花冷
お題ショートストーリー(2012/11/13執筆)
  作品の参考として、「お題イラスト」と「プレイング」を元にしたショートストーリーを執筆しています。ログインすれば、人気投票にも参加できます!

【執筆者:花冷
【得票数:3】

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【お題のプレイング】
12月24日、クリスマスイヴ。
けれど私、タチアナ・ウィンスレッドは、今宵もゴースト退治に来ています。
大切なフランケンシュタイン、ジルベルトと一緒に。

ゴーストガントレットとゴーストアーマーで強化されたジルベルトは、現れた妖獣にガトリングガンでの射撃攻撃をして、瞬く間に蜂の巣にしてしまいます。

戦いを終えたあと、私は気が抜けたのか、くらっとめまいを起こして倒れそうになってしまいます。
それを、支えてくれるジルベルト。
ジルベルトは私を慮って、抱きかかえて運んでくれます。
少し恥ずかしいけれど……たまには。こんなのも、悪くない、かも。

夜の郊外の道端に人の姿は無いので、しばらくジルベルトと一緒に帰り道を歩きます。
今宵の月は、綺麗ですね。
こんな風に、ジルベルトと夜道を歩くなんて珍しいこと。私は、それをかみ締めながらジルベルトの腕の中で揺られています。
夜風は冷たいけれど、ジルベルトが一緒なら平気です。
あたたかい……。

でも、それはかりそめの時間。
街が近づいたらイグニションを解いて、ジルベルトをカードへ封印しなければ……。
分かっています。
でも、今だけは。

ジルベルトの胸によりかかって、瞳を伏せ、呟きます。
メリー・クリスマス、と。

※ジルベルトは天涯孤独なタチアナをずっと守ってくれている、親のようで兄のようで友のようで恋人のようで、でもどれとも違う、そうした何かの言葉では表せないほどの、特別な大切な存在、です。
 吐息が白く空に流れる、そんな寒さの中。
 街から離れ人気のないその場所に大きな影と、小さな影が寄り添うように進む。
 世間を彩るクリスマス・イヴの喧騒から逃れたカップルの様な、穏やかな足取り。
 その背後から獣の足音が複数、付かず離れず追いかけて。
 足を止めた二人の背後から静かに狙いを定め、3体の影が飛び出した――その瞬間。
 フランケンシュタインのジルベルトがさっと振り返り、襲い掛かる妖獣の身体に迷いなく射撃を浴びせる。
 始まった戦闘からそっと守られるように、タチアナ・ウィンスレッドはジルベルトの後ろへ立ち、ジルベルトへゴーストガントレットとゴーストアーマーを施す。
 ジルベルトの両腕のガトリングガンが強化され、身体には深紅のオーラを纏う鎧が現れる。
 戦闘準備を素早く終えた彼らに襲い掛かる妖獣の影は、姿を見せた順にガトリングによって蜂の巣の様に撃ち抜かれ、息絶えてゆく。
 タチアナには一切脅威を与えない的確な動きは、彼女の指示か、彼の意思か。
 複数で飛び出した妖獣にも全く動じず、的確に撃ち抜くそのガトリングからはやがて白い煙が上がって。
 彼らの気配に寄せられて増えた妖獣達もあっという間に倒し尽くし、気付けばしんと静まり返った夜。
 周囲に油断なく気を配るため、張り詰めていた精神がふと緩んで残ったのは冷えきった身体と疲労感。
 くらりと目の前が回ったかと思うと、タチアナの身体は力なく揺らいだ。
 その身体を差し伸べた手でそっと支えたジルベルトは、そのまま彼女を抱き上げて。
 慮るように優しいその動作に、思わず頬を赤らめながらタチアナも彼の腕に身を委ねる。
 その視界には月……彼の腕の中、見上げるその光はとても綺麗で。
 冷えた夜風さえ温かい……そんな満ち足りた時間もこのまま歩いて、街が近くなればイグニッションを解き、彼はカードに封印しなければいけない。
 でも、今だけは。
 そっとタチアナはジルベルトの胸に寄りかかり、瞳を伏せて、とても柔らかな声で彼に呟いた。
 「メリー・クリスマス」
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