≪摩天楼≫絶望を生む者


<オープニング>


 机の上に置かれたのは一枚の地図であった。
 あちらこちらに赤字で走り書きがされて、今もまた新しい線が書かれていく。
「つまり、向こうはこう来るから私たちはここで迎え撃つべきだと思うわ」
 ペンをとっているのはシェリエル。
 奥の方は書きにくいのか、身を乗り出すようにして書き込んでいる。
「とすると、こんな手を打ってくるかもしれませんよ」
 楽しそうに、氷一が対抗手段を追加。
「そりゃないだろう。それよりもこんな手が面白いって」
 釣られて、幽兵もペンを手に取った。
「……二人とも少しは真面目にやってよ」
 由衣がたしなめると「いやいや、真面目真面目」と笑いながら地図に書き込みが増えていく。
 結社【摩天楼】の一同が知恵を出し合っているのは学園黙示録の作戦で、地図上でシュミレーションしながら最良の一手を模索しあっているのだ。
「この辺でちょっとひと息入れませんか?」
 そう言って、遙がお茶を持ってきた。
 違和感を覚えたのはちょうど、その時。
 視界が歪み、いつの間にか目の前が変化している。
 淡いエメラルドグリーンが視界の多くを占め、その中を円卓がいくつも浮かんでいる。
「……こ、これは」
「どこかに飛ばされたと考えるべきだろうな」
 悠は辺りを見渡しながら、こんな芸当が行なえる要因をひとつ思い浮かべていた。
 それは他の能力者も同様で、
「闘神の独鈷杵のメガリスゴーストが出現しているとは聞いていたが……これもそうなのかな」
 判断がつかず、和真はとりあえず足元を確認した。
 下もまた不思議な物体で構成されているが、崩れたりはしないようだ。
『戦士諸君、ようこそ』
「やはり!」
 響いてきた声に予想は確信へといたる。
『闘神の独鈷杵は、それを所有するに相応しい主を捜し求めている。戦士達よ、戦え。100の戦いが繰り広げられたのち、もっとも勝利した組織の元へ、闘神の独鈷杵は復活するであろう』
 聞き覚えのあるフレーズ。
 ならば、どこかに居るはずだ。
 能力者達は素早く視線を走らせて、その姿を見つけた。
「まさか……原初の吸血鬼か?!」
 詠唱マントを羽織った八人の姿に、風音は警戒レベルを最大に引き上げる。
 他の能力者も同様で、次の瞬間には武装を終えていた。
『よもや、こんなところまでやってくるとは……』
 ふぅ、と先頭の男が嘆息し、
『メガリスにも困ったものだ。こんな汚らしいネズミどもを招き入れてくるとは、な』
「そういうあなたはステレオタイプ過ぎてつまらないですよ」
『……ほう』
 男は、氷一の言葉にぴくりと眉を震わす。
「それよりも貴様らはどこの勢力だ?」
 更に悠が問い掛けると、男は怒りを露わにした。
『何とも度し難い。我らが情熱のブリュンヒルデ様の忠実なる剣であることすら知らぬとはな。……貴様ら、死して償うがいい』
「残念ながら、ここで人は殺せない。そして、僕らを甘く見るな」
 風音がいつでも戦闘に入れるように腰を落とす。
 同時に他の能力者達も身構えた。
 だが、原初の吸血鬼達は特に動くでもなく――。
『フッハハハハハハハ……聞いたかね? 我らを相手に勝つつもりだと言っているぞ』
「そんなのやってみなくちゃわからないよ!」
『いいや、分かっていないのは貴様らの方だ』
 遙は更に言い返そうとしたが、ぞくりと背筋が凍るような感触に言葉を止めた。
『我らは個にして群。たったの八人では私ひとりでも十分というものだ』
 男は一歩踏み出した。
 他の七人は口元に冷笑を浮かべて、能力者達を見ている。 
『我が名はダレス。絶望を生む者ダレス・クリューガーだ』
「……ちっ、皆やるしかないぜ!」
 敵の強さを感じ取り、幽兵が仲間に警告を発する。
 もう目の前の男が大言を吐いていると思っている者はひとりも居ない。
『さあ、存分に足掻き苦しむがいい。せめて慰みものになるぐらいはなあ!』
「……そいつは聞けない相談だ」
「ええ、甘く見てること後悔させてあげるからね」

