お題ショートストーリー(2014/12/16執筆)
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【執筆者:緒方智
【得票数:3】

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プレイング
 華やかなイルミネーションに、心が弾む。
 会場に運び込まれた、大きなクリスマスケーキを見たら、もう無理だ。我慢なんてできない。
 カラフルなボールがくるくると踊る大道芸に煌びやかな紙吹雪が舞い踊る。
 燕尾服をまとったクラウンがシルクハットを叩けば、真っ白な鳩やウサギが色とりどりの紙テープと一緒に飛び出す。
 テーブルに並べられたおいしそうなオードブルを片手に、それらを見て回ると、ちょっと奇抜な着物を着た−同い年くらいの女の子が嬉しそうにツリーを眺めていたに気付いた。
「あら、こんばんわ。あなたもパーティに?」
「ううううん、そうなの。だって楽しそうだから」
「そうね。だって、ホワイトクリスマスだものね」
 こっちに気づいて、話しかけてくれた女の子−あかりに、ちょこっとどぎまぎして、答えると、笑って返してくれた。
 なんだか嬉しくて、気づけば、自然と手を差し出していた。
「よかったら、一緒に会場を回ろうよ!いろんな大道芸とか手品とかいーっぱいだよ!すっごく楽しいよ」
「いいですね。あ、あっちが賑やかですよ!行きましょう!」
 ふんわりと嬉しそうに笑ったあかりが手を握って、大歓声の上がった人だかりへと引っ張ってくれる。
 それに応えて、一緒に駆け出せば、クリスマスパーティはもっと楽しくなってきた。
 パントマイムを組み合わせたお笑い寸劇にアコーディオンが奏でるクリスマスソングが気分を華やかにしていく。
 難しそうなジャグリングが決まって、拍手を送る。
 夢中になってパーティを楽しむと、たっぷりの野菜とチキンが入ったポットパイにフライドチキン。揚げたてポテトがテーブルを彩って、ついつい手を伸ばしてしまう。
 その中で手にしたのは、片手で持てるカルツォーネ。一口かじれば、とろりとしたアツアツのチーズとソースが飛び出して、ハフハフと何度も息を吸い込むと、隣であかりがおかしそうに笑っていた。
「急いで食べすぎですよ」
「あははは、おいしそうだったから……つい」
「気を付けないとやけどになりますよ」
 ごめんと肩をすくめると、真っ暗な空から、ふわりふわりと白い花びら−雪が舞い落ちる。
 真っ白な雪がクリスマスツリーに飾られたイルミネーションの光を受けて、きらきらと輝いて、とってもきれいだ。
 楽しい楽しいクリスマスはまだ、これからだ。

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お題ショートストーリー(2014/07/04執筆)
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【執筆者:古賀伊万里
【得票数:6】

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プレイング
 十二月二十四日、きらめくイルミネーション、華やかなケーキ、寄り添い歩くカップル。クリスマスイヴは街中を浮き立たせる。
 けれどタチアナ・ウィンスレッドにそれらは無縁のものだった。彼女は今宵もゴースト討伐に駆け巡る。
 街から離れた暗く冷たい場所を歩き回る。気配がする、と思った瞬間妖獣は現れた。痛みに狂い暴れ回るその姿は、哀れみすら誘う。彼らにも、聖夜は何の意味ももたらさない。
「ジルベルト」
 タチアナは静かに、愛しいフランケンシュタインの名を呼ぶ。イグニッション。私はジルベルトと共に、この世界を守る。タチアナの決意は固く、その魂は、強い。
 ゴーストガントレットとゴーストアーマーでジルベルトを強化する。こちらに向かって突撃してくる妖獣に、迷わずガトリングガンを浴びせかけさせた。
 妖獣は瞬時に蜂の巣になり、倒れる。
 今宵は苦戦せずに済んだ。ほぅとひと息つこうとしたら、景色が歪んだ。すわ未知の敵か、と混乱したところに、ジルベルトの腕がやってきて、タチアナを支えてくれた。
「……ありがとう」
 緊張か疲れから来たのであろう、ただの眩暈だったようだ。
 迷わずに私を支えてくれるジルベルトの、花嫁でよかった。これは恋だろうか。愛とも言える。家族かもしれず、友人かもしれず、恋人に近いものかもしれない。この気持ちに名前をつけることを、タチアナは諦めていた。
 もう大丈夫、とタチアナはそっとジルベルトの腕をほどこうとした。けれどジルベルトはそれを許さず、逆に抱きかかえてしまった。
「きゃ」
 完全に体重を預けてしまったことと、触れ合う面積の大きさに、タチアナは頬を赤くした。けれど、……たまには。こんなのも、悪くはない、かも。タチアナはすぐ傍の男の顔に、微笑みかける。
 夜の郊外、道端に人影はない。道路は弱めの外灯に照らされ、冬の切なさを思わせる。
 ふたりきりで、道を行く。今夜はもう帰るのだ。
 吐いた息が白く凍る。それを追いかけた目が、冴え冴えと光る月を映した。
「今夜の月は、綺麗ですね」
 こんな風にジルベルトと夜道を歩くなんて滅多にないことだと、タチアナは胸の内をあたためた。クリスマスイヴの奇跡と言ってしまってもいいだろうか。
 出来るだけ、ゆっくりと歩いて欲しかった。この小さな奇跡を噛みしめるために。
 真冬の夜風は冷たいけれど、ジルベルトが一緒なら平気だと、タチアナは微笑した。だってこんなにも、あたたかい。
 タチアナにはよく分かっていた。この幸福な時は、かりそめの時間なのだと。街が近づいたらイグニッションを解いて、ジルベルトを再びカードに封印しなければならない。
 分かっています。
 でも、今だけは。
 ジルベルトの胸によりかかって、瞳を伏せ、呟いた。
 メリー・クリスマス、と。

