≪ミムラスの小庭≫わがままな君に


<オープニング>


「今度、一日お時間いただけませんか?」
 見渡す限り凪いだ空の下で届いた、ホーリィ・ランプフィールド(インビジブルスマイル・b18301)の声も至って穏やかだ。
 帰路へ着こうとしていた井伏・恭賀(運命予報士・bn0110)は、そんなことを考えながら、自分を呼び止めた少女を見つめる。通い慣れた銀誓館学園の近くだ。見慣れた姿を前にするのも珍しくなく、周りには卒業生にとって懐かしい制服姿がちらほらと見受けられた。
 お願いしたいと思っていたことがあるのだと、ホーリィは言う。彼女の願いが何かを問えば、少女はやや興奮気味に頬を上気させた。
「その名も、わがまま対決! ……です」
「わ、わがまま対決??」
 首を傾いだ恭賀へ、ホーリィの話は続く。
 内容は単純明快。
 相手に遠慮も気兼ねもせず、願いを向ける。やりたいこと、ほしいもの、付き合ってほしい場所など――わがままと一口に言っても、内容は様々だろう。そしてわがままを言われた側は、どんな内容でも頷いて聞いてあげる。その流れを交互に繰り返し、わがままが尽きた方が負けだ。
「思い切り羽を伸ばして、したいことをして……そんな一日があっても、いいじゃないですか!」
 誇らしげに告げたホーリィの瞳が、燦々と輝く。
 耳を傾けるばかりだった恭賀も、わかりやすくていいなぁ、と対決の内容に小さく笑い、胸をどんと叩いた。
「よーっし、いいよ、俺も負けないからねー」
 わがまま度なら負けない、と宣言したことが過去にある手前、恭賀自身も大張り切りだ。
 そんな恭賀へ、勿論ルールはありますよ、と彼女の念押しが入る。

 ひとつ。わがままは一日で終わるものだけ。
 ひとつ。わがままは常識の範囲内で。
 そして、一番大切なことは。

「その一日だけは、能力者として、運命予報士としての自分を、忘れること」
 恭賀を呼び止めたときと何ひとつ変わらない、陽射しのような柔らかさを孕んだ声だ。
 三つ目のルールに恭賀は息を呑む。しかしまばたきですぐに振るい落とし、目の前の少女を再び視界に捉えた。
「受けて、頂けますか」
「もちろんだよー。能力者さんの頼みだから……っと、そっか、これは無しか」
 咄嗟に自分の口を塞いだ恭賀に、にっこりとホーリィが笑みを浮かべる。
 恭賀はそこで思い出したように「あっ」と声を漏らし、彼女を呼んだ。
「ホーリィさん、能力者として忘れるって言うけど、ぐーちゃんと遊ぶのも駄目かな?」
 彼女が溺愛するモーラットのぐーちゃんには、恭賀も何度か触らせてもらったことがある。人気の無い場所でなら、ぐーちゃんとふれあうこともできるだろう。
 自分の大切な存在に関する話題だったためか、ホーリィも心なしか嬉しそうに「駄目じゃありませんよ!」と瞳を眇めた。望ましい回答を得られたことに恭賀は胸を撫で下ろす。これも当日に言うわがままの一つにしよう、と決めて。
 そうして、出かける日と時間を擦り合わせただけで、この日は別れた。
 恭賀の足取りは、ひとり静かに帰宅するよりも軽い。
 どんなわがままを重ねよう。
 繁華街を歩きながら、おすすめの食べ物を教えてもらおうか。惣菜やスイーツを手にぶらぶら歩くか、或いは勧められたものを土産に買うのも楽しそうだ。
 様々なお店が建ち並ぶ場所だから、買い物に付き合ってもらうのも良い。そういえばアイスティー用に新しいコースターを買おうと思っていた。色や柄を彼女に選んでもらおう。
 そこまで考えを巡らせたところで、別れ際に大きく手を振っていたホーリィを想起し、恭賀はくすりと笑った。

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参加者
ホーリィ・ランプフィールド(インビジブルスマイル・b18301)

