ひらり、舞うのは


<オープニング>


 見慣れた横顔を発見して、セタ・オルティスはたたっと駆け足で近寄った。
 ひょこひょこ跳ねる少女の動きを、視界の隅で捉えたのだろう。振り向いた井伏・恭賀が、セタちゃん、と名を呼び返すついでににっこり笑った。セタはその笑みに、大袈裟なほど腕を振り返して応える。
「キョーガ見っけなのです! ……あ」
 淡白に並ぶビル街の中、忙しなく行き交う人も疎らなこの時間。建物の壁と向き合っていた恭賀が見ていたものを、セタの視線も追う。そこには、一枚のポスターが掲示されていた。
 桜の開花予想を報せたポスターだ。関東へ桜前線が上がってくるのは三月下旬。満開になるのは四月に入ってからだとも書かれている。
「……能力者さんたちとお花見したいなぁ」
 ふと出た呟きを耳にし、セタは目をしばたたかせた。
「それだけでいーです?」
「えっ、何が?」
「もーすぐキョーガお誕生日なのです。他にしたいことありませんです?」
 ああと理解したらしい恭賀が、再びポスターを見遣る。去年に撮られた満開の桜が、青空に優しくも艶やかな桃色の波を立たせていた。
 待ち望んだ春をいとおしむように瞳を眇め、彼は思い出したように「あっ」と声をあげる。
「そうだ、紙飛行機」
 セタを見下ろす青年の表情に、嬉しそうな色がさす。
「セタちゃん、紙飛行機、飛ばしに行こっか」

 ひとりの運命予報士からの誘いは、花見をしながら紙飛行機を飛ばそう、という内容だった。
 それも単なる紙飛行機ではない。祈りや願い、目標を記した紙飛行機を飛ばしてみてはどうだろうかと、彼は言う。
 少し遠出となるが、人里離れた山奥に桜を見る宛てもあった。そこならば、使役ゴーストと共に過ごすこともできる。
「言葉って、一度耳にしたら、頭のどこかでずっと残るものでもあると思うんだー」
 だから文字にしてみよう。音として耳に残らず、ただ、自分の中で眠らせるには惜しい想いを。
 書いたものを仲間と見せ合うも良し、秘密にしたままそっと天へ放るのもまた一興だろう。
「一緒に行きたい人がいたら、誘ってくれるか〜?」
 四月になれば新しい生活が、長き冬を越えて始まりを司る春が待っている。
 その前の思い出作りとして。またはけじめを付け、決意を新たにするため。
 目的は問わない。桜を眺めてゆっくり過ごし、紙飛行機を飛ばすのであれば。
「せっかくのお花見なんだから、友達も誘って来てくれると嬉しいな〜」
 俺も、使役ゴーストや能力者さんたちと一緒に飛ばしたいし。
 恭賀はふわりと頬を緩めてそう話し、集合場所と日時を記した一筆箋を、目の前の能力者へ差し出した。

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参加者
NPC:井伏・恭賀(運命予報士・bn0110)




