまつが掛けられている。
 もっともそれだけでは薄暗く、柱は整然と並んでいるとはいえ、迷路とでも言った方がしっくりとくるだろう。
 この空間が20m四方。
 空間の先も同じように広がっているように見えるが、それは映像でしかない。
「更に聖杯結界の内部では方向感覚が狂わされる」
 また、声の伝わり方も変だ。
 前に居る人間の声が、後ろから聞こえてきたりする。
「視覚に頼るしかないのだが……聖杯結界の効果で照明やアビリティを使っても明るくすることはできない」
 つまり、結界内部の照明だけが頼りだ。
「更にまだある。仲間の近くに移動すると別の場所に転送されてしまう」
 これのせいで、仲間と隣接することは出来ない。
 ちなみに移動するのは隣接したキャラクターの方だ。
「これによって近接回復は封じられた……」
 幸い巡礼士には幻影兵団があったので混乱は少なくて済んだが、無ければ混乱は必至であった。
「そして、強力な地縛霊だ」
 見た目は長い黒髪の女性。
 肌は病的なほどに白いが、一番の特徴は宝石のような目。
「地縛霊に見られた者は……石になってしまう」
 能力者の脳裏にメドゥーサという単語が浮かんだ。
 かの神話のように石に変える力を持っている。
「髪は蛇でこそないものの、巧みに操って攻撃してくる」
 他にも蛇の群れを呼び出して20m直線(選択)への攻撃をしてきたりと死角が無い。
 それに自らが危うくなれば、身体を硬質化して回復、そして防御を固めてくる。
「他にも配下の蛇の妖獣が六体」
 黒い2mほどの蛇だ。
 体のサイズどおり、生命力は大したことはないのだが、闇に溶け込んでいたり、柱の影に隠れていたりと、神出鬼没な敵である。
「ゴーストも聖杯結界の影響を受けるが、そもそも連携を考えていないゴースト達にはあって無いようなものだろう」
 難敵と特殊なフィールドを相手にいかにして連携を保つか、それが勝敗の鍵を握る条件であることは間違いない。
「もう君達に頼るほか手が無いんだ。確かに強力な地縛霊ではあるが、銀誓館学園の精鋭であれば、五分以上の確率で勝利を収める事ができると信じている」
 どうか、聖杯カケラを回収してきてくれとランドルフは深く頭を下げた。

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参加者
小笠原・宏道(野球侍・b08417)
七瀬・瞳亜(パパラチアの魔女・b25292)
竜造児・咲耶(魔導砲撃手・b28506)
カイル・レヴァント(ストームブリンガー・b34461)
カイト・クレイドル(真イケメン人狼騎士・b37048)
冷泉・香夜(幻想涙花・b47140)
セレス・ヴィエルジェ(斬鉄姫・b57815)
漣・終夜(暴威のブレイズバード・b61052)