NPC:井伏・恭賀(運命予報士・bn0110)




<リプレイ>


「和の小物を見立てて下さい!」
 澄み渡る青空をも突き抜ける声。ホーリィ・ランプフィールド(インビジブルスマイル・b18301)のものだ。
 繁華街の喧騒にあっても衰えない明るさに、井伏・恭賀(運命予報士・bn0110)は意識せず頬を緩めた。約束の日を今か今かと待ちあぐねた青年にとっても、彼女の声に混じる興奮は手に取るように解ってしまう――彼も、彼女と同じ状態にいるからだ。
 本日の催しは『わがまま対決』だ。そう称して町へ繰り出した二人は、交わした約束の通り、今日は何でもないただの人間だ。能力者でも運命予報士でもなく。
 ――その一日だけは、能力者として、運命予報士としての自分を、忘れること。
 そう切り出したのはホーリィだった。此度の対決に関連性は無いように思える条件。しかし、これが思いのほか難しい。少なくとも恭賀にとっては。
 弾む足取りを隠さず歩くホーリィを一瞥した。参考になればと思い至ったところで、彼女は平時となんら変わらない。
「……参考に、ってのがおこがましいよなぁ」
「え? 何か言いました?」
 ひとりごちたものであったが、しっかり拾われてしまい、恭賀は慌ててかぶりを振る。
「えーと、その、小物って言ったよね? 例えばどんな?」
 この辺りではそこそこ広く、品揃えの良い和雑貨の店へと足を踏み入れた。自分も時折来る店だと恭賀が話すと、興味津々にホーリィが店内を覗き込む。手拭から箸まで綺麗に陳列された店だ。訪れる客層も、どちらかというと若者寄りで、和雑貨の店に慣れていなくても、気兼ねなく入ることができる。
 そこで不意に、ふわりと橙の髪を揺らして首を傾けたホーリィが、ぽんと手を叩く。彼女が徐に懐から取り出してみせたのは。
「これです、これ」
「……携帯?」
 恐らく新品なのだろう。傷も汚れも見当たらず、純白と喩えてもおかしくないほど綺麗な携帯電話だ。飾り気も無い生まれたてのような白に、恭賀も思わず微笑んでしまう。
 その携帯を弄りだすのかと思いきや、ホーリィは携帯を片手に、笑みを浮かべて。
「これにストラップをつけようかなって」
 なるほど、と合点がいき恭賀は頷いた。
 若者向けのデザインや品も扱っている店だ。早速恭賀も、こっちこっち、とホーリィを手招く。すぐさま駆け寄った彼女は、数十種類に及ぶストラップたちが並ぶのを知った途端、うわあ、と感激が零れ始める。
「たくさんありますねっ」
「ねー。どれがいいかなぁ」
 これだけ異なるデザインが存在すれば、選ぶのにも一苦労だろう。
 顎に手を添え眉間にしわを寄せていると、その表情を逃がすことなくホーリィに目撃されていた。難しい顔がおかしかったのか、くすくすと肩を震わせている。なんで笑うんだよー、と詰るでなく軽い調子で訊ねてみれば、なんででしょう、と一枚上手の言葉が返った。こう言われては、気になって仕方が無くなる。
 ならば気を紛らわすためにも、早急に選ばなければ。
「えーと。ホーリィさん、とんぼ玉のもあるし、和風な四葉のクローバーとか、桜と……」
「どれも綺麗っ!」
 店内の照明から注がれる光を受けて、ストラップがちらりと煌く。トンボ玉のような滑らかな肌は、まろい光を流していき、装飾に拘った形状の肌には、光も四方八方へ反射してしまう。
「見てください今日がさんっ、だるま!」
「おおっ、ほんとだー」
「こっちには大判小判のストラップまで……っ」
「金運が上がりそうだよねー」
 ホーリィは、組紐の根付、硝子細工、蒔絵を模したものなど、気に入ったものを一つ一つ摘み、掌へ掬うように乗せては、わあ、と恍惚の息を漏らしている。
 彼女の握る白い携帯電話を一瞥し、恭賀はふと、前々から気になっていた一つを手に取る。ホーリィの名を呼び、さっと振り向いた少女の前へ垂らしたのは、ちりめん素材でできたフクロウが付いたストラップだ。橙や黄色の混ざったちりめん素材のフクロウは愛らしい顔立ちで、ホーリィを見つめている。
「真っ白い携帯になら、これとかいいんじゃないかなー?」
 彼女の手へと乗せた拍子に、ちりんっとフクロウが鳴いた。鈴が入っているのかと問うホーリィに、こくりと頷く。
「音で居場所を報せるから、無事が判るしねー」
 それでいてフクロウが福を招くのであれば、それはきっと幸運なことだろう。
 だからこそ恭賀はこれを選んだ。すると少女の眼差しが、何事か訴えかけてくるように射抜いてくる。暫くは意図が読めずにいた恭賀も、時間をかけて漸く、彼女の内で燻る念に勘付いた。
「……能力者さんとか、運命予報士とかとは違うよ」
 まったく関係ないとも言えないけど、と付け足せば、二人して噴き出して笑ってしまう。
「よーし! 気を取り直して、次は俺のわがままだね」
「はい! 待ってましたよ、どうぞ」
 どんと来いと言わんばかりに構えたホーリィに、引きずっていた笑いを残しながら恭賀は食器のコーナーへ首を巡らせる。
「アイスティーを飲むのにね、コースターを買おうと思って」
 選んで欲しいんだ、と願いを傾ければ、ホーリィは胸を張って食器のコーナーへ急いだ。
 食器の取り揃えも好評な店だ。日常使いから贈答用にまで、テーブルウェアや食器も用意されていた。ゆっくり少女の後を追った恭賀がそのコーナーへ着く頃には、既に吟味したらしい彼女から、ぐいとコースターを胸へ押し付けられた。落とさぬよう注意を腹って受け取ったのは、ガラス製のコースターだ。異なる緑の葉が集まったそれは、透明感に溢れた涼しげなものだった。
 へえ、とつい恭賀も唸ってしまう。
「ここ、重なりで出来る溝が水滴を受けるから、アイスティーに丁度いいと思ったの」
 促されるがままコースターを撫でてみれば、溝に当たる部分で皮膚が引っ掛かる。
「うん、じゃあこれにする」
「即決?」
 もう少し悩むと思ったのだろうか、ホーリィが吐息だけで笑った。だから恭賀はこう返す。
 ホーリィさんが選んだものだからね、と。朗らかに笑って。


