<リプレイ>
●臨海の闇近く 崔より話を聞いた能力者達。 向かうは千葉県は九十九里浜の一角にある、海岸線沿いにある暗き洞窟。 「しかし肌寒い季節になってきましたね。日も暮れると海辺は特に堪えますね」 「そうですね、確かに押し寄せる波しぶきが少々冷たいですし。足を滑らせないように注意して下さいね」 「ええ、ありがとうございます……まぁお仕事を終えたら、暖かい紅茶でも飲みたいものですわね」 木之花・さくら(混血種・b47400)と、成田・樹彦(中学生真妖狐・b81217)が、そんな会話を交す。 洞窟の中に棲まう強力な地縛霊……遥か過去に封印されしゴースト。 彼は洞窟の中の社に封じられて、長い年月を超えてきた。 そして何故か最近、その封印が解かれ、永い時を超えて再度現われようとしているというのだ。 「しかしこいつも世界結界が出来る前のゴースト、と……まぁコイツ相手に苦戦する様じゃぁ、『伯爵』を倒すだなんて言えないからな。全力でやらせて貰うぜ!」 「ええ。強力なゴーストですけれど、全力で行きましょう! 新しい時代を迎える為にもなのです。おー!!」 暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・b42300)に烏頭森・万葉(億千万の棘茨荊・b60331)も拳を振り上げて気合いをいれる。 そしてその気合いの言葉に触発されるように、出雲・那美(慎ましき巫女・b24518)、国見・繭(薫風の乙女・b32693)の二人も。 「ヒノモトの地を守り、荒ぶる御霊を鎮めるのが巫女たる私の使命。人々の祈りが届かず、荒ぶる怨霊となりて果てし死者の魂……本来在るべき世界、黄泉の底へと返しましょう」 「ええ……私の夢は、人と来訪者が共存出来る世界を作る事。世界結界が崩壊に向かいつつある今、銀誓館の定めた方針は私の理念そのものです。その理念を実現する為には、私達が危険なゴーストから人々を護り、私達が敵では無い事を示さねばなりません……だからこの依頼、失敗する訳にはいきません」 と、声を荒げる。 そして能力者達はその強力なゴーストを倒す為に、宵の中のゴツゴツとした岩場を注意しながら歩いていった。
そして能力者達は、ゴーストの巣くう洞窟の前へと辿り着く。 ……洞窟の中から漂う気配に。 「んむー……ここで見ているだけでも、何だか禍々しいオーラが漂ってくる気がするのは気のせいであろうか?」 「そうですね……この中に居るのは間違い無いでしょう ユラ・セレスト(パラヤーナ・b58838)が小首を傾げると、樹彦が頷く。 そして続けてユラは。 「確かここには、何かを鎮めるための社とか言っておったしのう。大きな戦いもあった事じゃし、社が崩れてしまっていても、不思議は無いのかもしれぬな……」 「そうだな……とは言え人の退路を塞ぎ仕掛けてくるとは、私らをなぶり殺しにでもするつもりか? 全く……下衆な奴らよ」 「うむ。説得も効かぬと言う話じゃし……少し切ない話じゃ。今は無理でも、後で社だけでも治して上げたいものじゃ」 「そうか? 別に治さなくても良いだろう。この様な者達に情けなど不要、土蜘蛛の我が粉砕してくれるわ!!」 国見・眞由螺(影武者・b32672)の言葉に頷きつつ。 「それでは皆さん、心の準備はよろしくて? よろしければ……参りますわよ」 「OK……準備OK、レディゴーだ」 さくらに頷く魎夜。 それぞれがヘッドライトや、腕にライトをバンドで固定してみたりして、視界の灯を確保すると共に。 「みなさん、背後に注意して下さい。前衛に出過ぎないで、敵には薙ぎ払いもありますからね」 「そうですねー。それじゃ前衛と孤影を交代して入っちゃいましょうー」 那美に万葉が作戦を再確認する様に告げて……そして能力者達は、前衛、後衛を逆転する形で、その洞窟の中へと侵入するのである。
