rid:del
お題ショートストーリー(2009/06/09執筆)
  作品の参考として、「お題イラスト」と「プレイング」を元にしたショートストーリーを執筆しています。ログインすれば、人気投票にも参加できます!

【執筆者:rid:del
【得票数:6】

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プレイング
「はい、全員注目。今後の進行ルートについて会議をします」
 日が暮れ果て、星々が瞬きだした空の下。焚き火を囲む冒険者たちの紅一点、ストライダーの狂戦士サキが、そう口火を切った。清楚で可憐なたたずまいの傍らには、彼女が宝地図屋で購入した地図が、ナイフで木の幹へと留められている。
「私としては、このまま目的地に向けてまっすぐ行くべきだと思うのだけれど」
「アホかお前は」
 炎の放つ暖色の光に照らされて尚、顔色の悪い男……エルフの邪竜導士ルドルフがすかさず突っ込んだ。その美しい顔立ちにありありと浮かべられた呆れの表情を睨みつけつつ、サキは眼鏡を押し上げる。
「何か文句があるのかしら、ルドルフ?」
「大有りだな。その邪魔そうなダテ眼鏡外してよーく見ろ。何でわざわざ森を突っ切るんだよ」
「何でって……進行ルート上にあるからに決まってるじゃないの」
 そんな事もわからないのかと言いたげな口調に、ルドルフは苛立たしげに声を荒げる。
「だ・か・ら、そのルートを変えて迂回すべきだって言ってるんだよ俺は!」
「はぁ?!」
 サキもまた、苛立たしげに返す。睨みあう二人を黙って見守りながら、ヒトの重騎士ラインハルトは鍋の中のシチューを軽くかき混ぜた。
(「これは、始まるな」)
 僅かに期待も込められた予想の通り、すぐに二人の舌戦の火蓋は切って落とされる。
「大体何だこの大雑把な地図は?」
「イチオシ商品だったのよ。しかも安かったわ」
「安かろう悪かろうって言葉を知らないのか!」
「知らなくて悪かったわね! シンプルでいいじゃない、情報は厳選されてるに越したことは無いわ!」
「一万歩譲ってそうだとしてもだ、何でその情報を活かそうとしないんだよ! 森は危険だし障害物も多いんだから、避けろって事だろうが!」
「そんなの全部斬り倒せば問題無いわよ!」
「……流石にまずいだろう、それは」
 自らの得物である大剣の柄を掴んで熱弁を振るうサキの発言に、見物に徹していたラインハルトがぼそりと口を挟んだ。直後サキの鋭い視線に射抜かれるが、彼は気にする風もなく続ける。
「その森は迂回すべきだな。避けられる危険は避けた方が良い。……あと、シチューが煮えたぞ」
 最後の緊張感皆無な一言に、すぐさま返事をしたのは二人の腹の音。
 その綺麗なユニゾンっぷりに、二人して毒気を抜かれてしまう。
「まあ、ラインハルトがそう言うなら、そうしましょう」
「俺は最初からそう言ってるのに……」
 食事を前にしてすっかり気分が変わったらしいサキと、納得いかなげにしながらも食器を差し出すルドルフに、ラインハルトは穏やかに目を細める。
 明日もきっとこんな調子で、三人の賑やかな旅は続くのだろう。

「ところでラインハルト、初めて食べる味だけど、これ何の肉なの?」
「さあな。店主に勧められて、安かったから買った」
「お前ら、頼むから買い物はもっと慎重にしてくれ!」
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