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お題ショートストーリー(2014/05/23執筆)
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【執筆者:緒方智
【得票数:3】

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プレイング
 広々とした郊外の野原を縦横無尽に駆け回る複数の影。
 全速力で駆けて、距離を取ると、僕・二階堂卓巳はにこやかに笑って本を開くミーシャとその足元で楽しそうに跳ね回るモーラットのププちゃんと向き合った。
 僕の前には拳銃を構えた相棒・ねこすけさん。かわいい黒猫に見えるけど、とっても頼りになる魔弾術士×ケットシー・ガンナー。
 するどく、真剣なまなざしで銃を構えると、トリガーを引いた。
 銃口から放たれる火炎にミーシャはちょっと驚きながら、それをかわすと、跳ね回っているププちゃんを見た。
 「行きますわよ、ププちゃん」 
 「ねこすけさん!」
 やる気十分なミーシャに僕は緊張した表情で慌ててねこすけさんを呼ぶと、ねこすけさんは身軽にバック転して、距離を取るが、それは無駄に終わった。
 ミーシャの命令で攻撃、かと思ったププちゃんはコロコロと転げまわり、ふらふらと歩き回って言うことを聞かなかった。
 「プ〜プ〜ちゃ〜ん!!」
 プクッと頬を膨らませて怒るミーシャ。
 それでもププちゃんは意に介さず、飛んできたちょうちょを追いかけて、野原の向こうへと元気よく駆け出していく。
 「ミーシャ、練習は?」
 「それどころじゃないですわ!お待ちなさい、ププちゃん!!」
 肩を怒らせながら、楽しそうに駆け回るププちゃんを追いかけて走り出すミーシャを見送りながら、僕は困ったように頭を掻いて隣を見ると、ねこすけさんは黙って銃を構えなおして、目標を決めて練習を始めていた。
 「さすが真面目っ子なねこすけさん」
 「感心してる場合か、卓巳」
 目を輝かせて、ねこすけさんを見ていた僕に呆れ返った五橘譲が身抜きの宝剣を携えていた。
 「あれ?譲くん。」
 「譲くん、じゃないだろ。それより……ねこすけ、一人じゃ修行にならないだろ?俺が相手してやるからかかってこいよ」
 小さく肩を竦めて、切っ先をねこすけに向ける譲くん。
 相変わらず面倒見がいいな〜とか思っていると、ねこすけさんはちょっと嬉しそうに身構える。
 「いくぞ!」
 一気に間合いを詰めて、切り込んでくる譲くんの攻撃を避けて、ねこすけさんは銃弾を詰め替え、雷の魔弾を連射した。
 後ろに数歩下がって距離を取り、譲くんは懐から数枚の呪符を取り出すと、素早く防御の符術を完成させて弾き返す。
 「うん、楽しい修行になりそうだね」
 生き生きと動くねこすけさんと譲くんを見ながら、僕は心からそう思った。