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参加者
浅葱・悠(星黎の紡ぎ手・b01115)
島守・由衣(透空・b10659)
黒瀬・和真(黒のレガリス・b24533)
花屋敷・幽兵(避けぬ退かぬ省みぬ・b32720)
鬼灯・遙(彩雲のサーブルダンサー・b46409)
香月・風音(月光に踊る蒼・b52865)
霞谷・氷一(隔離されるべき論外裏商人・b55422)
シェリエル・ミストレスティ(ハーミットローズ・b58094)



<リプレイ>

●挑発
 対峙しているだけだというのに押し潰されてしまいそうになる。
 敵の一挙一動から目が離せない。
 嫌な汗がすっと流れ落ちていく。
「(原初の吸血鬼8人とは……さすがの威圧感ね)」
 島守・由衣(透空・b10659)が僅かに目線を逸らして、さっと仲間の様子をうかがう。
「(彼我の戦力差が大き過ぎてまともにやったらすぐに負けちゃいそうね……)」
 でも相手は油断していると、シェリエル・ミストレスティ(ハーミットローズ・b58094)がつぶやいた。
 それは他の能力者も同意見だ。
 いや、むしろ現時点では、そこにしか勝機が見いだせない。
『さて、そろそろ始めるとしよう』
 ダレスがマントに手をかけた。
「待って、確か一人でも十分と言ったわね?」
『ああ、言ったぞ』
 鬼灯・遙(彩雲のサーブルダンサー・b46409)の問いに、不敵な笑みが返る。
「なら、お言葉に甘えて1vs8で戦いましょう。だって、抗体ゴースト飼ってるんでしょう? それで8vs8とか粋がられても困りますよねぇ」
『ほう』
『何を言い出すかと思いきや』
『くだらぬ……』
 嘲るような原初達の声。
「やれやれ。僕らの強さを察して全員で来るんなら仕方ないな。ま、ブリュンヒルデの剣て言うても大言を吐いたプライドはないらしいぜ」
 髪を掻き上げ、黒瀬・和真(黒のレガリス・b24533)が仲間に話を振れば、
「ブリュンヒルデの部下とか言ってますが、別に強いのはブリュンヒルデ一人であってあなた達は一人じゃ大したことないんでしょう? ……ああ、こういうことですか。ゴースト沢山出せて強いですねっ」
 失笑を押さえきれないと、霞谷・氷一(隔離されるべき論外裏商人・b55422)が口元を手で覆う。
『貴様ら! 言わせておけば!』
『……まあ、待て』
 ここで止めたのはダレスだ。
『面白いではないか、これだけ大言が吐けるということは、まだ我らに勝てるつもりでいるのだろう』
 意図に気付かれたか?!
 勝機を得るためにも有利な条件を引き出そうとしていたのだが……。
『いいだろう。その提案受け入れよう』
「……その言葉、本当ね? なら最初はどなたが1人でお相手してくれるのかしら?」
 ほっと、胸を撫で下ろして、由衣は順に視線を投げ掛けていく。
 そして一点で止まった。
『もちろん、私だ。貴様らの顔を絶望に染め上げてやらねば気がすまん』
 ゆっくりと歩み寄ってくるダレス。
 他の原初は動く気配も無い――これで第一段階はクリア。
 後はもう一点、
「個にして群か……内包せしゴーストなしでは何もできぬ貴様らに相応しき言葉だな」
『……むっ』
 浅葱・悠(星黎の紡ぎ手・b01115)の言葉に、ダレスが眉をひそめる。
「原初の吸血鬼って抗体ゴーストがいないと何もできないの?」
 続けて、シェリエル・ミストレスティ(ハーミットローズ・b58094)も子供らしさを前面に出して質問を。
 それにダレスは僅かな沈黙と、
『なるほど、そういうことか』
 ようやく合点がいったと、大きくうなずく。
「さあ、原初のお力拝見させて頂こうか! まさか、抗体ゴーストに頼ったりは致しますまい?」
 これはまずいと、花屋敷・幽兵(避けぬ退かぬ省みぬ・b32720)が鬼棍棒を手に挑発を始める。
 だが、ダレスから漏れ出したのは失笑であった。
『フハハハハハ、何と愚かな。これほどの愚か者共を見たのは初めてだ。数の利が無い今、万にひとつとして貴様らが私を倒すことなど叶わぬ。そんなことすらも理解できんとはな』
 心底信じられぬと、その目が語っている。
『いいだろう。ならば、私を倒すことが出来れば、貴様らの勝ちにしてやろう』
「なっ……?!」
 いきなり飛び出した破格の条件。
『貴様らが二度と立ち向かう気が起きぬよう、その心、完膚なきまでへし折ってやろう!』
 能力者達が顔を見合わせる。
 対して原初達は嘲り、憐れむような視線を投げかける。
「なめられたものだな。なら、いっちょやってやるぜ……!」
「ああ、目に物を見せてやろう」
 和真が発破をかけると、すぐさま香月・風音(月光に踊る蒼・b52865)が同意。
「実力はあるが傲慢で礼節の欠片も無い……下卑た輩に存在価値などない。だが、私も我が剣も強者との戦を喜び渇望している。戦と銘打つ修羅の宴、存分に楽しませて貰おうか」
 悠は愛用するふた振りの剣を抜いて戦闘態勢へ。
「メガリスを賭けた戦い、絶対に負けられない闘いがそこにはある」
 最後に、幽兵が顔をきりっと引き締め、
「行くぞ原初の『貴種』達よ、我こそは銀誓館の戦士なり!」
 挑発と侮蔑を合わせた言葉をぶつけて、いま戦いが始まる。

