Chaleureux


<オープニング>


 バレンタインに向けて、一日だけのパン工房!
 外はかりかりっ、中はふんわりほわほわ♪
 味も形も思いのまま!
 ありったけの気持ちを込めてこねこね、パンを一緒に焼きませんか?
 可愛い形のパンの絵が描かれたポスターが掲示板に張られていた。
 詳しく読んでいくと、なんともコミカルな文面がさらに続く。

 パンって難しい! そう思ってるそこの貴方!
 そんなことはありませんよ。どなたでも作れるんです!
 短時間でとっても簡単。この機会に挑戦してみてはいかが?

 パン作りに必要な基本の食材は取り揃えてあります。
 あとは貴方のアイディアとセンス次第!
 そこはバレンタイン! オーソドックスにココアやチョコを入れるも良し!
 あえて不思議な物を入れて相手の度肝を抜くも良し!(ついでにハートをゲットできるかも??)
 形も楽しく好きに作れます♪

 ただーし、変な物過ぎて退かれても当方責任は負いかねます!
 そこのところよろしくネ!
 
「パン作りですか、楽しそうですね」
「珍しい。あげたい人でもいるの?」
 黒髪を揺らし、少女はふむーとポスターを見上げる。めがねにひっつめ髪の委員長風の少女は、目を見開いて少女を見た。
「やったことのない事をするのも楽しそうだと思ったのです」
「なるほど。作った後も焼きたて食べるみたいだものね」
「一緒に行きませんか?」
 薔子はぱっと振り返り、少女とそして一緒に眺めていた皆を誘った。
 ポスターの終わりにはこうも書かれていた。

 パン作りの最後、せっかくですから焼きたてのパンをいただきましょう♪
 失敗作も含めてちっさなお茶会を開きますのでよろしければ、引き続きご参加ください!

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参加者
NPC:花神・薔子(薔薇姫・bn0082)




<リプレイ>

●happy
「とっても簡単、っていわれても超緊張するんですけどっ!」
 立貴は不安を募らせながらココア生地にホワイトチョコチップをたっぷり乗せていく。そして、はたと手が止まる。
「何だろコレ、激しく間違ったハリネズミっぽい」
 私が食べるわけじゃないから、まぁいいか、と結論付けたのだった。
「まあ、こうして作りたい料理を作れるだけでも、幸せというものかな」
 渡す相手がいないとぼやいてみたものの可愛い妹の為に焼くのも悪くない。朔姫はチョコを練りこみマーブル生地を作っていく。
「お兄様はどんな形のパンを作るのですか?」
 紅実はわくわくとした様子で兄に尋ねる。
「できあがりを楽しみにしてくれ」
 問われた伊緒里はといえば焼き上がりまで内緒らしい。妹の頭を撫でかけ、真白に汚れた手に気づきひっこめる。
「あとは花飾りでもつけてみるかな」
 焼き上がりを楽しみに紅実はにこにこと笑った。

「何を作られるのですか?」
「たこやきパンだよ」
 薔子が尋ねると龍麻は答えた。中はクリーム、上はチョコスプレーでコーティング。世話になった仲間へのプレゼントを作っているのだ。
「可愛いですね」
 羨ましげな視線に、後であげるよと龍麻は微笑んだ。
「え〜と…これは、こうすれば良いのか?」
 頼人は料理本と睨めっこしながらマーブルブレッドを作っていた。3つ網は思ったより難しく不器用に型に入れ込む。
「上手く行くと良いな…」
 もし上手く焼きあがったら『アイツ』に渡してもいい、そう考えていた。
 直貴は高い集中力を発揮して調理を進めた。苦めにできたらと通常の倍量の抹茶を混ぜてみる。
「さて、出来はどうだろうか…」
 焼きあがりを待つばかりだ。
「焼きたてのパンって…美味しいんでしょうね、鳴海様!」
「ああ…パンは焼きたてが一番うまい…」
 初体験の暦に経験のある鳴海は頷き、パンを作るのは久しぶりだな…と呟くが、その手は淀みなく生地をこねていた。何が出来上がるのだろうと気にかけつつ暦もこね始めた。
 沙斗美は気合いをいれてコッペパン制作に励んでいた。
「何故コッペパンなのですか?」
「コッペパンが好物と言い切っていらっしゃるから…」
 アレンジにココアを練り込んだものやチョコチップを入れるのだという。語る表情に薔子は俄然興味を持つと「あ、誰にあげるのかは言いませんよ」と先手を打たれてしまった。