<リプレイ>


 濃い青が、果てのない上空に塗りたくられている。青に映るピンクは冬の終焉を報せる代名詞、桜のものだ。
 桜が鏤められた地面へ飛び込むように座り込み、萩吾とももきは軽口を叩き合いながらペンを走らせていた。ずっとミンナと楽しく。そう記した萩吾に、お前らしいなとももきが笑う。
「ももちゃんは何書いたん〜?」
「まだ決まんなくってよ、萩ちゃん」
 書く言葉を手繰り寄せようと記憶を遡るももきだったが、想い出が両手でも足りず、収拾がつかなくなっていた。そして、ふと見上げた先に轟を発見して声をかける。
 そうだ、と閃きに指を鳴らした萩吾が、誰が遠くへ飛ばせるか勝負しようと言い出した。負けたら恥ずかしいことを告白するのだと。
 三脚を支えにしたカメラが、シャッターを切るまでの時間を報せる。主の手より離陸した紙飛行機が、桜の鳥たちの合間を突き抜け、同じところへ着地した。
 細筆を滑らせて小春が書くのは、最後の日までの望み。皆で笑って、楽しくがんばる。飾らない言葉だからこそ、筆の進みも躊躇わなかった。篭めた力が思いのほか強く、小春の意図とは異なる方向へ飛んでいく。
「あ、井伏センパイ! 僕、目標を書いたんですよー」
 恭賀の足元へ着陸した紙飛行機を指差し、小春が告げる。紙飛行機を拾い上げた恭賀は、付着した砂を指先でさっと払い、抱負の持ち主へと返した。飛んでいるところを写真に収めたいと呟いた小春に、じゃあ俺が撮ってあげよっか、と首を傾けて。
 近くでは、長く飛ばすコツを幻が丁寧に『jupiter』の面々へ伝えている。
 千破屋は、視線を巡らせてもそれが思いつけずにいた。挙げるのならば何だろう。鼻先をくすぐった花弁に、我に返る。本当に欲しいものは限られていた。だからその願いをさらさらと書き綴る。大切な笑顔を護れますように。
 託したい意志が、ジングルにもすぐ浮かばなかった。自身でも驚くほどに、それだけ満たされているのだと気づいた瞬間、ジングルの頬がふにゃりと緩む。
 未来がどうなるかは分からない。使役ゴーストとも共にあれるかどうか。幻の不安はそこだった。弱音となってしまうから、周りへは決して零さぬよう唇をきゅっと引き結んでペンを取ったのだ。
 ――ずっと傍に居て。
 請うような切なる幻の祈りを乗せて、紙飛行機は天高く掲げられた。
 人々に四季の美しさを教え、賑わいを与えては静かに散りゆく。そして散った後も地面をさりげなく飾り、彩る。そんな桜の花へ思いを馳せて、ルエニはうっかり紙飛行機のことを忘れかけた。
 ――僕がお空に居る間に、たくさんの戦いがあって、皆が戦いに行って、そして皆無事に帰ってきました。
 今こうして皆で仲良くしていられる。だから次の戦いの後も、その次も、ルエニにとっての願いは同じ。
 穏やかに過ぎる仲間たちを眺め、脇差はふっと息を吐く。どっぷり闇に沈んで浮かぶことを知らずにいた脇差の思考を、引き上げてくれたのは間違いなく仲間たちの存在だ。共に暮らせる可能性を知り、出会った道があり、託されたものもある。容易な問題ではなかろうと、脇差の信じる心は、確かな決意を一つ紙へ記した――俺は俺の信じる道を行く、と。
 陽光眩しく麗らかな春先に、能力者たちの賑やかな笑い声は絶えない。
 春宵一刻値千金。それは青葉が紙飛行機へと託した想いだ。ふと一瞥すると、鴻之介が放った紙飛行機の先端が、タキの後頭部へ急降下する瞬間を目撃してしまった。彼がぶつかった紙飛行機を広げ、野菜食え、とだけの率直な意見に眉をぴくりと震わせる。
 ハハハと喉を剥き出しにした鴻之介に、眉間を狭めるタキ。相変わらずだなぁと、その光景に青葉の頬も緩んだ。
 大口を開けていた鴻之介が不意に、もう一つの飛行機を手放す。
「ほれ、取ってこい」
 鴻之介に促され、タキが青葉を手招き、共に白が描く道筋を追いかけた。そんな彼の相貌は、春の陽気を帯びたように柔らかい。それもそのはずだ。強く歩いて行ける彼らに、望むことは何も無いのだから。
 ゆえに彼が託したのは、愛に纏わる異国の諺。
「来年も三人でお花見しようね」
 紙飛行機を拾って広げた青葉が、タキに差し出しながら微笑む。
『迷い道 振り向き仰ぐ 初桜』――それはタキの瞳孔に焼きついた、鴻之介の言葉で。
 振り返ってみると、地理は不得手な鴻之介の眼差しが、優しく二人を見つめている。
「それにしても、ドイツか……遠いな」
 戻ってきたタキに、オーストリアだと突っ込まれるまで、あと数秒。