●ゴースト戦
 散開。
 一歩目からトップスピードに乗せて、遙が一気に間合いを詰める。
 フェイントも無く一直線に。
「1番槍は頂きますっ! 疾風の一閃、捌けるかしら!?」
 ナイフとダガーを閃かせ、交錯する直前でサイドステップ。
『……ぬっ』
 ダレスの意表を突いたところに、幽兵がその後ろから大棍棒に妖気の炎を灯らせ、
「この手は全ての幻想をぶち壊す……奢り昂った蝙蝠の自尊心とかな」
 渾身の力を込めて振り下ろす。
 咄嗟に広げたマントで軽減されたが、構うことなく振り切れば、ダレスは勢いに負けてたたらを踏む。
 更に好機を逃さず、氷一が間合いを詰め、
「さあ、ブリュンヒルデの部下というなら相応の力を見せて下さいよ……うおっ!」
 切りかかろうとした電光剣を咄嗟に防御へ。
 その前を闇が通り過ぎ――次々とゴーストに形を変えていく。
(「……獣人、抗体地縛霊、ナンバード、そしてパフュームリリスか」)
 いずれも二体ずつ。
 狙うべきものを見定めながら、和真が旋剣の構えをとる。
(「あの位置ならば……」)
 そして、敵の群れに突っ込みながら悪滅スピナー。
 技の終わりに合わせてバックステップをすれば、目の前を獣人の振るった巨大な柱が通り過ぎ、
「――邪魔だ」
 横から、悠が白い剣を闇に染めて獣人に切り掛かっていく。
 返ったのは、確かな手応えと、背に走った痛み。
 振り向くことなく、衝撃のままに転がりながら安全圏へ。
 すかさず、その後ろにシェリエルが回り、
「(いきなり乱戦とうい感じね)」
 目立たぬよう白燐蟲の力を使って悠の受けた傷を癒していく。
「悠! シェリエル!」
 声に反応して振り返れば、蒼き雷弾が背後から迫っていたナンバードに直撃している。
 撃った由衣はもう次の術式を編み込み、
(「さすがの強さね。でもあたし達も負けるつもりはないわ。みんながどれだけ強いか知っているし信頼しているもの。いつも通りに最善を尽くすだけよ」)
 雷弾を放ち、同時に防御姿勢をとる。
 抗体地縛霊の生み出した熱風が通り過ぎたのはその直後。
 あまりの熱さに呼吸すらままならない。
「……だが、動きが止まった」
 詠唱マントで口元を覆い、風音が敵の懐に飛び込んだ。
 くるりと反転。
 マントがたなびき、優雅に、華やかに、そして流麗にゴーストを切り裂き、
「まだ終わらないっ!」
 更に走り込んでいた遙がグラインドスピンで円を描けば、抗体地縛霊とナンバードが崩れ落ちる。
『ほう……私のゴーストを倒したか。だが、まだ代わりはいくらでもいるぞ!』
 再び伸びる影。
 それが形を成し、鬼のような地縛霊が二体……。
「くっ……また現れたか!」
 歯噛みしながら、幽兵は目の前の獣人を振り払うべく鬼棍棒に力を入れる。
 獣人も鬼棍棒を押し返そうと大剣に渾身の力を込める。
「幽兵、こちらです!」
 そこに氷一の声。
 一瞬でその意図を理解し、鬼棍棒を引いて――全力のフルスイング。
 吹き飛ばされた獣人は咆哮をあげ、直ぐにそれは断末魔へ。
「……しかし、雑魚の相手ばかりとは困りましたねっ」
「ああ、そろそろ自分が動いたらどうだ? 誇りさえない忠実なる剣よ、このままでは下賤な剣の主たるブリュンヒルデに同情してしまう」
 同時攻撃で獣人の息の根を止めた、氷一と、悠は剣を向けてダレスを挑発する。
『なるほど、貴様たちはまだ自分の立場というものが分かっていないようだな。まさか、原初たる私が直接手を下すとでも思っていたのか……身の程を知れ!』
「そうか……まず抗体ゴーストありきとは、ブリュンヒルデの剣が聞いて呆れる」
 挑発をかけながら、風音が水刃手裏剣をリリスに放ち、これを撃破。
 ダレスへのアピールに消えていくリリスを指させば、
『ダレス様の邪魔はさせない』
 と、今度は別のリリスが肉薄してくる。
 身をつたう蛇の一撃目をさばき、
「任せろ」
 二撃目は横から割って入った和真に任せて後退。
 溜まっていた疲れを息と一緒に吐き出せば、いつの間にか後ろにはシェリエルの姿が。
「(このまま聞いて。今のままだと勝ち目はないから――)」
 風音は囁くような声に耳をすませ、傷を癒してくれる白燐蟲に身を任せる。
 息を整え、小さくうなずき、再び敵の真っ只中へ。
「戦士としての覚悟と意地、仲間との絆で束ねて押し通す!」
 それに応え、仲間から鬨の声があがった。