 腹の虫がお昼時を報せた頃、ランチにしようと二人でやってきたのは、繁華街から外れた場所にある公園だ。
 ベンチから眺める公園は、夏らしい照り付けるような陽射しに芝の緑、草花が揺れて、木漏れ日がちらちら光る、目に楽しいものだった。時折子どもたちの声や、散歩の途中らしい犬の鳴き声こそ混じるものも、風は終始穏やかだ。
 強いて言うなら、暑いというぐらいで。
 じゃーん、という効果音を自ら口にして、恭賀が膝の上で開いたのは弁当箱だ。ハーブとレモンの爽やかな香りが広がるチキン、サラダはもちろん色鮮やかなオムレツ、動物を模ったウインナーなど、子どもの運動会にでも持っていくような量と可愛らしさがある。
 すべては、いま正に携帯電話で写真を撮っているホーリィの希望に沿って。
「ほらホーリィさん、これも作ってきたよ!」
「あ! ぐーちゃんおにぎり!」
 次に恭賀が取り出したのは、ぐーちゃんを模ったおにぎりだ。モーラットの白さを表わす米も、木漏れ日のように煌いている。
 顔とか作るの楽しかったよ、と気の抜けるような声で笑った恭賀へ、ホーリィは身を乗り出して。
「食べるのが勿体無いです、けど……!」
 葛藤の唸りを噛み殺すように抑えるのはホーリィだ。その様子が微笑ましくて恭賀が目尻を下げていると、突然、彼女からこんな願い事が届く。
「……後でぐーちゃんにもあげていいですか」
 囁きがあまりに彼女らしくて、堪えきれずに恭賀は笑いを転がり落としてしまった。

