泉青藍
お題ショートストーリー(2009/06/19執筆)
  作品の参考として、「お題イラスト」と「プレイング」を元にしたショートストーリーを執筆しています。ログインすれば、人気投票にも参加できます!

【執筆者:泉青藍
【得票数:9】

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プレイング

 鬱蒼と茂る、夜の森。日も沈み、辺りは暗闇に包まれていた。
 その中で一箇所だけ、木々の間から灯りを覗かせる場所があった。
 そこでは火が焚かれ、三人の冒険者が休んでいた。
「いいですか? 私達が今いるところは、ここ」
 ストライダーの狂戦士・サキが、地図を指差す。
「そして、次の目的地はこの×が書いてある場所」
 サキの指が、×印が書かれた場所へと滑るように移動する。
「ですので、この先の森を抜けて、目的地に向かうことを提案します」
 説明し終えたサキは、眼鏡に手を添え、位置を上げる。自分のルート案に自信があるのか、顔には笑みが薄っすらと、見え隠れしている。
「俺はそのルートには賛成できない」
 左手に持った杖を肩に当てた、エルフの邪竜導士・ルドルフは不服を唱えた。
「なっ……どうしてですか! 訳を言ってみなさい」
 否定され際に、ずれ落ちた眼鏡の位置をしっかり戻しながら、サキが食って掛かる。
 焚き火で照らされているのにもかかわらず、ルドルフの顔には血の気がない。
 ルドルフは盛大に一つ息を吐くと、持っていた杖で、地図をさした。
「まず、その地図が問題だ」
「何故? これは宝地図屋で買ってきた、正真正銘の……」
「にしては、曖昧すぎるだろう」
 う、と言葉を詰まらせるサキ。
 地図には、大まかな場所しか載ってないので、不安が残る。
(「さあ、面白くなってきたな……」)
 ヒトの重騎士・ラインハルトは顔を上げ、一瞬だけ二人に視線を向けた。
 だが、すぐに目の前の鍋に視線を戻し、さきほどから煮込んでいるシチューの様子を見る。
 何の肉か分からないもので作ったシチューだが、見た目は十分美味しそうだ。
 杓子で鍋をかき回すと、食欲をそそる香りが流れてくる。これなら、味も大丈夫だろう。
「地図は地図です! 分からないルドルフがバカなだけです!」
「だ、誰が馬鹿だと!? それに地図以外にも、未知の森を抜けていく危険が」
「では、どういうルートをご希望で? ルート案を言っていただきたいものです」
「そ、それはだな」
「ほーら。何も考えていないのが……」
 サキがまくし立てるように言うので、クールなルドルフも段々頭に血がのぼってきた。
 このまま放っておくのも面白い。しかし、放っておけば、そのうちサキが巨大剣を振り回すだろう。
「湖だ」
「えっ?」
 突然声が割り込んできたので、呆気に取られたような声をサキがもらす。
「湖を通って、目的地に行く。道標にもなるし、未知の森を抜ける危険もないだろう。どうだ?」
「そ、そうですね……。いいルートです」
 地図を見直し、納得したようにサキが頷く。
「ふん……」
 つまらないように鼻を鳴らしたが、ルドルフも合意しているようだ。
「兄弟ゲンカはそこまでにして、夕飯にしよう」
「「兄弟じゃない!」」
 息の合った二人の返答に苦笑しながら、ラインハルトは杓子でシチューを掬った。
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