アイラ(cn0014)は後悔し始めていた。 最後の最後、もう少しで財宝に手が届くという段階で、よもやこんなに強力な敵が待ち構えていようとは。 「くそ! これで死んだら恨むからな!」 アイラがバロウズ(cn0005)を罵倒する。膨大な財宝が眠ると噂されているダンジョンに、腕試しも兼ねて行こうと言いだしたのは彼だった。 確かに『あいつ』が出てくるまでは順調だった。 ダンジョンに住み着いていた巨大鼠の群れやアンデッド、バルバなどを退治しながら最深部まで進み、アイラ、バロウズ、ナターリア(cn0011)は簡単に財宝を発見した。 それは、床一面に輝くほどに敷き詰められた金貨、金貨、金貨の山! 「すごい……」 思わず3人は声を揃えてつぶやいていた。 そして、嬉しくなったナターリアが財宝に触れようと手を伸ばしかけた時、『あいつ』は現れた。 宝の番人、このダンジョンの主、巨大な体躯を持ったドラゴンだ。 「せっかくここまできたんだ。こいつも倒して完全踏破といこうか」 財宝を発見して鼻息が荒くなっていたアイラは強気にそう言った。 「そうですね。これほど強大な敵、相手に不足はありません」 ナターリアもそう続く。 「ああ。……行くぞ!」 裂帛の気合と共に、アクスディバイドを叩きつけるバロウズの一撃を皮切りに、戦いは始まった。 アイラはその身軽な動きで敵の体を駆け上がりつつ攻撃し、二人の後ろからナターリアは弓を構え、狙い澄まして矢を放つ。 しかし、攻撃が通じた様子は全くない。ピンピンした様子でドラゴンは業火のブレスを放ってきた。苦悶の声を上げつつ、3人はそれに耐え、反撃する。 緊迫した戦いが続くが、ドラゴンは全くひるまない。アイラに後悔の念が沸き起こってきたのはその時だ。 「くそ! これで死んだら恨むからな!」 アイラがバロウズを罵倒するが、彼はそんなアイラの弱気を吹き飛ばす。 「諦めるな! 俺達がこれまでどれほどの経験を積み重ねてきたのか、思い出せ!」 ふと、アイラの脳裏にこれまでの辛く、長かった戦いの日々が浮かび上がる。 「私達ならやれます。自分を信じて、アイラ」 ナターリアが笑顔でそう声をかける。 「く、くそぉ!」 アイラは歯を食いしばってドラゴンに突っ込んだ。 やがて、3人の気合に根負けするようにドラゴンは力尽きた。 戦っていた3人は満身創痍で、呼吸もままならない程苦しそうだったが、勝利の瞬間には歓声を上げた。 「やったな!」 アイラが息を弾ませながら言う。 「ふふ。私達って、こんなに強くなっていたんですね」 ナターリアもそう微笑む。 「これも日々の鍛錬の成果だ」 バロウズが満足げにつぶやく。 「いや」 アイラの否定に、バロウズとナターリアは首を傾げた。 「それだけじゃない。3人いっしょだったから勝てたんだ。お前らとなら、どんな困難も乗り越えていける気がするよ」 アイラの言葉に、3人は笑顔で勝利を分かち合った。
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