「生地をこねるのはけっこー楽しいね」
「そうですわね」
 眼鏡愛と書かれたエプロンを身につけ、瑞海はパンをこねる。
 隣の早苗も楽しそうに手を動かしていた。手際良くすりつぶしたステビアの葉と木苺やアンズ等のドライフルーツを混ぜ込んでいく。
 瑞海はバレンタインらしくチョコとそして感謝の気持ちを包んでいった。渡すのは日頃お世話になっている結社の仲間。
「なぁ、バレンタインの準備に男二人って絵柄的にどうよ?」
 そう言いつつ優陽は楽しそうに生地をこねている。その様子に誘い出した遠夜はホッとしていると「こねる時は力強く、でも優しくだ」とどこか楽しげな注意が飛ぶ。
「パンは何と言ってもやっぱり焼き立てが最高だよな」
 遠夜は出来立てのほわほわが堪らない、と答えそれから思い切って気になっている事を質問する。
「ところで月見里君、当日はどうすんの?」
「あの香りを思い出すだけで腹が鳴る…って、は?」
 一大ラブイベントの過ごし方。優陽はぶっと吹き出したかと思うと、琥珀の瞳を細めにっこり微笑み「榊…耳かせ」とその耳を抓りあげるように引っ張った。遠夜は耐え切れず、あいだだだだと悲鳴を上げる。
「もう、照れ屋さんなんだからなあ」
「照れてねぇよ、全然関係ないし。そういうお前はどうなんだ?」
 軽口をかわし、逆に問いかける。
「…って、僕? …それは、内緒です♪」
 コミカルに返せば今度はほっぺたを抓りあげられた。
「内緒と言われると裏があるって思うよな〜」
 優陽は放免というわけでもないだろうがその手を離した。

●difficult
「おっし。パン作るぞ! サー・イエス・サー!」
 宗は気合いをいれてライ麦パンを作りにかかった。ドイツで野戦食と名高いパンである。作るのに手間暇のかかるパンだが根気よく作る気でいた。
 柳霞は豊富に揃った材料の前で悩んでいた。
「柳霞どうしたのですか?」
 薔子の問いかけに柳霞の不満は一気に噴出した。
「どんなに凝ったものを作っても『食べ物だ』としか認識してくれなさそうなんだもの!」
 恋人たちの危機か、と身構えれば、けれど、ロマンチックが欠けていても安心できる人なのだと語る。幸せそうな様子に薔子は微笑んだ。
 信乃丞は団長が魔弾術士ということで猫型のパンを焼こうとしていた。目は干し葡萄、ヒゲはチョコペン、中身はバレンタインということでチョコ。
「中身はどうやって入れるのじゃろう?」
 むぅんとしきりに首を捻った。
 雪葉は最近結社で話題になったチョココルネを作ろうとしていた。
「花神さんはどっちから食べます? 因みに私はチョコが落ちそうになってしまうので下から食べます」
 振るった粉が舞い上がり、払うように手で煽いだ向こうには難しい顔。
「…どちらが上でどちらが下ですか?」
 口の広い方から食べると答えたものの薔子の関心は上下の定義付けに寄せられた。
 弥琴はクロワッサン作りに挑んでいた。味はチョコとアーモンドのバレンタイン仕様。生地を休ませていると、困っている様子の薔子が目についた。
「えっと…パン作りの経験はそんなにないけど料理ならそれなりにいけるはずだから、何かあったら手伝うよ?」
「どう使おうと思いまして」
 と、せんべいを差し出される。
「砕いて、上にまぶすか中に練りこむかしてみらどうかな」
「その手がありましたか」
 弥琴が少し悩んでから答えると、早速せんべいを割り始めた。
「んー、ナカナカちからがいる、ナノデスネ」
 パン作り初挑戦のグローリアはフランスパンを作っていた。甘いものばかりの中、ちょっと変わったプレゼントを目指したのだ。
 結構な重労働に、でも負けない、がんばるデス! と生地が薄く伸びるまで頑張った。
「そういえば薔子はどんなの作る、したデスカネ?」
「おせんべいあんパンです」
「ワオ、日本らしいパンデスネ」
 和の組み合わせにグローリアは素直にそう思った。

 くうはカリッとした黒糖入りのドイツプレッツェルを焼いていた。けれどそれはバレンタイン用ではない。
「バレンタインとしてではダメなのですか?」
 気軽に尋ね、絶対に受け取ってくれないからと言われ薔子は押し黙る。くうは肩を竦めて複雑な関係で、と続けた。
「恋人になりたいわけじゃなくって、互いの誤解を解きたいだけだから」
 パンはきっかけだ。話をしたいのだと。言葉を交わせないなら、きっと一生すれ違ったままなのだと。
「踏み出した一歩にその人が応えて下さることを祈ってます」
 恐れながら進もうとする夕焼け色の瞳に薔子は心から願う。