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お題ショートストーリー(2014/03/05執筆)
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【執筆者:緒方智
【得票数:0】

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プレイング
 ケタケタと笑う影。放たれる無数の光弾。
 避けるのがやっとなのが腹立たしいが、それ以上に目が離せないのは囚われた小さな姿。
 ―まさか、こんな事態になるとはな
 胸の内で佐久間・音也(高校生ヘリオンb00000)は小さく舌を打ちながら、反撃のチャンスを待った。
 冷静に冷静に、と口の中で繰り返すも、泣きじゃくる声が自然と気が逸らせた。

 ―閉鎖された廃ショッピングセンターから不気味な笑い声が聞こえてくる。
 聞き捨てならない噂を耳にした音也は直感的にゴーストが絡んでいると踏んで、1人で調査に来て―見事、狂ったように笑い転げる地縛霊を発見した。そこまでは良かった。
 ただ見つけた地縛霊が1人ではケリがつかないほど厄介な力を持っていたということ。
 そして、そいつに捕まり、囚われた小さな子どもの姿を見つけてしまったことだ。
 「くそっ!放っておけるかよっ!!」
 仲間を呼んで叩くつもりだったが、予定変更。
 恐怖で泣き叫ぶ子どもを放っておけるほど、音也は冷血漢でいられなかった。
 「けけけけけけけっ」
 「その子を放せよっ!地縛霊」
 力任せに不気味に笑うその顔面に一撃を加えようとしたが、叶わなかった。
 ギラリと目を輝かせ、地縛霊は己の周囲に拳ほどの光弾を作り出したかと思うと、音也に向かって打ち出した。
 とっさに背後に飛んでかわしたが、絶え間なく打ち出される攻撃に近寄ることもできず、ただ逃げ回ることしかできなかった。
 「くそっ!」
 ギリッと唇を噛んだ瞬間、子どもの頭ほどの大きさをした光弾が眼前に迫り、音也はかわすことも出来ず、まともに食らい、大きく吹っ飛ばされた。
 凄まじい衝撃に息がつまり、何度も壊れた石畳と地面を跳ね、大の字で音也は倒れ伏す。
 圧迫された肺が解放され、空気を求めて音也は大きく口を開け、荒く呼吸を繰り返し、うめく。
 「くっっそ、このままじゃ」
 ジリと拳を握り、音也は何とか立ち上がろうとするも、受けた衝撃が苦痛となって全身を襲い、顔をしかめる。
 面白がるように不気味に笑う地縛霊の声とそれに混じって聞こえる泣きじゃくる幼い―救いを求める声が耳を打った。
 「そうだ……こんなとこで諦めてたまるかよ」
 目を見開き、襲い来る痛みを振り切って音也は立ち上がると、笑い転げる地縛霊を一睨みすると猛然と立ち向かう。
 戦意をなくしたとばかり思っていた地縛霊は突然の豹変ぶりに慌てふためき、光弾を作り出そうとするが間に合わなかった。
 「ぐぎゃぁあぁぁぁぁぁぁっ」
 音也渾身の一撃が正確に地縛霊を射抜き、断末魔を上げて溶けて消える。
 束縛していた地縛霊の手から解放されてぽとりと地面に放り出された子ども。
 最後の力を振り絞って音也はそれを抱き留め、そのまま地面に座り込んだ。
 「なんとか……なったか」
 ほっと息を吐き出して、脱力しそうになる音也の耳に自分を呼ぶ仲間たちの声が聞こえてきた。

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お題ショートストーリー(2014/02/10執筆)
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【執筆者:みやず
【得票数:0】

