『特報!』 ファンファーレが高らかに鳴り、スクリーンに文字が大きく映し出されると派手で華やかな音楽が流れ始め、映画のシーンが次々と現れては消えていく。 「蟲共がざわついてやがる……てめぇが、敵か」 大聖堂の中、ステンドグラスから差し込んでくる光を浴びて桐生・アギト(中学生黒燐蟲使い・bn0187)がローブを纏った男に、眼光するどく呟いた。アギトの全身を黒い霧のように覆った黒燐虫が竜巻のように激しく舞い上がる。すると、それとは対照的に頭上を真白な鳩が飛んで行った。 無数の鳩が飛んで行く空を眺め、拳を握りしめて立つ百地・いろは(高校生呪言士・bn0209)が風に転がる経典を拾い上げる。背後では炎上する建物が音をたてて崩壊した。 「滅ぼさせはしない。守ってみせる。私の力は、邪を打ち滅ぼすためにこそあるのだから!」 いろはは、煤で汚れた拳で滲んだ涙を拭った。眩い光がいろはを包む中、風に煽られて火の粉が舞う。 鬼頭・田吾作(ファイアフォックス・bn0034)の構えるガトリングガンが火を噴く。 「おらぁ! 次はどいつだ!? 死にたい奴からかかってきやがれ!」 立ち上る火柱に照らされて陽炎のようにゆらゆら揺れる黒い影に立ちはだかって、田吾作がもう一発炎の弾丸を撃ち込むと、大きな爆発とともに断末魔の叫び声が響く。 短く叫んだ劉・瞬成(高校生除霊建築士・bn0175)ががっくりと膝をつく。迷宮のように入り組んだ路地で、音もなく瞬成は石畳の上にくずおれた。握りしめていた定規が手からこぼれる。恐ろしい形相の怪物がのそりのそりと近付いていた。空からは容赦なくどしゃぶりの雨が叩き付ける。 「こんな所で……ボクは倒れる訳にはいかナイ。今、ボクに出来る全てのコトを!」 ありったけの力を振り絞って瞬成は定規を構えて叫んだ。すると、怪物がみるみる石に変わっていく。雨はいっそう強くなり、雷鳴が轟いた。 カーテンを細く開けて雨の降りしきる外を眺めたクリスティーナ・キーベルク(白夜に契りし花嫁・bn0123)は不安そうに隣を見上げる。雷光に照らされたフランケンシュタインが軽く頷いた。 「(小さく微笑んで)……分かっていますわ。共にあれば、恐れる事など何も無いと」 クリスティーナは伸ばした手をフランケンシュタインの逞しい腕にそっと置いた。たちまちフランケンシュタインの腕には頑強な鋼鉄のパーツが装着される。クリスティーナの目にもう不安の色はない。窓辺に寄り添う二人のシルエットが雷光に浮かび上がり、赤い絨毯に長い影を映した。 赤い大地に白銀の髪をなびかせたエルザ・マイスタージンガー(高校生クルースニク・bn0166)が剣を天に向かって突き上げた。 「人狼騎士の誇りにかけて……私達は負けん!」 大地を揺るがすような咆哮とともに、敵陣目がけて走り出すエルザの目は爛々と輝いている。 そこでスクリーンには文字が大きく飛び出す。 『こうご期待!』
※人気投票をする場合は、投票するキャラクターでログインしてください。
|