●merry
「せっかくバレンタインだし甘〜い味にするの」
 ひなたに誘われ結社『箱庭天使』の面々とやってきたアイリスは呟く。材料はミルクに砂糖そして隠し味のバニラエッセンス。
「これで甘くてぽわぽわなパンが出きるです〜」
「ひなたお姉ちゃん、分量わからないよ」
 ココア生地をこねるひなたにアリスが泣きつく。パン作り初体験のひなたはきょろっと周囲を見回し、黒板を指した。
「アリスちゃん、黒板に詳しく書いてあるよ」
 そこの秤で一緒に量ろ? と連れていく。
「アリスちゃんどんなの入れるですか〜?」
 分量を量っているアリスにアイリスは尋ねてみた。
「私はシナモン入れてみるの」
 作るのは丸や四角、星形のコロコロしたパン。ルナは独特の香りをさせるパンを想像し声を弾ませる。
「アリスちゃんには可愛いものが似合うと思うの。ひな姉はどんなの作るかな?」
「これを薄く焼いてジャムやクリームを乗せてタルトみたいにするの♪ ルナちゃんは?」
「私はダイスキな、とろとろクリームチーズを包むの」
 ひらひらと可愛らしいエプロンドレスを揺らし、ルナは気持ちをこめて1個ずつ作っていた。
「クリームチーズ、ルナちゃんらしくておっけー。ポルテちゃん、然泉くん進んでる?」
 ひなたはぐー、と握りこぶしで親指を立てると静かに作業する然泉とポルテに声をかけた。
「大丈夫です」
 ポルテは少し緊張を見せたが作業は順調で今は飾りの苺を切っていた。
「ポルテちゃん、なんだか気合充分なの♪」
 ルナの言葉にポルテは恥じらった。
「んー…カレー粉はどのくらい入れればいいんだろな?」
 然泉は独り言のようにカレー粉を量っていた。
「風味だけなら2gくらいでいいみたい」
 すかさず料理が得意なポルテが答える。なるほど、と然泉は早速掬って強力粉と一緒にふるいにかけた。
「ひなたちゃん…混ぜるの難しいの…」
 よし、と思う間もなく、アイリスの泣きそうな声。
「生地が纏まりにくいのは水気が足りないのかも…?」
「逆です。多いかこねが足りないんだと思います」
 ポルテが慌てて言い添える。
「力がないなら、体重をかけて補うことができるぞ」
 そう言いつつ、然泉は代わりにこねてまとめた。

「折角だから形も凝りたいよな〜」
 料理が好きだけでなく得意な羅偉は、動物パンとか可愛いよな、と見事な手つきでうさぎの顔を作っていく。何でもできる羅偉に感心しながら、瞳亜も形だけならと真剣な表情で作り上げた。
「こんな感じですわね」
 満足した様子で瞳亜は、オーブンにそれを入れた。
 オリバーは日頃の感謝を込めてパンを作る。家事の一環程度の腕前と嘯くがレモンの皮を入念に洗い、粉末状のレモンチョコをふりかける等十分すぎる程丁寧にレモンパイを作っていた。
 志津乃はココアとチョコチップを混ぜ込んだ生地と普通の生地を使い、花やハートと次々に可愛らしい形に捩り合わせる。
「上手く行くと良いのですけど」
 焼きたてパンに惹かれてやってきたレイシンは、説明を聞くとそつなく生地をこね、パンを焼き上げた。出来栄えは上々で彼の周囲には香ばしい香りが漂った。
 譲羽は料理をあまりしたことがないせいで悪戦苦闘しながら、あんを包み、うさぎの形に仕上げる。
「…こっちの耳の方が長くなっちゃった」
 直そうとするけれどなかなか上手くできない。漸く満足して塩漬けの桜の花を目に乗っけた。
「美味しく焼ける、といいな…」

●teatime
 テーブルの上には辛うじて黒こげにはならなかった菓子パンや少し焦げたオニオンブレッド、マーブルブレッドの切れ端にお茶会用に作られたミニパン、何故か数日前に作ったらしいライ麦パン等多種類のパンが並んでいた。
「チョコペンで笑顔を描いていると、私も自然と笑顔になります♪」
 最後の一仕上げに紅実はにっこり笑うモーラットピュアを描いた。
「このパンもその笑顔を呼ぶ一つになれるといい」
 笑顔が絶えることないように、伊緒里はそう願った。
「花神さん、これをどうぞ」
 志津乃はストロベリージャムで赤く色づけた薔薇の形のパンを差し出した。
「わ、綺麗です。貰っても良いのですか?」
「お誘い頂いたお礼ですから」
 上品に微笑む志津乃に薔子は嬉しそうに受け取った。