●冬の海に迸り そして洞窟内……外からの月明かり以外は、洞窟の中には一切の灯はない。 そんな洞窟内を後衛が先に立って、奥へ奥へと進んでいく。 「……うーん。結構深い洞窟ですね」 「そうですねぇ。でも、後方には注意ですよ」 繭に万葉が一言付け加える。 どこから共無く現われるか解らない訳で……注意を張り巡らせながら、更に奥へと歩いて行く。 すると……その灯の中にふと映る小さな社の姿。 しかしその社は長い間世話をされていない様で、所々が海風で朽ちている。 そして勿論、その社から漂う不穏な気配は今までよりも一層強く……。 「……皆、後ろじゃ!」 ユラがその気配の凝縮を鋭く感じ取り、叫ぶ。 挟撃の形となる、入口側の方に突如現われる虚ろな瞳をした地縛霊。 『……ウ、ゥゥ……』 苦しげな呻き声は、遥か人外のもので……ぞぞぞ、と悪寒を覚える。 が……それに怯んでいる訳にもいかない。 「さぁ、土蜘蛛の力、見せてやろう!」 「ええ。神降ろしの儀……神霊降臨!」 眞由螺が旋剣の構え、那美が虎紋覚醒で自己強化すると共に、眞由螺が地縛霊の前に立ちふさがる。 そしてその動きに合わせ、魎夜、繭、そして万葉も。 「この戦陣の中で、そう簡単に勝てると思うなよ?」 「その力を、消させて貰います!」 「勇壮なる我が魔導兵団よ……その力を今ここに示せ!!」 魎夜の天秤の加護を起点に、繭が武装解除弾で超武器封じを狙い、対し万葉は仲間等に対して幻影兵団で射程を広げる。 更に前衛、中衛の仲間達が、後衛に決して攻撃を通さぬ様に陣形を横に広げておく。 そして壁が出来ると共に。 「それではこちらからも行きますわよ」 「うむ!」「解りました」 さくらとユラ、樹彦が頷き合い、さくらはまずノーブルブラッド、次のターンにライカンスロープで強化を施す。 樹彦も同様に魔弾の射手で強化し、対しユラは。 「ほれ、私のスケッチの方が、よっぽど可愛げがあるのじゃ!」 と、スピードスケッチを飛ばして攻撃。 ……対する地縛霊は。 『ウゥゥゥゥ……!!』 唸り声を上げて、その身の丈と同じ程度の大剣を振り回し、前線に立つ眞由螺へと斬りかかる。 「っ!」 ……ただ、その一撃は素早い動きで以て交す。 「ふん……威力はあっても、貴様の剣は大ぶりで太刀筋は読みやすいぞ!」 そして更に眞由螺は挑発。 ぐぅぅう、と睨み付ける地縛霊。 そして二ターン目。 「ったく、寂しがる殻の中に居たって、自分が辛くなるだけだぜ? そんな孤独に耐える必要なんて無いんだ。辛いんだったら、辛いって言ってくれよ。一緒に居てやるから……さ!」 と魎夜が幻影兵団により射程の広がったライジングヘッドバッドで、頭撃一撃を叩き付けると、繭、万葉、眞由螺も。 「緋牡丹が、あなたの血を求めているわ!」 「出でよ致命の凶刃! 汝の名はダーインスレイヴ!!」 「妖気よ炎と化せ。我が敵を焼き尽くせ!!」 と、続けざまにジグザグスラッシュ、神霊剣、紅蓮撃。 残念ながらバッドステータス効果には至らないものの、確実なダメージを蓄積。 更にユラ、樹彦も。 「更に叩き込むのじゃ!」 「……喰らえ」 ユラのスピードスケッチに、樹彦も蒼の魔弾。 ダメージをジリジリと当てつつ……地縛霊の攻撃は、前衛陣が確り受け止める。 ……流石に今度の攻撃は、能力者達に大きいダメージが。 「く……!」 「八百万の神々よ、大和の子らに祝福を!!」 しかしその攻撃を即座に那美が回復。 「回復、感謝する!」 「いえ……でも決して油断はしないで下さい!!」 そんな会話を交しつつ、三ターン、四ターン……五ターンと、攻防は続く。 1対8……数の上では能力者達側が圧倒的有利なのだが、体力、攻撃力共に高い、封印されし地縛霊は中々倒れる事は無い。 「コレは中々……しぶといですわね……」 「そうですね……」 さくらがふと呟いた言葉に那美も頷く。 