深町壬子
お題ショートストーリー(2009/04/16執筆)
  作品の参考として、「お題イラスト」と「プレイング」を元にしたショートストーリーを執筆しています。ログインすれば、人気投票にも参加できます!

【執筆者:深町壬子
【得票数:1】

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プレイング
 本日は晴朗なれども風強し。
 晴れ渡る空を見上げ、武人・イオシスはすぐ前を見据えて雲の流れる方向に進む。今日はアルカナと共に遺跡の探索に来た筈だが、何故か彼は一人でけもの道を歩いていた。

「全く、あの能天気は……」
「呼んだ?」
「うわ!」

 小一時間ほど薮を掻き分け、漸く見通しのいい遺跡の入り口に辿り着いたイオシスは、誰に言うともなしに、姿の見えぬ今日のパートナーに毒づいた。それを当の本人、紋章術士・アルカナに聞かれては驚くのも無理はない。日陰を求めて立ち止まった石門の上から声を掛けられ、イオシスは思わず半歩飛び退いてしまった。

「アルカナ! 一人でうろつくなとあれほど言っただろう!?」
「その台詞は聞き飽きたもんね、イオシスに付き合ってたら日が暮れちゃうよ!」

 今だって待てど暮らせど追いつかないから寝ちゃうとこだったんだよう!と口を尖らせ、アルカナはくるりと身を翻して門の上から飛び降りた。
 その台詞こそ聞き飽きたと言わんばかりに眉を顰め、イオシスのいつものお説教が始まる。

「聞き飽き結構、上等だ。何度だって言うぞ? グドンが雑魚だからって侮るなよ!」
「そんなのボクだって知ってるもん。だから偵察って言ったじゃないか」

 アルカナは明らかに不満そうな表情でイオシスをねめつける。慎重に慎重を重ねるイオシスと、気づけば体が先に動いているアルカナは相性最悪のコンビかもしれない。
 けれど。

「ほらー、遺跡の図面返すよう。役に立ちそうなコト、書き込んどいたからさ」
「お前いつの間に……!」

 自分が不注意で失くしたとばかり思っていた遺跡の図面が、アルカナの手に握られている。開いた口が塞がらないイオシスに向かい、アルカナは悪びれた風もなくウインクをひとつ。

「いいじゃんいいじゃん、結果オーライ! 失くしたって思ってたなら儲けもんだよね?」
「お前が言える台詞か! ……全く、仕方ない奴だ」

 渋々といった表情で図面を受け取り広げるイオシス。悪態を吐きもするが、アルカナがこうなのは今に始まったことではないから、無事で戻ってくれたことはイオシスなりに嬉しい。それを知っているのだろうか、アルカナも真面目な顔つきでイオシスに応えようと偵察の結果を伝え始める。

「正門は閂が掛かってたよ。開きそうだけど、グドンが三、四匹うろうろしてるから気づかれちゃうかも。それよりここ! 裏手の壁が崩れてるから、ここから入った方が楽だと思うよー」
「ここだな? ふむ……なら裏手に回ろう。近づいてきた奴から一体ずつ、確実に仕留めるぞ」
「まっかしといて!」

 石門に腰掛けるアルカナが、期待を込めた笑顔を見せて拳を軽く突き出した。

「じゃ、行こっか!」
「……ああ、行くか」

 こつん。

 アルカナの拳に自分の拳を軽く合わせ、イオシスは盾を背負い直す。
 二人の冒険を後押しするかのように、柔らかな風が吹き抜けた。
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