氷織玲
お題ショートストーリー(2009/09/04執筆)
  作品の参考として、「お題イラスト」と「プレイング」を元にしたショートストーリーを執筆しています。ログインすれば、人気投票にも参加できます!

【執筆者:氷織玲
【得票数:13】

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プレイング
「そういえば……」
 ある日の昼下がり、いつものように冒険者たちで賑わう酒場で、ユリシアは口を開いた。微笑を浮かべた彼女の話を聞こうと、冒険者たちは居住まいを正す。

 ――それは昨日見た、不思議な夢の話。

 舞台は何処かの学園のようで、見馴れた冒険者たちの代わりに、制服やその他様々な服装をした学生たちが居る。今はちょうど授業中で、教室の外からも先生や学生たちの声が聞こえてくる。
 場所は銀誓館学園という名で、ユリシアはそこで教師をしているようだった。
 彼女の足は何処かに向かうように教室棟を進む。自分はどこに行くのだろう、と考えながら廊下の角を曲がろうとしたユリシアは、不意に飛び出してきた誰かとぶつかってしまった。
「あいたたた……あっ、す、すみません! ちょっと急いでて……これから、ゴースト退治に行くところなんです……ってああっ!?」
 慌てて口を塞いだ短髪の少女に、ユリシアは自然に話しかけていた。
「廊下を走っては危ないわ、マヒロさん。緊急事態でも、落ち着いて行動しないと」
「でも先生は事情を知ってますしいいですよね? いいって事にしてくださいっ。……って、え、あ、はい。ごめんなさいっ」
 注意に被せるようにしてまくしたててしまったマヒロは照れたように笑った。ユリシアも笑い返す。
「マヒロさんは相変わらずですね」
「それ、よく言われるんです。あ、先生、今回のゴースト事件はですね」
 小声で自信満々に事件のことを語るマヒロに、ユリシアは心配そうな顔をする。彼女を気遣うようにマヒロは、大丈夫です、みんなが一緒ですから、と胸を張った。
「今は授業中ですよね。どうするのですか?」
「偽身符に任せておけばバッチリですっ」
「そうですか……では、戻って来たら補修ですね」
「えーっ! そんなぁ……」
「みんな一緒に、ならどうでしょう?」
「……先生だったら、受けても良いかも知れないです。あ、それじゃあそろそろ行ってきますね!」
 元気よく手を振ってマヒロは走って行った。ユリシアも手を振り返しながら、注意したばかりなのに廊下を走っては駄目だと声をかけようとした瞬間、彼女は目を覚ました。


「あれは一体どういう夢だったのでしょうね」
 話し終えたユリシアは、少し冷めてしまった紅茶を口にした。ふとマヒロの笑顔が思い浮かび、微笑みかける。
 ――ねぇ、マヒロさん。ゴースト退治は成功したのかしら?
 心の中で話しかけたユリシアは、マヒロの無事を願ってそっと目を閉じた。
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