かつての宙見村集落に、一人の少年が暮らしていた。 都会で生まれた彼は、早くに両親を自動車事故で亡くし、祖父母の暮らす、この宙見村集落に引越して来たのである。 両親の死によって傷ついた心も、祖父母と宙見村集落の人々から受ける温かな思いやりによって、次第に癒されていく。そうした中で、彼の心には宙見村の人々への感謝の念が育っていった。
やがて時を経て、大人になったかつての少年は、村を離れ、都会で職に就く。 宙見村集落の人々から学んだ献身の精神は、彼に産業廃棄物の処理という、誰もが嫌がる職に就くことを選ばせる。 だが、その仕事の中でも、彼は村で培われた思いやりの心を失う事はなかった。 いつか、宙見村の人々に恩返しをしたい。 熱意に燃える彼は、たちまちのうちに頭角を現していく。そして40代に差し掛かる頃には、廃棄物処理の業界においては、右に出る者がいないと言われる程の存在となっていた。
今こそ、宙見村の人々に恩返しをする時だ。 彼は宙見村に戻り、村の人々に廃棄物処理場の誘致計画について説いて回った。 既に、宙見村集落は過疎に陥っている。 そうした状況の村に住み続けるよりも、土地を高く売却した金で都会に出る方が、村の皆の幸せに繋がる……彼は、そう固く信じていたのだ。 既に祖父母は亡くなっていたが、かつての自分の家に腰を据え、彼は村民達の説得にあたる。 住民達の反応も悪くなく、彼の村への恩返しは上手くいくかに思われた。
だが、彼は忘れていたのだ。 宙見村集落に伝わる、『ワタリ様』信仰の存在を……!!
シナリオタイプ | :サブシナリオ |
公開日 | :2009年09月02日 |
総制覇数 | :25449 |
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