かつて、森羅蒼鷺亭が繁盛していた頃、得意客の中に一人の作家がいた。 森羅蒼鷺亭の主人と懇意にしていたこの作家は、この宿にしばしば長逗留しては、作品の執筆を行っていたのだ。 この作家が扱うのは、名探偵を主人公とした推理小説のシリーズ。 猟奇的な殺人や緻密なトリックを扱うこのシリーズは、著名な賞をとることこそなかったものの、 一部に熱狂的なファンを持っていた。
だが、シリーズの最終巻を執筆するために森羅蒼鷺亭に逗留している最中、この宿の周辺を舞台に殺人事件が続発する。驚くべきことに、それらの事件はこれまでに書かれたシリーズ作品の内容を、再現するかのようであった。 騒然とする周囲をよそに、逗留する一室に篭った小説家は、何かにとり憑かれた様に、一心不乱に執筆を続ける。
やがて原稿が完成したとの連絡を受け、担当の編集者が森羅蒼鷺亭を訪れた。 だが、編集者が作家の部屋で目にしたものは、完成した原稿などではなかった。 そこに広がっていたのは、部屋を真っ赤に染め上げる、人一人の身体から溢れ出たとはとても思えぬほどの、大量の血……。 警察の捜索にも関わらず、作家も、完成したはずの原稿も発見される事はなく、シリーズは永遠に未完となった。 ファンの間で、失われた原稿が森羅蒼鷺亭のどこかに隠されているとの噂も流れたが、原稿が発見されることはついに無かったのだ。
そして、森羅蒼鷺亭を訪れた能力者達は、別館から異様なまでの残留思念を感じ取る。 果たしてこの別館で、いかなる事件が能力者達を待ち受けているのだろうか?
シナリオタイプ | :サブシナリオ |
公開日 | :2009年03月06日 |
総制覇数 | :24661 |
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