「どう、薔子ちゃん? 菓子パンと惣菜パンの異色のコラボレーション!」
「こ、これは!」
 踊子は出来上がったハート型のパンを薔子に見せた。中身はチョコクリームとツナマヨ。とある結社団長へのお礼にと、バレンタインと相手の好きな物を合わせたらしい。
「ありそうでなかったこの発想♪ これならきっとウケるわよね?」
「こういう形もありでしたか」
 発想の勝利です、と言いつつ興味はこのパンの真意。
「本命か義理かは…ヒミツです」
 乙女は謎が多いものだ。
「花神さん、これどう思う?」
 立貴は改めて焼き上がったパンをどうすべきか悩んでいた。
「美味しそうです。二色パンですか?」
 率直な返答に渡してしまおうと決めた。

「おーい薔子ー、同い年のよしみでパンくれ」
 切ない腹の音を響かせながら空之介はせがんだ。
「空之介は作らなかったのですか?」
「いや、俺そういうの無理だし、食う方が…」
 では、お一つどうぞと差し出されたパンを空之介は勢いよく頬張った。信乃丞も「花神殿、ワシも…」と言いかけて止まる。
「ぐほっ! み、水」
 苦しみ悶える様にお茶を配っていたレイシンが水を渡すと一気に飲み干される。
「何入れた」
「青汁入りのあんこです」
 甘くなれば青汁も美味しいと思ったのですが、と首を傾げている。
「そういえば信乃丞はどうしましたか?」
「ワシのはどうじゃろうと」
 黄金色に焼き上がった猫の顔のパンを差し出した。薔子のパンを欲しいとは最早口が裂けても言えなかった。
 直貴はその光景に密かに料理の学習をしつつ、自分の作ったパンを食べてみた。
「あまり苦味はないな」
 栗あんが甘いからというわけではなくどうやら風味づけ程度にしかならないようだ。
「母国の…菓子パン…食べて…」
 フィーアは、間にクリームを挟んだケーキの様なパンを薔子に差し出した。
「これは?」
「ビーネンシュティッヒ…。本当は…ルントシュトック…と…思ったけど…地味な…パン…だから」
「び…しゅ…いただきます」
 回らぬ舌に諦めて美味しそうなパンを頬張るとすぐさま幸せそうな表情に変わる。

「焼きたて初めて! 皆のも美味しそう!」
 ルナはとろとろチーズが固まらないうちに、と勧めつつミルクパンを貰う。
「ポルテさん、これおいしいね♪」
「美味しい。食べやすい大きさだし」
 アリスがさくっとしたデニッシュと生クリームと苺のハーモニーに舌鼓を打つと、ひなたも然泉作ったパンを美味しそうに食べる。ポルテはほんわりした様子でアリスの作ったパンにチョコをつけて食べていた。
「ルナちゃんは…バレンタイン誰にあげるのですか?」
 こういう時のお約束、とばかりにアイリスはにこにこ笑顔でそろりと尋ねる。
「え、私のバレンタイン? ええと…それは」
 ルナは恥ずかしそうしながら、アイリスにだけこそっと耳打ちした。

「えっと、コレはなんの形だ〜? 」
 瞳亜とパンを交換した羅偉は不思議そうにする。亀の手足だったはずの部分がぼこっと膨れ上がっている。
「こ、これは…ほら…あれですわ…肉球…ですの」
 瞳亜はうさぎパンを手に誤魔化してみたが上手くいかない。形はどうあれ味に問題などない。「早く食べて下さい」と急きたてた。

「口に合うといいんだが…」
 鳴海が差し出したのはチョコと生クリーム、そしてフルーツを挟み込んだコッペパン。
「…とても甘くて美味しいですわ」
 広がる甘味に暦は感動する。今度は鳴海が暦のパンを食べた。ハート形のパンの中にはチョコが入っていた。
「ん…うまい。また作ってくれるか…?」
 頭を撫でると暦は頬を染め、頭が傾ぐ。
「はい。鳴海様のために作りますね」

 気持ちのこもったパンが焼きあがった。


マスター:神月椿 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:36人
作成日:2008/02/13
得票数:楽しい11  ハートフル12 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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