静岡県西部でも主要な位置を占める市に、一軒のデパートの廃墟がある。 千鵠百貨店(せんごくひゃっかてん)。 戦前に創業したこの百貨店は、この市唯一の百貨店として、長く地域経済の発展を支えて来た。 高度成長期を経て他店の参入を経た後も、競争を耐え抜いたこのデパートは、人々が買い物を楽しむ場として、長く愛され続けて来たのである。
だが時代が平成を迎え、郊外型の大型店舗や、安売りを行う大型専門店に人々の目が向き始めると、千鵠百貨店の栄光にも陰りが見え始める。 当時の店長はこの難事を乗り切るため、一計を案じた。 屋上の一角に『福の神』の像を置き、願をかけると共に、店員達の団結を図ろうとしたのだ。
だが、その時期を境に、千鵠百貨店の経営は坂を転がるように悪化の一途を辿り始める。 売り上げは急落し、資金調達の困難から新たな仕入れも困難となる負の螺旋……。 やがて取引先の銀行が融資を打ち切るに及び、長い歴史を持つ百貨店は閉鎖されるに至った。 店舗が閉鎖されたその日、支配人は福の神の像が置かれた屋上の一角から飛び降り、自ら死を選んだという。
だが、この百貨店の悲惨な運命はそれだけに留まらなかった。 駅前の好立地という事もあり、幾度もの再建計画が立てられたが、そのいずれもが途中で頓挫。 さらには入り込んだ不良グループによる暴力事件や、何件もの自殺が発生した事で、かつて市民に愛されていた百貨店は、完全なる負の遺産と成り果ててしまったのだ。
いまや、閉鎖され、立ち寄る者も無い店舗を行き交うのは、邪悪なるゴースト達のみ。 かつて買い物客達で賑わっていた面影を残したままに、ゴーストタウンと化した百貨店。 能力者達は、探索を開始するのだった。
シナリオタイプ | :メインシナリオ |
公開日 | :2009年04月30日 |
総制覇数 | :39584 |
| |