<リプレイ>


 聖杯結界を前にして運命の糸に繋がれた八人の能力者は心を昂ぶらせていた。
「厳しい戦いになるでしょうけど、かんばりましょうね」
 七瀬・瞳亜(パパラチアの魔女・b25292)が、漣・終夜(暴威のブレイズバード・b61052)に笑いかける。
「……あっ、いや、えと」
 終夜は大きく目を見開き、慌てて応えようとするが言葉は上滑りしていくばかり。
 女子と話すことに慣れておらず、顔も赤くなっていく。
「どうしました?」
 そんなことは露知らず、瞳亜は更に顔を近づける。
「……まあ、そのぐらいにしといてやれよ」
 他意は無さそうだしな、とカイト・クレイドル(真イケメン人狼騎士・b37048)がフォローを入れ、
「それよりも行こうぜ。中で厄介なのがお待ちかねだ」
 仲間を見回して、先へとうながす。
「そうだな、さしずめ私達は知恵の女神アテナにメドゥーサの討伐を命じられた戦士ペルセウスと言った所か……。神話にある鏡の盾と曲刀は無くとも紛い物の相手なら倒すのも難しくはあるまい」
 静かに時を待っていた、セレス・ヴィエルジェ(斬鉄姫・b57815)がうなずき、
「タフで厳しい戦いになるのは確実ですね。心に覚悟を刃に信念を込めて乗り切りましょう」
 小笠原・宏道(野球侍・b08417)も強い決意を持って先を見る。
 聖杯結界への入り口を。
 同じるように、他の仲間達も向き直った。
「いくぞ」
「ああ」
 そして、踏み出す。
 全身に違和感。
 何よりも、仄暗き景色が、肌を刺すような空気が告げている――ここは死地であると。
「なるほど、こういう場所か」
 さっと、カイル・レヴァント(ストームブリンガー・b34461)が視線を巡らせる。
 話に聞いたとおり幅1mぐらいの柱が規則正しく立ち、どこまでもそれが続いているように見える。
「とりあえず、初めはひと塊で来ても問題ないようだな」
 この聖杯結界の効果による転移も、突入時には適用されないようだ。
「ただ……方向感覚は……確かに狂ってる……随分厄介だ事……。……ま……どうせ20m×20mの狭い範囲だし……そう問題にはならないか……。ワープは問題だけど……」
 とつとつと喋りながら、竜造児・咲耶(魔導砲撃手・b28506)も現状を確認。
「加えて、こうも薄暗くては影で接近を知ることも難しいようです」
 宏道も状況の把握に努めている。
 認識の誤差は早い段階で埋めておかねば、命取りになりかねない。
 多くの戦いを経て、それをよく知るだけに能力者達は慎重であった。

 ――ズズッ。

「「……!」」
 何か、布がこすれるような音が聞こえた。
 能力者達が出した音ではない。
「……もしかして、今のが」

 ――ズズッ。

「「……!」」
 今度は正反対から。
「……本当に聴覚は当てにならないのですね」
 全神経を集中させていた、瞳亜も今回ばかりはそれが裏目になりそうだと気づく。
 これではダミーも同様だ。
「……頼れるのは視覚だけ、ですか」
 冷泉・香夜(幻想涙花・b47140)のつぶやきは能力者達の総意を現わしたものであった。
 厄介だ、厄介過ぎる場所だ。
「ともかく、こうして密集しているとまずいことになります。壁を探しながら散開しましょう」
 宏道の提案に静かにうなずきが返る。
 暗き迷宮に能力者達の足音が響き始めた。


 行き止まりを探して、ゆっくりと能力者達は広がっていく。
 事前に決めた班分けに従って、二つに分かれながら展開をしていくと、
(「……むっ」)
 カイルの視界を人の姿が掠めた。
 一瞬のことではっきりとは言い切れないが、ローブの裾をすりながら移動していたように思える。
「不確かだが、メドゥーサを見たかもしれない……」
 見た方向を指差して、仲間達に伝える。
 警戒して他の仲間達も周りを見るが、メドゥーサどころか黒蛇の姿も見当たらない。
 聞こえてくるのは、あの布がこすれるような音だけ……。
「少し、この場所で様子を見た方が良さそうかな」
 油断することなく周囲に目を配り、終夜が提案する。
「……同感……」
 咲耶の声は同時に放ったクロストリガーの音に上書きされた。
 弾丸がすべて撃ち込まれると、その先には動かなくなった黒蛇の姿が。
「どうやら、サイズ通りの生命力ですわね」
 瞳亜は倒れた敵の姿を観察し、そう結論づけた。
 ランドルフの説明どおり、不意を打たれなければ大したことはなさそうだ。
「では、そろそろ探索を始めませんか」
 このまま待ち続けるのもひとつの手ではあるが、能力者達が選択したのは能動的なものであった。
 聖杯結界の特性上、メドゥーサや黒蛇もまたこの迷宮をさ迷っている。
 ゆえに条件は五分と五分。
「さて、どちらが早く見つけられるか?」
 気負うことなく、カイトはつぶやき、離れていく別の班を見た。
 終夜の提案で出来るだけ両端に寄った形。
 だが、連携を保つために二つの班は出来るだけ互いの姿を見失わないようにしている。
 そして、完全に二手に分かれるとゆっくり歩き出した。
「……そこそこに方向感覚はいいほうだとはおもうけど、やっぱ狂わされるのは面倒だよな」
 立ち止まる度に感覚がおかしくなる。
 カイトは既に来た方向が分からなくなっていた。
 変わらず、布がこすれるような音が耳に聞こえてくる。
「……周囲をしっかりと確認しつつ……声を掛けあって、お互いの位置をきちんと把握……難しいけれど、やってみます……ね」
 そこに声を出したのは、香夜。
 成すべきことをつぶやき、
「無事にカケラを集められるよう、皆で、頑張りましょう……」
 仲間達に今やるべきことを喚起する。
「ああ、かっこ良くかけらを集めて無事にかえってこないとな。リベンジなんて嫌だもんな」
 カイトが応えたのとほぼ同時に、

