1980年代の日本では、次代を担う通信技術を築くべく、幾つもの通信技術が考案され、多くが世に出る事なく消えていった。この11号棟をモデルケースとして行われた実験も、そうした実現する事の無かった通信技術の一つを試すためのものだった。
『高速電送による、双方向ファクシミリ情報網の構築計画』。 ファクシミリ通信を使い、ファクシミリ上でやりとりされた情報を全て保存し、それをいつでも自由にファクシミリを使って引き出すことができるという、高度情報システム。 それは、パソコン通信やインターネットに先駆けた、非常に先進的な思想であった。 実験の為、11号棟の全戸には最新式のファクシミリが設置され、専用の高速回線も設置された。
だが結局、実験は放棄される事となる。 しかしそれは、パソコン通信の普及等の現実的な理由ではなかった。 開発者全員が、この11号棟で、何者かにより惨殺されたのだ。 しかも一人残らず、鋭利な刃物のようなもので全身をバラバラにされて……。
ピー……、ヴヴヴヴヴヴヴ……
そして、現在。誰もいない11号棟の中で、受け取る者も無いファクシミリの動作音が鳴り響く。 それは、いかなる呪いによるものなのか。主無きファクシミリは今も紙を排出し続け、地縛霊すらも情報に載せて運ぶという。 何者かの放つ強烈な殺気を浴びながら、能力者達は11号棟へと足を踏み入れるのだった。
シナリオタイプ | :サブシナリオ |
公開日 | :2007年04月26日 |
総制覇数 | :27966 |
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