星海蟹依
お題ショートストーリー(2009/06/18執筆)
  作品の参考として、「お題イラスト」と「プレイング」を元にしたショートストーリーを執筆しています。ログインすれば、人気投票にも参加できます!

【執筆者:星海蟹依
【得票数:1】

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プレイング
 さんさんと輝いていた太陽は山間に消え、昼間でさえ薄暗い森の中は墨で塗りつぶしたかのような漆黒となっていた。そんな暗い森の一角に、ほのかな明かりが暗闇を押しのけるように灯っていた。
 明かりは小さな焚き火で、火には鍋がかけられていた。鍋の中では、謎のお肉が入ったシチューがぐつぐつと煮込まれている。その鍋の周りには3人の人影が有った。
「今日歩いた感じでは、今はこの辺りですね。それで明日のルートですが……」
 影の内の1人である、ストライダーの狂戦士・サキが、地図の一点を指差しながらそう言った。
 炎特有のゆらゆらとした明かりに照らし出された地図には、周辺の地形を表す簡単な図形と、大きな『×』の印が書かれていた。この地図は、サキが宝地図屋で購入したもので、何かしらのお宝が『×』印の場所に眠っているらしい……との事だった。
 そして、サキたちのパーティーは『×』印まで、もう半日ほどの距離まで来ていた。今は、野営をしながら明日のルートを相談している所だ。
「……ちょっと待て、サキ」
 サキがルートの説明を続けていると、エルフの邪竜導士・ルドルフがそれに口を挟んだ。
「そのルート、本気で言ってるのか?」
「……そうですが、何か気になることでも?」
 サキの提示したルートに、ルドルフが辛辣なツッコミを入れ始める。それに対して、サキも負けず劣らずの強い口調でそれに答えた。
 次第に2人の口調に熱が入り、そもそも地図が適当過ぎるんだよ、とか、昔の地図なんだからしょうがないじゃないですか、などと言い合いになり、時には暴言も混じったりしながら、とうとう口喧嘩へと発展してしまった。
 それを、ヒトの重騎士・ラインハルトが、蚊帳の外に居るかのように楽しそうに眺めていた。
 サキとルドルフの口論は毎度の事なので、ラインハルトは落ち着いていた。というより、2人の口喧嘩が面白くてつい聞き込んでしまっていたのだった。
 しばらく聞いてから、シチューがいい煮込み加減になったのを機に、シチューを木製のお椀に移しながら2人の口喧嘩を止めに入った。
「まあ落ち着け。腹が減っては……と、言うしな。まずはこれでも食べろ」
 そう言いながらお椀を差し出す。ふいに差し出されたお椀に2人の意識が向いたせいか、続いていた口喧嘩はピタリと止んでしまった。
「あ、ありがと……」
 サキはお椀を受け取ってから、湯気に気づいて眼鏡を外す。ダテメガネなので、視界には問題なかった。
「ほら、ルドルフも」
「……ああ」
 ルドルフもお椀を受け取り、3人揃ってシチューを頂いた。
 シチューの暖かみが体に染み入り、何とも心地よい感覚が3人を包む。先ほどの喧騒が嘘のように感じられるほど、静かな時間が流れた。
「なぁに。別に急ぐ旅でもないんだ。ゆっくり行こうじゃないか」
 そう言ってから、ラインハルトが自分の考えたルートを提示した。2人はそれに、納得するように頷いたのだった。
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