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プレイング
 牛のような頭に人型の身体――敵は二体のバルバだった。バルバの頭部からは左右三本ずつの立派な角が生えており、手には頭部の側面が尖ったハンマーが握られている。巨大な身体からくりだされる一撃は相当なダメージを生み出すだろう。
「おい、相棒。背中はまかせたぜ」
 そう呟くジェットの周りに、人影はない。ジェットは背後にそびえ立つ壁に寄りかかり、その表面を軽く撫でる。次の瞬間、バルバの一撃がジェットめがけて振り下ろされた。ジェットは敵の攻撃を見事に見極め、反れた攻撃は背後の壁にめり込んだ。ジェットはその隙を突く――つもりだった。 背後の壁が崩れ落ち、バランスを崩しさえしなければ。左足が『ぼちゃん』と何かに沈み込みさえしなければ。
「えっ!?」
 左足が温かい温度を感じるよりも早く、目が景色を認識するよりも早く、ジェットの耳は風を切り裂くような悲鳴を拾い上げた。
「きゃあああああーーーーーーっ!」
 誰かを戦いに巻き込んでしまったかとジェットは勢いよく悲鳴の聞こえた方向を振り返る。
「げええっ!?」
 ジェットの目に飛び込んできたのはバルバの姿に恐怖する女の子――ではなく、自分に怪訝な視線を向ける全裸の女の子たちだった。
「お、女湯……!?」
「チカンーーっ!」
「いや〜っ、変態〜っ。たすけて〜っ!」
「ち、ちがうっ!ほら、あれ!!」
 動揺したジェットは女の子たちに必死にバルバの姿を指し示してみせる。が、湯煙のせいで女の子たちはバルバの姿に気づく様子はない。それどころか、必死に自分たちに迫ってくるようにみえるジェットに、さらなる悲鳴をあげて逃げ惑う。
「だからバル……っておまえらは来るなよなっ」
 穴の空いた壁からは、バルバがジェットを追ってくるところだった。
 ジェットの混乱をよそに、バルバは迷いなくジェットめがけてむかってくる。
「ちっ」
 湯に足をとられながらも、ジェットは一体ずつ確実に仕留めることにする。
 湯煙と岩陰にまぎれながら、敵の後ろに回りこむ。ジェットの闇をまとった剣が敵の首筋を十字に切り裂く。まずは一体。と、少し離れた場所から女の子たちの声が聞こえてくる。
「チカンよ!チカンがでたの!!」
「やだコワ〜イ。もしかして私たちの内緒話聞いてたりして?」 
「わ、グラマラス」
「ちょ、ちょっと!もうっ早く着なさいよ!」
 色々と気になる会話に動揺しながらも、ジェットはもう一体のバルバめがけて剣を乱れ打つ。バルバは断末魔をあげて女湯に沈んだ。
「おまえだな痴漢は!!」
 一仕事終えた達成感に浸りきる間もなく、ジェットは後ろからがっしりと肩をつかまれる。振り返ると、そこに城塞騎士がいた。
「いやだから、誤解なんですっ!」
 湯に沈んだバルバの死体を指差しながらジェットは必死に弁明する。
「はいはい。みんな初めはそういうんだ」
 城塞騎士がバルバの死体に目を向けてくれたのは、それからしばらくたってからのことだった。

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お題ショートストーリー(2014/01/04執筆)
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【執筆者:佳条桂
【得票数:8】

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プレイング
 クレスは遺跡の地面に目を落とす。
 砕かれた石柱の一部が、周囲に散乱している。ごつごつとした拳サイズの瓦礫は、とても硬く、踏み砕くことはできない。避けて歩かないと、足を取られてしまう。
 しかし、幼馴染みのエリザベスは、そんなことお構いなしに、ずんずんと足を進めていた。
「お、おい……あんまり急ぐな。足元に注意しろよ」
「なに、子供扱い? あたしのことバカにしてるんじゃないの?」
 よかれと思って注意をしたクレスに、エリザベスは不満そうな面持ちで辛辣な言葉を返す。
 勝ち気なエリザベスが吐く毒はいつものこと。
「はいはい。俺が悪かった」
 クレスは、肩を竦めながら謝りつつも、
「だけどな、エリザベス。少し急ぎ過ぎだ。俺が追いつけないだろう」
 と、遠回しに苦言をていした。
 すると、前を歩いていたエリザベスが、ため息を共に立ち止まる。くるりと踵を返してクレスを見た。
「クレスは分かってないわ」
「なにが?」
「世界は大きくて、あたしは小さいのよ」
「だから?」
「小さなあたしが、大きな世界に追いつくためには、前に向かって進むしかないのよ。トロトロ歩いてる暇なんかないわ!」
 言いたいことだけを言ってのけると、エリザベスは再び遺跡の奥へと向かって歩き始めてしまう。
 最強を目指して修業に励む幼馴染みを見守っていく決意をしたクレスだが、毎度毎度、エリザベスの無茶には心労がかさむ。今だって、足元に転がった瓦礫につまずいて、なんども転けそうになる始末だ。
 最強は無謀とは違う。逸る気持ちを押し込めて、冷静な判断をすることも、また最強への一歩だろう。
 だが、クレスがそんな講釈を説いたところで、エリザベスは聞く耳を持ってくれないだろう。
 クレスが、元気過ぎる幼馴染みの心配をしていたそのとき。
 重層な破砕音が、遺跡の中に轟いた。
 二人の目の前に広がった石の塔の林が、左右になぎ倒され、その間から巨大な頭部が顔を出す。それは、陸を進む巨大なクジラ。ランドホエールだった。
 二人を見下ろしたランドホエールは、大口を開き、絶叫する。それは、もはや爆発と遜色ない。振動が空気を伝わり、軟弱な物体はいとも容易く粉砕される。
「嘘でしょ!?」
「っ……」
 エリザベスとクレスは、あまりにも大きなスケールを前に、立ち尽くしてしまう。
「ど、どうしよう……クレス?」
 エリザベスは不安そうに眉を顰め、クレスに縋った。
「さっき、世界に追いつくとか言ってなかったか?」
 クレスは戦慄に身を震わせながらも軽口を叩く。エリザベスが及び腰のいま。自分までもが弱気では、にっちもさっちも行かなくなる。
「うっ……それは……」
 クレスの言葉で、エリザベスが口籠もった。
 そして、次の瞬間。エリザベスは決意に唇を噛みしめると、力強い瞳で、ランドホエールを睨んだ。
「い、いくわよ。クレス?」
 クレスは剣を抜き、首肯する。
「ああ。世界の果てまで付き添ってやる!」