 ――B班、黒蛇1体倒したぜ。

 別班からの報告が届いた。
「負けてられないな」
「だが、気負う必要は無い」
 セレスが白いチョークで柱に印と数字を書きつけた。
 それから前進。
 柱の陰から様子をうかがいながら、目を凝らして敵の姿を探す。
(「ペルセウスの話ではないが手鏡のひとつぐらいは持って来るべきだったか……」)
 敵を先に見つけて優位に立ちたいが、現状ではどちらが先に見つけてもおかしくはない。
 と思ったところに、かすかな物音が
「ようやく見つけた」
 言うが早いか、カイルが黒蛇に闇の手を伸ばした。
 だが、更に横合いから別の黒蛇が近寄ってくる。
「A班、毒蛇2体と交戦開始」
 別班に現状を伝えながら、一体をカイトが受け持つ。
「束になろうと、私を抜く事は叶わんぞ」
 もう一体には、セレスが。
「よし、即効で倒すぞ」
 それぞれに二人ずつで当たり、迷うことなくアビリティが飛ぶ。
 次の瞬間には撃破報告が迷宮に響き渡った。
 しかし、それも直ぐに別の叫びに上書きされる……。

 ――B班、メドゥーサと遭遇!


 時間は少しさかのぼる。
 柱の陰から、瞳亜は先をうかがうが敵の姿は見当たらない。
「こちらには居ません」
「……こっちも……」
 後ろの方を警戒していた咲耶からも同様の答えが返った。
 広く展開しているだけに、そろそろ敵の姿を捉えてもいいのだが……。