 桜餅を差し出してきた少年に、セタは見覚えが無かった。けれど少年はセタを知っているようで首を捻ると、僕だよ深夜だよ、と真昼の横で彼が不思議そうに名乗る。
「ミヤさん大きくなったですね!」
 蜘蛛童の頃とは事なる印象だが、さりげない仕草に名残があるようでセタは嬉しそうに目尻を下げ、桜餅を受け取る。真昼の後ろでは、一体の蜘蛛童が紙をつついていた。真昼から、名を向日葵と言うのだと教えてもらい、セタは向日葵に挨拶する。
 その間に深夜は、土蜘蛛としての熱望を紙に託した。欲する力は大切な存在を守るために。それは蜘蛛童の頃から、何ひとつ変わっていない。
 銀の雨が止みますよう。ルシアの直向な願いは、桜の天蓋を突き抜けて高く、高くへ上りゆく。
「……優等生過ぎますか?」
 優しさを含んだ声音で、彼女は恭賀へ尋ねた。大事なことだよ、と運命予報士らしい物言いで、恭賀が頼もしい存在の眩さに魅せられる。空を舞う白もまた、彼女の意志と相俟って、目が眩むほどに輝いていた。
 忙しなく過ぎる戦いの日々がある傍ら、再び巡り来るのは桜の季節。
 それをいとおしむ鑑三郎の手にあるのは矢立。墨壺より引き抜いた筆先で綴った、愛する仲間達と無事に乗り越えられるようにという、ひとつきりの望み。鑑三郎が背を預けた樹の後ろでは、アリアが手の甲へふわりと降りた花弁に瞳を眇めて、恐らく叶わぬであろうことを記す。
 ――風に託せば、少しは忘れられるのかな。
 頬を撫でる春風は、遠い何処かへ連れていってくれるだろう。だからアリアは祈った。ずっとずっと遠くへ飛びますようにと。
 同じ頃、『双戴銃騎』の仲間たちもたくさんの荷物を抱えて集っていた。
 せっかくの桜並木を満喫したいと、美華の身も軽やかに跳ねる。ござを広げてその様子を眺めていた悠が、このような場での花見も良いものじゃと小さく息を吐く。
 モルルと一緒にせっせと紙を折っていた茜が、もきゅもっきゅと小さな手でがんばるモルルを手伝う。既に隠れてしまったが、茜が紙飛行機に乗せたのはこれからの人生設計だった。大学を卒業したら、小さな花屋を開いて、そして――膨らんで留まらない夢と期待に、心の奥、身体の芯まで暖まっていく。
「皆で紙飛行機、飛ばそう」
 不意に響いたアルノーの声で、友人たちが振り向いた。一番近くで落ちた子は罰ゲーム付きで、とやや悪戯じみた眼差しで告げたあアルノーに、真っ先にどんと胸を叩いたのは新都だ。
「いいだろう、紙飛行機飛距離コンテストで勝負だ」
「競争なら俺自信あるぞっ。伊達に男子と競ってないぜ」
 にひひと笑ってレンも腕をまくり、自慢の紙飛行機を手に取る。
 暫し花見はお預けかと目を細めた悠も、穏やかな日々を祈り飛行機を模った。弾む声と明るい調子を耳に捉え、美華は皆との絆と想い出を、文字という形で結い上げていく。
 ――今の楽しいときがこれからも続きますように。
 彼女たちの一念を応援するかのように、桜の花が瑞々しい香りと共に舞い上がった。
 一方、折り方を恭賀から教わっていたホーリィは、ぐーちゃんと並んで純白の紙飛行機を作った。乗せるのは、口にすることのない誓いと想い。
 ――私はこれを、どこに届けたいんだろう。
 伏し目がちになったのを恭賀が心配そうに追うと、少女は眩いほどに顔を綻ばせた。
「……届くと、いいですね」
「届くよ」
 返ったのは強気な発言。
「能力者さんたちの想いなんだ。届かないわけないよ」
 飛ばしたものなのだから、絶対に何処かへ辿り着く。だからホーリィさんのも届くよ、と。恭賀は迷いの無い面持ちで、言い切った。
 認めるのは一通の文。連ねた想いも報告も、すべてがアヤメの生き方であり、今でもある。
 桜の下で紡ぐ度、幸せな心地に浸れて、自然と目尻も緩んでいく。個人的な手紙であれど、拾う者の中で、確かな重みとなるならば、それは、アヤメにとっても幸福となる。
 だからアヤメは心から書けた。別れの挨拶と、「いってきます」という力強い一歩を示す言葉を。