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お題ショートストーリー(2013/12/03執筆)
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【執筆者:緒方智
【得票数:1】

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プレイング
 高く澄み切った青空をのびのびと飛ぶ鳥たちが平穏の象徴そのもの。
 その空の下、やって来た都市国家はひどく穏やかだ。
 街道に沿って並ぶレンガと白壁の街並みは本当にきれいで、人々の活気に満ち溢れている。

 「どの都市国家にきても、人々の活気は変わらないものだな」
 自分たちのそばを駆け抜けていく子供たちや行きかう街の人々を見送りながら、魔法剣士・ダリアはふっと柔らかな笑みをこぼす。
 目的を忘れたわけではないが、心がなごむというものだ。

 「さて、どっちへいったもんだか……どうする?」

 隣にいたトンファーの群竜士・リーはぐるりと辺りを見回すと、地図とにらめっこする剣の城塞騎士・フローラに声をかけた。
 フローラはふうと息を吐き出すと、にこりと笑って地図をリーと魔法剣士・ダリアに広げて見せた。

 「さっきのおじいさん、この辺の事を詳しく教えてくれて助かったわ。今いるのがここ。まっすぐ行くと職人街。右手には城塞騎士団の詰め所、左手には市場があるはず。町の人達に馴染むなら、まず市場はどう?」

 地図の左側に書き込まれた様々な商店の名。どれだけ町が賑わい、発展しているのが良くわかる。
 特に反対する理由はなく、リーとダリアはフローラの提案に賛成した。

 「私に異論は無いよ。町の人から話を聞く事は、この都市国家について詳しく知る、良い機会にもなるだろうし……」
 「そうね。情報を手に入れるなら、人の集まるところが一番ですもの」
 「よし、んじゃ行ってみるとするか」

 嬉しそうに微笑むフローラの横でリーは右の拳を左の掌で打つと、軽い足取りで歩き出す。
 小さく肩を竦め、ダリアはフローラとともにリーの後を追うように歩き出し―ある路地の前で足を止めた。
 全身を駆け抜ける悪寒。
 そのおぞましい気配にダリアは覚えがあった。

 「これは……棘」
 「おっ?どうした、ダリア。そっちには……」

 その場に縫いとめられたように立ち止まったダリアに気づき、戻ってきたリーはその気配を感じ取った。
 フローラも青ざめた表情で息を飲み、周囲を見渡す。

 「この嫌な感じ……どこかにいるのね?マスカレイドが」
 「ああ、どうやらそうらしい」
 「みたいだな。この都市国家にも棘の気配は十分……なら、やることは一つ」

 厳しい表情でダリアがうなづくと、リーは口元に不敵な笑みを浮かべる。

 「情報を集めて、奴らのエンディングをぶっ潰してやろうぜ!」
 「そうね。この瞬間にも誰かが私達の助けを待っている。もたもたしている時間は無い、行こう!」
 「じゃぁ、私は騎士団の方を回るわ。少しでも多く情報を集めなきゃ!」

