遊弥
お題ショートストーリー(2011/07/27執筆)
  作品の参考として、「お題イラスト」と「プレイング」を元にしたショートストーリーを執筆しています。ログインすれば、人気投票にも参加できます!

【執筆者:遊弥
【得票数:4】

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プレイング

 状況は苦戦を強いられていた。
 しかしバルバとの戦闘で壁際まで追い詰められたジェットの表情に、諦めはない。
(背後は壁、目の前にはバルバが二体。背水の陣ってヤツだな)
 バルバの振り回すハンマーがこちらに飛んでくる。ジェットは間一髪でそれを回避し、ハンマーは轟音と共に壁を粉砕した。
 背後の支えを失ったジェットは数歩よろめいて後ずさり、ぼちゃんと抵抗を持って沈んだ足が気の抜ける温かさを纏っていることに気付く。
 えっ、と声を漏らし状況を把握しようとした矢先。
「きゃあああああ!!」
 甲高い悲鳴が耳をつんざく。見ると数名の女の子達が水の滴る丸みを帯びた肢体を必死にタオルで隠していた。
(まさかここは……)
 見てはいけないものを見てしまった気がして、ジェットの背中に冷たい汗が流れる。
「……女湯」
 そう呟くとキンキンとした声が次々と背後で飛び交った。
「チカンーっ!」
「いやっ、変態! たすけて〜っ!」
「私もうお嫁にいけないぃ!」
 怒声を上げる者、悲鳴を上げて逃げ出す者、その場で泣き出してしまう者、反応は様々だ。

 心外な言葉の数々にジェットはバルバを指差し抗議する。
「よく見ろよ! 俺は今、戦っ……」
 しかし肝心のバルバは湯煙に覆われてよく見えない。女の子達は手で目を覆って悲鳴を上げるばかり。
「いやッ変なモノ見せないで!」
「違うんだ! 俺が見せたいのは」
 状況に気を取られていたジェットの目の前にハンマーが激突して水しぶきを上げた。

 今は戦闘を優先せねば。ジェットは剣を構え直し、この状況を作り上げたバルバへ憎しみの切っ先を向ける。
 バルバが壁を粉砕したせいでチカン扱いだ。とても許せるものではない。
「さっさと片付けて身の潔白を証明してやるッ!」
 先程の苦戦が嘘のように軽い身のこなしで懐に入り込み、バルバの急所を的確に斬りつけた。
 一体を倒し、間髪入れずに飛んできたもう一体の攻撃を回避する。
「これで終わりだ!」
 その場を飛び上がり、最後の敵の頭上目がけて剣を突き立てた。

 ジェットは倒れた敵を見下ろして一息つく。
(なんだってよりによってこんな場所に……)
 不意に、背後から女性の刺々しい声が突き刺さった。
「キミが女湯に侵入したチカンね」
 振り返ればそこには、いつの間にか城塞騎士の面々がずらりと並んでいた。もちろん全て女性だ。この場に居る全女性の敵意に満ちた視線が痛い。
 ジェットは慌てふためいてバルバの死体を指して事情を説明する。
「誤解だ! 俺はこのバルバとの戦闘で致し方なくここに」
 しかしそれも虚しく、剣を構えた一人が小声で筆頭の城塞騎士に耳打ちする。
「戦闘を利用した確信犯の可能性もありますね」
「だから誤解だって!」

 もし過去に戻ってこの終焉を見れたのなら、今すぐにでもこの状況を破壊してやりたかった。
 ジェットはそう思いながら必死に女性陣へ必死の抗議を続けたのだった……。
 
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