 一番遠くまで飛ばした人の願いを、皆で叶えよう。そう告げたのは『ベランダ』の唯だった。
「こここっこ、願い事いっぱいあるなら、いっぱい書けばいーんだよ」
 傍らではクガネが、論を俟たず一枚の紙を四分割に裂いていた。斬新だなぁと和む古湖とは対照的に、千歳はクガネの奔放さに笑みを含んだ溜息を吐く。
 全員の準備が終われば、桜の合間を白が縫い始める。目を凝らす古湖と唯、千歳の胸元を、小さな紙飛行機がノックした。それぞれへ向けたクガネの想いと共に。
 不意に、破顔した千歳が皆を抱きしめる。大好きだと四人で交換しあった言葉が、春と人の温もりに溶けて沁みた。そんな四人に拘らず、紙飛行機はひたすらに彼方へゆく。
「誰が一番飛んだかわかんなくね?」
「みんな一番ってことでいーじゃん!」
 また遊ぶ約束も、旅行も、皆で何か頬張りながら帰るのも――すべては、大事な友人たちと共に。
 紙に舞い降りる花弁に、瀧人は月に謡う娘を想起する。桜は融けない雪のようだと話していた彼女の声と音が、耳朶を震わせた。だから雪融けを待つとだけ記した瀧人が、首を巡らせ恭賀を呼んだ理由も明白だ。
「一筆、頼みたい。……世界は未だ愛しいものの侭だと、伝えるために」
 お安い御用だと受け取った恭賀へ、祝辞と感謝を瀧人が寄せる。戦友と呼ばれくすぐったそうに身を捩る恭賀の相貌は、溢れんばかりの喜びを表わす。
「神谷にも頼んでくるねー。ちょっと待ってて」
 嬉々として踵を返した恭賀を、瀧人は常と変わらぬ穏やかさで見送った。
 ぱしゃり。きったシャッター音が賑やかに聞こえるのは、縫自身が口数控えめにしているためだ。掲げていたカメラを戻し、本当にこの時期に咲くんですね、と傍らの轟へ囁く。実家では、入学式に桜を仰げることなど殆ど無かった。だから物珍しく、故郷を想起して話す縫の息も、高まり弾んでいくばかりだ。
「風景を想像できて良いな。神居坂の話は、いつも」
 あまりに楽しげに、或いは緊張を帯びつつも真っ直ぐに話す少女の話に偽りは無く、旅を好む轟としても行ってみたいと思えた。遠慮するように落ちてきた花弁へ一瞬気を取られた縫は、彼の言葉に頬を緩めて上空を仰いだ。
 茲と朱哢は、セタとパレハと向き合い座っていた。書く内容を思案して桜の樹を見上げた茲は、止まぬ勢いでペンを走らせるセタにきょとんとする。何個目になるだろうか。セタの作った紙飛行機は、山を成している。
「願い事、何にした?」
 遠慮気味に茲が尋ねると、彼女はぱぁっと表情を輝かせ、知り合いの名前を次々と挙げていく。
「皆さんが元気でありますよーに、なのです」
 包み隠さず伝えてくれた少女へ、お返しにと茲も自らの望みを伝える。
「いってらっしゃいで送ってくれる人達に、ただいまって伝えて、おかえりって言って欲しいんだ」
 照れ臭いねと肩を竦めた茲に、朱哢とパレハが穏やかに身を揺らした。
 年を重ねるにつれ、童心に帰る時間を懐かしく愛おしく思うのは、人生の中で自然なことなのだろう。
 玄蕃もまた、幼少へ思いを馳せて紙飛行機を折り上げた。そして僅かな風に踊る桜の道を踏み分け、恭賀を探す。探し人との再会に歓談を交え、そして伝えるのだ。乙な春の便りの礼と祝辞を。そして飛ばすのだ。この風が未来の自分たちへ届くよう、忍ばせた願いの言葉を。
 そこへ寄ってきた龍麻が掲げたのは、折り目の位置や角度を工夫した紙飛行機だ。
「良く飛ぶには重心の位置が重要なのだよ、明智君!」
「そうだな二十面相君、君の言う通りだ」
 低音で気障っぽく告げた龍麻に、恭賀も演技じみた物言いで上機嫌に返す。遥かな先へと飛び立った紙飛行機を見送り、思い出したように龍麻が持参した箱を抱えだす。
「これケーキ。あとで食べよう、皆で!」
「わざわざ持ってきたんだ!?」
 思いがけず噴きだした恭賀に、龍麻は爽やかに恥らう。その後ろから顔を出したのは雪羅だ。
「恭賀、ささやかだけどこれを」
「俺に? ありがとー」
 恭賀へ紙袋を手渡した雪羅は、そっと摘まんだ紙飛行機を、大空へと向ける。
 つんと指を離れた紙飛行機に、もう書いたんだ、と恭賀が唸るものだから、雪羅は薄く笑んだ。
 今となっては懐かしい学生時代の思い出は、振り返るにはあまりに膨大で、あまりに長すぎた。世話になった人たちにきちんと返せているだろうか、不義理となっていないかと懸念するばかり。だからこそ雪羅が願うのは――出会えた人たちに対して誠実であれますように、と。


