神櫓斎
お題ショートストーリー(2011/03/01執筆)
  作品の参考として、「お題イラスト」と「プレイング」を元にしたショートストーリーを執筆しています。ログインすれば、人気投票にも参加できます!

【執筆者:神櫓斎
【得票数:11】

お題イラストを拡大する
プレイング
 ゆっくりと陽が昇る。紺と朱が混じり合った色に、雲が彩られる。
 街が一望できる場所、けれど今はまだ薄闇にさえぎられてすべてを見ることはできない。
 何とも言えぬ色に染まった街を、ジェットは大トカゲの背に腰かけ、見下ろしていた。
 朝になれば仲間が来る。マスカレイド退治へ向かうためだ。
 出発のタイミングをはかるため、ジェットはまだ暗い夜のうちから、ずっとここに待機していたのである。
 ジェットはふと空を見上げた。少しずつ、空が明るくなっていく。朝が来たのだ。
 家々の間に光が差し、まだ眠っているであろう街が見え始めた。
 たくさんの家があり、そのそれぞれで人々が生活を営んでいる。ジェットは思わず笑みをこぼした。
 活気溢れる市場。子供たちの笑い声が響く公園。静寂に満ちた森林。
 そのいずれにも平和があり、平穏があり、そして希望がある。すべてが重なりあってこその幸せな暮らしが、ここには確かにあるのだ。
 日々を暮していると、自分たちもその一部であるのだと実感する。誰が欠けても、成立しない。
 それらの幸福を守るためにエンドブレイカーの力があり、自分たちはさまざまな脅威と日夜戦っている。
 奪うためではなく、何かを守るために力があることを、ジェットは誇らしく思っていた。陰ながら支え、守り、育めることが、純粋に嬉しかった。
 この街に生きる大勢の人々の、この幸せな暮らしを守り抜いていこう。ジェットは新たな決意を、胸の深くにしっかりと刻み付けた。
 静かに眠る街を、活気づく街を、笑い声のあふれる街を。頑張って、精一杯守り抜いてみせる。
 たとえ誰も、自分たちが危険な戦いに身を投じていることを知らないとしても。
 完全に、陽が昇った。煌々と照らす太陽は眩しく、街を、そして人々を目覚めさせていく。
 気持ちをマスカレイド退治へ切り替える。よし、と気合を声にして。
 しまった。ジェットは小さく声をこぼした。もうそろそろ仲間たちが集合場所に集まっているはず。
 慌てて大トカゲの背に座り直して手綱を引き、集合場所へと向かう。
 数歩進んだところで不意に足を止め、振り向いてすぅ、と息を吸い。
「――いってきます!」
 にっと笑って、ジェットは街に向けて一度だけ大きく手を振った。
※人気投票をする場合は、投票するキャラクターでログインしてください。