●絶望の狭間
『どうした? 威勢が良かったの初めだけか?』
 能力者達の苦しむ姿を見て楽しんでいるのか、ダレスの口元は綻んでいる。
「ぐ、言うだけはありますね……しかしそっちも同じことでしょう?」
『それはどうかな?』
 見せつけるように増え続ける抗体ゴースト。
 氷一は下がりながらラジカルフォーミュラで受けた傷を癒す。
(「まだ誰も倒れてはいないけど、そろそろ動かないとアビリティが……」)
 由衣が、悠に襲い掛かろうとしていたナンバードを蒼の魔弾で射抜く。
「すまない、助かった」
「いえ、でも……」
 言葉短く、悠と、由衣は次の攻撃に切り替える。
 片時として、休むことも、気を抜くこともできない。
『そら、防御が疎かになっているぞ。貴様たちの力はこんなものか?』
 対してダレスは余裕の表情だ。
「甘くみないで、ブリュンヒルデの呼んだ抗体フェンリルに止めを刺したのは……あたしよ」
 前衛を少しでも助けようと、由衣が自分に注意を向けさせようとする。
『ほう、そうか。それは大した運の持ち主だな。ならば、その強運で私を倒してみるがいい』
 憎らしいほどに余裕。
『さあ、どうした? まさか攻撃するための力すら残っていないのか?』
「……ぐっ」
 悔しさで顔が歪む。
 ダレスの指摘通り、戦いの長期化によって能力者の攻撃アビリティは見る影もない。
「そうよ、アビリティが切れかかっているのなんて分かってる。相手が強いのなんて分かってる。厳しい戦いなのも分かってる! でもね絶対に負けない!」
 誰が屈するものかと、遙がダレスに詰め寄る。
 立ち塞がろうとした抗体地縛霊をフェイントでかわし、リリスと獣人の間にダレスの姿が、
「見え………かっ」
 直後に走った衝撃と、痛みに思わず息が止まりそうになる。
 いつの間にか体は倒れ、床に這いつくばっている。
「蝙蝠、所詮お前の力では俺は倒せない! 悔しかったら俺を倒してみろ!」
 挑発を繰り返しながら、幽兵が敵の中に切り込んで救助に向かう。
「お前たちの相手はこっちだ。舞い踊り露と散れ!」
 反対側からは風音も駆けつけようと双剣のスラッシュロンドで道を切り開いている。
 だが、敵の壁は厚く、
『どうやら、ここまでのようだな。ゴーストたちよ、見せしめとしてその女をなぶり殺し手やるがいい。見たところ要の役割を担っているようだ。さぞかし苦悩を煽ってくれることだろう』
 フアッハハハハハ、と嫌な笑い声が木霊する。
「悔しいけど、流石に強いわね……シェリちゃん、あとはお願い」
 群がる敵を見つめ、遙は微動だにしない。
 獰猛な牙はもう目の前に、
「――そこまでよ」
 声と、赤い光がほぼ同時に戦場を駆け巡る。
 完全に意表を突かれたゴースト達は次々と光に打ち消され、
『……ぐっ、こんなものを隠していたとは』
 それはダレスにも及び、彼も痛打を受けて僅かに足が後退していく。
「みんな、ここしかないわ」
「わかってる!」
 シェリエルの声に応えるよりも早く、他の能力者達は動き出している。
 狙うはダレスただひとり。
 だが、生き残ったゴースト達がその進路を阻まんと立ち塞がり、
「邪魔は」
「させない!」
 遙のグラインドスピンと、風音のスラッシュロンドが同時に弧を描いた。
 敵の倒れる音、仲間達の駆け抜ける音。
『おのれ……私をあざむいたというのか?!』
 吹き上がるようにダレスの体から闇が広がる。
「もう遅い。こっちの距離だ」
 正面から、幽兵の紅蓮撃、
「先ほどまでの分は倍にしてお返ししましょう」
 続いて、氷一がデモンストランダムを打ち込む。
 そのまま二人は広がる闇を掴み、両脇へとよけ――開いた場所には、悠と、和真が詰め寄る。
「武のみが戦ではない。相対する者を見下す輩に戦場に立つ資格はない」
『なめるな!』
 まずは悠が一歩抜きん出る。
「終焉をくれてやろう……相手の力量を計る、戦の基本も知らぬ愚者が」
 更に溢れ出す闇をかわして一閃、
「いくら出そうが諸共斬り裂くぜのみ……!」
 和真が温存していた最後の悪滅スピナーを。
 怒涛の連携、
「まだ、終わってないわ」
「私たちの全力を受けなさい!」
 シェリエルの極月煌光・散華、由衣の蒼の魔弾が仲間達の切り開いた射線を通って、ダレスへと。

