<南十字病院>不死性の獲得に関する臨床実験


「この世界から、怪我や病気によって命を落とす人をなくしたい」
 南十字病院の院長が掲げた理想は、まさしく定命の人類を死という枷から解き放たんとするものであった。彼は己の医師生命全てを賭し、死の概念そのものに立ち向かおうとしていたのだ。

 そして院長は理想実現のために、南十字病院の研究棟において、一つの臨床実験を計画する。
 だが、その臨床実験はあまりに危険。
 誰もが被験者となるのを尻込みする中、名乗りを上げたのは院長自身だった。

「この臨床実験が成功すれば、人類は死という最大の敵との戦いに勝利する。その時こそ、人類は新たなる時代へと足を踏み出すのだ。そのための礎となることに、なんの躊躇いがあろうか!」

 だが、院長の献身を受けて強行された臨床実験が実を結ぶ事はなかった。
 臨床実験は失敗に終わり、そればかりか、その失敗に伴って起こった事故は、この病院が閉鎖に追い込まれる直接の原因となってしまったのだ。

 院長は事件以降、行方をくらませ、二度と人前に現れることはなかった。
 彼は実験によって新時代を生き続ける究極の生命へと生まれ変わったのだ、という者もいたが、そんな噂もまた、この病院にまつわる噂の一つとして消えていく……。

 研究棟を覆う、強烈な残留思念。
 暴走した医療への志は、この地に何を遺したのか?
 能力者達は思念の中枢を目指し、歩を進めるのだった。
シナリオタイプ:サブシナリオ
公開日:2008年08月01日
総制覇数:19664



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