 一瞬、互いの顔を見合わせ―街の中へと駆けて行った。

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お題ショートストーリー(2013/10/04執筆)
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【執筆者:茉理
【得票数:1】

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プレイング
 依頼を終えて、帰ってきた旅人の酒場。共に戦ったミラ、ジェシカ、プリマの三人は、報酬にもらったお金で打ち上げをすることにした。
「それじゃあ、ジュースをもらってきますね!」
 にっこり笑って席を立つミラに、悪いな、と声をかけるジェシカ。しかし、勝利の余韻が残っている彼女は、座っているだけなのが落ち着かない。たまらずジェシカは、隣にちょこんと腰かけるプリマへと飛びついた。
「プリマー!」
 衝撃でテーブルに置いたコインが飛び散るが、今のジェシカにとってそれは些細なこと。突然抱きつかれたプリマは、まず彼女の体重を受け止めることに必死だった。
「わわわ、ひっくり返っちゃいマスヨ!?」
「いやあ本当に上手くいったよなー。プリマのあのレギオスブレイド、超いい感じだったぜ〜!」
「ほ、褒められるのは嬉しいんデスガ……!」
 感激のあまりぎゅうぎゅうと抱きしめてくるジェシカに、プリマは慌てて長い袖をぱたぱたと動かす。ジェシカは男勝りな性格そのままに感激を現しているのだが、何せ力もあるし豊満な胸が押し当てられて呼吸が苦しい。
 そうしてもがもがとしていると、戻ったミラが苦笑しながらジェシカに声をかけた。
「ジェシカさん、嬉しいのはわかりますけど、プリマさん困ってますよ?」
「え? あ、すまんすまん。悪いな」
 指摘され、もがくプリマに気付いたのだろう。ジェシカが腕を離せば、プリマはやっと解放されてぷはあと息をつく。
 そんな二人にグラスを配ると、ミラはみんなのグラスにジュースを注いでいく。近くの村でとれたブドウジュース、ワインのような見た目は、少しだけ大人の気分だ。
「はい、それじゃあマスカレイドの戦いの勝利と依頼の成功に乾杯!」
「乾杯ー!」
「乾杯デス♪」
 元気よくグラスを掲げ、一気に飲み干すジェシカ。
 小さく乾杯し、ジュースよりもスイーツに目を奪われるプリマ。
 こんな時間があるから、彼女達はまた明日もエンドブレイカーの仕事のするのだろう。
「ウン♪ これおいしいデス♪」
「おいおいプリマ、甘い物ばっかじゃなくて肉も食えよ、これうまいぜ〜!」
「ジェシカさん、そんなに急いで食べなくたってお料理は逃げませんから」
 おいしい料理、賑やかな会話。勝利に高揚する気持ちがもたらす満足感。
 少女達の祝勝会は、まだ始まったばかりなのだった。

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お題ショートストーリー(2013/10/03執筆)
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【執筆者:茉理
【得票数:1】

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プレイング
「イオシスー! 早く行こうよう、早くしないとお宝が逃げちゃうよう!」
 岩に腰掛けた足をぶらぶらと揺らしながら、エルフの紋章術士・アルカナは同行者を急かす。
 言われたヒトの武人・イオシスは、呆れた顔でアルカナを見た。
「待てと言っているだろう。たかがグドンとはいえ、俺達も駆け出しの冒険者だ。何が起きてもいいように、慎重に作戦を練ってからでないと……。それにアルカナ、大きな声を出すな」
 声に疲れが滲んでいるのは、先程から同じ会話を繰り返しているからか。
 遺跡の前へやってきて、周囲の状況から考えられる対応を思考する間。何度同じように急かされただろう。
 しかし、変わらぬ会話に飽きているのはアルカナも同じ。
 むう、と口をとがらせたアルカナは、ひらり岩から飛び降りて、手にした杖を持ち直し。
「もう、いいよ! ボクがちょっと行ってくる!」
「は、行ってくるって……おい、アルカナ!」
 言うが早いか駆け出した彼女に、イオシスは先程自分が言ったことも忘れて大声で呼びかける。
 しかしその言葉はアルカナに届いたのかどうか。みるみる小さくなる姿に、イオシスは頭を抱えた。
「あの、馬鹿……!」
 追いかけようかとも考えたが、遺跡の中がどんな状況なのかイオシスにはわからない。
 はぐれてしまっては危険だと考え直し、イオシスはその場でアルカナが戻ってくるのを待つことにした。
 誰もいない、遺跡の前。一人で待つ時間はとても長く感じられる。
「早く戻ってこいよ……まさかやられたりしないよな……」