とは言え確実にダメージを与えていった結果、地縛霊の動きに次第に鈍さが出て来る。 「……良し。どうやら効いている様だぞ!」 「そうですね……後もう少しです、頑張りましょう!」 眞由螺に頷く繭。 そして……七ターン目になり。 「体験をめちゃくちゃに振り回しやがって。そんなにそれでも全部を壊したいって言うんなら、その怨念からぶっ壊してやるぜ!!」 魎夜が渾身の、ヘッドバッドの一撃を叩き込むと……ゴーストは大剣と共に、後方へと体勢を崩す。 その体勢を崩した所に。 「……今ですわ!!」 さくらがそう叫ぶと共に、彼女が穿ったクロストリガー。 その一撃が、地縛霊の胸元を打ち貫き、悲鳴の如き声を上げる。 そんな彼へ、那美が。 「……天羽々矢よ、天に仇なす者を討て!!」 破魔矢の一撃が……魔を穿ち、地縛霊は断末魔の叫び声を上げて崩壊していった。
●冬の訪れへ 「……ふぅ、作戦成功ですね。それじゃ地縛霊由来の品物があるかどうか、調査していきましょうかね」 「ええ、何か解るかも知れませんしね。わたくしもちょっと一緒に調べさせて頂きますわ」 万葉とさくらがそう提案し、能力者達は奥にある社へと再度向かう。 ……さっきは落ち着いて観れなかったが、朽ちている状況は思ったよりも激しい。 海風が直接的に吹かなかったとは言え、海辺の近くにあるからこそ長い年月を掛けて、朽ち果ててしまったのだろう。 そしてその社の中には扉……でも、それを開いてみても何も無い。 むしろ先ほどまで漂っていた不穏な気配も共に消えているから、最早此処に巣くっていた悪意も、先ほどの地縛霊と一緒に昇天してしまったのだろう。 「……うーん、めぼしいものはありませんねー」 「そうですね……仕方在りませんね。それでは、また何時か何処か……運命の交わる瞬間にお会いいたしましょう……」 そう、さくらがその場を後にする。 それを見送りながら、繭が。 「海は数多くの人の命を奪ってきました。人々は水死した人々の魂を悼み、祠を作ったのでしょう……これは自然に壊れたのでしょうが、誰かが壊したという可能性も無くは無いですが……人々の祈りの籠もったこの祠は治していきましょう」 「そうじゃの。治せばまた、この場所の平穏を護ってくれるかもしれぬしの」 「ええ。ユラさん、ちょっとそこを抑えて貰っていいですか? こっちをくっつけちゃいますので」 「解ったのじゃ」 繭とユラがせっせと祠を治していく……そして、祠を治した後に魎夜が。 「……さて、と。後は弔いを捧げるとするか」 と魎夜が社に歩む……それを眞由螺が。 「誇り無き戦士に弔いなど不要。こやつの行くべき場所など、地獄より他にあるまい」 「まぁそうかもしれないけどな。まぁ弔っておくに越したことは無いさ」 眞由螺に魎夜はそう言うと、祠にまんじゅうを供えて、手を合わせる。 そして那美も。 「私も巫女。死者の霊を鎮めるのも私の役目ですから……」 と、神道式の鎮魂の祈りを捧げる。 そして……洞窟から外に出て、改めて空を見上げると……月が間もなく落ちる頃。 「……あの二つの三日月との戦いが終わり、新しい時代になっても私達の戦いは続くのですね……神秘が降り注ぐ新しい時代だからこそ、新しい戦いがきっと生まれるのですよ。でも、それが何時生まれるかは解りませんが……」 「……そうですね」 万葉にこくりと頷く樹彦。 そして能力者達は、宵闇の中の帰路を歩くのであった。
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参加者:8人
作成日:2012/10/30
得票数:カッコいい6
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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