 ――防御をすり抜けて、突き刺さる。そして、倒れていく。ゆっくりとダレスの体が。

『……やってくれたな』
「「?!」」
 闇が噴き出す。
 先ほどまでの比ではない。
 ゴーストが瞬く間に視界を埋めていく。
「早く、ダレスに止めを!」
 邪魔なゴーストを斬る。
 敵からの反撃はもう構っている余裕すらない。
「私たちは諦めない! 絶対に諦めない!」
 一角を崩す。
 おそらく、あと一撃で届くはずだ。
 届く……はず。
『よくやったと褒めてやろう。貴様たちがここまでやるとはな。……正直甘く見ていた』
「……それは、どうも」
『ゆえに貴様たちには最大の絶望をもって応えよう――これが私の全力だ!』
 まだ増えていくゴースト。
 まるで津波のように押し寄せては能力者の生命力を奪っていく。
 ひとり、またひとりと……。
「……力及ばず倒れようとも、その瞬間をも後への布石にしてやるさ」
 が、風音を始めとし、残った能力者達の目は死んでいない。
『面白い! ならば、何度でも挑んでくるがいい。その度に貴様らを敗北へと沈め、絶望をその身にその魂に刻み込んでくれるわ!』
 そして、能力者の最後のひとりが戦場から消え去った……。


マスター:てぃーつー 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2012/02/09
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冒険結果:失敗…
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