 ――ズズッ。

 また、あの物音だ。
 その本体は何処にいるのだろうか?
「方向感覚狂うとか、地図を持たずに迷宮に挑むフロントビュー3Dゲームみたいだな……アレ苦手なのに。ともあれ、聖杯をもっともらしい怪物に守らせるあたりはメガリスの意思って奴なのかな」
 敵の姿を探しながら、終夜は思っていることを口にした。
「どうでしょう……はっ!」
 宏道が横を向くと、いつの間にか……10mほど先に人の姿があった。
 足まで覆った長いローブ、もっともそれは既に古ぼけ、布切れと化している。
「B班、メドゥーサと遭遇!」
 声を出したのは赤く明滅する弾を作り出したのと同時。
 宏道は迷うことなく、奥義まで高めたオトリ弾を撃ち込んだ。
 結果を見定めるべくオトリ弾の軌道を追いかけていくと――メドゥーサと目が合い……。
 あっと思った瞬間には、宏道の姿が石へと変わる。
「……よくも……」
 だが、能力者とてそれで済ませはしない。
 すぐさま、咲耶の放ったクロストリガーがメドゥーサを捉え、
「いま癒すよ」
 終夜がリベリオンビートで石化を解いた。
 その結果にほっと胸を撫で下ろす。
「……来ます!」
 が、敵もさるもの。
 警告の直後に押し寄せた毒蛇の群れが、宏道、咲耶、終夜に痛撃を与えていく。
「大丈夫ですか?」
 今度は、瞳亜の赦しの舞が傷を癒す。
 もっとも柱に邪魔されて宏道には届かない。
「僕のことはいい。……それよりも早く散らばってください」
 言って、宏道は柱に手を付いて裏側に逃げると旋剣の構えをとる。
 メドゥーサの二度の攻撃で詠唱防具は破壊され、かなり危険な状態まで持っていかれた。
 予想はしていたが、予想以上に危険な敵だ。
 今は身を隠して傷を癒すしかない。
「……これは?」
 そこに銃声。
 合わせて、蛇の群がる音。
「……伊達や酔狂で……砲撃手は名乗ってない……」
 先ほどの通路で、咲耶がメドゥーサと一対一で対峙していた。
 クロストリガーを続けざまに撃ち込み、メドゥーサの注意を一身に集めている。
「竜造児さん……」
「……大丈夫……撃ち合いなら負けない……」
 心配する瞳亜に、回復は任せたと咲耶は視線を送って攻撃に気を戻す。
 直後に石化。
 それを瞳亜の赦しの舞が解いて、終夜の治癒符が傷をふさぐ。
「分かりました。危なくなったら代わりますから、無理はしないでくださいね」
 続いた瞳亜の言葉に、小さくうなずきが返る。
「……みんなで無事に帰りましょう」
「ええ」
「……分かった……」
「もちろんだぜ」

 戦いの音が迷宮にこだまする。
 メドゥーサ発見の報告から既にいくばくかの時間が過ぎているが、B班の戦闘突入時の混乱で、班同士の連携は失われてしまい。未だA班はB班との合流が出来ずにいた……。
「慌てるな。うかつに近づいてB班と鉢合わせになれば目も当てられない」
「分かってる。まだ毒蛇も残ってるしな……」
 カイルと、カイトがそれぞれの通路の先に目を凝らした。
 同じような通路がずっと続いている。
(「……隣接しないよう、ゆっくりと……でも」)
 耳に入ってくる戦闘音が、香夜を焦らせる。
 誰も口にしないが、きっとみんな同じ思いだろう。
 まだか、まだなのか?
「あれは……見つけた! 仲間の姿は見えないが、メドゥーサを見つけた!」
 報告をして、セレスが走り出す。
「……ということは側面に回りこんだということか……。B班との接触に気をつけろ」
「分かっている」
 応えて、セレスは速度を上げる。
「今から行くぞ! メドゥーサの近くに居るなら動くな」
 右か? 左か?
 二者択一。
 メドゥーサまで柱一本というところで、柱に手を付いて、そこを起点に柱をぐるりと回る。
 まず飛び込んできたのはメドゥーサの姿、次いで宏道の姿が。
 走りこんだ勢いのまま、
「我が一撃は破城の鉄槌、立ち塞がるのなら、その守りごと両断する」
 セレスの黒影剣が炸裂する。
 が、敵は怯む様子も無い。切りつけたセレスに猛毒を持った黒い髪が伸びてくる。
「……くっ」
「回避よりも武器での防御を重視で、でないと持ちません」
 反対側でも宏道が伸びてきた髪と格闘している。
「大丈夫か?」
 カイトの声だ。
 今の位置では柱に隠れてしまい、A班の姿を確認することはできない。
 だが、
「私のことはいい。その位置から攻撃をすれば、ちょうどT字に挟んだ形になる」
 セレスはその場に踏みとどまる。
「無茶を言うな」
「そうです……そこだと支援出来ません」
 香夜も危惧を示す。
 そこを毒蛇の群れが襲った。
「……くぅ」
 A班がメドゥーサの姿を捉えようと一直線になったところを狙われた。
「ちぃ、本当に厄介なヤツだぜ」