「イオシス、おっ待たせー!」
 どれだけ待ったのだろう。変わらぬ笑顔で戻ってきたアルカナに、イオシスは胸を撫で下ろした。
「この馬鹿! 単独で敵の本拠地に乗り込むなど、無鉄砲にも程がある。もっと考えてから行動しろ!」
 咄嗟にアルカナを叱りつけるが、それも緊張が解けたからの言葉であった。
 アルカナはごめんごめんと手を振って、自分の見てきた情報を伝える。
「中に入って右へ行ったところで、グドンを見つけたよ。数はボクが見ただけで4匹。別のところにもいるかも……」
「4匹以上……少し多いか」
 アルカナの説明に、イオシスは真剣な顔で考え始める。
 うん、とうなずくアルカナも、真面目な表情でイオシスの思考の手伝いをしようとしていた。
「遺跡の状況は?」
「グドンがいたのは開けた場所だったけど、隠れられそうなところも近くにあるよ」
「ならば見つからないように近付くことも可能だな」
「数が多いなら、開けた場所に集めてまとめて倒した方がいいのかな?」
「ああ、そうすると作戦はこうだ……」
 戦略を練るイオシス。それを真剣に聞くアルカナ。
 遺跡の中のグドンも、このコンビなら無事討ち倒せることだろう。

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お題ショートストーリー(2013/09/20執筆)
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【執筆者:森山樹
【得票数:0】

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プレイング
「いらっしゃい」
 ダイアナは店の扉を開けたのが旅団の仲間であるアシュレイとティモシーなのを認め、愛想よく笑いかけた。
「こんにちは、ダイアナ!」
「お邪魔しますなの」
 接客用ではない笑顔に迎えられほっとした2人は、ダイアナに同じ程親密に笑いかけ、挨拶をして店内へと足を進めた。
「今日は遊びに来たの? それともお買い物かしら?」
 物珍しそうに店内を見回す年若い魔法剣士と星霊術士に悪戯っぽく問いかけると、彼らは生真面目に首を傾げて考え込んでしまう。
 特に欲しい物があるという訳ではないらしい。
「いいものがあったら欲しいけどな」
「そうなのよ。お財布とも相談しないと」
 頷き合う様子に笑みを深くして、ダイアナは鷹揚に頷くと、店内を指し示した。
「いいわ、ゆっくり見て行ってちょうだい」
「ありがとうダイアナ。……あ、これ素敵」
 言われた傍からティモシーは一つの籠を持って、設えてあった椅子に腰かけた。
 杖に付ける装飾品はどれもキラキラとしていて、ひとつひとつを杖に合わせては唸っている。腰を据えて選んでいるらしい。
 一緒に来たアシュレイは魔法剣士らしく武器を見ていた。買うわけではなく、どんな武器があるのか一通り見て回っているという様子だ。きょろきょろとして落ち着かない。
 しかし、一振りの剣が気になったらしく、引き寄せられるように近づいて行った。
「なあ、ダイアナ。これちょっと触ってみてもいいか?」
 自然とアシュレイの手が引きよせられる。言った傍からその柄を握ると、まるで10年来の親友のようにしっくりと手に馴染んだ。
「仕方ないわねぇ。いいわよ」
 既に両手で構えていたアシュレイは、許可を得て試しにその剣を振ってみた。自分の力を剣がしっくりと受け止めるその振り心地に、すっかり心を奪われてしまう。
「これ……いいなあ! 欲しいな。どうかな?」
「似合ってる似合ってる!」
 ティモシーの目にもこの剣とアシュレイは似合いの組み合わせに写った。
「でも……お金が……いや、ぎりぎり足りる!」
 いつも元気のいいアシュレイだが、この剣の値段を見るに一瞬の葛藤が生まれた。しかし、この馴染み具合と振り心地には変えられなかったらしい。
「思い切って買うぜ! ダイアナ、これが俺の全財産、ぎりぎり足りるはずだ!」
 財布ごとカウンターに所持金全てを差し出すアシュレイに、ダイアナはくすっとますます可笑しそうに笑って、お財布の中身を少しとお財布をアシュレイに返した。ちょっとだけサービスしたのだ。
 この楽しい時間のお礼のつもりであった。

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