愛知県のほぼ中央。名古屋市や豊田市からもアクセスが良く、豊かな自然の残る町。 その町の小高い丘に、西洋のお城を思わせるようなホテルの廃墟があった。
お洒落なプチホテル風の外見だったこのホテルは、地元青年達の交流の場として重宝されていた。 特に近隣の大工場で働く若年労働者達にとっては、数少ない娯楽場所のひとつだったのだ。 だが、胡乱な経営方針が、やがて歪みを生み出してゆく。 宿泊客のプライバシーを守るという名目の元、素性の怪しい客も区別無く宿泊させるという経営方針は、違法行為や犯罪の温床となっていったのだ。 更に、宿泊客の度を越えた狂騒もまた、ホテル全体を覆いつくす程の残留思念を成長させて……。
「敷地内を女性の霊がさまよっている」 「いや、さまよっているのは男性の霊だ」
数年を経るうちに、霊の存在を信じない筈の人々さえも不安な気配を感じるようになり、客足は徐々に鈍っていった。数少ない客も、普通の人が近寄らない事を喜ぶような者たちで占められる事になり、より状況を悪化させていった。 客の中には、同宿する相手に傷害を加え、死に至らしめる者すらも現れ始めたのだ。
結局、事件の多発と経営難によりホテルが閉鎖されたのが、今から10年ほど前の事。 その後は、外国からの不法就労者の非合法な宿泊施設として使用されたが、それも何件かの自殺と猟奇殺人とが発生した事で頓挫し、完全な閉鎖に至ったのだ。
誰もいない筈の廃ホテルから漏れ出でる女性の嬌声……。 だが、良識ある全ての人々は、その声に耳を貸す事は無かった。 そして今、完全な廃墟として人々の記憶から消し去られたそのホテルで、能力者達の新たなる冒険の幕が開かれようとしている……。
シナリオタイプ | :メインシナリオ |
公開日 | :2006年12月27日 |
総制覇数 | :44408 |
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