 グライダーの人になる。有りっ丈の想いを篭めた目標を手に歩くメジロは、木陰に身を潜める渡里を発見して、名を呼んだ。
「渡里、何しているの?」
 少女の肩と、彼女が抱えたシィが震える。
 二人の話し声に気づき、前方を歩いていた恭賀がやってきた。来てくれたんだね〜、と浮き立つ想いを秘めた彼の掌へ、メジロが金平糖をころころと注ぐ。一方の渡里は、しゃがむようにお願いした後、シィを恭賀の肩へ乗せた。
「……無事だったお祝い、なの」
 シィのからだが恭賀に擦り寄る。
「これからも、よろしくお願いします、なのね」
 渡里にメジロが挨拶を続けた。大人びていく二人とは反対に、歳を重ね脆くなった涙腺を、恭賀は瞼で覆い隠す。ありがとう、俺の方こそよろしくねと。そう笑みを覗かせて。
 感激であげた声に、降りてきた花弁が驚いて揺れる。美しく咲き乱れる桜に『樹氷に月』の亜留と礼子の瞳からは輝きが失せない。
 ――我が友人に桜の如く尽きぬ笑顔を。
 笑顔を想起し緩めた頬に、春の陽気を受けた。同じ暖かさを感じていた亜留は、内容を考え込んですっかり黙している。
 みんなとずっと仲良しでいられるようあかりが願いを書く傍ら、碎花は、柔らかい春風を認めていた。春風へ任せた紙飛行機は、碎花の視界いっぱいの空をゆく。
 彼女たちを眺めていて亜留は気づく。大切なのは「今」そのものであると。わかれば文字に変えるのは簡単だった。
 薄桃色の花弁がひとひら、亜留の飛ばした飛行機の軌道に乗る。
 橙の瞳を僅かに伏せて、礼子もまた目標を掲げた。悔しさをバネに、強いだけではない力の在り方を求めて。
 良きえにしを紡いでいく様は、綾女自身の縁ともなる。だから綾女も筆を執った。


マスター:鏑木凛 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:41人
作成日:2012/04/09
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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