岐阜県と福井県の県境の山奥に、茅葺き屋根の廃屋が立ち並ぶ一角がある。 ここは、かつて宙見村(そらみむら)集落と呼ばれていた場所だ。 何の変哲も無い山間の農村であった宙見村が、村人達の声に溢れていたのは過去の話。 住む者を失った家々は生い茂る草木に覆われ、村に至る道もまた緑の中に沈もうとしている。
ただそれだけならば、地方によくある過疎の一風景と言えたかも知れない。 だが、注意深く目を凝らせば、その奇妙さに気付いただろう。 廃屋の中に持ち出される事なく残った、当時の生活の痕跡を色濃く残す家財道具の数々。 戸や家財道具に刻まれた幾つもの銃弾の痕跡と、べっとりと壁に塗りつけられた血の跡……。 そう、宙見村の滅びを招いたのは、この村を舞台とした村人同士の凄惨な殺し合いだった。 十数年前のある日、村人達は農具や猟銃、あるいは日本刀を手に、隣人同士で殺し合ったのだ。 村人達の屍は引き裂かれ、村を走る道は流れる血と屍で埋め尽くされたという。
その一晩で村人の大半は命を落とし、生き残ったはずの村人達も、忽然と行方をくらませる。 土建業者と旧家との確執から村に伝わっていた地方宗教の暴走、果ては神の祟りや風土病というものまで様々な説が流れたが、事件の原因は判明しなかった。
宙見村に縁者がいた人々は鎮魂のため、村の人々が祀っていた岩に注連縄を巻き、犠牲者の冥福を祈ると共に真相の解明を誓う……。 だが、にも関わらず事件は瞬く間に風化し、宙見村の名と共に忘れられていったのである。
そして今、能力者達は旧宙見村集落に足を踏み入れる。 村人達に代わって能力者達を出迎えるのは、新たな住人となったゴースト達。 地図から消された村を舞台に、能力者達とゴーストの戦いが始まろうとしていた。
シナリオタイプ | :メインシナリオ |
公開日 | :2009年07月08日 |
総制覇数 | :28127 |
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