「ここか」 遺跡を前にヒトの武人・イオシスが呟く。 「どんなお宝があるのかな?ボク、絶対見つけてみせるもん!」 イオシスの隣でエルフの紋章術士・アルカナが遺跡に眠るお宝を前に息巻いていた。 二人はグドンによって荒らされているという遺跡の探索にやって来たのだ。 「中にどのくらいのグドンが居るか分からんのだ。一人で突っ走るなよ」 イオシスはアルカナに注意し、どのように遺跡を進んでいくか考えていた。 その姿に業を煮やしたのか、考え込むイオシスを置いて先に遺跡へ進むアルカナ。 「……そうだ、アルカナはどう……アルカナ?」 傍に居るアルカナに声を掛けようと顔を向けると、そこにアルカナは居なかった。 「ボクは先に遺跡の中覗いてくるね〜!」 アルカナ声は遺跡の入り口から聞こえた。 声のする方を見ると、アルカナは遺跡の入り口から手を振っていた。 イオシスは溜息を付きながら何かあったら直ぐ戻ってくるよう伝え、遺跡の入り口で待つことにした。 「全く……。俺たちは慎重に動かないといけないのだが」 そう呟き、イオシスはどこまでも青い空を見上げた。
暫くして、アルカナが遺跡から戻ってきた。 「ただいま〜。中の様子見てきたよ」 イオシスはおかえり、と言ってからお説教を始めた。 「俺たちはまだ駆け出し冒険者だ。例え雑魚のグドンでも慎重に行動しないといけないだろう。なのにアルカナは……」 それから少しの間、イオシスのお説教が続く。アルカナは少し申し訳なさそうにそのお説教を聴いていた。 「……それで、遺跡の中はどうなっていた?」 一通りお説教を終えたイオシスが尋ねる。アルカナは自分が見てきた遺跡の中の様子を正確に伝えた。 「そうか。グドンの数がそのくらいなら、俺たちは…」 イオシスはアルカナから聞いた情報を元に作戦を練り始める。アルカナも真剣な表情でイオシスの作戦を聞き、時にはこうしたらいいのではないかとアドバイスを出す。 そして納得の行く作戦を立てた二人は装備を確認して遺跡の中へと足を踏み入れた。 アルカナはまだ見ぬお宝を胸に抱いて。 イオシスはそんなアルカナを守るため。 それぞれの想いを胸に二人はまた1つの冒険へ一歩を踏み出していく。
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