「これが食べ終わったら、商店街辺りで食べ歩きでもしましょうか。何がいいですか?」
 尋ねられて記憶を掘り起こした恭賀は、お焼きが食べたいなぁ、と呟く。すっかり温くなったベンチから腰を上げた。引っ張られるようにホーリィも席を立ち、私は飲み物を、と手を控えめに挙げる。
 どうやら、飲食物に関するわがままは、互いにすんなり決まったようだ。


 次に二人が訪れたのは、町外れの高台、昼でも地元の人すら殆ど近寄らないという、古びた展望台だ。長い時間を経て重力に逆らえず、撓んだロープが張り巡らされている。放置された雑草は活き活きと背を伸ばし、植物の陰を好む虫たちは人の手が入らない場所で安住している。
 何がしかの思念があってもおかしくないが、不思議なことに、展望台の周りを覆う静寂は、恭賀にとっても心地良いものだった。恐らく、安心感が先に出るためだろう。
「ちょっと内緒のお気に入りの場所なんです」
 人差し指を口に当ててホーリィが言う。そのままくるりと身を翻し、展望台を駆け上がっていく少女を、慌てて恭賀も追った。草と土と、埃と錆の匂い。あらゆるものが混ざった寂しげな匂いのする場所だと、恭賀は思う。それでもむず痒くはならなかった。
 帰りのバスの時刻を心配してしまう程、人気がないためやや落ち着かない恭賀へ向けて、ホーリィは心強い援軍――相棒の名を呼んだ。
「さあ、援軍の出番!」
 ぐーちゃん、と呼びかけた柔らかい声に、きゅ、と甲高い泣き声でぐーちゃんが姿を現す。待ちあぐねたかのように輝くつぶらな瞳で、ぐーちゃんはホーリィと恭賀を交互に見遣り、もう一度鳴く。展望台の柵に肘を乗せたホーリィの傍らで、ぐーちゃんも夕陽を眺める。
 空気を多分に孕んでふんわりした毛が、目の前にある。恭賀は疼く気持ちを胸に秘めたまま、そろりとぐーちゃんへ手を伸ばした。そんな恭賀の心境を読んだのか、直後ホーリィが高らかに宣言する。
「もふもふ突撃ー!」
「きゅーっ!」
「うわぁ!? っははは、もふもふだねー」
 突然のことに一瞬驚いたものの、しがみつくように飛び込んできたぐーちゃんを抱きしめて、真夏にも関わらず恭賀はその温もりを堪能した。
 そんな恭賀とぐーちゃんの様子を、ホーリィはただただ黙って見守る。
 やがて、構うのに飽きたらしいぐーちゃんが、ホーリィへとひょいとしがみついた。名残惜しむように、恭賀が眉尻を下げる。けれども離れたら離れたで追いかけはせず、そのまま一人と一匹を長め始めた。
 傾く陽は変わらず在り続ける唯一のものであるのに、眺める場所や歳によって、こうも違って映るのは何故だろう。尽きない疑問の海へ意識を浸す前に、恭賀の耳朶を打ったのは心地良い声だった。
「私、昔は、何もかも連れて行ってしまう夕日が嫌いだった」
 昔日の景色を思い返しているのだろう。ホーリィが細めた目は、夕陽と同じ橙色を濃く映している。
「でもね。この子と出会って、学園で沢山の人に触れて、夕日の先の闇も、闇の先にある夜明けも知って……」
 彼女が挙げたのは、自身が体験した数え切れないほどの思い出だ。
 この子、という単語に反応したのか、ぐーちゃんがきゅうと短く鳴く。そんなぐーちゃんが愛おしいようで、ホーリィは抱え込んだぐーちゃんの毛に指先を絡めて遊び始めた。感触が好ましいのだろう。時折こうした手遊びを、ホーリィは何気なくしてみせた。特にじっとしていることの多い場面で。
 稚気が滲むとはこういうことを指すのだろうかと、恭賀はふと考える。けれどその思考もすぐに、彼女が紡ぐ話の続きに持っていかれた。
「いつの間にか、夕日を眺めるのが好きになってた」