 深手を負った咲耶が横の通路に逸れたところで、腕に鈍い痛みが走った。
 見れば、黒蛇の生き残りが。
「……とっとと落ちろ……」
 返した一撃で、それは倒したものの、毒に苛まれて咲耶は倒れる。
「竜造児さん?!」
 瞳亜が呼び掛けるも時既に遅く、彼女はこの戦場から退場していく。
「……あっ、メドゥーサが動いた!」
 感傷に浸る間もなく、終夜の声が響いた。
 見れば、メドゥーサがA班の三人が居ると思われる方へと向っていく。
「なっ?!」
 ただでさえ、連携が取り難いというのに。
「「待て」」
 宏道とセレスが必死に追いすがっているが、接触を恐れて動きはぎこちない。
「くそっ、巡礼士たちもこうだったのか……」
 聖葬メイデンで、カイトはメドゥーサを牽制する。
 が、お返しとばかりに、また毒蛇の群れが視界を覆った。
「これで、大丈夫です……」
 すぐさま、香夜が慈愛の舞。
「甘く見てもらっては困るな」
 そして、カイルが黒影剣で迎え撃つ。
「確かに連携は上手く行っていないが、それでも後れを取りはしない」
 不足分は個々の奮闘でカバー。
 カイルが止めている間に、宏道とセレスも追いついてきた。
 むろん、メドゥーサもそれを黙っては見ていない。
 魔眼が妖しく光り、髪が波打って能力者達に襲いかかる。

 そうして、死闘は続き、
「これでどうだ!」
 カイトの撃ち込んだ弾丸に、メドゥーサが体勢を崩した。
 ようやく追い詰めた。
 だが、ここまでに宏道とセレスも犠牲に……。
「貴方はこの地に留まっても何も良い事がありませんし、あの世に送って差し上げますわ」
 これで終わりだと、瞳亜が隕石の魔弾を撃ち込む。
 確かな手応え。
 されど、まだメドゥーサの姿はあった。
「……しぶとい」
 ならば止めと能力者達が動く前に、メドゥーサは迷宮の奥へと逃げていく。
「えっ……?!」
 予想していなかった動きに反応が遅れた。
 慌てて、カイルが追いかけるも同じような通路ばかりでメドゥーサの姿は見えない。
「逃げてどうしようってんだ……」
 カイトが追いついてきた。
「……確かヤツには回復能力があったな」
「まさか、傷を癒してるっていうのか?」
 だとすれば……。
「冗談じゃない。ここで傷を癒されたら……もう倒しきれないぞ」
 終夜が慌てて周りを見る。
 しかし、メドゥーサの姿は無い。
 聖杯結界の影響もあって見つけるのは困難だ。
「まさか、こんなことになるなんて……」
 瞳亜も困惑を隠せない。
「これが、聖杯結界……そしてその守り手……」
 香夜がつぶやいたのと同時に、また布がこすれる音が聞こえてきた。

 ――ズズッ。

 そして、少しの時間を置いて迷宮に紛れ込んだ異音は消えた。
 迷宮の中にはいつもとからず、布がこすれる音だけが響く。
 未だ迷宮は、闇に覆われていた……。


マスター:てぃーつー 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2011/10/19
得票数:笑える61  カッコいい3  怖すぎ1  知的4  せつない6 
冒険結果:失敗…
重傷者:小笠原・宏道(野球侍・b08417)  七瀬・瞳亜(パパラチアの魔女・b25292)  竜造児・咲耶(魔導砲撃手・b28506)  カイル・レヴァント(ストームブリンガー・b34461)  カイト・クレイドル(真イケメン人狼騎士・b37048)  冷泉・香夜(幻想涙花・b47140)  セレス・ヴィエルジェ(斬鉄姫・b57815)  漣・終夜(暴威のブレイズバード・b61052) 
死亡者:なし
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