 彼女は柔い陽射しから視線を外すことなく、くたびれた柵を掴んだ。人気のない展望台の柵は、多くの人に握られてきたのだろう。ホーリィが掴んだだけで軋んだ。よくよく見れば、塗装も剥がれて錆びがむき出しになっている。
 くたびれたまま、それでも崩れることなく存在する展望台。太陽とはまるで反対の存在に立ちながら、少女は口をはくりと開けた。微かに呼吸の音が届きそうなほどの、温い風が彼女たちを包む。
「……私ね、恭賀さんが好き」
 胸が凪ぐような穏やかさで、夕陽を遠目に彼女は言った。想いを受けた恭賀の思考が一瞬で固まる。だから固まった思考を解すように、口を開こうとした。
 しかし命令を受け取った恭賀の唇が動くよりも早く、ホーリィがかぶりを振るう。好きと告げたときと同じ唐突さで。
「答えは、無くていいんです。困らせたくないから」
 少女は無邪気なままだ。初めて会ったときから、ずっと。
 答えは無くていい。そう先手を打たれて困惑を隠せずにいる恭賀は、彼女の無邪気さに振り回されていた。今も、もちろんそうだ。
「好きになれたことが幸せで、沢山の力をくれた、だから……」
 ――これが今日最後の、わがまま。
 囁くホーリィが振り返り、背中を柵へ預ける。胸に抱えたぐーちゃんが、不思議そうに彼女を見上げた。
「恭賀さんを好きになって強くなれた人間が居たこと……それだけ、覚えていてくれますか」
 混ぜ物が存在しない彼女の言葉は、止まず降り注がれる。それは、己を守る言葉ばかり知り過ぎた大人を恥じ入らせるものだ。その美徳を失わずにいるホーリィから、恭賀は視線を逸らさない。
 ふ、と吐ききった息は笑みを含んでいて、吐いた恭賀自身も少しばかり驚く。
「……そっか、そうだよね」
 何かを確かめるように呟いて、恭賀は彼女の前へ小指を差し出した。
「忘れないよ、忘れられるわけがないよ。だから君も……覚えてるって、指切りしてくれるかな?」
 突然指切りを求められたことにきょとんと目を瞬かせたホーリィも、直後にはくすくすと肩を震わせる。断る理由なんてないわと言わんばかりに、彼女も小指を繋ぎ合わせた。いい年して指きりは子どもっぽいかな、と頬を赤らめた恭賀へ、ホーリィは頭を左右に振るだけで。
 彼女との指切りが済むと、ぐーちゃんも、と恭賀は短いぐーちゃんの腕をそっと掴んだ。
「わがまま対決は、恭賀さんの勝ちですね」
 これもわがままだから、と約束に使ったばかりの小指をホーリィがくいと動かす。そんな彼女に恭賀は緩く首を振って。
「……おあいこ、だよ」
「え? 引き分けですか?」
「きゅっ!」
 甲高い声で鳴いたぐーちゃんにくしゃりと表情を歪ませて、引き分けだね、と恭賀はホーリィとぐーちゃんの姿を、伏せた瞼で隠す。見えるはずのないものを夕陽と共に送るかのように、薄い笑みを唇へ掃いて。
「今日はありがとう。楽しかったよー」
 礼を述べた恭賀へ、ぱっと笑顔を咲かせたホーリィが軽く頭を下げる。
「こちらこそ、今日は付き合ってくれてありがとう!」
 晴れやかで清々しい言葉と表情は、いつだって眩いものだった。
 それを目の当たりにしながら、わがままを振りかざす日も悪くないと、恭賀はめいっぱい空を仰ぐ。
 陽は、いつのまにか沈んでいた。


マスター:鏑木凛 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:1人
作成日:2012/08/04
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